2020/2/3

映画2本  映画

最近映画を2本見た。韓国映画と台湾アニメ。

韓国映画は話題の「パラサイト」。

ヘビーな映画だった。ジェットコースタームービー、笑えて、怖くて、なるほどーと唸る。これテレビで放送していたら、ハラハラして見られなくなり、チャンネルを替えると思う。

社会派ではあるけど、それ以上にエンタメ映画だと思った。

伏線がいろいろあって、ちゃんと回収される。あの言葉はここで生きるのね、と思ったり。

半地下の家と豪邸、下層と上層市民の発想や立居振舞い、服装や言葉まで作りこまれている。上層市民が悪い人ではなくて、簡単に人を信じ、人にやさしい。それでいながら、簡単に人を首にしてしまうのは恵まれた人の無邪気さかもね、とここも脚本の巧さに感心する。

「匂い」の問題も。

それと家族のつながりの深さ、一致団結力、これはびっくりするね。子ども達は親に反抗しないで助け合う。韓国映画は「家族」を描くというのはここでも発揮される。

そして、俳優がとにかく皆素晴らしい。韓国俳優はソン・ガンホに限らず、若手まで皆、演技がうますぎるよ。びっくりだ。

アカデミー賞も取ってもらいたいが、作品賞はあの保守的なアカデミー会員があげないようなきがする。監督賞とか脚本賞かな。

この映画を好きかと言われると、私はあんまり好きではないです。

昨日観に行ったのは「幸福路のチー」。横浜ジャック&ベティで上映しているので、見ることができた。劇場の入りは7〜8割かな。子どもさんもいた。吹替えなのだ。

アニメと言うと「アナ雪」「トイストーリー」のようなCGの精密なものが多くなったけれど、これはいわゆるアニメです。

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台湾映画は私はあまり見たことがなくて、候孝賢の「百年之恋」だけだ。まして台湾のアニメは初めて。

映画はちょっとわかりにくくて、過去と現在が行ったり来たりするし、現実と空想が自由に入れ替わる。だから、完全に咀嚼・消化しきれてない。

幸福路に生まれたチーが成長していく物語。自分の生き方を探して迷って、挫折して、そして新たな生き方を見つけるまで。それは家族の話でもあった。

そして、「トトロ」のようだな、「ちびまるこちゃん」のようだな、と思ったり。1975年生まれの女性の、迷いながらの生き方だから「82年生まれ キム・ジヨン」のようだなと思ったり。

でもフェミニズムの映画ではない。そういう差別への怒りはない。そもそも男性はあんまり出てこない。父親(良い人だが甲斐性なし)、従兄弟(彼は政治的迫害を受ける)、夫(あまり掘り下げて描かれていない)、幼馴染の男たち。

ガールズムービーといえばそうだ。

人物はほとんど女性。祖母、母、親戚の女性、近所の女性、幼馴染、親友の家族(男はいない)、教師、高校大学の同級生、皆、女性たちだ。

アジアの家族と言うと家父長制だが、なんか、ここに出てくる家族は古来の母系女系社会のようだった。

一人娘に教育を与えたい、良い学校に入れたい、というのは戦後家族の在り方としてアジア共通なのかな。

そして、チーの成長は台湾の政治情勢とも密接に関係して描かれている。アメリカの影も色濃い。日本は「ガッチャマン」くらいかな。

そして、一番の感想。私はあの「祖母」のような存在でありたいなぁ、ということ。孫たちにとってああいう祖母になれたらいいなぁ、無理なんだけれど。

最近日本のアニメにはこういう視点のものがあるのか?と思った。知ってるのは女子高生、ファンタジー、SFっぽいもの、子ども向け(どらえもんとかポケモン、クレヨンしんちゃん等)だけだ。日本はここでもアジアの各国から置いて行かれてるのではないか。

