2006/5/25

政治学入門  本・文学

「姜尚中の政治学入門」を読了した。電車で細切れに読んだので、前後のつながりがわからなくなったりした。

結局、印象に残るのが読み始めと終わりの部分ということになる。

読み始めの部分というのは「第1章アメリカ」。

「アメリカはじつに短期間のうちに、合理的かつ非人道的に先住民を殺戮していきました。これほどの人口規模の先住民のジェノサイドは歴史上ほとんど類例がありません。」「さらにくだって、1960年代のマーティン・ルーサー・キングやマルコスXを中心とした公民権運動やブラックパワーの台頭で可視化されるまで、あれほど苛酷な人種差別社会が、どうして温存されたままだったのでしょうか」「アメリカ建国以来の原理的な問題は、先住民の虐殺と人種差別という二つの『原罪』と、決して切り離してはならないと考えています」

「いわば、ヨーロッパ諸国が植民地に対して行使した暴力を国内に向け、それが先住民の虐殺と奴隷制度を生み出した、というわけです」。
こういう視点は初めて読んだ。

そして「第6章歴史認識」。私は、「新しい教科書を作る会」の活動は、戦前散々吹聴された歴史観、60年代林房雄「大東亜戦争肯定論」等の焼き直しで、全然「新しい」とは思わなかった。だが、姜さんは「ユートピアの終焉(冷戦の終焉)」が「歴史相対主義」その鬼子ともいうべき「歴史修正主義」を生み出したと言っている。「有史以来これほどまでに、歴史というものが、亀裂を対立をもたらした時代はありません。ユートピアの終焉とグローバル化の進展にともなう世界的な相互依存の強化によって、歴史認識問題は、今後ますます喫緊の関心事にならざるをえないでしょう」。つまり、「新しい教科書」は焼き直しではなく、世界史的な流れの中で出てきたということらしい。この論は少々意外だった。

そして最後は「第7章東北アジア」。地域統合の希望と危惧、そして姜さんの希望が語られる。

「東アジア共同体(東南アジア+日本・韓国・中国)にアメリカやロシアといった国々が間接的に組み込まれていくことになれば、そこには東北アジアの地域協力と東アジア共同体が部分的に重なり合いながら共存する重層的な地域統合が出現することになる」

この地域構想が挫折すると「新たな冷戦構造が生まれる」「日本は安全保障の面からも日米関係偏重になっていかざるを得ない」「この地域の不安定要因は政治的にも軍事的にも解消されることはなく、資源や領土問題をめぐって、破局的な衝突や地域紛争が勃発する可能性すら出てきます」

それでも姜さんは「東アジア共同体の虚妄に賭けたい」と言っている。私も同感。それ以外に道はないと思っている。
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