2019/7/7

「新聞記者」を見て来た  映画

「イオンシネマ港北ニュータウン」に「新聞記者」を見に行ってきた。

イオンシネマ港北ニュータウンは横浜市営地下鉄「センター北」駅近くのノースポート内にある。

この映画館にはできたばかりの頃、「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見に来た覚えがある。2007年頃だ。

今行ってみると、古びているなと思う。トイレは和式があったりする。

平日の午後、郊外のショッピングモールの映画館。しかし、ほぼ満席だった。びっくり。もちろんシルバー中心だ。

ストーリーは、
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新聞記者・吉岡のもとに大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。彼女は真相を究明すべく調査をはじめる。

一方、内閣情報調査室官僚・杉原は葛藤していた。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。
ある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。

真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。
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加計学園獣医学部新設問題、御用記者山口の性犯罪もみ消し事件、前川喜平さんを貶めるための読売新聞報道など、現実の事件を下敷きにしている。

映画では初めから、前川喜平さん、映画原案「新聞記者」著者・東京新聞望月衣塑子記者、新聞労連南彰記者、ジャーナリストのマーティン・ファクラーさんの討論番組が映し出されている。

映画の意志ははっきりしている。

見終わっての最初の感想は、「面白かった」、そして「よく作ったなぁ」

つまり、日本映画は面白くない、そして政権を批判するような映画は作れないという思い込みがあった。

でも、考えてみれば、これ本当におかしなことなのだ。ちょっと前まで、松本清張や山崎豊子さん原作の政界・財界舞台の映画は当たり前にあった。日本映画だって、硬派の作品で面白いものが沢山あったのだ。

こう「意外」と思うこと自体が、今の日本の現状そのものだ。

映画には政権そのもの、政治家の名前は出てこない。海外の作品を見慣れていると、この程度の内容で驚いたりしてはいけないのだと思う。

しかし、できない状況で、挑戦する人がなかなかいない状況で、とにもかくにもこの映画を作った人々に拍手を送りたいと思う。

それにしても、主役二人、素晴らしかった。

吉岡エリカ役のシム・ウンギョンさん。テレビドラマの子役や「サニー」「おかしな彼女」で、既に有名な韓国俳優さんだ。(私は初めてだが、夫は「サニー」と「新感染」で見ているという)。

その彼女が、父が日本人ジャーナリスト、母が韓国人で、ニューヨークで育ったという設定で、全編日本語で挑む。

すばらしい演技だった。佇まいが、今まで見たことがない。身体の向き、動き、猫背になるところ、こういう身体の動きをする日本人女優さんはいないのではなかろうか。

どなたかが、「『左右対称』が全くない。身体、動き、服の着方まで」と書いていた。そう思う。

劇作家・映画監督山内ケンジ氏
「最大の魅力は圧倒的にシム・ウンギョンである。彼女は号泣から悔し涙、不安の涙まで何種類もの涙を自在にコントロールする。(中略)110分の間、彼女のあの目に吸い寄せられることになる」

そう思います。彼女が号泣すると、自然にこちらももらい泣きしてしまう。表情から目が離せない。

そして松坂桃李さん。彼もこういう実力派だったと初めて知った。妻を抱きしめながら泣くシーンは胸が締め付けられた。ラストに近いシーン。彼の茫然とした表情、こういう演技のできる人なんだなぁ。

(そういえば、松坂君は「パディントン」役の吹替えだった。とても上手だったと聞いた)

