2018/7/13

万引き家族を見た  映画

(8/13いろいろ考えることがあり、追記しました。ネタバレありです)

是枝裕和監督「万引き家族」を見に行ってきた。今年のカンヌ映画祭パルムドール受賞作だ。

ムービルのお昼頃の上映回。客席はかなり埋まっていた。ムービルはいつも空いているので、こんなに観客がいるのを見るのは初めて。もちろんシルバーが多い。

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東京の下町。高層マンションの谷間に取り残されたように建つ古い平屋に、家主である初枝の年金を目当てに、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀が暮らしていた。

物語の構成、人物描写、自然な台詞や表情、カメラワーク、音楽すべて良くて、緩急自在、演出に過不足ない見事な映画だ。パルムドールも納得。

安藤さくらの力の抜けた、それでいて引きつけてやまない演技。彼女を中心にまるでドキュメンタリーのように物語が進む。子役たちの目力(めぢから)、自然なたたずまい。この少年はすばらしいね。

是枝監督の演技指導のたまものだろう。

雑然とした家の中もリアリティありまくり。クリーニング工場の同僚たちとのやりとりも超リアル
(このクリーニング工場を見た時、「未来を花束にして」の洗濯工場女性労働者と全く同じ、と思った)。

信代のやけどの跡をユリがそっと撫でる場面、信代がゆりを抱きしめる場面はとても美しい。

日本の、今の負の面を幾つも描く。貧困、児童虐待、ブラック労働、失業、女子高校生風俗、年金詐欺、万引き、そして家族とは、愛とは何か。

静かな映画が、いくつもの問いを突き付けてくる。

※※※※※※※※
(8/13追記:
監督が一番訴えたかったのは、やはり、貧困問題だと思う。「豊かな日本、先進国日本」と思っているうちに、日本社会直面している、それでいて隠されている貧困問題を、真正面か取り上げた。

都会では家族が孤立して、貧困や虐待・DVも見えなくなっている

しかし、家族が孤立して見えなくなっているようで、ちゃんと見ている人はいた。それが少年に罪悪感を呼び起こしていき結末に繋がるのはとても良いと思った。この少年の葛藤をきちんと伝える演技もカメラも素晴らしかった)
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大したものだなぁ、日本映画も捨てたものじゃない、と余韻に浸っていた。

しかし、段々疑問が湧いてくる。

信代が一人で罪を背負うことが可能か?少年はどうしてここに居るのか?全く行政の手は入らないのか?この辺は「まぁいいか」で済ませることもできる。

しかし、一番抵抗があったのは亜紀の描き方。たぶん山の手中流家庭の子ども。この家に落ち着くまで彼女にも葛藤があったろうに、それは何も描かれていない。風俗のバイトも単なる「風景」のように描かれる。

風俗で知りあった男と純愛もどきに至っては怒りすら覚えた。これは是枝監督の願望・偏見ではないか。ここはこういう風に描くべきではなかったと思う。信代も治と風俗で知り合ったとされているし。

そして、信代は「愛」の権化で、すべてを包み込む。これも監督の願望だね。こういう女性の描き方は好きじゃない。

そして治のことは「子ども」と言う。大人になりきれない男(プログラムより)、と。これ余りにありきたりじゃないですか。聖母と子どもの男。

この点で興ざめしてしまうのだ。

ともあれ、極めてリアルのようでいて、日本の家族の「寓話・ファンタジー」。血のつながりのない貧困家庭にある情愛を描くことで、日本の血のつながった家族や社会を問うている。

寓話だからこそ、細部は極めてリアル。しかし、芯の部分が陳腐と思える。

寓話というと「スリービルボード」を思い出した。あれもアメリカ社会の寓話と思った。「万引き家族」を見るのと同じような目でもう一度「スリービルボード」を見直す必要があるのではないか、と思ったりした。(女性のあり方としては「スリービルボード」の方が好きだけど)。

とにかく作品としてはまとまりがあり、演技も、撮影、大道具小道具、音楽すべてプロの仕事と感服する、日本社会の負の面を描いた作品として評価もする。だけど、初枝、信代、治たちの姿が「普通の家庭」の欠けたものを映し出す鏡とはいえない。「愛」なのか?という疑問が抜けないし、女性の描き方には疑問ありまくりだ。
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2018/7/10

まとめてアップします  

20日以上、ブログをさぼっていましたが、まとめて記事をアップしました。
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2018/7/9

