2021/5/19

こんなマンガが  本・文学

「共同親権」や「連れ去り」、「DVシェルター」などを調べていくうちに、こんなマンガがあるのを知った。

(つまり嘉田由紀子議員の悪質発言の件)

「モラニゲ」


「『モラニゲ モラハラ夫から逃げ出した妻たち』 大増量読み放題はこちら」
https://comics.gendaibusiness.com/viewer/moranige/1

このマンガ、怖い話ばかり。

で、こういう関係性のなかにあると、妻もそれがモラハラとは気づかないかもしれない。気づいてようやく逃げ出すのだ。

また、モラハラ夫の方も、自分の加害行為がわからない。
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妻子が逃げると夫側は「自分のほうが被害者だ」と思うようだ。妻が何もできない女でも我慢して結婚してやった、これまで誰が稼いで食わしてやったんだ、こうやってわざとみっともないことをして俺に恥をかかせている、誰かに金目当てでそそのかされた、他に男ができた、、まるで定型文のようにだ。〜橋本久美氏〜
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こういうDV夫が主張するのが「共同親権」。今のところ「共同親権」だとモラハラに耐える妻を苦しめることにしかならない。離婚後の面会交流は



そう思う。
国会の参考人質問でも「共同親権の方が非行に走らない」との主張に専門家が共同親権は関係ない、親と子の関係性と言っていた。


もう一つのマンガは、北原みのりさんのtweetがなければ絶対知ることもなかったこれ。



峰なゆかさんの生い立ち、AV出演など半生を描いた自伝的漫画

この対談はとても面白い。ぜひ読んでもらいたい。

AV撮影現場では「女優さんたちは絶対に仲良くさせない」のを、こっそり連絡先のメモを渡してシスターフッドを作り上げていく、とか、

AV女優になったのは自傷行為だった、とか、

例えばこんな文章も
(女性問題を語っていると)「『男の生きづらさを全然わかってない』みたいな否定的な反応はめちゃめちゃ多かったんですけど、じゃあ具体的に何がどうなのかって言うと、やっぱり自殺者数とかホームレスの数、割合とかを挙げるだけなんですよ。

 それただの結果じゃん。お前ホームレスじゃないし、自殺もしてないじゃん、お前の話を語れよ、って」

父親は元バンドマンで、ヒッピーでヒモというのもびっくり。

とても冷静に客観的に自分を語っているし、問題の本質をとらえる力が非常に優れている方だと思う。

国際女性デーでの文章もぜひ。

「男の生きづらさについて改めて考えてみる」
⇒ https://laurier.excite.co.jp/i/am_our_97681
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2021/5/5

こどもの日、読んだ本3  本・文学

こどもの日なので、前にも掲載した写真を。

孫たち、こんな時代だけど、健やかに育ってね。

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読んだ本3

男孫がいるので、この本を読んだ


太田啓子著「これからの男の子たちへ 『男らしさ』らから自由になるためのレッスン」」(大月書店)

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5月1日のTBS「報道特集」でも取り上げられていた。ベストセラーだそうだ。

太田啓子弁護士は神奈川県在住で「憲法サロン」という小さな集いをさまざまな場所で開いている。私も一度反原発関係の講演会で話を聞いたことがある。

また、彼女は「献血センターの宇垣ちゃんポスター」、「特産品『鰻』CMのうな子」等の女性を性的に扱った公共団体広報に対して異議申し立てをし、「オタクミソジニスト」「表現の自由戦士」たちから猛烈なバッシングを受けてきた。

例の歴史学者呉座氏も誹謗中傷している。

彼女の訴えはごく常識的なもので、これは非難する方が一方的に誤りなのである。

話を戻す。

「社会から性差別をなくすには男の子の育て方こそが大切じゃないの?」という問題意識で、これから大人になっていく男の子たち自身が「性差別ゃ性暴力という問題に自分か当事者としてどうかかわっていくかの入り口にしたい」と書いている。

