<絶滅危惧種のカメ譲渡>歯科医が密輸 3容疑者書類送検
ワシントン条約で商取引が禁じられた絶滅危惧種「ミスジヤマガメ」と、国の天然記念物「リュウキュウヤマガメ」を不正に譲渡したなどとして、警視庁生活環境課は24日、歯科医の男(46)=東京都渋谷区=とペットショップ社長の男(59)=横浜市港北区、自営業の男(57)=東京都葛飾区=の3人を種の保存法(譲渡の禁止)違反などの疑いで書類送検した。
ミスジヤマガメはインド東部に生息。同課が世界自然保護基金を通じ専門家に照会したところ「1975〜2010年に世界で12匹しか捕獲と標本の報告がない」と回答があったという。国内で確認されるのは初めて。リュウキュウヤマガメは主に沖縄県に生息しているとされ、75年に国の天然記念物に指定された。
送検容疑は11年9月、歯科医が密輸したミスジヤマガメ(体長約16センチ)1匹とリュウキュウヤマガメ8匹を社長に無償で譲渡。社長は自営業の男にリュウキュウヤマガメ6匹を渡したとしている。歯科医は「18年前にミスジヤマガメを香港で2万円で買い、靴箱に入れて密輸した。自分の体調が悪くなって飼えなくなり、譲った」と話し、共に容疑を認めている。
このうちリュウキュウヤマガメ5匹は既に死んでいた。押収されたカメは横浜市立野毛山動物園で飼育されている。【黒田阿紗子】
◇種の保存法
正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」。93年に施行された。国内で絶滅の恐れがある動植物を「国内希少野生動植物種」として捕獲や採取を規制し、ワシントン条約など国際取引規制の対象となる種を「国際希少野生動植物種」として取引を規制する。希少野生動植物種を譲渡したり譲り受けたりした場合は1年以下の懲役か100万円以下の罰金。

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