2018/12/10

初回MET LV  音楽

ずっと楽しみにしていた、METライブビューイング「西部の娘」を見に行ってきた。

楽しみにし過ぎて、開演時間の30分前に着いた。

METのライブビューイングは久しぶりだ。東劇アンコール上映に行って以来だろうか。

だって、4年半ヨナス・カウフマンの出演がなかったから。

このblogでも何回か触れてる通り。

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METライブビューイングは本編が始まる前にMETの広告?をするんだけど、この広告に挿入されるオペラ画像がとてもいい。音楽が「ローエングリン」だし。

それと、ローレックスがクラシックを応援しているという企業広告もとてもよい。つまり、過去のヨナスさんの映像があるから。

このふたつのCMの中にMET「ウェルテル」「ワルキューレ」、ザルツブルグ「フィデリオ」、ロイヤルオペラ「アンドレア・シェニエ」「オテロ」があった。

追記:このオペラについては
「METライブビューイング/松竹」の演目紹介へ
https://www.shochiku.co.jp/met/program/854/
指揮:マルコ・アルミリアート、演出:ジャンカルロ・デル・モナコ
キャスト:ミニー=エヴァ・マリア・ウェストブルック、ディック・ジョンソン=ヨナス・カウフマン、ジャック・ランス=ジェリコ・ルチッチ、ニック=カルロ・ホージ、アシュビー=マシュー・ローズ



さて初回の横浜ブルグ、入りは100席の6〜7割、シルバー中心、女性が多い。平日の昼間だから、当然だ。

予告編がいつものようにあるのだけど、ディズニーの実写版「ダンボ」、アニメ「シュガーラッシュ」、「仮面ライダー」勢揃い、「ドラゴンボール」とかで、後ろの人が「観客層を考えない予告編ばかりだな」

さて、「西部の娘」、2013年ウィーン歌劇場「西部の娘」は何度も見返しているから、それとの対比ばかり頭に浮かんだ。

でも、「ウィーン」の方、第一幕はジョンソンが登場するまではほとんど飛ばしてみているから、今回最初からきちんと見て、なるほど、第一幕に伏線が沢山張ってあるのねということが分かった。

鉱夫たちの人物造形や人間関係、バーテンダーやミニーとの関係、それと彼らを取り巻く環境の苛酷さ。

(とはいえ、仕事の後、酒場に寄ってポーカーしたり歌ったり飲んだり語り合ったりする時間的余裕はあるのねぇ、今のブラック企業の方が辛いかもと思った)

そして、ミニーが読み聞かせる聖書の話。これ重要。

そしてミニーは、気丈だが、信心深く道徳的(「キスもしたことがなくダンスもしたこともない」)=題名が「娘」なんだね。

それがよりによってジョンソンに恋するとは。

そこがこのオペラの面白いところだと思うよ。ランスが「何故ミニーはあの男がいいのだろう」と嘆くところ、そこだよね。

初回はウィーンとの違いばかり目が行っていたので、そのことを書く。
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ミニーが登場する場面、エヴァさん、鉄砲をぶっ放す。皮の上着に皮の乗馬ズボン?かっこいい。思わず「カラミティ・ジェーン」という名前を思いうかべた。

ウィーンでのシュテンメさんは赤毛のショートカット、赤のチェックシャツにジーンズのつなぎ。エヴァさんの方が勇ましい。エヴァさん以前より痩せたから、衣装がよく似合ってた。

寝間着も、ウィーンはバスローブみたいでおばさんぽかった。METエヴァさんは白いネグリジェで乙女っぽかった。

演技も声も、エヴァさんがいい。細かい感情表現も見事だった。

保安官ランス役のルチッチさんもハマってた。苦労人で、町の顔役、ドスが効いてる。そしてミニーに「老いぼれ」と言われる年恰好だし、セクハラおやじだけど、どこか哀愁もある。

歌もさすがなんだけれど、歌で感情を細かく演技するというより歌い上げるタイプみたい。手を広げて、サビの部分はいつも同じ感じだ。もちろん歌い上げるから聴かせる。

ジョンソンが登場すると、ぱっとオペラらしくなる。ここから、ミニーとのやりとりは表情豊かでさすがですね。

もちろんウィーンのヨナスさんの方が5年分若くて細くてカッコイイ。この時のチェックシャツと茶色の革のベストと皮ズボン、ブーツも似合ってた。ウィーンの方が若々しく野性的だった。

一方METはもう少し世間慣れしてて、堂々としてた。悪の道に慣れている感じだった。

そして、ウィーンは最終場面の「小」悪党ぶり、ミニーに助けられた時しがみつくのはほんとカッコ悪かった←褒めてる。

バーテンダーのニックはMETのイタリア人歌手カルノ・ボージがよかった。ミニーの理解者保護者、恰幅が良くて包容力ありそう。イタリア語がスムーズだからイタリアオペラらしかった。

(12/21追記:ロイヤルオペラの「アンドレア・シェニエ」を見返していたら、「密偵役=カルロ・ホッジ」だった。え!!ニック役と全然雰囲気が違う。ロイヤルオペラの時も芸達者な歌手とは思っていたけど)

ソノーラもMETの方が背が高くて、精悍で炭鉱夫たちのリーダーっぽかった。心の広さと強さが併存してる感じが良かった。ウィーンの方は優しい人柄が出ていた。

ミニーの使用人はウィーンは若い女性、METはそれより年齢がいってる。METの方はコミカルで上手だったかな。

銀行の代理人アシュビー役はウィーンは年配の背広の金持ち風、METは体格の良い、炭鉱夫たちとあまり服装が変わらない人。ウィーンの方が3幕で「色男様」とからかうのは嫌味だったな。

舞台装置や登場人物、もMETの方がお金がかかってる。

第一幕の舞台は酒場だが、広さと奥行きがあって、ポスターや酒瓶なども作りこんである。登場する男たちも多すぎるくらい。アジア系もラテン系もアフリカ系も欧州系もいる。男声合唱は多人数で迫力。それでいて哀しい歌はしみじみ。

第3幕の町も建物が西部劇映画によく出てくる街並みが再現されている。ぼろいソファ、壊れかけの荷馬車もある。枯葉が舞ったり埃っぽい。よくできてる。
1幕から馬も2頭出てくる。

MET幕間インタビューでヨナスさんが「こちらはリアル」と言っていたが、確かに。ウィーンは最後気球で去っていくからね。でも、この気球はよく考えたよね。ファンタジーぽくてよかった。

音楽評論家・室田尚子さんの感想より

おそらく彼は「嬉々として」ディック・ジョンソンという人物を演じていたのではないだろうか。盗賊の親玉で情婦もいる悪人なのに、純粋な娘に一目惚れしてしまい、彼女の家にまで行ったのにキスひとつで帰ってしまおうとする。

あわや縛り首というところで彼女の懇願によって命を救われ、「みなさんありがとう」とか言って去っていく。はっきり言ってディック・ジョンソンは「情けない男」である。かっこいいのに情けない。カウフマンがこのタイプを歌うと最強に萌えるのは私だけだろうか。

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室田さんは「ららら♪クラシック」で「ドン・カルロ」の解説をやっててドン・カルロを「イケメンだけどヘタレ」と言ってた。こういうタイプが好きなのね。(使われたのはザルツブルグ音楽祭、カウフマン、ハルテロス、ハンプトン「ドンカルロ」)
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更に、



ははは。
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