「暮らしの中のジェンダーバイアス」「男の子にかけられる呪い」「ホモソーシャルの同調圧力」は男の子を取り巻く環境の厳しさ、生きづらさを物語る。幼児期から男子の権力闘争は始まる、とある。

この生き辛さの原因は女の子たちを苦しめているものと同根だ。
 
しかし、性暴力の加害者の圧倒的多数は男性、加害者たちの認知の歪みは根深いという。

「レイプカルチャー」という言葉があり、これは「性加害が普通のことと考えられており、レイプしないように教えられるのでなく、レイプされないように教えられる文化」のことだそうだ。「暗い道を歩くな」「服装に気をつけろ」「スキがあった」とか思い当たる。

そして「性教育」の話。

ユネスコの「国際的セクシュアリティ教育ガイダンス(生殖の例)」があり、包括的性教育が必要とされる。

日本では性教育がタブー視されてきた。七尾養護学校の性教育が都議の攻撃を受けて、めちゃくちゃにされた事件があった。(裁判で教育への不当な介入として養護学校側が勝訴した)。安倍を筆頭とする日本会議勢力が性教育を敵視した。

このことによる日本の性教育の遅れは深刻なものだと思う。私もこの問題は旧世代なので避けてきたと思う。そういう意味で、この「セックスする前に男子に知っておいてほしいこと」は重要な章だと思う。

更に、性に関する「表現」の問題。 

何か問題なのか、いろいろな例(炎上広告、しずかちゃん入浴シーン等)をあげて懇切丁寧に論じている。「『性表現』が悪いのでなく、『性暴力を娯楽にする表現』が問題」なのだ。

これを読んでなお、太田さんを「表現の自由の敵」思う人がいたら、まさに「認知の歪み」だと思う。

3人の方との対談も入れて、具体的で、易しくわかりやすく書かれている本なので、「これから」の子どもたちのことを考えている人たちにぜひ読んでもらいたいと思う。

とても勉強になります。
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2021/4/30

読んだ本2  本・文学

図書館に久しぶりに行った時、原武史さんの本はないかと探した。

「レッドアローとスターハウス」という著作が面白かった。私好みなのである。西武線にまつわる様々なエピソード、団地の歴史、団地に住む文化人、政治家の話、西武と東急の対比、手堅い事実の積み重ねで、その時代の空気や社会を描いていくのが興味深く、「あーそうだったのか!」「へえ、知らなかった」ばかりなのだ。

いくつかあったけど、一番読みたいと思ったのが「皇后考」。ただ、本の厚さにためらった。

だって652ページもある。厚さ4.5センチ。

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読み始めてみると、これ、皇室のゴシップまとめみたいですね。だからスイスイ読み進められた。「レッドアロー・・」と同じて、へえ、おーそうだったの、ばかりで、最後まで面白く読んだ。4日くらいで読み終わった。

もちろん、実証研究なので、公文書、新聞記事、日記、証言集、随筆等々、膨大な資料に基づいている。

第一章が神功皇后。神功皇后は私など戦後生まれにとっては「誰?」程度の存在感だが、戦前はお札の顔にもなっていたし、重要な人物。「三韓征伐」は政権のイデオロギーとしても役立ったのだろう。

神功皇后は仲哀天皇の妻、応神天皇の母。

この章で驚いたのは大日本国憲法では「万世一系の天皇が統治する」と謳っているのに、発布の時に万世一系の天皇が決まっていなかったということだ。

会議が開かれて、南北朝時代は南朝を正当とする等が決まったとのこと。そして神功皇后は古事記や日本書紀には天皇だったと記述されているのに、「天皇」から外されてしまった。それにより次の応神天皇の在位期間が100年を超えてしまったのだそうだ。

