自然を保全するための先進的な取り組みとして、諸外国では、旧ドイツの憲法では次のように書いてあります。「市民の福祉のために、国家及び社会は、自然保護につき配慮する。河川湖沼及び大気の清浄維持並びに植物界・動物界及び郷土の風光美の保護は、所管の機関により保証されるべきであり、また更に進んで各市民の責務である。」つまり、自然や野生生物を保護することが市民の責務であるということが明記されています。
では、日本は過去にさかのぼってどうだったかと言いますと、江戸時代、人と自然のかかわりは地域共同体において管理されていたと言えます。例えば入会権のように、地域共同体による共同利用が、自然の荒廃を防いでいたことが明らかになっています。日本では、戦前まで地域共同体が機能していた時代が続いたと言えますが、戦後の都市化、とりわけ高度経済成長を背景とする1960年代の都市化は、日本の社会の基底をなしていた地域共同体の崩壊、破壊を引き起こしてしまったと言えると思います。このときに、自然破壊によるふるさとの美しい自然景観が失われたことも、地域共同体の破壊による一因と考えられます。
自然は、私たちの財産であり、絶滅の恐れのある種を救い、健全な環境を取り戻すことが急務となっております。

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