「パラサイト」は大ヒットしているので、見る方も多いと思う。「幸福路のチー」はなかなか見るチャンスがないとは思うが、ぜひ見てもらいたい。

友人の一人が台湾旅行をして「台湾は植民地だったから日本語のわかる人がいて、親日的だった」みたいな感想を言うのだけど、そういう表面的で都合のいい見方は、そろそろやめよう。

複雑な台湾の社会、歴史についてもっと知らなくてはいけないなと思う。
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2020/1/19

ドキュメンタリーを見た  映画

アマゾンプライムがテレビで見られるようになってから、ついつい映画やドラマで時間をつぶしてしまう。

先日は「ダンサー セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」を見た。

1989年ウクライナ生まれ、2007年で英ロイヤルバレエ学校を卒業、19歳で史上最年少プリンシパルになった。

バレエ学校でのレッスンを見ると、その才能は群を抜いているのが私が見てもわかる。「格が違う」とスタッフがいい、同級生もみな「彼は違う」と認めている。

回転なんか他の人より1回転くらい余分にしてしまう。ジャンプも高いし、ただ飛ぶだけでなく、変な(?)脚の格好でも連続ジャンプができる。とにかく運動能力、表現力、見た目もずば抜けている。

それなのに、彼は悩む。身体中タトゥだらけだし、覚せい剤?もやってた。プリンシパルになった3年後にはロイヤルオペラをやめてしまう。

その後、変遷を経て、今はまた踊ることに喜びを見出しているようで、今年5月には初来日もする。

もう一つ見たのはWOWOWで「私はマリア・カラス」。彼女もあんなに才能に恵まれ、成功しているのに、悩みが深いのねぇ。

マリア・カラスは私が中学生の時既に音楽の教科書に載っていたし、オナシスとのことも有名だった。随分歳のような気がしていたが、あの頃、まだ30代だったのだなぁ。亡くなったのが54歳だから若い。

ドナルド・キーンさんの「オペラにようこそ!われらが人生の歓び」にもマリア・カラスについて2つの文章が載っている。特別な存在だったと分かる。

彼女も全盛期は10年位だったそうだ。喉の衰え、キャンセルやスキャンダルで、特にオナシスのジャクリーン・ケネディとの結婚は彼女を打ちのめした。

上記ドナルド・キーンさんの著書では「カラスは声が衰えても技術の工夫、演技の工夫があった」と書いてあった(と思う。本は図書館に返してしまったので、確認できない)

才能に恵まれ成功を手にした人は神に愛されている、と思うし、羨ましいとも思うけれど、それが即、幸運とはならないのだとしみじみ感じてしまった。

歴史に名を残すような芸術家はその分も悩みも深い、だからこその芸術の深さだと思った。

「マリア・カラス」は家事をしながら流し見していたのだが、「トスカ」の「歌に生き愛に生き」には思わず、振り返ってしまった。それほど切々と心に響いてきた。

これは伝説のオペラ座公演らしい。

テレビでYoutubeを流しっぱなしにしていて、思わず手を止めてテレビを見ることがある。一つはキーシンのシューマン「ピアノ協奏曲」だった。あのぐいぐい迫ってくる演奏は何なんでしょうね。もうため息が出る。

話はずれるけど、NHK「プロファイラー」で「マリア・カラス」を取り上げた時、ゲストの黒柳徹子さんが「オナシス」のことを「タイプ」だと言っていた。

昔は、「風采の上がらない、金だけのおじさん」と見ていて、カラスもジャクリーンも、こんな人のどこがいいのだろう、やはり「富豪だから?」と思ったけど、今見ると「精力的」で男の色気たっぷりじゃないの。なるほどねと思ったりする。