神功皇后は応神天皇の摂政ということになってるらしい。つまり政治に深くかかわっている。

皇后の一つの姿だ。

もう一つは光明皇后。聖武天皇の妻、孝謙天皇の母。光明皇后はハンセン病患者治療の伝説で知られている。こちらが皇后が医療福祉に深くかかわるルーツになる。

皇后考の最初は明治天皇の妻、美子。昭憲皇太后。子はなく、大正天皇は側室の子。

明治天皇は乃木の自刃、漱石の言葉などからカリスマ性のある人物とずっと思ってきたが、この書によると、日清日露戦争は反対だったそうだし、軍艦に乗ると酔ってしまい、あまり好きではなかったとのこと。逆に皇后は軍艦に乗ることや軍隊の演習を見ることが大好きだったそうだ。

大正天皇は様々なエピソードがある。脳の病気だったのではないかと言われていて、昭和天皇が摂政になり、公務を代行した。

最初婚約していた女性は美しかったが、健康面でどうかということで、農家に預けられて育った九条節子が皇太子妃に選ばれた。器量はともかく頑健だったことが選ばれた理由。確かに男子を4人産んだ。

大正天皇は「女好き」だったというエピソードがある。日光御用邸で静養中、天皇がお気に入りの貴族の女性を呼んだので皇后が怒って帰京してしまった話などが載っている。

ある尼寺の庵主は天皇の落し子ではないかという噂はずっとある。

このように、ゴシップまがいの話があるのでスラスラ読み進められたのだ。

この「皇后考」の中心は大正天皇の皇后節子、貞明皇后の話だ。大正天皇は1926年に47歳で逝去。それから25年間、1951年まで皇太后として過ごすことになる。

皇后は秩父宮を偏愛していた、2.26事件の時の昭和天皇の反乱軍に対する激怒はこれも関係しているかもしれない。

また、政府も、皇族(息子たち)も皇后の意向をひどく気にしている。彼女の意思が無視できなかった。1945年6月にはは停戦(敗戦)をほぼ固めていた天皇が8月まで決断できなかった陰に皇太后の影響がなかったとはいえないのではないか、とのこと。

この頃は神功皇后のことを意識していて、政治にも関わりを持とうとしたのではないか。

一方、「光明皇后」の医療福祉への貢献も、皇后(&皇族)の重要な役目として、特にハンセン病院訪問は熱心になされている。

皇后の思想的なことも「神ながらの道」とあって、詳しく論述されているが、ここは割愛。

それと、宮中行事の多さ、長さも大変な仕事だ。それでも、代理で済ませていたことも数多くある。今はどうなのだろう?

貞明皇后は日本中をよく回っていて(巡幸)、その頑健さは皇后に選ばれた理由が納得できる。

戦後は養蚕業組織の長として養蚕地域を訪れている。秩父にも来て、秩父神社に参拝している。最愛の息子は「秩父」宮だったし。

私が子どものころは秩父宮妃殿下が時々秩父にいらして、何回かそのお姿を見た。

昭和天皇の妻は良子。香淳皇后。皇后はなかなか男子に恵まれず、これは大変ご苦労なさったたのではないだろうか。
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2021/4/24

読んだ本1に追記  本・文学

長々と「一度きりの大泉の話」の感想というか、連想したことを書いた。

Twitter上の感想を読むと、多くの人たちが、才能ある者同士の悲劇的な避けられない確執、作家論や作品論的に論じている。

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4/26追記:
その後、Wikipediaで竹宮恵子さんは萩尾望都さんの項を読むと、大活躍されたのが1980年代以降だった。腐女子やらBLという言葉を自然に使っていた人たちが愛読者なのだということが分かった。なので、私はこの少女漫画問題には口を挟まない方がよいのだ。竹宮さんの著作を読もうと思ったが、やめた。
***

私はそっちはあまり関心がなくて、同時代人の回想記として読んでいた。

萩尾さんが当時読んでいた本は、まさに私が読んでいた本だ。

ヘッセ、カフカ、ラディゲ、三島、太宰、宮沢賢治等々、そして映画も懐かしい作品が出てくる。

ウィーン少年合唱団の「青きドナウ」、「if もしも」、「ベニスに死す」とか。とか。

「ifもしも」「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェルが「スキャンダル」のメディア王マードック役で出演してるのを見たら、まあ、すごいおじいさんでビックリしてしまった。