そして、歩く姿が、エキストラの中にいてスター俳優らしいオーラを放っていた。スッと目をひきつけられてしまうのだ。こういうの大事だと思う。

もちろん、田中哲司さん、北村由起哉さん、高橋和也さん、脇役がみな見事。田中さんの冷徹、北村さんの包容力、高橋さんの人柄の良さ、演技と言うよりにじみ出ていた。

高橋和也さんはジャニーズの「男闘呼組」メンバーだったが、いい味の俳優さんになったね。

同僚記者役の岡山天音さん、NHK渡辺あやさんの「ワンダーウォール」(京大の吉田寮を舞台にしたドラマ)で、信念を持った好青年を演じていて、印象的だった。

脚本は、政治的であるが、エンタメとしてもよくできていて、ハラハラドキドキ終盤に向けて盛り上げる。ラストシーンは観客にゆだねられている。

そうねぇ、気になったのは、どなたかが言っていたが、この映画の妻たち、昭和の妻だ、と。

夫は仕事一筋、家庭は二の次、家庭を守る従順で健気な妻。共に戦うパートナーではない。西田尚美の無駄使いとまで言われていた。

そうなんだよね。一方で、官僚の妻って、こんなものかな、と思ったりもした。

田中哲司さんの内閣調査室の官僚、できる男。夫は内調の官僚をかっこよく描き過ぎと文句を言ってた。もっとドジでズサンだ、と。

(内調ではないが、京大の吉田寮を捜索したり、常岡浩介さんを家宅捜索をした公安警察は予算獲得のための意味のない活動をしてる・無能と=常岡さんの講演から)

映画が終わって、出口に向かう時、女性グループの人たちが感想を言うのが聞こえた。「ウンギョンさん、面影があったわね」。

韓流ドラマファンかな、子役時代の彼女を知っているのかなと思った。

また、「あんなこと本当にあるの?」と連れの人に聴いている人がいた。即、「あるのよ!」と聞かれた人は答えていた。

この映画、テレビではほとんど宣伝されていないのに、興行収入が10位とか、1億円とか。映画館も満席が続いている。

こういう映画は、実は観客に求められていたのではないか。

もっと日本の映画界は現実に切り込むべきだと思う。

今の日本を描いたものとして、「万引き家族」がある。でも、この「新聞記者」の方が好きだ。

ジャンルが違うと言えばそうなんだけれど、「万引き」に描かれる女性像は好きじゃない。

吉岡エリカが働く女性で、仕事を描く作品だったのがよい。そして、色恋沙汰がない。
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本当はもっと新聞社に女性記者がいるとよいのにね。
 そうそう、今の閉塞状況を描く作品と言えば、演劇だけど、二兎社「空気」シリーズがある。

「ザ・空気」は田中哲司さん主演だった。田中さん主演で「ザ・空気」を映画にすればよいのに、と思った。

とにかく、日本映画に関わるプロデューサー、脚本家、監督、撮影、音楽、俳優さん達、この作品のヒットに自信と勇気を得て、どんどん問題作を作ってください。期待してます。

そしてもっともっと多くの人たちに「新聞記者」を見ていただきたいと思う。

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2019/6/28

ジャック&ベティ(2)  映画

4月中旬、話題の「金子文子と朴烈」@「ジャック&ベティ」見に行ってきた。

この映画は感想を書くのが難しく、2か月くらい放りっぱなしだった。

行った頃の風景。大岡川の桜はもう終わり。
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朴烈と金子文子は天皇(皇太子)を爆弾で暗殺することを計画(夢想)し大逆罪で死刑判決を受けた。幸徳秋水らの大逆事件はどの教科書に載っているのにこの二人は黙殺されている。もちろん、二つの事件とも冤罪、でっち上げだ。

朴烈と文子はその後恩赦によって無期懲役になるが、文子は獄中自殺を遂げる。

「金子文子」については今から40数年前、著書「何がわたしをこうさせたか」を友人からもらいうけて読んだ。もちろん瀬戸内寂聴の「余白の春」も読んだ。

さらに私の大切な本、筑摩「文学の森」の中の一つ「幼かりし日々」に金子文子のこの著書の中から短い文章が掲載されている。(この本は私の好きな文章が沢山載っている。とっても大切な大切な本)。

金子文子は父が出生届を出さず、無籍者だった。複雑で暴力的な家庭で育ち、学校にも行けなかった。「親に捨てられた」という状況だった。この中で、彼女はどのようにして、言葉や思想を獲得していったのだろうか。彼女の「何がわたしをこうさせたか」は素晴らしい文学だと思う。瀬戸内寂聴の本より、こちらを読むべき。

この映画は感想をまとめにくい。

この映画が韓国で、しかもほとんど日本語で作られ、ヒットしたことをただただ尊敬する。
(日本では絶対に作られないだろう)

主役の二人、金子文子を演じたチェ・ヒソ、朴烈を演じたイ・ジェフンが見事。あの時代の青春、彼らの闘いを鮮烈に見せてくれた。

金子文子の気が強くて、跳ねるような元気さと誇り高さ、愛らしさ、揺るがない思想、とても魅力的だ。朴烈の破天荒、野性児のような振舞い、人を食った行動、よく動く表情、これまた生き生きとして惹きつけられる。

