33年前、自然保護憲章が自然保護憲章制定国民会議によって制定された。現在は、既に忘れ去られているが、21世紀の現在、現代版の自然保護憲章が求められているのではないだろうか?
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自然保護憲章(自然保護憲章制定国民会議1974年6月5日)
自然は、人間をはじめとして生きとし生けものの母胎であり、厳粛で微妙な法則を有しつつ調和を保つものである。
人間は、日光、大気、水、大地、動植物などと共に自然を構成し、自然から恩恵と共に試練をも受け、それらを生かすことによって、文明を築き上げてきた。
しかるに我々は、いつの日からか、文明の向上を追うあまり、自然の尊さを忘れ、自然のしくみの微妙さを軽んじ、自然は無尽蔵であるという錯覚から資源を浪費し、自然の調和をそこなってきた。
この傾向は近年特に著しく、大気の汚染、大気の汚濁、みどりの消滅など、自然界における生物生存の諸条件は、いたるところで均衡が破られ、自然環境は急速に悪化するに至った。
この状態が速やかに改善されなければ、人間の精神は奥深いところまで蝕まれ、生命の存続さえ危ぶまれるに至り、われわれの未来は重大な危機に直面する恐れがある。しかも自然は一度破壊されると、復元には長い年月がかかり、或いは全く復元できない場合さえある。
今こそ、自然の厳粛さにめざめ自然を征服するとか、自然は人間に従属するなどという思いあがりをすて、自然を尊び、自然の調和を損なうことなく、節度ある利用につとめ、自然環境の保全に国民の総力を結集すべきである。
よって我々は、ここに自然保護憲章を定める。
自然を尊び、自然を愛し、自然に親しもう。
自然に学び、自然の調和を損なわないようにしよう。
美しい自然、大切な自然を永く」子孫に伝えよう。
1.自然を大切にし、自然環境を保全することは、国、地方公共団体、法人、個人を問わず、最も重要なつとめである。
2.すぐれた自然景観や学術的価値の高い自然は、全人類のため、適切な管理のもとに保護されるべきである。
3.開発は総合的な配慮のもとで慎重に進められなければならない。それはいかなる理由による場合でも、自然環境の保全に優先するものではない。
4.自然保護についての教育は、幼い頃からはじめ、家庭、学校、社会それぞれにおいて、自然についての認識と愛情の育成につとめ、国土全域にわたって美しく明るい生活環境を創造すべきである。
5.自然を損傷したり、破壊した場合は、全て速やかに復元に努めるべきである。
6.身近なところから環境に浄化や緑の造成につとめ、国土全域にわたって美しく明るい生活環境を創造すべきである。
7.各種の廃棄物の排出や薬物の使用によって、自然を汚染し、破壊することはゆるされないことである。
8.野外にごみを捨てたり、自然物を傷つけたり、騒音を出したりすることは、厳に慎むべきである。
9.自然環境の保全にあたっては、地球的視野のもとに、積極的に国際協力を行うべきである。

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