中環審、自然環境・野生生物合同部会、第1回生物多様性国家戦略小委員会メモ
期日:2012年03月16日
時間:午前9時から12時
場所:TKP赤坂ツインタワー
文責:草刈
このメモは、各省庁からの説明は記録していません。質疑応答のみです。配付資料については、近日中に環境省のサイトにアップされると思います。
名前は敬称略で失礼します。
鷲谷:既に策定済みの他国の戦略を参照したい。EUも策定済み。また、他の策定済みの地域戦略の資料も良い物があるので参照したい。
武内:世界に対してどのように貢献できるか、重要な視点。また、ローカルなところからの議論も必要。国と地域の関係性、関連付けが重要。
<各省ヒアリング>
武内:環境省から施策の説明の後、質疑応答。以後、各省ヒアリングを行う。
★環境省の説明に対する質問
委員:生物多様性の主流化が柱であるが、どうして主流化ができないのか? 主流化と言い過ぎるからである。生物多様性は、低炭素に対して非主流となる。低炭素の問題とどのように絡んでいるか、持続性の視点の中で温暖化の問題、人間活動の資源の確保など総合的な観点から生物多様性を捉える必要がある。農水、国交、経産などで視点の広がりがある。世論の取り組みは、EUでは世論的には進んでいないが、EUの仕組みの中でトップダウン、フレームワークの中で作っている。車の両輪として考えることが重要。空間的な階層性ではなく、階層性の中で浸透するものがある。EUが指令を出すと末端まで指示が働く仕組みがある。世論が付いて来なくてもその仕組みがある。
中村:人口減少が一番の問題、4頁の里山放棄、サトヤマイニシアティブのリーダーの日本であるが、里山は人がいなくなっている。北海道は里山の人口は、数十年で半分になる。大変なビジョンになるが、野生動物との関与など、環境省がビジョンを考えているのであれば知りたい。エネルギーの問題、原発の問題などもある。エネルギーの議論もすべき。地熱発電の問題など、エネルギーの議論について書き込む必要がある。
白山:国家戦略として戦略を担う組織が必要、環境省がやるのではなく、国家戦略室など、または、生物多様性センターの位置づけと活用の明記が必要。温暖化で地球環境の変化を代表されているが、フロンガス、PCB、海洋の酸性化など温暖化だけの問題ではない。十分に表現されていない。地球環境の変化に対して適切なワーディングが必要。海に関して、重要性の認識はありがたいが、海洋基本法に関して、海洋基本政策が動いている。この連携が必要である。それを認識する必要がある。海には、色々な省庁が関わっている。農水と環境省が殆どで、他の省庁との戦略に対する具体的な戦略がない。省庁連携をしっかりやること。海洋政策本部との連携を考えること。森里海の連関は、重要であるが、具体的にどうするのか?流域単位で考えること、地方行政との連携になるが、例えば、片方の流域では森林をやっていて、片方の流域では海をやっているでは、良くない。流域単位で取り組む考えが必要。農水、経産、国交の資料に対するコメント:農水戦略は戦略的で意欲的で良い。実際に政策を実現して欲しい。国交省はバラスト水など海洋の視点が必要。海運と生物多様性、侵入種の問題など。経産省は、地球環境問題、エネルギー政策と生物多様性の視点が重要で踏み込んだ内容で検討して欲しい。
吉田:種の保存や生息地保護地域について、絶滅のおそれの点検会議で、メンバーとして発言した。多くの委員が言っている。種の保存法が92年に制定されたが、当時は、開発の危機や商取引の危機があった。2002年の国家戦略で、第二、第三の危機が明記された。里山の危機など、RDBで明記されている危機がある。今までの法律は規制的な法律で対処できなかった。イギリスの制度やアメリカやカナダなどのスチュワードシップなど奨励的な手法が必要。絶滅の恐れのある施策は重要であり、環境省や農水、国交も含めて、連携化が重要。生息地は、IUCNでは、保護地域のカテゴリー化で整理している。農業景観、文化的な面など、カテゴリーを分けている。そのカテゴリーの分析が必要。中身の分析が必要である。海洋の生物多様性は、8%が保護地域になっているが、8%の中身はどうなっているか?目的の保護についての分析が十分ではない。捕獲せずに保護が出来ているか、愛知目標の達成に関係する。
