2013/9/3

青空文庫で読書  本・文学

宮崎駿監督の「風立ちぬ」を見て以来、何か落ち着かないものを感じている。雑誌「CUT」の監督へのインタビューで堀辰雄「菜穂子」への言及があった。

若い頃読んだはずだけれど、忘れてしまっている。気になって、読むことにした。

もちろん青空文庫からダウンロードする。

美しい自然描写は筆写したいと思うくらいだ。こういう日本語を読めるというのは、音楽や絵画、或いは自然の美を前にしたのと同じくらい、心を潤す。芳醇な味わいがある。

アニメ「風立ちぬ」の登場人物には、共感できないというか、壁の向こうにいる人々、薄いベールが何枚も重なって厚くなり遠くにいる人々と感じた。

けれど、この作品の登場人物の心の動きはよく理解できた。「生」の覚束なさ、脆さをじりじりと感じた。

※青空文庫の創設者 富田倫生氏が8月16日に死去された。61歳の若さだった。
「富田氏は1997年に著作権の消失した文学作品を収集し、無料で公開する青空文庫を設立。収録作品は現在までに1万2千点を超えている」(slashdotの記事より)
偉大な事業だったと思う。

青空文庫がなかったら、読み残した漱石の作品を読むことはなかったし、幸田露伴や永井荷風、二葉亭四迷、折口信夫の作品を思い立って読む、ということもなかったろう。

青空文庫の恩恵にあずかっているものととして心より感謝申し上げます。またご冥福をお祈りします。

青空文庫ではないが、家の本の整理をしていて「少年少女古典文学集」の中の「枕草子」(大庭みな子編)を見つけた。処分する前に読んでおこうと思った。口語訳。

枕草子は受験用参考書で読んだくらい。改めて読むと、これはこういう話だったのか、と知ったり、当時の宮廷の様子だけでなく、宮廷に出入りする一般人のこと等も書いていたのかと新鮮な驚きがあった。
また耳のそばでぶんぶん飛び回る蚊はうるさいとか、縫い終わって糸を引っ張ったら、玉が作ってなくて全部抜けてしまってがっかりとか、今も同じですね。

大庭さんは戦時中の厳しい時勢の中で、古典を読むことが自分の世界を守る唯一のものだったと書いていた。重い言葉と思う。

同じことは「菜穂子」を書く堀辰雄にも感じた。

米国との開戦を知って加藤周一さんは「文楽」を見に行ったという。芸術・古典を味わうとは?考えさせられる。
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