戦艦ポチョムキン、24時間の情事も当時リバイバル上映があったり身近に感じる。

吉祥寺の映画館というと「あそこかな?」と思ったり。

大泉の時代の漫画家たちは、皆ヨーロッパ趣味が強いと思う。宝塚やミュージカルの王家とのに共通するかな。

萩尾さんたちが住んでいたのが西武線沿線なので、親近感を持った。

秩父から東京に出るのは西武池袋線か、所沢乗り換えて新宿線だ。上石神井に住んでいたこともある。井荻には友人がいた。あのあたりの風景が目に浮かぶ。

違うのは1970年はまだ学生の政治の季節であり、ベトナム反戦運動も盛んだった。この本には一切そういうものはない。

(4/26追記:Wikipediaによると、竹宮さんは学生時代1年間学生運動のため漫画制作を休んだとある)


ただ、当時の少女漫画の描かれたテーマは女性の自我の解放だったり、自立だとすると、ウーマンリブ、「行動する女たちの会」等と問題意識は共通のものがあると思う。

4/25追記:P281に、BLについて、「ちょうど始まったフェミニズムの運動も重なり」と書いてありました。
「抑圧されていた少女たちが、自分の性について考え、それを色々な形で表現するほど広がっていった」

1980年代以降は分からないが1970〜73年くらいなら、本当に同時代を過ごしてきたのだなあとしみじみする。

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2021/4/24

読んだ本1  本・文学

昨日届いて、読んだばかりの本について書く。

萩尾望都「一度きりの大泉の話」河出書房新社

この本が出ると知ってamazonに予約した。

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萩尾さんが大泉に住んでいた頃(1970〜1972年)の話だ。

この本についてtwitter上で話題になっていたが、何故そんなに注目を集めるのか私はよくわからないでいた。

そもそも、竹宮恵子さんと萩尾望都さんが一緒に暮らしていたことすら知らなかった。

私が萩尾作品を読んでいたのは1970年代で、ごく初期の作品。その後いくつか話題になった作品は読んだけれども、基本、子育て時代だったから、マンガを読む暇がなかった。

で、twitter上の雰囲気から、なにか大きなトラブルがあったらしいことは分かった。

はぁ、そういうことでしたか。

その一番の肝の部分は後にして、

読んでいて、楽しかった点はあの頃私が読んでいた漫画家さんたちの名前がたくさん出てくるところ。

お互いにベタを塗ったり、下書きの線を消しゴムで消したり、助け合っていたという。萩尾作品のドレスを山岸涼子さんが描いたりしてるらしい。

それと、あの頃は人と人とのつながりが密接。一緒に住んだり、近所に住んだり、泊まったり、文通したり、訪ねて行って泊めてもらったり。

漫画家希望のファンが上京して石ノ森章太郎の家に泊めてもらったという話にはびっくりする。

本の中には未発表スケッチが収録されている。どうやって名作が生まれてきたか、一端に触れることができる。

44日間の欧州旅行や、イギリス語学留学、ロシア旅行の話は興味深かった。あまり海外旅行は身近でなかった時代だ。

欧州の話を漫画に描くには当時は資料を手に入れるのが難しかったことなども実感としてわかる。

上にも書いたように、たくさんの漫画家の名前(木原敏江、山岸涼子、大島弓子、美内すずえ等々錚々たる人々)が出てくる。この人のことを書いてくれてありがとう、と思う記述が人によっていろいろあるだろうと思う。

私は西谷祥子さんだ。

萩尾さんは少女漫画の歴史を大きくカテゴライズした後、
「このカテゴリーに入りきらない作家がたくさんいます。例えば西谷祥子先生です。1964年頃からラブコメ、シリアス、とそれまで母子もの、少女友情ものだった少女漫画のジャンルに、戦後の恋愛と哲学を持ち込みました。実に画期的でした。」