鷲谷:今後の方向性で基本戦略が明記されている。愛知目標の最初の記述。生物多様性の価値、認識の基本戦略、価値の認識や生物多様性リテラシーが必要。価値認識のために必要である。先進国と比較して日本が弱いのは、この点。EUの戦略では、生物多様性の存在価値が重視されている。日本で存在価値が理解されないが、生態系サービスから入るものもあるが、その先の段階では、生物多様性のリレラシーの記述が必要。生物多様性の要素が、日本の教育の中に欠けている。自然史教育が初等、高等の教育で、生物が、その風土にあるその位置づけが取られていない。例えば植物は、植物としか捉えられていない。教育の分野では学習指導要領で自然史が捉えられるが、生物多様性リテラシーが重要。
大久保:経済界で考えた時に、一つ、資源としての生物多様性、益々重要になる。企業活動、人間活動で自然物を資源として使う、バイオマス、地熱など自然の破壊とトレードオフも関係が出てくる。資源としての生物多様性の取り組みを書くべきで、持続可能な利用を深めること。技術開発では、企業では、技術開発が将来のキーになる。どのように、国家戦略として取り組むのか、企業は、技術開発で活躍やくできるはず。微生物や遺伝子でも関係する。技術開発の方向性、スタンスに踏み込め。経済活動はグローバルになっている、グローバルな視点、そう考えざるを得ない。認証制度、サプライチェーンの問題、一企業では解決しない問題がある。グローバルな視点で何を捕まえるか?スタンス、道筋を深めて欲しい。
山岸:11頁、自然再生はどこをどうするのか? 協議会の資料が出ているが、状況が把握できない。協議会の下の対象地域が明記されているがどう関係するのか、それ以外の地域の現状はどうなっているか。ヒアリングについては、文部科学省はどうなるのか? ヒアリングはないのか? 残念である。国外に広める時に外務省の考えはどうなっている? 6頁、鳥類の野生絶滅のこと、トキのこと、野生絶滅に入るのか? キンが死んだとき絶滅したのか? 記載の状況は、H22年3月のままか?
小泉:ニホンジカの被害で、自然遺産を食いつぶしている。第二の危機を取り上げる必要がある。日本社会と国土政策の問題、省庁連携の問題、里地、里山は認証されるが、認証のメリットは何か、様々な里山のモデルを世界に発信すること。継続的な生物多様性は、人間の経済活動との連携が重要。
吉田(謙):保護地域について、利用禁止に関することやエコツーなど見える価値に関する記述が見当たらない。保護地域の存在価値は、利用を禁止したときに価値がある。利用禁止することによる存在価値、見えないところの存在価値を見える化することが重要。生態系サービスは、見えてきている。国家戦略は、授業で3つの危機は分かりやすいが、保護の優先順位が見えない。固有種、例えば、ツシマヤマネコ、ヤンバルテナガコガネなど、象徴的な種は、一種も絶滅させない戦略と実行が見えるようにすること。鳥獣被害は、クローズアップされていて重要。省庁横断的に連携すること。鳥獣被害がクローズアップされていて良い、地元では危険で邪魔な扱い、一般の認識は重要な認識、カモシカは重要であるが一部で被害が出ている、ニホンザルも同様。倫理の問題の検討も必要。納得できる議論が必要。
環境省:質問に対する回答。中村:人口減少のビジョンについては、答えはない。他省庁との連携などは、次回、他の省庁の発表もしてもらう予定。自然再生協議会、公式に助けているものもあるが、その他について情報はもらっている。資料は提供する。トキのRDBリストについて、78羽放鳥している。RDBについては、改訂中、IUCNの野生復帰のカウントのガイドラインがある。野生化で生んだ子供が繁殖年齢に達したときに親のカウントに入れる。5月に13羽放鳥する。
●農林水産省の説明
●国土交通省の説明
●経済産業省の説明
質疑は一括で
鷲谷:農水へ:農業で生物多様性の保全、日本の農業、環境保全型農業の地域的な支援は、良い。国際的にも妥当、国際的な枠組と矛盾がなく、効果的なことが重要。田んぼの冬期湛水は、明記されている。農業の施策で、生物資材を大量に持ち込むことがあり、外来生物の問題と関係がある。これまでも侵略的な外来種になっている事例がある。その地域以外の生物を持ち込む、直接支払いで奨励すると生物多様性と相反することになる。生物多様性上問題がない、グローバルスタンダードで分かるようにすること。ヨーロッパでは、生物多様性に寄与する制度がある。イギリスのスチュワードシップ政策がある。日本型に変換しできるような、直接的な農家への支援の仕方など。直接的な支援の内容を生物多様性の視点で行って欲しい。
吉田(正):農水は、愛知目標に対して、それぞれ農水の目標は、評価できる。目標3、生物多様性に有害な措置について、2010年のSBSTTAで農水の代表が、ヨーロッパは廃止するというのに対し、日本は、奨励するという文面に変わったものだと思われる。今後、実施することに適合する考えであるが、今まで有害であった奨励措置の見直しや検討はどうするのか?