話が逸れたところでお終い。
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2019/12/18

アナ雪2  映画

急に時間ができたので、「アナと雪の女王2」を見に行ってきた。

一番近いところ、と「ムービル」でチケットを予約した。109シネマズの予約が一番慣れてて予約しやすいのだ。横浜駅の映画館なので便利でもある。

しかーし!!映画館についてみたら、なんと吹替え版であった。がっかり。

ムービルはいつも空いている。それでも今日は、小学生中学生がいた。日曜日の学校行事の代休かな。

感想としては、アニメの質は高いねぇ。画面が実によくできている。

でも前作のヒット要因である「レリゴー」、あるいは「生まれて初めて」のような分かりやすい歌がないのねぇ。素晴らしい曲ばかりなんだけど、そう簡単には歌えない。

話は前作で、残った疑問、エルサはあの国を治めるだけで満足なのだろうか、あの魔術のような力を持て余さないか。そしてそもそもあの力はどこから来たのか。

それへの答えがこの「2」になる。

話は飽きさせない。女性たちが勇敢である。自己決定力がある。

だけど、今考えると、筋がよくわからない。二つの勢力の協力と決裂、争い、太陽水風土の4要素とそれをつなぐもの、それとエルサの関係、父王と母のことも何かよくわからんかった。

でも、ま、勢いで見てしまったな。

一番気になったのは「水の記憶」。これ今教育現場に持ち込まれて問題になっている「トンデモ科学」なんだよ。こんな人気映画で、変な思想を子ども達に吹き込んでほしくない。

英文学者の北村紗衣さんがこれは「ホメオパシー」だと批判してた。

そうそう、吹替えはまずまずよかった。ただ母親の声、これ吉田羊さん?がちょっとひ弱だったな。

やはり字幕版=イディナ・メンゼルのパワフルな歌声を聴きに行くべきかしら。筋がよくわからなかったからもう一度見るべき?迷う所。
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2019/10/23

久しぶりの映画  映画

音楽映画は好きなので、見に行ってきた。

「蜜蜂と遠雷」。
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原作は直木賞受賞の時に読んだ。その時の感想は「熱血スポコン音楽版」。でも詳細はすっかり忘れている。

この原作を映画化するとこういう風になるね、という感想だ。

良い場面は幾つもあって、例えば亜矢と塵が月光の連弾をする場面、それぞれのカデンツァの演奏場面、明石の田舎の家、とか、印象に残る。

今、公式HPを見たら、撮影監督はポーランド人だとのこと。画面は新鮮だった。

そう、音楽の場面はいいのよねぇ。

でも人物像が類型的。人間ドラマが弱かった。それと原作があると。どうしても説明的になる。
セリフで説明する場面も多かった。回想シーンもは効果的なことも、余分なこともあり(説明過多)、この扱いは難しいな。

(冒頭の雨のシーン、雨はわかるが、「馬」は何ですかね?原作にあったのかな?忘れてしまった)

人物で言うと、審査委員長、テレビディレクター、作曲家、指揮者はどうにかならなかったかな。

ブルゾンちえみはキャスティングの失敗だと思う。ちゃんと俳優を使うべし。

斉藤由貴の審査委員長も、これ原作通りなんだろうか。描き方が本当に陳腐だった。光石研も鹿賀丈志もありきたりだった。指揮も下手だったし。

主役4人の配役は良かったと思う。特に塵役の新人はイメージに合っていた。

松岡茉優は演技力に定評があるし、繊細な表情はさすがだと思った。でも、何か言う前に、フフと笑うでしょう、あれ多用しすぎだと思う。またかよ、という感じになった。

臼田あさみさんも福島リラさんも素敵でとても役に合っていたけれども、描き方が浅くて、それこそ「類型的」だった。

この映画、松阪桃李くんがいなかったら、主役4人、収まらなかったと思う。松阪桃李が重しになっていた。

俳優の評ばかりになるけれど、平田満、片桐はいりはアクセントになっていた。

結論としては、音楽は良かったし、映像もよかった。けれど人間ドラマはつまらなかった。

音楽映画としては「のだめカンタービレ」の方がずっと面白かった。題材が違うと言えば、その通りですけど。

ただ、ピアノコンチェルトは今まで、古典、ロマン派、国民楽派までしか聴かなかったけれど、プロコフィエフ、バルトークも、食わず嫌いでなく、聴こうかなぁという気になりました。