当時、朝鮮人がどれだけ差別されていたか、冒頭から強烈に見せられる。関東大震災時の朝鮮人虐殺も描かれている。

彼らは韓国独立のその先の民衆の平等、解放を見ている。アナキストだ。

今はもう振り向かれない共産主義、無政府主義思想はあの帝国主義の時代、虐げられる植民地の民衆、農民・労働者にとって、理想だった。

差別する日本人も、彼らと交流する日本人も公平に描かれる。取り調べの検事、看守も彼らへの偏見を徐々になくしていく。彼らのために尽力する弁護士もいる。

私が持っていた「何がわたしをこうさせたか」の本には「例の二人の写真」が載っていた。世間を騒がせた写真だった。この写真について、当時の女性たちの意見も載っていた。

うろ覚えだが、多くの社会活動家の女性たちは「ふしだら」「この人たちと私とは違う」とあったが、高群逸枝だけが「なんとあどけない写真でしょう。かわいそうに」と書いていた。強く印象に残っている。

この写真についても映画でそのいきさつが描かれている。

この写真撮影を許可したのは立松懐清判事だ。演じているキム・ジュンハンは日本語も違和感なく、知的で、段々朴烈と金子文子に同情していく心情をごく自然に表現してしていた。この立松判事について、次のようなtweetを読んだ。



(本田とはジャーナリスト本田靖春氏の事だ)。

それにしても朴烈は1926〜1945年までずっと獄中にいたのだ。長い年月だ。
(今wikipedeaで確認したら、途中転向し、出獄後は反共主義者になり、のち北朝鮮に捉えられて処刑されたとある。)

この映画、権力側はやや戯画化されている。分かりやすい映画にするためだったとは思うが、不自然でこれはやや残念。

もう上映している映画館はないと思うが、DVDでも、上映会でもよいので、多くの日本人に見てもらいたいと思っている。

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2019/6/27

ジャック&ベティ(1)  映画

話題の「主戦場」をジャック&ベティに観に行ってきた。

連日満席と聞いていたので、40分前には着いていた。整理券をもらって、隣のカフェで時間つぶし。

平日の午後とあって、やはりシルバー層中心だ。テーマは「従軍慰安婦の何が真実なのか」。監督は日系アメリカ人ミキ・デサキさん。

一番の感想は、構成の巧みさだ。分かりやすく、飽きさせず、段々に盛り上げていって最後に大物と重い発言を出す。

従軍慰安婦は「売春婦」として「少女像」設置に反対するいわゆる右翼の人々と、従軍慰安婦は「性奴隷」であったと戦時性暴力問題を考える人権派の人々の主張を交互に見せていく。

あの杉田水脈、テキサツ親父、藤木なんとか、ケント・ギルバード=歴史修正主義者、が嬉々として持論を語る。それが次々事実を持って覆される。

戦時性暴力を問題とする人々は言葉を選び、誠実に話す。右翼チックな人々の軽薄な言葉と表情との対比。

そして、最後になると、この歴史修正主義の活動から離れた女性(桜井よしこの後継者とみなされていた女性)がその理由を語る、そしてラスボス、大物の加瀬英明登場。これが皆さんの言う通り、ずっこけなのだ。

95歳の元兵士が語る、戦場の日本兵。彼が最後に「戦前は女性に人格が認められていなかった。同じ人間と思っていなかった」。

そう。そういうこと。

これが今の日本の女性の地位の低さにつながっている。

この言葉を最後にもってくるのも重い。

少女像は日本軍の悪行を広めるためではなく(それはどうしても入るが)、もっと広く女性の権利、戦時性暴力をなくすためのシンボルなのだ。

この歴史修正主義者と闘う人たち、教科書の俵義文さんや、従軍慰安婦研究者の吉見義明さん、林博史さん、朝日新聞記者植村隆さん、渡辺美奈さnなど、私もよくお名前を見る方々も出ている。

だから、この方々が主張していることは、ずっと前から知られていることなのだ。

しかし、マスメディアや書店などでは桜井、ケント、などのでたらめばかりの主張が繰り広げられている。BSの番組には桜井がもっともらしい顔で出演しているし、ケントの本はベストセラーだ。書店には嫌韓本が並ぶ。YAHOOニュースにはいつも韓国を貶めるニュースや評論が載っている。

