2016/2/2

二兎社「書く女」  

世田谷パブリックシアターに二兎社公演「書く女」を見に行ってきた。

人気俳優の黒木華さんが樋口一葉を演じる。600席の劇場は満員。立ち見もいた。毎日当日券の争奪戦があるそうだ。

舞台装置は階段のみ、それとピアノが置いてある。これ、とても素敵だった。

黒木さんは若いのに、大女優のオーラ。きれいな声がよく通り、一葉の一途さと逞しさ(ふてぶてしさ)と哀れさ(貧乏・病気)を矛盾なく一身で表現していた。

彼女が最初から最後まで観客の視線を集め、この劇のすべてを引き受けていた。

一葉が貧困と闘いつつ、文学で身を立てようとするその悪戦苦闘。明治の世の中にあって、どれほどの苦難だったろうか。その上でのあの奇跡の作品群なのだ。

劇の中で、一葉の作品が次々出てくるが、覚えているのが「大つごもり」「十三夜」「にごりえ」それ以外は読んだはずなのに、あまり思い出せない。「たけくらべ」も読んだはずだが、結末までたどり着いた記憶がない。

なんか、私は半井桃水との淡い恋はあまり関心がなく、後半の斎藤緑雨との一葉論が一番面白く感じられた。

一葉がもう少し長生きして、言文一致の文章で、その後の日本社会や女性を描いたら、どんな作品になっていたろうか。ラストでそれに言及する場面がある。

若すぎるよ。

一葉の妹、友人達を演じる女優さんたちが生き生きしていた。着物の着方、身のこなしがきびきびと美しかった。

それに比べると男優たちがイマイチかな。生硬な印象だ。

この「書く女」は2006年、寺島しのぶ主演で上演された。それから10年。

当時は「日本の軍国化」や「中国韓国への侮蔑表現」も、もっと絵空事めいていたのではないか。もっと余裕を持って受け止められたと思う。今はあまりに直截的で、聞いていて辛い。

一葉の物語が、演劇らしく抽象化されているのに、時勢だけが具体的になっていて、そこが私には痛く感じられた。

「先見の明」のある戯曲と評価されるかもしれないが、今、永井愛さんが脚本を書くとしたら、もう少し、象徴的に書くのではないかと思った。

ところで、三軒茶屋にもキャロットタワーにも初めて行った。田園都市線も神奈川県は乗ったことがあるが、都内は初めてかな。渋谷からすごく近いのだと改めて知った。

三軒茶屋駅⇒キャロットタワー⇒パブリックシアターに行く道筋は分かりにくかった。初めての人にももっとわかりやすい案内表示にしてください。
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