国交省へ:社会資本整備重点計画での生物多様性の位置づけが重要。プログラムの一つでしかないが、国土空間的な視点が必要。エコロジカルネットワークで地域を結ぶ視点は良い、都市緑地や河川のみならず、あらゆる国土空間で結びつく取り組みが重要。エコロジカル・コリドーという言葉の影響か? アメリカではグリーン・インフラストラクチャーとしている。これ自体が社会資本になるはず。
吉田(謙):経済的な評価、在来の法で評価されてきているが、他の機能でマッチする評価が必要。生態系サービスの供給サービスの観点からまとめて欲しい。国土をカバーしている農水は、減少している現状が生物多様性への影響、生態系サービススがどのようい低下したのか評価して欲しい。潜在的な供給力で、人々の需要から評価して分かりやすくすれば分かりやすい。
説明では国有林が中心になっているが、民有林に対しても、国有林の保護のノウハウを普及することが重要。
中村:農水へ:森林の話し、森林林業再生プラン50%をめざすのは重要であるが、生物多様性の議論が薄井。1000万ヘクタールの人工林の管理、多様性管理が重要。指標ができていない、林業は順応的にやるべきであり、ケースバイケースで方法論を見極める的にはデータを取ること。攪乱、風倒が起こっている。多様性の議論では、倒れた木を残した方が良い、攪乱があった後、生物多様性の遺産を残すことを考えるべき。保護林は、木材生産がベースであるが、日高と大雪の保護林設定は大変であった。多様性の中で位置づけられていない。調査簿に生物の種類が書いていない、モニタリングできない仕組みがある。議論すべき。
国交省へ:都市の生物多様性でどの程度出来ているか知りたい。事業説明は分かるが多様性の評価がスライドから分からない。
桜井:前回の改訂で海について、国家戦略で議論した。海をどう分けるか、沿岸と海洋で分けられているが、里海=日本型海洋保護区に含めて良いのか?広い沿岸利用について、日本型海洋保護区のクライテリアを決めることが重要。地元の人々が海洋保護区を知らない、これを一般化する、省庁をまたいで議論して欲しい。
委員:後4回の委員会があるが、生物多様性リテラシーが分からない、世の中に定着していない。「自然環境保全に寄与する」これが、生物多様性に資すると同じ物か?農水へ:指標の開発、詳しく知りたい。農業分野で生産性と生物多様性、指標生物を考える、評価手法を開発することをやって欲しい。基本的なことをやるべき。生産性と生物多様性の両立に貢献する、従来の自然環境に資するとの関係を分かっている必要がある。
武内:ABSに関心がある。経産へ:技術的な面、資金メカニズムや途上国の能力向上、伝統的な知識など、その辺のこれからの議論について知りたい。
農水:直接支払いの件、外来生物の件、おっしゃる通り。ヨーロッパの制度を参考にしたい。今のところ心配ない。奨励措置について、今後、毎年の予算で検討していく。経済評価は、代替法などでやってきた。色々な経済手法があるのでチャレンジしたい。国有林の民有林、所得支払い計画、環境計画を作ったところを条件にしている。風倒木、FSCでも明記があり認証スキームで入れていく。保護林の問題点、勉強して対応する。日本の場合の漁業権、権利など実際上の保護と組み合わせて日本型も保護区を検討したい。環境と生物多様性、環境要素と生物多様性はトレードオフもあるので、環境要素のライフサイクル評価も長期的な課題で捉えたい。森林施行で生物多様性を維持する試みをしてきているが、指標は作りたい、農業と生物多様性または、ランドスケープと多様性、HEPを利用など検討したい。
国交省:プログラムの概念、狭いと言う視点について、同じ意識を持っている。社会資本重点計画、昔は、それぞれのインフラ毎にやっていたが、今はまとまっている。今回3回目、バラバラな事業の問題意識は持っている、同じ政策目標の事業、政策などまとまり毎に立てていく。事業の早退をプログラムと呼んでいるので矮小化した理解になってしまった。海洋のバラスト水の件、条約の発行をめざしているが、昨年の秋に、バラスト水に対処する機械の導入など検討している。緑の基本計画は、政令市は作っている、把握していないが、何らかの形で把握したい。これから変わっていくと思う。
経産:ABSの今後の展望、制度的な枠組、まだ、批准した国が2カ国のみ。50カ国署名後3ヶ月で発行、議論は始まっているが、途上国の側に能力が不足している。キャパビルが不足している。10条、資金メカニズムは、ニューデリーで4月に議論される。その議論を聞いて対応する。伝統的な知識は、各国とも同じ。国境が入り組んでいる国で移動している人々の有用な知識、各国で指定する責任になっているが、そのままではなかなか進まない。遺伝資源にアクセスする国家制度の整備が必要。企業のニーズを考えると遅々として進まない。提供と利用の国のバランスが必要。草の根レベルで丁寧に進める。
環境省:地域戦略は、15道県、11市で策定され、今後増える模様。
以上。

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