2009/8/28

『それでも恋するバルセロナ』  映画

ウディ・アレンの映画を見ると、ほんとーにこの人は恋愛が好きなんだなぁ・・と思ってしまう。
ウディ・アレンの映画の男というのは、せっかく幸せになる機会を得たのにもかかわらずわざわざ面倒なことになる方向を選択していっているとしか思えないところがあるからである。これは、どう考えても、そういう面倒なことになること自体が、つまり、恋愛でもつれてぐちゃぐちゃになること自体が好きで、そうしようとしているとしか思えない(笑)。
この映画で言うと、ひょんなことからすぐ口説けそうなスカーレット・ヨハンセンではなく生真面目そうなレベッカ・ホールのほうと出来ちゃったら、僕だったら「おお、意外な展開に。これはこれでもうけもの。やりぃ。」とか思ってレベッカ・ホールのほうにずんずん行きそうだけど、なぜか、この主人公のハビエル・バルデムはスカーレット・ヨハンセンのほうに行くのである。で、スカーレット・ヨハンセンとうまく行ってて安定された幸せを得たと思ったら、そこにペネロペ・クルスを連れ帰ったりするのだ。そりゃ、面倒なことになるに決まっている。なんでわざわざ安定された幸せになる機会を壊し、面倒なことになるような方向を選択するのか? そもそも、ペネロペ・クルスとの関係に懲りていたのなら、恋愛とかは面倒なので関わらないようにしようとかいうことになりそうなのに、女をナンパする、それも2人の女を一緒にナンパするなんて、最初からどう考えても面倒な状況をさらに面倒にさせたくてやっているとしか、思えない(笑)。
結局、なぜウディ・アレンの映画の男がこうなってしまうのか?と言うと、面倒なことになること、恋愛がもつれてぐちゃぐちゃになること自体が好きでそうなりたくてしているとしか、思えないのだ。
「成就しない恋愛こそがロマンチックだ」とハビエル・バルデムが言うのは、気取っているのではなくて、ほんとーに心の底からそう思っているのに違いない。つまり、すぐに成就してしまったら、ときめいたりドキドキしたりすることがなくなってしまうから、ウディ・アレンの映画の男としては面白くない(ロマンチックでない)のである。面倒な状況こそ、ドキドキしたりときめいたり出来るわけだから、そういう瞬間がウディ・アレンの映画の男は好きでたまらない、ほんとーに純粋に「恋愛すること」そのものが好きでたまらないわけだから。
『アニー・ホール』の冒頭で「僕は自分を会員にするようなクラブには入りたくない」と主人公の男が言うが、結局、ここにすべてが集約されていると思う。つまり、「自分を好きになるような女を好きになりたくない」ということだ。それではすぐに恋愛が成就されてしまうので。だから、わざわざ自分を好きになりそうにないような女を好きになろうとするのだ。
アレンの映画では執拗に片思いしている男とか、もつれた恋愛が描かれるが、片思いであっても(いや、片思いだからこそ?)、アレンの映画の男は生き生きしているのだから呆れてしまう。それはもう、ほんとーに自分がそういう状況に置かれることが・・、恋愛のもつれでぐちゃぐちゃになることが心底、好きだからなんだと思う。
たとえば『ハンナとその姉妹』のような作品が成立するのもアレンの映画の男の行動原理がそのようなものであるからで、普通はそもそもわざわざ自分の妻の妹を口説いたりして面倒なことになるようなことは最初からさけるものだと思う。
だから、ほんとーにあんたは恋愛が好きなんだねぇ・・と僕は呆れつつ、自分みたいな恋愛ベタの人間はこういう人の爪の垢でも煎じて飲まなきゃいけないのかな・・と思ったりするのだ。
アレンの映画は、映画のつくりとしてはかなりカチッと決めて撮って行くものではないかと思うが、にもかかわらず堅苦しくなることを逃れて軽やかさを獲得し得ているのは、このように主人公の男の行動の動機が、根っから恋愛が好きで、面倒なことに巻き込まれたいので、好きだからわざわざそうするのだ・・・・という、根がいい加減なものだからなのではないだろうか? ドラマを成立させるには登場人物の行動を動機づけることが必要であると思うが、あまりに動機づけにがんじがらめになってしまうと窮屈なドラマになってしまうと思うのだが、恋愛をすること、面倒な状況になることが好きだからそうしているのだ・・という風に動機づけしてしまえば、窮屈にならずに成立させられるわけである。
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