被災地を訪れました。
思うことがいっぱいありました。
大船渡から山田町まで運転中の景色は胸のつまるものばかりでした。
はじめはたくさん写真を撮って、その悲惨な状況を多くの人に伝えたいと思ったけど、やめました。ファインダーで切り取ることのできないほどの惨状でした…。360度、どこもかしこも災害のツメ跡だらけ。8ヶ月以上たった今でも、津波に流されぐちゃぐちゃにつぶれた車があちこちにあるし、一階部分が骨組みだけになった家もたくさん。信号も壊れたまま。あちこちにこれでもかとつみあげられたがれきの山。狭い土地に無理矢理詰め込まれたような仮設住宅。ここで8ヶ月前に何が起こったのか…、それを想像すると、恐くて写真を撮る気になりませんでした。写真ではこの惨状は伝わらない…。この惨状を切り取って公開することは、なんだか「悪いこと」のように感じられました。上の写真は、ほんの数枚撮った中の1枚です。この光景の続く恐ろしさは言葉でも伝えるのが難しいです…。
そんな中、大槌町から山田町に入る直前にある海沿いの喫茶店に手書きのポスターが掲げられていました。そこには「たくさんの支援をありがとう。わたしたちはずっと忘れません。」って書いてありました。それを見た時に、抑えていた感情がふきだし、涙が止まらなくなりました。まだ、復興は始まったばかりなのに…。今でもどれだけの苦労なさって毎日を過ごしていらっしゃるのかと思うと、胸がつまりました。
今日出会った被災地の方々は皆、気丈で、とても強く見えました。
コンサートはとても穏やか雰囲気で始まりました。今日の日のために編曲してきた日本のメロディーは、心から復興を願う気持ちを込めました。今、自分にできることは微々たることだけど、被災地にいつも寄り添って早くみんなが笑顔になれるように一緒に頑張っていきたい…コンサートを終え、そう感じました。
どういう形であれ、「つながっていくこと」が復興なのだと感じています。一回だけのコンサートではなく、「音楽のチカラ」と共に、いつも被災地の方々の心に寄り添っていきたい…と思っています。
(2011年11月13日 岩手県山田町にて)


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