2009/2/10

『ベンジャミン・バトン−数奇な人生−』  映画

凄い。本当にこの最上のラブストーリーと言える映画をフィンチャーが撮ったのか!?

まあ、原作のフィッツジェラルドの短編小説、読んでいないわけだが、この長い年月をこえたラブロマンスものっていうのはやっぱり『グレート・ギャッビー』のフィッツジェラルドの世界なんだなあ・・と思っていたら、後でパンフレットを読んだら、これ、原作の短編ではヒロインの名前はデイジーではないんですね。それを脚色のエリック・ロスがデイジーという『グレート・ギャッビー』のヒロインの名前にしたのは『グレート・ギャッビー』を強く意識していたのでしょうか。『グレート・ギャッビー』の映画化作品『華麗なるギャッビー』(1974年、ジャック・クレイトン監督)ではミア・ファローがデイジーを演じていて、そのほうがエキセントリックなイメージはあるので、今度の、ケイト・ブランシェットのデイジーは上手いけど、ちょっとイメージ的には違うのかな?というのはあるんだけど、ただケイト・ブランシェットはさすがに品のようなものはありますね。

昨年の『コッポラの胡蝶の夢』と比較する見方もあるようだけど、その『コッポラの胡蝶の夢』の編集マンであるウォルター・マーチの『映画の瞬き ー映像編集という仕事』(フィルムアート社)には次のようにある。
「ここで強調したかったのは、そのときの優先順位である。泣く泣くどれかを諦めなければならない状況に追い込まれたら、感情よりもストーリーを先に諦めることだ。ストーリーより先にリズムを、リズムより先に視線を、視線より先に平面性を、平面性より先に空間の継続性を諦めるようにしよう。」
ここで書かれている、映像編集において何を優先させるかという話は、まあ、ハリウッドの、映画の極意みたいなものなんだろうか・・。
『セブン』の映画監督がこのような作品を撮るようになっていくとは思っていなかったけど、フィンチャーはこうした極意のような領域に達しつつあるのか?

しかし、印象的な雪の降らせ方。予算とか、規模が違う映画作品だけど、瀬田なつき監督の『彼方からの手紙』の雪の降らせ方とともに最近、見た映画では印象に残る雪の降らせ方です。

デート帰りのケイト・ブランシェットのバレエシーンも絶品だけど、戦争の描き方もさりげなく凄いのでは。第一次世界大戦が終わったことを喜ぶ人達のシーンや、真珠湾攻撃のシーン。あんな風に「真珠湾」を描いたものがこれまであったのだろうか?
ティルダ・スウィントンが演じる人妻が英国スパイの妻というところにも、ちょっと昨年、見たロメールの『三重スパイ』を連想したりもしたんだけど、戦争への意識を感じます。
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