2021/1/23

100分de名著の感想(1)  本・文学

「100分de名著 萩尾望都」を見た。録画して、2回くらい見た。

出席者は小谷真理(評論家)、ヤマザキマリ(漫画家)、中条省平(フランス文学者)、夢枕獏(小説家)、進行;カズレーサー、安部みちこアナウンサー

取り上げた作品
小谷氏:「トーマの心臓」、ヤマザキ氏「半神」・「イグアナの娘」、中条氏「バラバラ異界」、夢枕氏「ポーの一族」。

私が萩尾望都を知ったのは多分1971か1972年。まだ学生だった頃。

文学専攻の友人が「萩尾望都は水野英子の域に近づいてきた」と教えてくれたのだ。それまで私は集英社系の漫画雑誌しか読まず、水野英子「ファイヤー」ベルばら以前の池田理代子などを読んでいた。

萩尾望都や竹宮惠子は「少女ブック」だった。その時最初に読んだ作品は忘れたけど、「11月のギムナジウム」は印象に残った。

(ちなみに萩尾望都を紹介してくれた友人は(ルッキズムと言われそうだけど)美しい人で、前衛演劇にも関わっていた。友人でいることが嬉しくなるような人だった。今はどうしてらっしゃるかしら)

そして「トーマの心臓」。これには驚きましたね‼

番組の中でも「キリスト教神学」と指摘されていた。

この時期の少女漫画を最初に評価してくれたのは橋本治だ、と私は思っている。確か「ぱど」という雑誌だった。嬉しかった。
(このあたり、いつものように記憶で書いてるので誤りだったらごめんなさい」

そして「トーマの心臓」を漫画を遥かに超えた、文学、哲学、キリスト教神学にまで達していると評価した。

(以下、私の単なる感想で、ネタバレありです)

心を閉ざしたユーリ、「僕の翼をあげる」と自殺したトーマ。その死の意味を知った時ユーリは神学校へ行くことを決める。

番組で小谷さんは、ユーリは上級生から「魂の殺人」行為をされたと言う。私は当時この場面を遠藤周作「沈黙」のように、拷問の末「踏み絵」を踏むような神を冒涜する言葉や行為を強要されたと理解していた。

しかし小谷真理さんは、これは明らかに「性暴力」を受けた、と語った。

そうなのかー。当時、私は男性から男性への性暴力があるということを全く知らなかった。

だとしたら、その傷はとてつもなく深くユーリの心を苛み続けたろう。

自殺という大罪を犯してまでユーリを救おうとしたトーマの愛(番組ではアガペーと)。

ユーリはトーマの愛を受け入れてトーマと共に生きるために神学校に行くことを決めた、と番組では結んでいた。

私は当時、「『神を冒涜・否定した自分でも、神は許してくださる』と悟ったユーリが、『神とともにあろう』した」と「沈黙」の主人公の重ね合わせて理解した。トーマと共に生きる、とは考えなかった。

ところで、この漫画について、ヤマザキマリさんが「読んだ時『少年になりたい!』と思った」と言った。小谷さんも賛同。

萩尾望都さんが自身が少年を主人公にしたら「なんて自由なんだろう!」と驚いた、と。「少女の場合にはお転婆でも、乱暴な言葉でも必ず注釈を入れなくてはならなかった、でも少年はそのままでいいんです」

ヤマザキさんも小谷さんも「自由」と言った。少年を描くことは自由を手に入れることだった。

ヤマザキさん:「実際のギムナジウム」なんて言ったら、臭いし汚いし鼻毛も伸びてる、この萩尾さん世界はSFでありファンタジーだ、とも。

ファンタジーの世界で、女性漫画家たちは14歳の少年を描き、自由な表現を手に入れた、そして読者は自分の手にない「自由」を少女漫画で知ったのかもしれない。

と、これもまたジェンダー論だなと思った。
(続く)
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