2009/1/14

佐藤優氏のイスラエル擁護の論理はやはりおかしいと思う  イスラエルとパレスチナ、中東

佐藤優氏がいま、発売中の『アサヒ芸能』1月22日号で、イスラエルのガザ侵攻を擁護し、日本はイスラエルを支持するべきだと主張されている。この人は、日頃からイスラエル擁護の発言をされてきた方なので、またか・・という感じで驚くほどのことではないのかもしれないが、でも現在、イスラエルが行なっているガザ侵攻をここまで全面的に擁護して支持する言説にぶつかると、やはりちょっと驚いてしまう。
いや、驚くばかりでなく、やっぱり佐藤優氏の論理はちょっとおかしい・・と思う。では、どこがおかしいのか?

まず書いておくと、僕はハマスの政策を支持する者ではない。むしろ、「イスラエル国家を認めない」というハマス(およびイラン政府)が言っている考えはたしかに間違いであると思う。ハマス側も、イスラエル国民に対するロケット弾攻撃をやめるべきであり、「イスラエル国家を認めない」という方針から、イスラエル国家は認める、ただし1967年ラインでイスラエルは撤退して欲しい・・という主張に転換するのがいいのではないかと思う。
だから、ハマスが「イスラエル国家を認めない」という立場をとり続けていることが問題なのだ・・という点は、佐藤優氏が言われることにも理はあるとは思うのだ。
しかし、だからといって、従って、イスラエル政府はハマスをパレスチナの政府として認めて交渉する必要もなく、軍事的に攻め入るしかないのだ・・ということになってしまうところがおかしいと思うのだ。
ハマス側が「イスラエル国家を認めない」という考えならば、なお一層、軍事力を行使するのではなく話し合いによって(それにはまずハマス側を話し合う相手として認めることがもちろん必要だろう)その考えを変えてほしいと要求するべきではないか? それをせずに、ガザを侵攻するなんて、どう考えてもめちゃくちゃである。
ハマスはテロリストなのだからそんな話し合いは成立しないのだ・・と言う人がいるけど、僕はハマスがテロリストではないと主張するつもりもまったくなくて、とにかく理由はなんであったとしても(たとえ民族的抵抗のためであったとしても)ミサイルを飛ばして人を殺す行為はテロ行為だと思うからハマスはテロ組織だとは思うけど、テロリストだから話し合いは出来ないという考え方がそもそもおかしいのではないかと思う。テロリストでもとにかく人間なんだから話し合うことは可能であると思う。それに、実際、昨年11月に ハマス政権自身が「もしイスラエルが1967年の領土上でのパレスチナ国家を認めるのであれば、われわれもイスラエル国家を承認する」と表明している。(下記のリンク先を参照。)

「1967年」を認めるということ――オルメルトとハマス
http://palestine-heiwa.org/note2/200811191437.htm

だから、イスラエルの新聞、ハアレツ紙が、「ハマスとの和平対話を開始すべき」という社説を11月10日に出したのであり、イスラエル政府はハマスとの対話を模索する道があったように思う。ハアレツ紙がイスラエルの新聞でありながら今回のガザ侵攻に批判的な論調を掲載しているようなのはこうした経緯を踏まえたものではないかと思う。
それに、ハマスがテロ攻撃を続けるから軍事攻撃に踏み切ったのだ・・とイスラエル政府側は主張しているけど、現在のようなガザ侵攻は前にもちょっと書いたけどハマスをはじめとするパレスチナ内の抵抗勢力のテロ攻撃をさらに強めるような逆効果にしかならないのではないか?
前にあげた記事でゴールドベルガー氏も「ハマスは人気がなく、パレスチナ人でさえ支持しなくなっていた。というのもハマスは専制主義的なところがあり、あらゆる対立者を排除してきたからです。しかし、この戦争はハマスの立場を有利にしました。人々は今までハマスが同胞にしてきたことを忘れさせました。」と述べられているけれども、たしかにイスラエルの今回のガザ侵攻は、あまりに専制主義的なのでパレスチナ内でも支持されなくなってきていたハマスに対する支持をかえって盛りかえしてしまったように思う。結果として、パレスチナ、イスラエル双方の国民にとって、今回のイスラエルのガザ侵攻はデメリットばかりがあるようなことであり、ただちに停戦することが双方の国民にとって最善の選択であるように僕には思える。

佐藤優氏の主張のどこがおかしいと思うのか?という話に戻るけど、ハマスが「イスラエル国家を認めない」という立場をとり続けていることが問題なのだ・・という点は佐藤氏の論理を認めるのだけど、だからいって、ハマスに対しては軍事的に戦うしかないのだ・・とイスラエルの軍事行動をすべて認めて擁護してしまう・・という点が論理に飛躍があるし、おかしいのだと思うのだ。
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