そういう意味で、この二つの主張をぶつけて、映像でわかりやすく見せたこの映画は意味があったと思う。

桜井、杉田、ケントらの主張が荒唐無稽で、研究者たちの主張が事実に基づくものだと明らかにして見せた。そして、テキサス親父や藤木俊一らが救いようのない女性差別主義者、レイシストだということも。

その他、中野晃一さんが出るのは分かるが、小林節まで出てきたのはちょっと驚いたな。

それにしても日本はカルトに乗っ取られてしまったのだと本当に絶望的な気持ちになる。だって、歴史修正主義者の親玉はアベなんだもの。

横浜市では元教育委員長がこの手の人間(日本会議カルト)で、育鵬者の教科書を採用している。異常なことだ。

この日本会議カルトは日本は制圧したから、アメリカへ出て行ったんでしょ。

この少女像設置の件では外務省も直に動いているというのだから、想像を超えている。

彼らの、従軍慰安婦は売春婦で大儲けをしたという主張は事実とも違うし、こんな主張は世界の中で批判、非難されるのは当然だ。

少女像設置されるグレンデール市の市議が「shame on you」と4回繰り返した。

まさに私も歴史修正主義者に言いたいのは「恥を知れ」のみ。
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2019/4/2

女性激励映画  映画

久しぶりに映画を見に行った。二つとも女性を力づける映画だ。

「キャプテン・マーベル」。娘たちが見に行って「エンパワー」されたと言っていた。

キャプテンマーベルは「アベンジャーズ」の前日譚ということのようだ。
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 記憶を失ったヒーロー、キャプテン・マーベル。
彼女の過去に隠された “秘密”が、恐るべき戦いの引き金となってしまう。
自在に姿を変える正体不明の敵に狙われ、孤独や不安に打ちのめされても、
彼女は不屈の精神で何度も立ち上がる。
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女性への呪いの言葉、「感情をコントロールしろ」、それは「怒りを抑え込め」ということ。

彼女は女性であるがゆえに可能性を否定され、否定されるには理由があるのだと教え込まれてきた。しかし、その罠、その檻、に彼女は気づいていく。彼女が怒りをストレートに表出した時、彼女は力を得るのだ。

映画はアクション映画らしく大味だが、娯楽映画なのでハラハラドキドキ、拍手喝采、スッキリだった。ジュード・ロウが彼でしかできない役だった。

私はアベンジャーズシリーズは何も見ていないのだが、楽しめた。ずっとシリーズを見て来た人はいろんな伏線がわかって、面白かったのだろうな。

もう一つは「ビリーブ 未来への大逆転」。変な邦題。原題は「On the Basis of Sex」。性に基づく差別(女性差別)の話。

85歳の現役最高裁判事ルース・ベター・ギンズバーグの半生を描く。

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この邦題「ビリーブ」は、NASAで重要な役目を果たした黒人女性たちを描いた映画「ドリーム」(HIDDEN FIGURES)と同じようにカタカナ4文字にしたかったのだろうな。

また「サフラジェット」が「未来を花束にして」という邦題になったから「未来」を入れたのかも。「肯定と否定」も原題はDanialだったのに、両論併記のような邦題になった。

本当に変だよ。

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時は1970年代、アメリカ。女性が職に就くのが難しく、自分の名前でクレジットカードさえ作れなかった時代に、弁護士ルース・ベンダー・ギンズバーグ(RBG)が勝利した、史上初の〈男女平等〉裁判。なぜ、彼女は法の専門家たちに〈100%負ける〉と断言された上訴に踏み切ったのか?そして、どうやって〈大逆転〉を成し遂げたのか?
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映画は裁判劇なので、その辺は「肯定と否定」と同じようにハラハラさせる。俳優さんたちがとても良かった。そして、70年代がほんとに70年代に描かれていて、この辺の美術撮影衣装は見事よね。

とにかくスーパーウーマン。

子ども一人いてハーバード大学法科大学院500名のうちの9人の女子学生として入学。夫は同じ法科大学院だが癌に倒れ、その看病と子育てをしつつ、夫の分も授業を受けてノートを取って支える。法科大学院でもトップの成績だ。

―どうしてそのようなことが可能なのだろう!!―

夫の就職に伴いニューヨークに移りコロンビア大学へ。そこを首席卒業する。子どもは二人になっている。

しかし、彼女は13の法律事務所を受けてもどこにも採用されなかった。最後の面接ではさんざん理解あるようなことを言った挙句

「うちの事務所で女性を雇うと妻が嫉妬するのでね」

これ、すごく卑怯。女同士の争いに理由を転嫁して、自分たちの差別を巧妙に言い逃れる。腹がたつ〜!!