そう、画期的だった。西谷祥子さんの評価をほとんど見ないので、この文章はうれしい。

(訂正:今Wikipediaを見たら「少女マンガ史におけるエポック的重要存在の一人」と書いてあった。そう主張している人として萩尾さんのお名前がある)

西谷さんの「マリールウ」は女子高生に人気で、私が高校一年の時の予餞会(卒業生を送る会)で、このマンガを原作にした劇が演じられたくらいだ。

さて、この本の肝、萩尾さんが大泉時代のことを何故封印してきたか?

萩尾さんは竹宮さんたちとの共同生活を解散し、1973年に埼玉の田舎に引っ越す。

「引っ越し後は竹宮恵子先生と増山法恵さんとは交流を断ってしまいました。その後はお二人にはお会いしていません。また、竹宮先生の作品も読んでおりません。

私は一切を忘れて、考えないようにしてきました。考えると苦しいし、眠れず食べられず目が見えず、体調不良になるからです。忘れていれば呼吸ができました。体を動かし仕事もできました。前に進めました」

深いトラウマであることがわかる。

それを今、何故明らかにしようとしたかは、この「大泉サロン」について知りたいとか、ドラマにしたいとか、竹宮さんと対談しないかとか、断っても断っても話がくるということらしい。もうやめてほしいという悲鳴みたいなものだった。



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2021/4/8

読んだ本(2)  本・文学

読んだ本その2

私は椎名誠の愛読者で「さらば国分寺書店のオババ」「哀愁の街に霧が降るのだ」の頃から読んでいる。

いつだったか、椎名誠が本屋で「40歳からの山歩き」という本を見つけて、「ウカウカしていると40歳になってしまう」と書いていたのを覚えている。その時私は30歳前後だったと思うが、それからしばらくして私も本屋で「40歳になったら云々」の本を見て、椎名誠の感慨を思い出したのだった。

その椎名さんも40歳どころか、もう後期高齢者だ。

読んだ本は「遺言未満」。

身辺整理や墓のことが書いてある。

北海道にある別荘は処分したそうだ。墓は持たず、散骨することにしたとか。

この本は「死」にまつわるものだから、「骨仏」や「鳥葬」のことが書いてある。椎名さんは「死体」「トイレ」「害虫」とかも観察して書く。

そう言うのは苦手なので、かなり飛ばした。

私たちも椎名さんの何年か後を行くわけだから(何事もなければ)、こういうことを考えておこうと思った。

同じく椎名さんの「歩いて行くとぶつかるんだ」。2018年の本。これは題名通り、気楽なエッセイ。

会社員時代のエピソードは抱腹絶倒。今はこんな呑気な会社はないだろうなぁ。

そして数々の過酷な旅の思い出。世界中を歩いている。

で、つくづく「頑健」というのは羨ましい。

以上の2冊は図書館の本で手元にないので、出版社名は書かない。調べらばわかるのだけど。

ECD「他人の始まり 因果の終わり」(河出書房新社)

ECDさんはミュージシャン。日本のラップの草分けだ。私はラップやヒップホップの違いもわからないし、この世界のことは何も知らない。

彼のことは安保法制反対、国会前抗議で知った。反原連の官邸前抗議でもお見かけしたかもしれない。

2015年安保法制が強化採決され、自衛隊が南スーダンに派遣された2016年、ECDさんは進行ガン、余命を宣告された。そして2018年1月に亡くなられた。57歳だった。

その彼の最後の著作。何故この本を読もうかと思ったのか、それはたまたま目にした彼の文章がとても良かったからだ。人々への優しい眼差しを感じた。

この本の帯に「癌発覚と闘病の中て向き合った家族と自身の生きた軌跡。音楽で、ストリートで、身を賭して闘ってきたラッパー・ECDの生の総決算」とある。これに付け加えることはない。