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2019/10/20

映画寸評など  映画

ほそぼそとホームページを更新しています。

2000年頃、作成したホームページ「新横浜界隈」は最初、新横浜の事を紹介していたのですが、段々更新を怠るようになり、内容が古くなったので、その中の「サッカー観戦記」と「映画寸評」だけ細々と続けている。

今回2か月半ぶりに「映画寸評」を更新した。お時間がありましたら、ぜひご覧ください。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~shinyoko/movie.htm

これは家族の感想。私は最近、全然映画を見に行っていない。それほど見たい映画がない。

「ゲームオブスローンズ」や「チェルノブイリ」で満足してしまっているのかもしれない。

「チェルノブイリ」はまだ3話しか見ていないが、毎回、胸が痛くなり、そして怖くなる。日本でも同じような、あるいはもっとひどいことが起きたのだ。

こういう番組は日本では作れないのかな。悲しい。

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2019/7/7

「新聞記者」を見て来た  映画

「イオンシネマ港北ニュータウン」に「新聞記者」を見に行ってきた。

イオンシネマ港北ニュータウンは横浜市営地下鉄「センター北」駅近くのノースポート内にある。

この映画館にはできたばかりの頃、「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見に来た覚えがある。2007年頃だ。

今行ってみると、古びているなと思う。トイレは和式があったりする。

平日の午後、郊外のショッピングモールの映画館。しかし、ほぼ満席だった。びっくり。もちろんシルバー中心だ。

ストーリーは、
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新聞記者・吉岡のもとに大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで届いた。彼女は真相を究明すべく調査をはじめる。

一方、内閣情報調査室官僚・杉原は葛藤していた。「国民に尽くす」という信念とは裏腹に、与えられた任務は現政権に不都合なニュースのコントロール。
ある日彼は、久々に尊敬する昔の上司・神崎と再会するのだが、その数日後、神崎はビルの屋上から身を投げてしまう。

真実に迫ろうともがく若き新聞記者。「闇」の存在に気付き、選択を迫られるエリート官僚。
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加計学園獣医学部新設問題、御用記者山口の性犯罪もみ消し事件、前川喜平さんを貶めるための読売新聞報道など、現実の事件を下敷きにしている。

映画では初めから、前川喜平さん、映画原案「新聞記者」著者・東京新聞望月衣塑子記者、新聞労連南彰記者、ジャーナリストのマーティン・ファクラーさんの討論番組が映し出されている。

映画の意志ははっきりしている。

見終わっての最初の感想は、「面白かった」、そして「よく作ったなぁ」

つまり、日本映画は面白くない、そして政権を批判するような映画は作れないという思い込みがあった。

でも、考えてみれば、これ本当におかしなことなのだ。ちょっと前まで、松本清張や山崎豊子さん原作の政界・財界舞台の映画は当たり前にあった。日本映画だって、硬派の作品で面白いものが沢山あったのだ。

こう「意外」と思うこと自体が、今の日本の現状そのものだ。

映画には政権そのもの、政治家の名前は出てこない。海外の作品を見慣れていると、この程度の内容で驚いたりしてはいけないのだと思う。

しかし、できない状況で、挑戦する人がなかなかいない状況で、とにもかくにもこの映画を作った人々に拍手を送りたいと思う。

それにしても、主役二人、素晴らしかった。

吉岡エリカ役のシム・ウンギョンさん。テレビドラマの子役や「サニー」「おかしな彼女」で、既に有名な韓国俳優さんだ。(私は初めてだが、夫は「サニー」と「新感染」で見ているという)。

その彼女が、父が日本人ジャーナリスト、母が韓国人で、ニューヨークで育ったという設定で、全編日本語で挑む。

すばらしい演技だった。佇まいが、今まで見たことがない。身体の向き、動き、猫背になるところ、こういう身体の動きをする日本人女優さんはいないのではなかろうか。

どなたかが、「『左右対称』が全くない。身体、動き、服の着方まで」と書いていた。そう思う。

劇作家・映画監督山内ケンジ氏
「最大の魅力は圧倒的にシム・ウンギョンである。彼女は号泣から悔し涙、不安の涙まで何種類もの涙を自在にコントロールする。(中略)110分の間、彼女のあの目に吸い寄せられることになる」

