2012/9/12

NHKBS「うたの家」  テレビ番組

日曜日、9月2日だ。足が痛くて動きようもなく、テレビを見ていた。

NHKBSプレミアム「うたの家族〜歌人・河野裕子とその家族」だった。何も知らずぼぉっと見ていたのだが、いつの間にか引き込まれていた。ドキュメンタリーと再現ドラマで構成される。

日本を代表する歌人河野裕子さんと、その夫で歌人(短歌結社「塔」主催)で京大教授の永田和宏さん、長男は出版社代表で歌人の永田淳さん、長女は農学博士であり歌人の永田紅さんの一家、まさに「うたの家」だ。

世間的に見ても幸せいっぱい、羨むような家族だ。

河野裕子さんは2000年癌を患う。このドラマは発病から死(2010年)、残された家族を描いていた。
(引用する歌はドラマとは違います。他で知った歌も載せています)

闘病生活は見ていて辛かった。

「あんたのせい」と夫を責め続ける。

河野裕子さんの歌
「しんどがる私を置いて出でてゆく雨の中に今日も百の朝顔」

「今ならば 真っ直ぐに言う 夫(つま)ならばかばって欲しかった医学書閉じて」

永田さんの歌
「この人を殺してわれも死ぬべしと幾たび思ひ幾たび泣きし」

永田さんは「死の棘」の島尾敏雄氏の気持ちがよくわかったという。

裕子さんの言葉に切れて「テレビに向かって椅子を投げつけ、廊下を走ってトイレのドアを蹴破り、後ろから止めた息子の肩にすがって身も世もなく泣いた」

「この時、息子と言うのはいいものだなぁと思った」と語った永田さんの言葉が私の胸を刺した。きっとこの言葉に反応する人は少ないと思う。

胸が疼いて泣けた。いや、私たち夫婦に息子がいない、というそんな浅い反応ではない。(だって娘たちはかわいい。娘で良かったと心から思っている)

何かわからない、だが泣けた。

この頃の河野裕子さんの歌
「あの時の壊れたわたしを抱きしめてあなたは泣いた泣くより無くて」

次第に冷静になる河野裕子さん。再発を告げられても平静だった。

「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」64歳だった。

見終わった後、残る歌は
「子のわれかわれが子なのかわからぬまで子を抱き湯に入り子を抱き眠る」

「しっかりと飯を食はせて陽にあてしふとんにくるみて寝かす仕合せ」

幸福な歌だ。

(「死の棘」は20代独身の頃読んだ。島尾夫妻の葛藤がまったく理解できなくて、こんな両親のもとで育つ子どもたち、に深く同情した。私自身が子どもだったと思う)
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