トスカ@新国立劇場  音楽

ウィーンでオペラを見てから2か月経った。そろそろまたオペラを見に行きたいなぁと思い始めた。でも旅行で散財してしまったからなぁ。

新国立劇場「トスカ」で検索するととても評判がよい。

で、新国立劇場HPでチケットを探すと、まだ少しあった。それで、行くことにした。

「トスカ」は「蝶々夫人」の次に、全幕テレビで見たオペラだ。

オペラが縁遠かった頃でも「オペラアリア」は好きで、CDプレーヤーを買ってすぐ「オペラアリア集」(ソプラノ)も買った。「ある晴れた日に」「ああ、そは彼の人か」と並んで「歌に生き、愛に行き」は好きなアリアだった。

2012年にロイヤルオペラハウス「トスカ」を録画して見た。それでヨナス・カウフマンさんを知ったわけだ。

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ポスター。この場面は絢爛豪華。

「トスカ」:指揮:ロレンツォ・ヴィオレッティ、演出:アントネッロ・マダウ=ディアツ
トスカ:キャサリン・ネーグルスタッド、カヴァラドッシ:ホルヘ・レオン、スカルピア:クラウディオ・スグーラ

第一幕。聖アンドレア・デッラ・ヴァッレ教会の場面。録画してある「トスカ」は大体カヴァラドッシ出演場面ばかり見ているので、ここは字幕がなくても大丈夫。

でも、何度も何度も見ているカウフマンさんの歌声や映像があって、どうしても比べてしまう。レオンさんはテノールらしいキラキラ声で良く伸びる声で素晴らしいのだけれど、違いが気になってしまう。

トスカ登場。鮮やかなブルーのドレス。やはり「トスカ」はこうでないと。

先日NHKで放送していたザルツブルグ音楽祭の「トスカ」ではハルテロスさんはトレンチコートだった。ありきたりの演出では目の肥えた観客には物足りないから新演出があるのだろうけど、日本の観客には安定のクラシック演出がいいよね。

スカルピア登場。ここ実によかった!スグーラさんは長身ハンサム。威圧感があった。

そして、1幕最後の「テ・デウム」。ポスターのあの場面だけれど、豪華絢爛。登場人物が多くて圧倒される。司教など聖職者達、王妃、貴族、スイス衛兵、聖歌隊。

5月ウィーンオペラ座で見た「アイーダ」より新国立のゼフィレッリ演出「アイーダ」の方が豪勢、豪奢だった。この「トスカ」のこの場面も「新国立はすごいよ」と言いたくなる。

ここで25分の休憩
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2幕。スカルピアの見せ場。長身ハンサムなスカルピアはいかにも「色悪」。スカルピアのテーマが鳴り響くと冷酷さも際立つ。ベタベタふやけた中年の気色悪いスカルピアではない。人格に欠落したものを持つ非情なスカルピアだった。

トスカは真っ赤なドレス。これも素敵だった。

カヴァラドッシはどうしてもカウフマンさんの演技を思い出してしまってだめだ。「ビクトリアー」のあの声と比べるといまいちだなぁ。そして、ヨナスさんのキリッとした、共和主義者・志士的なたたずまいと比べてしまうのね。

トスカ=ネーグルスタッドさんの「歌に生き、愛に生き」の歌。これは美しくて、涙がにじんできた。

そして、

「これがトスカのキスよ!」

ハイライトの場面。but「動物のお医者さん」を思い出してしまう。いやぁまったくあのマンガは傑作だね。

ここで休憩。

ホワイエでピスタチオ&ベリーのムースをいただく。
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ムースというかアイスクリーム。中のベリーは凍っていて、フォークが刺さらない。食べられないかと思った。解凍が間に合わなかったのかな。少し時間をかけて、食べた。

3幕。ここは舞台装置がすごかったです。舞台転換、サンタンジェロ城の舞台装置も重厚で見事だなぁと思っていたが、間奏が終わると、それが下がって、檻が上から降りてきて手前の牢が競り上がっていく。カヴァラドッシの閉じ込められている牢に変化する。

そして、「星は光りぬ」。切々と歌い上げられた。拍手する暇もなく音楽は続く。

考えてみると、ウィーンオペラ座、「星は光りぬ」の後、拍手が鳴りやまなくて、もう一回歌って、そしたらトスカが出てこなくて「あ、ソプラノが出てこない」って歌う、例のカウフマン、ゲオルギューの「トスカ」って珍事もいいとこだ。ありえないことが起きたんだなぁ。

