2019/5/13

ワーグナーを聴きに  音楽

10日前に行くことに決めて、チケットを購入した。

新日本フィル特別演奏会〈横浜みなとみらいシリーズ〉第9回
指揮 上岡敏之

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ワーグナーアーベント

歌劇「タンホイザー」より「序曲とバッカナール」(パリ版)
楽劇「トリスタンとイゾルデ」より「前奏曲と愛の死」
楽劇「神々の黄昏」より第1幕「ジークフリートのラインへの旅」第3幕「ジークフリートの死と葬送行進曲」
舞台神聖祝典劇「パルジファル」より「第1幕 前奏曲と第3幕 フィナーレ」

客席は満席とはいかなかったが、まずまずの入り。ワーグナーなので、男性が多かったかな。

私の前には小学生。小学生でワーグナーを聴くというのは音楽一家なのだろうか。最後まできちんと姿勢を崩さず鑑賞していた。

ワーグナーと言えば、私は「タンホイザー序曲」くらいしか知らなかった。2015年6月までは。

あの、「ローエングリン第3幕への前奏曲」だって、2012年ドレスデン国立歌劇場管弦楽団(ティーレマン指揮)のアンコールで演奏された時、名前がぱっと浮かぶわけではなかった。

聴いたことがあるなとは思ったが、近くの若者たちが「ローエングリンだ!」と喜んでいたので分かったのだ。

というわけで、これらの曲、私が知った(聴いた)のはすべてヨナス・カウフマンさんのおかげです。

1曲目。このタンホイザー、大好きです。好きなメロディの箇所は、ジーンとしてしまう。
2曲目。愛の死。これ官能的ですよね。

音が小さめの時は、つまり楽器が数種類、あるいは弦だけ、木管だけの時はとても音が美しい。

だけど、全楽器が大きな音で混ざり合う時、ちょっと濁ってるかなと思った。もっとクリアーな音の方がいい。

そこはちょっと残念だった。

でも第1曲目からブラボーが出た。

指揮者上岡さんは小柄な方だった。でも大きく身体を動かして指揮する方で、膝をぐっと深く折って楽器に指示する姿はびっくりしてしまった。スクワットが軽く50〜100回くらいできるだろうと思ってしまった。

休憩後、神々の黄昏とパルジファル

「神々の黄昏」はオペラを見に行ったよ。でも「ジークフリートのラインへの旅」は場面は思い浮かぶのだが、曲の記憶がない。修業が足りない。

「ジークフリートの死と葬送行進曲」は、オペラの場面が思い浮かんだ。そして、ライトモティーフが演奏されると、「指環」の各場面が思い浮かんだ。長い旅を思って、何だか胸が詰まってしまった。

ヴァ―タン、ブリュンヒルデ、ジークモント、ジークリンデ、ジークフリート、ヒロインヒーローたちの物語を思い起こて、涙が出てきてしまった。

「パルジファル」。音楽が素晴らしいことは分かっていた。もう音に浸りましたね。

涙がぽろぽろこぼれて困ってしまった。初めてMET「パルジファル」」を聴いた時、宗教的、天上の音楽、と思った。本当にそうなのよね。

天上の音楽と言っても「天国」の天使がいっぱいいてラッパが鳴り響くようなのではなく、どこか半分眠っているような、漂うような感じ、「涅槃」の音楽?と思う。自分に一番古い記憶の、茫洋とした、心地よい、何かに包まれている感覚になる。陶酔のようで微妙に違う。

カウフマンさんがMET「パルジファル」をやった時、「オーケストラの団員の中にはナチスとのからみで、ワーグナーは嫌いと言っている人たちもいたが、練習していく中で、その音楽の美しさに魅せられてしまうんですよ」と言っていた(と思う)。

時々引用させてもらうウィーン在住の「はっぱさん」が「麻薬のような音楽」、「感情への語りかけがこんなに強い音楽って他に例を見ない」と書いていたが、まさに。

もう虜でしょう。

横浜の聴衆は音が消えても、指揮者が緊張を緩めるまでは、静寂を保ったまま、近くの人のおなかの「ぎゅるる」という音が聞こえるくらいだった。

拍手もフライングブラボーもなかった。つまり、それくらい皆集中して聴いていたし、音の余韻に浸っていたのだと思う。

お隣の方もしばらく立ち上がれない様子だった。そして私に「パルジファルは素晴らしかったですねぇ!」と感に堪えない表情で話した。「このオケ、こんなに成長しているとは、びっくりしました」と常連らしい感想もあった。

私はただ「泣いてしまいました」としか言えなかった。

ずっと音楽が身体中に会って、よその世界が入らない感じ、余韻に包まれっぱなし。そのまま日常に戻れない感じだった。

トイレで鏡をみると、目が泣きぬれていて、恥ずかしいレベル。
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帰り際にホール入口の写真を撮った。

後でレビューを読んだら、辛口のものもあった。「繊細さが足りない」とか。でも若い団員の多いオーケストラ、こんなに音楽に浸らせてくれてありがとう、しかない。

昨年夏、ミュンヘン歌劇場のペトレンコ指揮、カウフマン、パーペ、ゲルハーハ、シュテンメ、コッホという「パルジファル」はどんなに素晴らしかったのだろうか、と思わずにはいられない。聴きに行けた人羨ましすぎるよー。

もし今後日本で「パルジファル」が上演されることがあったら、絶対に行くよ〜!

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