淡々とした、平明な文章で、明晰に自分と家族のことを綴っている。

弟の死も家族間の葛藤も淡々とした(と見える)筆致で書いているのだ。

私のような平凡な人生とは違う。その生き方や家族についての記述は驚かされる。私の想像の外だ。

高校中退、演劇、音楽活動をして、組織に属することはなかった。子どもができるまで健康保険にも入らず年金も払っていない。

まさに「『個』として生まれ、『個』として生き、『個』として死ぬ」生き方だった。

残されたご家族、特にお子様が健やかに成長されますように。
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2021/4/6

読んだ本(1)  本・文学

ずっと、読んだ本について書こうと思っていたのになかなかまとまらなくて書けずにいた。

メモ的に書く。
小山修「あの日、ジュバは戦場だった」(文藝春秋刊)
自衛隊南スーダンPKO隊員の手記だ。

2016年7月8日ジュバで激しい戦闘が起きた。日本ではフリー記者布施祐仁さんがその期間の自衛隊の日報の開示請求をした。防衛省は隠蔽した。これは「日報隠蔽」として大問題になった。

日本政府は「戦闘ではなく衝突」とごまかした。

この手記によれば明らかな戦闘であり、自衛隊基地も被弾した。難民も押し寄せた。自衛隊員に死傷者が出たかもしれない危機的状況だった。こういう事実は「マス」メディアではほとんど触れられない。

違憲である集団的自衛権の強行採決後、友人たちに「自衛隊がまず派遣されるのは『南スーダン』」と言うと「まさか、そんなことはない」という反応だった。中国の南シナ海問題と思っていたのだ。

自衛隊員は平和維持活動(土木建設等)を誠実に遂行していた。自衛隊員達の真面目な取り組み、奮闘には敬意を表する。

しかし、国=アベ政権はアホなのである。日本の安保法制では自衛隊員達は守られない。こういう紛争地で活動するにはあまりにも法が不備なのである。私は法を整備すべきとは思わない。自衛隊を紛争地に出すべきではない。そもそも集団的自衛権の安保法制は違憲である。そこに戻らなけばならない。

戦闘が起きたことを隠蔽し続けた稲田防衛相、自衛隊幹部は結局辞任した。

そして突然自衛隊に撤退命令が出る。交代要員が到着したばかりの時である。何もかも行き当たりばったり。

アメリカの意向と、日本国憲法を踏み躙りたいアベの私的怨念(左翼への逆張り)から集団的自衛権安保法制を無理矢理通した。自衛隊員の生命を危うくした。

2015年の安保法制反対、市民の必死の運動が結局はスーダン撤退につながり、自衛隊員の生命を救ったと思う。

加藤陽子「それでも日本人は『戦争』を選んだ」(朝日新聞社)。
学術会議会員の任命を菅政権に拒否された7名のうちのお一人である加藤陽子教授の著作である。

これは栄光学園高校で行った講義をまとめたもの。だから読みやすい。

最初の感想は私の日清戦争から太平洋戦争へ至る日本の歴史についての理解が1970年代から全然パージョンアップしていなかったということだ。知らないことが沢山あった。

読むそばから、「なるほど」と思ったことも忘れてしまうので、詳しく書けないのだが、例えば松岡洋右や胡適等自分が知っていた姿とは違う一面を知らされた。ケインズやウィルソン米大統領もそうだ。

あと経済問題や軍事、財政は知らないことが多かった、といってもほとんど忘れてしまったけれど。

時々読み返さないとダメだなぁ。

今季芥川賞の宇佐美りん「推し、燃ゆ」を文藝春秋を買って読んだ。読了後、「この主人公はこの先どうやって生きて行くのだろう」と心配になった。つまりそれくらいリアルにこの少女を描いたということなのだろう。母親や姉、バイト先の人たちもよく観察して書いてる。この筆力をこの年齢で持っているのは才能だと思う。

こ 今後どんな小説を書いていくのか、楽しみだ。
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