そう思います。彼女が号泣すると、自然にこちらももらい泣きしてしまう。表情から目が離せない。

そして松坂桃李さん。彼もこういう実力派だったと初めて知った。妻を抱きしめながら泣くシーンは胸が締め付けられた。ラストに近いシーン。彼の茫然とした表情、こういう演技のできる人なんだなぁ。

(そういえば、松坂君は「パディントン」役の吹替えだった。とても上手だったと聞いた)

そして、歩く姿が、エキストラの中にいてスター俳優らしいオーラを放っていた。スッと目をひきつけられてしまうのだ。こういうの大事だと思う。

もちろん、田中哲司さん、北村由起哉さん、高橋和也さん、脇役がみな見事。田中さんの冷徹、北村さんの包容力、高橋さんの人柄の良さ、演技と言うよりにじみ出ていた。

高橋和也さんはジャニーズの「男闘呼組」メンバーだったが、いい味の俳優さんになったね。

同僚記者役の岡山天音さん、NHK渡辺あやさんの「ワンダーウォール」(京大の吉田寮を舞台にしたドラマ)で、信念を持った好青年を演じていて、印象的だった。

脚本は、政治的であるが、エンタメとしてもよくできていて、ハラハラドキドキ終盤に向けて盛り上げる。ラストシーンは観客にゆだねられている。

そうねぇ、気になったのは、どなたかが言っていたが、この映画の妻たち、昭和の妻だ、と。

夫は仕事一筋、家庭は二の次、家庭を守る従順で健気な妻。共に戦うパートナーではない。西田尚美の無駄使いとまで言われていた。

そうなんだよね。一方で、官僚の妻って、こんなものかな、と思ったりもした。

田中哲司さんの内閣調査室の官僚、できる男。夫は内調の官僚をかっこよく描き過ぎと文句を言ってた。もっとドジでズサンだ、と。

(内調ではないが、京大の吉田寮を捜索したり、常岡浩介さんを家宅捜索をした公安警察は予算獲得のための意味のない活動をしてる・無能と=常岡さんの講演から)

映画が終わって、出口に向かう時、女性グループの人たちが感想を言うのが聞こえた。「ウンギョンさん、面影があったわね」。

韓流ドラマファンかな、子役時代の彼女を知っているのかなと思った。

また、「あんなこと本当にあるの?」と連れの人に聴いている人がいた。即、「あるのよ!」と聞かれた人は答えていた。

この映画、テレビではほとんど宣伝されていないのに、興行収入が10位とか、1億円とか。映画館も満席が続いている。

こういう映画は、実は観客に求められていたのではないか。

もっと日本の映画界は現実に切り込むべきだと思う。

今の日本を描いたものとして、「万引き家族」がある。でも、この「新聞記者」の方が好きだ。

ジャンルが違うと言えばそうなんだけれど、「万引き」に描かれる女性像は好きじゃない。

吉岡エリカが働く女性で、仕事を描く作品だったのがよい。そして、色恋沙汰がない。
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本当はもっと新聞社に女性記者がいるとよいのにね。
 そうそう、今の閉塞状況を描く作品と言えば、演劇だけど、二兎社「空気」シリーズがある。

「ザ・空気」は田中哲司さん主演だった。田中さん主演で「ザ・空気」を映画にすればよいのに、と思った。

とにかく、日本映画に関わるプロデューサー、脚本家、監督、撮影、音楽、俳優さん達、この作品のヒットに自信と勇気を得て、どんどん問題作を作ってください。期待してます。