それまで「スーパーウーマン」の話はちょっと抵抗あるなぁと思って見ていたが、この辺から、彼女に感情移入し始めた。

こんな最優秀な女性ですら、こういう壁に阻まれたのだ。

そして彼女は闘い続けたのだ!!困難な闘いだった。

黒人差別や徴兵制など人権にこだわる男性弁護士ですら、女性差別は大きな問題とは思わなかった。

彼女は大学教授となり、法曹界で働く女性たちを育てていた。「私は弁護士になりたかった!」と彼女が叫ぶ場面にはぐっときた。そうだよねぇ。

その後、裁判で彼女に向けられる女性差別の言葉のいちいち、全部私も受けた言葉だった。

判事たちからは男性弁護士には決して発せられない軽侮の言葉がかけられる。軽蔑の表情(ニヤニヤ)がある。「女性は家庭に生きるよう作られている」「女性を守るための法律だ」

映画のクライマックス。「彼女の5分32秒にわたる『おそらくアメリカの映画史上一番長い女性によるスピーチのシーン』」は素晴らしかった。

彼女の闘いは、将来の女性たちの為でもあった。

そもそも彼女が法廷で弁論に立ったこと自体が、何度も負け続けた女性の権利獲得のための裁判、訴えた女性たち、弁護士たちが切り開いたものでもあった。

この場面には心が熱くならざるを得ない。

宣伝で一つ気に入らないのは「夫が彼女を支えた」という点が強調され過ぎること。彼女の才能、彼女の闘いの意義、そして夫の癌闘病を支えたこと、共働きと言うことを考えれば、これくらい当たり前のことじゃないか。

もちろん、映画は自然なこととして描いているのに、宣伝がね、嫌だった。

抜きん出た人たちの闘いがあって、今の私たちだということを改めて感じた。

キャプテン・マーベルだって抜きん出た特殊能力、RBGだって抜きん出た能力、平凡な女には関係ないじゃん、と思いそうだったが、そうじゃなかった。自分のため、そして私たち、私たちの子ども孫世代のために戦っているのだ。

サフラジェエット(未来を花束にして)は下層女性の闘いで、最初から感情移入して見たけれど、この映画もまた、同じように感情移入して見ることができた。

日本ではなかなかこういう映画が作られないね。朝ドラはこういう試みをしてきたが、最近はダメになった。一番人気が「びっくりポン(朝が来た)」じゃ、ひっくりかえっちゃうわ。

とにかく、日本が安倍政権になってから、何周も世界から遅れてしまったことも痛感した映画であった。

この後、「RBG」というルイス・ベーダ―・ギンズバーグのドキュメンタリー映画も公開されるそうなので、見る機会があれば見たいと思う。
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2019/2/27

アカデミー賞  映画

WOWOWで中継するので、授賞式を朝から見ていた。

レッドカーペットで一番注目を集めたのは、


このドレス、クリスチャン・シリアノのデザイン。クリスチャンって、WOWOW「プロジェクトランウェイ」初期、圧倒的なファッションセンスと技術で、一番記憶に残っている人。ほかの誰も覚えていないが彼だけは覚えている。天才。どんな課題でも、誰より早く仕上げて、上品でゴージャス、美しい服を作っていた。あ〜、審査員も視聴者もみんな嬉しいよね。才能を発揮している、もっともっと大きくなってる。

「追悼」では橋本忍さんと高畑勲さんが多くの映画人とともに追悼されていた。誇らしい。アルバート・フィニーも昨年だったね。

さて、今回、一番驚いたのはオリヴィア・コールマン。名前が呼ばれた時、ぎゃー!って言ってしまったよ。BBCジャパンの加藤祐子さんが、ジュデイ・デンチ、マーク・ライランスのようにイギリス俳優があっという間ににオスカーをさらっていくのでは?と言っていたけどまさにそうだった。