2人の二重唱、そして牢が下がり、サンタンジェロ城が競り上がってくる。

処刑、「スカルピア、神の御前で!」まで一気呵成。いやぁ退屈させない、ドラマチックなオペラです。

ネーグルスタッドさんは「トスカ」を得意としていて世界各地の有名オペラ座で歌っているそうだ。

「トスカ」って、ストーリーから言うと、嫉妬深くて、嘘がつけなくて、やや思慮に欠ける。すごく純粋で、未熟な若い娘という感じ。だけどネーグルウッドさんは賢そう、世間知もありそうなんだよね。

録画で見た中ではゲオルギューさんが一番、未熟で、でも愛嬌があって愛さずにはいられない感じが出ていたような気がする。

なので、今回のオペラではスカルピア役のスグーラさんが一番魅力的だった。

「トスカ」は2時間足らずのオペラで、しかもたった1日の話。その間に4人が命を落としてしまう。うーん、ドラマチック。

ナポレオン、共和制と王政、ローマの実在の教会や城、アンジェロッティやスカルピアもモデルとなる人物もいるという。そういう点でも興味深い。

この感想に納得。この公演の動画もあります。



ところで、「international KissingDday」というのがあって、英国「ロイヤルオペラ」のtweetがこれでした。びっくりだよ。


「トスカ」第一幕
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2018/7/7

もう終盤  サッカー(代表)

ブログをさぼっている間に、W杯も終盤だ。

今まで見た試合の中で面白かったのは、「スペイン対ポルトガル」、「ブラジル対コスタリカ」、「ドイツ対スェーデン」、「フランス対アルゼンチン」(ホーム、アウェイ側の区別はしてません)。イングランドの試合は間が悪くて、1試合も見ていない。

準々決勝の「フランス対ウルグアイ」も面白かったが、カバーニがいないウルグアイは攻撃の迫力が今ひとつだった。フランスの2点とも見事だった。「ブラジル対ベルギー」は録画早送りでみた。ベルギーが強かった。

アルゼンチン、ブラジル、スペイン、ポルトガルは予選は足慣らしで、決勝トーナメントになって調子をあげるかと思ったが、結局敗退してしまった。ま、チーム作りが未完成、中心選手の疲労などで、あれが限界だったかもしれない。

予選リーグで強いなと思ったフランス、ベルギーが勝ち抜いて、準決勝で当たる。これが事実上の決勝戦だと思う。

日本の試合、なんかね、心置きなく応援できたのは日韓までだった。と言っても日韓は俊輔落選という棘が心に刺さってた。

ドイツW杯は選手は応援してたけど、ジーコには不信感があった。黄金世代の才能を無駄にしやがって。川淵くたばれ
南アフリW杯カは俊輔が不憫で盛り上がれなかった。ブラジルW杯は「学を出せ」としか思わなかった。本田主軸はケッ😫だし。

そして今回はマリノスからは誰も選ばれず。

なので不熱心な観戦ぶり。

ポーランド戦は、バイエルンオペラ「パルジファル」のネットラジオ中継があったので、それを聴いていて見なかった。ペトレンコ指揮、カウフマン、パーぺ、シュテンメ、ゲルハーヘル、コッホと豪華歌手陣、聴きたかったのよ。

で、友人からLINEで「つまらない試合」と送られてきたので、何かと思ったら、残り10分負けてるのに延々ボール回ししてたのね。結果セネガルに警告数の差(少ない)で上回り、ベスト16。勝つために仕方ない、或いは当然、との声が多い。そしてベルギー戦で、それなり頑張ったので、ボール回し問題は帳消しなったみたいね。

でもあれはFIFA憲章の「スポーツマンシップ」の問題だった。

勝つためだったら、スポーツマンシップなんかどうでも良いというのは、私は今の日本の空気そのものだなあと思ったよ。

ベルギー戦はその前のブラジル対メキシコを見てたので、眠くなり、見てなかった。それでも4時半頃かな?ふと目が覚めてネットを見たら、日本が追いつかれたところだった。。そこから日本が負けるまでをテレビで見た。

ま、実力通りの結果だ。でも原口、乾のシュートは見事だった。

10人相手の1勝、2敗1引き分けが本大会成績。

日本の4試合の感想は柴崎、大迫、乾、原口、昌子が素晴らしかった。彼らを中心に次の世代の代表チームを作り上げてほしい。

本田が引退とのことなので、これからは心置きなく代表を応援できるかもなぁ。

とにかく、マリノスの選手、代表選手になれよ!!
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