2021/5/10

連休の過ごし方2  音楽

連休中は家ごもり。映画、オペラ、サッカーを見てた。

オペラはMETライブビューイング「アグリッピーナ」(WOWOW)だ。

ヘンデル作曲のバロックオペラ。これ、面白かったですねぇ!

アグリッピーナといえば、ネロの母、カリギュラの妹。

皇帝クラオディオの4番目の妻となり、連れ子のネロを皇帝にした。クラウディオ皇帝はアグリッピーナに暗殺されたと言われている。自身もネロに殺された。悪女の代名詞みたいな女性。

*キャスト
アグリッピーナ:ジョイド・ディドナード
ポッペア   :ブレンダ・レイ
ネローネ   :ケイト・リンジー
オットーネ  :イェスティン・デイーヴィーズ
クラウディオ :マシュー・ローズ

指揮 :ハリー・ビケット 
演出 :デイビット・マクヴィガー
*あらすじ
紀元1世紀のローマ帝国。皇帝クラウディオの妻アグリッピーナは、夫が遭難したとの知らせに、盲愛している連れ子のネローネを帝位につけようと企てる。だがクラウディオは武将オットーネに命を救われて帰還する。クラウディオはオットーネに帝位を約束するが、オットーネは帝位より美女ポッペアが欲しいとアグリッピーナに打ち明ける。しかし、クラウディオもまたポッペアに惹かれていた。アグリッピーナは一計を案じ…。
***
最初の場面は霊廟。キャストがそれぞれの名前の書かれた石棺の上にいる。そして動き出す。現代に蘇ったのだ。

これは歴史は繰り返す、という演出家からのメッセージだそうだ。

そして一際目立つ黄金の高い階段、てっぺんには玉座がある。この玉座を巡ってのオペラだ。

アグリッピーナはもちろん悪女だし、ネローネはタトゥーだらけ薬中の不良息子、家臣たちはオロオロウロウロ、皇帝はウドの大木。



頭を使ってるのはアグリッピーナとポッペア。

そして誠実な人間は軍人のオットーネだけ。オットーネはカウンターテナー歌手が歌うので、優しく繊細で、他の人間との人間性の違いが際立つ。

ポッペアのブレンダ・レイは3人の男から求愛されるだけの美しさと、肉感的魅力がある。METデビューとは思えない堂々とした演じぶり、歌いぶりだった。

ネローネのメゾソプラノ、ケイト・リンジーのイケメンぶりというか、細身で、短髪、顔の輪郭も鋭角的。グレてオラオラとばかりに歩き回る姿はイッちゃってるヤンキーそのもの。もともとズボン役が得意とのことだけど、この役作りには驚嘆。コカインを決める場面は客席から笑いが起きてた。

そして、体幹が強くて、ヨガをしながら歌うのも信じられない。身体を左手だけで支えて斜めの体勢でアリアを歌う。ビックリ。

女声はそれぞれの役にあった声質だが、特に画面を見てなくてもディドノードさんの声はわかる。深く豊かな厚みのある声だ。格が違う、と納得させてしまう。

インタビューの時は柔和な雰囲気なのに、役になると怖かった。でもあれほどの悪女役でも品があり、憎めない。

そしてベルカントの女王と紹介されてたけど、本当に超絶技巧で圧倒的迫力。あんな長い難しいアリア、どうして歌えるのだろう。オペラ歌手は超人だね。



クラウディオ役のローズさん、体格が良くて、どこかユーモラス。この方、「西部の娘」の銀行家役だったかな。あの時はもっと若くて頼りない感じがしたけど、今回は堂々としてた。

で、何よりヘンデルの音楽が、バロック!!

「水上の音楽」とか、ビバルディ「四季」みたいな音楽がずっと流れてる。これが気持ち良い。このオペラは権力争いのドロドロ、愛欲渦巻く世界なのだけど、なんかそれほど背徳的と感じないのは、音楽の効果なのかな。歌手たちのレベルの高さももちろんある。

このオペラ、3回も聴いてしまったのだけど、画面を見ないで、音楽を流しているだけでも良いのよ。

何幕目だったか、バーの場面でチェンバロ奏者が即興演奏するのも魅力的で、演出が冴えてると思った。

デイドナードさんが「最悪の人間性は、色気や美しい衣装や上品さに隠されている」と言ってたけど、いつの世もそうね。

醜い世界をブラックユーモアで包みつつ、美しい音楽と美術で見せてくれたオペラ。

堪能した。


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