加藤さん曰く「イギリスの大竹しのぶ」だって。私はテレビドラマの「ブロードチャーチ」しか見てない。その作品でも女優賞を取った。

ラミー・マレック、ガガ、短編ドキュメンタリー賞関係者のスピーチが良かった。語るべき言葉を持っている人たちだ。

作品賞の「グリーンブック」はいろいろ批判があるようだ。確かにステージに上がった大部分が白人男性だった。そういうことね。スパイク・リー監督がけちょんけちょんに言ってた。

ま、今年は司会者がいなくてどうなるかと思ったが、うまくまとめたのではないかな。メリル・ストリーブがいないし、いわゆるハリウッドスターもいなくて、時代が変わったという気もした。

これからしばらく今年のアカデミー受賞作を見に行くことのなるなぁ。

ところで、アカデミー賞を見ながら、時々国会中継も見た。そしてずっと家にいるなら、とバターロール作りを始めてしまった。ホームベーカリーがあるので粉を練ったり、一次発酵までは機械はしてくれる。そのあとは手作業。

ま、材料が良いので食べれば美味しいが、柔らかだが足りなかった。なんか全部中途半端だった。
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2018/11/23

ボヘミアンラプソディ見て来た  映画

話題の映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見て来た。

評判通り、良かったぁ。

とにかくQUEENの音楽でしょ。音楽の素晴らしさが心揺さぶる。

どなたかが「よく料理人なんかが『うまい料理は素材が決め手、本当にうまいものは塩だけでうまい』というが、まさにそういう映画だ」と言ってた。

ドラマ部分はまぁ普通。

全米ツァーで留守宅の妻が寂しそうな場面は「ジャージーボーイ」を思い起こさせた。そう、「ジャージーボーイ」と同じように、グループの成功と仲間との亀裂、家族の問題があり、普遍的な物語なのかと思った。

でも大きく違うのはフレディの境遇。インド人(パキ野郎と罵られた)、ゲイ(メディアにしつこくセクシャリティを問われる)であること。マイノリティだ。そしてエイズ。

彼の孤独は映画でも切なく描かれる。

だからこそ、あのライブシーンが感動的なのだ。

フレディの声、表現力、作詞作曲の才能、それと彼の境遇があの音楽を作りだしたのだと思う。

仲間との友情も、反発も描かれている。メアリとの不思議なつながり、彼はメアリに何を求めたのだろう?



しかしまぁ俳優って偉いねぇ。よくあそこまで演じ切れたなぁと感動する。


↑↑ 俳優ラミ・マリックがフレディ・マーキュリーになるまで。

他の俳優さんたちも、顔や体型もそっくりだし、ギターやドラムも実際の映像みたい。
本当に大したものだと感心した。

ジョン役は「ジュラシック・パーク」のラプトルに追いかけられる少年役の人なんだね。大きくなったね。あの映画もそんな前なのか。

マイク・マイヤーズやアラン・リーチが出ている。マイク・マイヤーズはあらかじめ聞いてなければわからなかった。アラン・リーチはキャスト表を見てもしばらく気が付かなかった。弁護士役も見たことがあるなと思っていたら「プライドと偏見」(エリザベスに求婚する従兄弟の牧師)「パイレーツオブカビリアン」に出ていたトム・ホランダーだとのこと。
 
フレディはインテリで、音楽や美術にも通じていたという。長年彼らを支えた弁護士が最初に彼らを評価するのは「オペラ」の話が出た時から。

フレディの家ではオペラのアリアが流れている。「蝶々夫人」「カルメン」はわかったけど(誰でもわかる)最後の曲がわからなかった。誰か教えてm(__)m

追記:侘助さんのtweet



QUEENのメンバーはみんなインテリだったという。ネットでいろいろな人がQUEENのことを教えてくれる。勉強になります。

QUEENの伝説的な「ライブ・エイド」は1985年。私が子育てで一番てんやわんやしていた時だから、全く話題の外。QUEENファンは私よりも若い世代だと思う。

しかーし、私の妹は「QUEENの来日公演」に行っているのだ!!今回映画を見て一番に思ったことが「妹が今更ながら羨ましい過ぎるー」だった。

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2018/9/10

1987、ある闘いの真実  映画

韓国・光州事件を描いた「タクシー運転手」を見逃してしまった。

だから、「1987年ある闘いの真実」が公開された、素晴らしいと聞いて絶対に行くぞ!と思った。

しかも横浜駅近くの「ムービル」で上映するではないか。

なので、行ってきた。
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これ、映画ファンの方が「韓国すげぇー」と感想を言っていたが、まさにまさに。

