2005/10/23

ニューヨーク美術案内  本・文学

「ニューヨーク美術案内」(千住博・野地秩嘉著・光文社新書)を読んだ。数時間で読めてしまうわかりやすい本だ。

千住博氏は日本画家。千住兄妹の長兄。ニューヨークに10数年住んでいるという。まず彼が美術の見方について解説し、それを踏まえて作家の野地氏が実践するという趣向だ。

ニューヨークの美術館と言うとまずメトロポリタン。ついでMOMA。こう書いているだけで、「憧れ」で心がいっぱいになる。もちろんこれ以外にも数多くの美術館、ギャラリーがある。

千住氏がまず話すのが「ゴッホ」。ゴッホの絵を実際に見て一番印象的なのが色の鮮やかさ、鮮烈さだ。ゴッホの絵は褪色せず、剥落もないという。弟テオが最高級の絵の具を送っていたからだそうだ。そしてゴッホが不器用な画家なので、混ぜ合わせたりせず、絵の具をそのまま使ったから、鮮やかな色使いになったのだとか。ふ〜んと思った。

それとゴッホの筆遣い。細かく執拗に絵の具を塗りつけている。私は「ゴッホは脅迫神経症で、隅々まで描き続けないと不安なのだろう」と思ったのだけれど、千住氏は「少しの手抜きもなく細密な表現をする宗教画家のようにゴッホの絵は神との対話であり、祈りだった」と書いている。私の考え方は悪しき心理至上主義なのだろう。

ニューヨークは現代美術の中心地である。現代アートについての「案内」もある。で、ここでは「わからないものはわからないでいい」「人間としての健全な精神で接するということが究極の態度」と言っている。こういう言葉は心強い。

横浜トリエンナーレもこの精神で見たら、楽しめるかもしれない。

また、一度見た美術品も千住氏が勧める「耳」を見る法で鑑賞したら、また違った角度から楽しめるのではないかと思った。次に展覧会に行くのが楽しみになった。
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