2018/7/18

空気2  映画

二兎社「空気2 誰も書いてはならぬ」を東京芸術劇場に見に行ってきた。

永井愛・作演出、出演:安田成美、松尾貴史、眞島秀和、馬渕英里何、柳下大

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客席の照明が消えると、国会記者会館屋上が現れる。

そこにフリーメディアの記者カメラマン井原が現れる。井原は国会記者会館から官邸前デモを撮影するために、本来、記者クラブに属さない記者は入れない記者会館にもぐりこんだのだ。

その後は記者クラブのコピー機に置き忘れられた総理記者会見の想定問答は誰が書いたのか、記者クラブと官邸の癒着ではないか、これを報道すべき、を巡って劇が展開していく。

そういう官僚の発言があったな(「録音の音声は自分の身体を通っての声と違って聞こえる」とか)とか、「すし郎」のもじりとか、読み仮名をつけなくてはならないとか、ここしばらくの政治ネタが次々出てくる。

観客席からも笑いが度々起きた。

私が一番ぐっと来たのは井原のせりふ

「デモに来る市民はどんなに警察の過剰警備があろうと、駅の入口を封鎖されようと、こうして自分の意志で集まってきているんですよ」

永井愛さんは官邸前抗議の現場に来ているんだろうなと思った。

「ザ・空気1」の時はニュース番組が政権の介入、圧力で報道できなくなり、男性キャスターはビルから飛び降りてしまう(重傷)。女性キャスター、ADは転向して出世、世の中は自由がなくなり独裁政権になっていく。重い内容だった。

こちらの最後は、井原の姿に少し希望が持てた。

キャスト、安田成美は華があるが、一本調子。彼女が二兎社の演劇に出演したのは何が理由なのかな。アイドル的女優さんでお笑いスターと結婚していて、それでこの問題作に出演するのは彼女の主張があるのか。

馬渕英里何さんはNHKのアベ番記者岩田明子をモデルにした(としか思えない)記者役。でも岩田ご本人より自分を客観視できる記者のようだった。

馬渕さんと言えば「白線流し」の高校生役。主役6人の一人だった。良い俳優さんになったなと思った。動きにキレがあってきれい。ヨガのインストラクター資格を持っていたり、東京マラソンを完走する(プログラムより)など、身体を鍛えているからかなと思った。

眞島秀和さんはテレビドラマなどでお見かけするが、あまりきちんと見たことがなかった。舞台俳優さんだったのね。見た目もよく、知的で、いかにもリベラル紙の記者風だった。記者としての良心と、会社の方針との板挟みの優柔不断さが似合っていた。

柳下大さんは演劇中心の俳優さんらしいが、真面目だけど上滑り、コミカルな演技で、とても上手でした。知らない若手俳優さんでも実力派がいるなあと思った。

(追記8/3 私が知らないだけで、柳下さんは売れてる俳優さんだった。テレビ、舞台で大活躍の方だった。NHKBSプレミアムの「ぶらり鉄道旅」の再放送を見てたら、柳下さんがレポーターだった)

何と言っても松尾貴史さん。テレビドラマで見ると、ちょっと知が立ちすぎて、その役の人というより「松尾貴史さんそのもの」という感じになってしまう気がするが、この役は貫録だった。いかにも大手新聞社古参記者という雰囲気はさすがよね。物まねをはじめとしてみんなを笑わせていた。

劇を楽しんで、笑ったりしたが、現実を見ると、笑ってはいられないなぁと思う。

それでも、この劇は初日から完売公演で、評判も良い。観客はこの劇の描くことをみんなよくわかっている。そのことに少し希望を見た。
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