「全斗煥政権下ソウル大学生の拷問死を警察は隠蔽しようとするが、検事、新聞記者、医師、刑務所看守らは、真実を公表するべく奔走する。また、殺された大学生の仲間たちも立ち上がり、事態は韓国全土を巻き込む民主化闘争へと展開していく」

実話を元にした映画。

「韓国すげぇ」とは、

まず、映画として「すげぇ」
フィルムノワールのような強面男たちの暴力、脅迫、威圧、ハラハラドキドキ、サスペンス仕立て。

悪の権化のような治安本部のボスにもその背景があること。

そして家族愛。ソウル大生の母親の嘆き・号泣もそうだが、遺灰を川へ流す時の父親の慟哭の痛切さ。涙なくして見られない。

(追記:ソウル大生の墓が聖地となることを怖れた権力によって墓に埋葬できず散骨させられたとのこと)

更に人としての誇り。検事や看守の職業の誇り。「ペンタゴンペーパーズ」や「スポットライト」にも通じるメディアの矜持、使命感。

淡い初恋。

これらを一篇の映画に盛り込んで、社会性とエンタメを見事に両立している。

俳優さんが「すげぇ」

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「小沢一郎と梅宮辰夫を合わせたような」パク所長を演じたキム・ユンソク。存在感ありまくり。冷血のようで部下を庇う時は庇う、残酷の裏にある心の傷。見事でした。

チェ検事(ハ・ジョンク)。エリートのはずなのにどこかタガが外れている。はみ出し者のようでいて職務に忠実、パク所長を怖れない。変わった人物を魅力的に演じた。

看守長、平凡な官吏のようでいて、気骨がある。看守(ユ・ヘジン)、家族を愛し、職を遂行しながら、ひそかに活動をしている。こういう平凡な一般人そのものなのに芯の通った人物であることを納得させる演技

拷問死の罪を一身に背負わされる刑事(パク・ヒスン)。国を信じる心(愛国)、職務に忠実であろうとするが、良心の呵責、政権への幻滅に向き合う。にもかかわらず権力に屈服させられる屈辱無力感、それでもなお、と揺れる心情表現は素晴らしかった。

指名手配中の民主活動家キム・ジョンナム(ソル・ギョング)。ちらっとしか映らなくてもオーラがあって、只者ではないと感じさせる。さすが名優。

若者二人、カン・ドンウォンとキム・テリ。気恥ずかしいような場面もあるけれど、美しい二人であるからこそ、映画のテーマがより浮き彫りになったと思う。

そして韓国社会に「すげぇ」

徹底した「赤狩り」と「拷問」。懐柔と脅迫、家族愛を逆手にとっての拷問はひどいけど、そういうことをしたのだろうなぁ。軍事独裁国。悪い意味で凄いと思った。

それにもかかわらず、抵抗する社会各層の人々の良心。検事や医師、できる範囲で自らの職業倫理に忠実であろうとする。民主闘争を命がけで行う人々、民主活動家、宗教家、学生。それらの人々に敬意を持つ市井の人々。

少しの勇気や良心が合わさって大きな民衆運動になって行く。

もちろん、無関心、無気力、積極的に政権を支持する人もいただろう。

それでも不正義に立ち上がる人々、民主主義を実現しようとする人々、ここが韓国の凄さだと思う。

デモの場面は感動。この力で100万人のキャンドルデモがあり、パククネを退陣に追い込んだのだ。

映画を見ながら、日本のことを考えずにはいられなかった。韓国のように軍部がクーデターを起こす国ではない、分断国家ではない、思想を理由の拷問はない、

しかし、良心を貫く官僚は?メディアは?

緩い柔らかいファシズムに取り込まれているのではないか。改めて、日本の今を考え、こんなでたらめ政権に負けてはいけないと思った。

(追記:荻上チキsession21で韓国研究者の話では、亡くなった遺族はその後も監視され、社会からも距離を置かれて非常に苦労されたとのことだ。
また、好意的に描かれた看守たちについても、この看守たちに暴力を受けた政治犯たちもいて、未だに彼らを許していないそうだ)。

神奈川ではムービル、横浜シネマリン2館の上映。もっと観客動員が増えれば上映館も増えるだろう。ぜひ見に行ってください。

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