そしてもっともっと多くの人たちに「新聞記者」を見ていただきたいと思う。

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2019/6/28

ジャック&ベティ(2)  映画

4月中旬、話題の「金子文子と朴烈」@「ジャック&ベティ」見に行ってきた。

この映画は感想を書くのが難しく、2か月くらい放りっぱなしだった。

行った頃の風景。大岡川の桜はもう終わり。
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朴烈と金子文子は天皇(皇太子)を爆弾で暗殺することを計画(夢想)し大逆罪で死刑判決を受けた。幸徳秋水らの大逆事件はどの教科書に載っているのにこの二人は黙殺されている。もちろん、二つの事件とも冤罪、でっち上げだ。

朴烈と文子はその後恩赦によって無期懲役になるが、文子は獄中自殺を遂げる。

「金子文子」については今から40数年前、著書「何がわたしをこうさせたか」を友人からもらいうけて読んだ。もちろん瀬戸内寂聴の「余白の春」も読んだ。

さらに私の大切な本、筑摩「文学の森」の中の一つ「幼かりし日々」に金子文子のこの著書の中から短い文章が掲載されている。(この本は私の好きな文章が沢山載っている。とっても大切な大切な本)。

金子文子は父が出生届を出さず、無籍者だった。複雑で暴力的な家庭で育ち、学校にも行けなかった。「親に捨てられた」という状況だった。この中で、彼女はどのようにして、言葉や思想を獲得していったのだろうか。彼女の「何がわたしをこうさせたか」は素晴らしい文学だと思う。瀬戸内寂聴の本より、こちらを読むべき。

この映画は感想をまとめにくい。

この映画が韓国で、しかもほとんど日本語で作られ、ヒットしたことをただただ尊敬する。
(日本では絶対に作られないだろう)

主役の二人、金子文子を演じたチェ・ヒソ、朴烈を演じたイ・ジェフンが見事。あの時代の青春、彼らの闘いを鮮烈に見せてくれた。

金子文子の気が強くて、跳ねるような元気さと誇り高さ、愛らしさ、揺るがない思想、とても魅力的だ。朴烈の破天荒、野性児のような振舞い、人を食った行動、よく動く表情、これまた生き生きとして惹きつけられる。

当時、朝鮮人がどれだけ差別されていたか、冒頭から強烈に見せられる。関東大震災時の朝鮮人虐殺も描かれている。

彼らは韓国独立のその先の民衆の平等、解放を見ている。アナキストだ。

今はもう振り向かれない共産主義、無政府主義思想はあの帝国主義の時代、虐げられる植民地の民衆、農民・労働者にとって、理想だった。

差別する日本人も、彼らと交流する日本人も公平に描かれる。取り調べの検事、看守も彼らへの偏見を徐々になくしていく。彼らのために尽力する弁護士もいる。

私が持っていた「何がわたしをこうさせたか」の本には「例の二人の写真」が載っていた。世間を騒がせた写真だった。この写真について、当時の女性たちの意見も載っていた。

うろ覚えだが、多くの社会活動家の女性たちは「ふしだら」「この人たちと私とは違う」とあったが、高群逸枝だけが「なんとあどけない写真でしょう。かわいそうに」と書いていた。強く印象に残っている。

この写真についても映画でそのいきさつが描かれている。

この写真撮影を許可したのは立松懐清判事だ。演じているキム・ジュンハンは日本語も違和感なく、知的で、段々朴烈と金子文子に同情していく心情をごく自然に表現してしていた。この立松判事について、次のようなtweetを読んだ。



(本田とはジャーナリスト本田靖春氏の事だ)。

それにしても朴烈は1926〜1945年までずっと獄中にいたのだ。長い年月だ。
(今wikipedeaで確認したら、途中転向し、出獄後は反共主義者になり、のち北朝鮮に捉えられて処刑されたとある。)

この映画、権力側はやや戯画化されている。分かりやすい映画にするためだったとは思うが、不自然でこれはやや残念。

もう上映している映画館はないと思うが、DVDでも、上映会でもよいので、多くの日本人に見てもらいたいと思っている。

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