2010/9/15

『終着駅 トルストイ最後の旅』  映画

監督マイケル・ホフマンと「ぴあ」にあったので見に行く。

ヘレン・ミレンとクリストファー・プラマーが鳥の鳴き真似をし合って思いを交わし合うシーンに、ちょっと『今宵、フィッツジェラルド劇場で』(アルトマン)を思い出す。

『ライフ・イズ・ベースボール』はちょっと微妙なところもあったのだけど、コメディ(喜劇)とシリアスな悲劇を巧みにミックスさせるマイケル・ホフマン監督の演出、やはり素晴らしい。

*『ライフ・イズ・ベースボール』について書いたものはこちら
http://blue.ap.teacup.com/documentary/1132.html

ドラマのシナリオ作法で、語りべの人物に、語られるドラマと共通する背景のドラマを盛り込むというものがあると思うのだけれども(たとえば、自らも夫婦関係で悩んでいる刑事の視点で、夫婦関係のもつれで起こった殺人事件のドラマを描いて行くといった)、この作品は、恋愛で悩む若い秘書(ジェームズ・マカヴォイ)の視点で文豪トルストイ夫妻(クリストファー・プラマー、ヘレン・ミレン)の愛憎が描かれるという構造で、観客に共感しやすく作っているのだと思うのだが、単に共通性があるというだけではなく、同時に、片方は、若々しいフレッシュな、初めての恋愛で(実際、ジェームズ・マカヴォイが演じる男はセックスがまったくの初体験であったことが示される。この初体験をめぐる描き方がしゃれているのだが)、片方は50年近く夫婦をやってきた、相当な波瀾万丈の果てのものなのだから、同じように「恋愛」の悩みとか、もつれとかは言っても、対称的なものでもあるわけで、つまり、この2つの恋愛を平行して描いて行くことは、「共通性」と「対称性」を同時にあわせもっていると言えるわけで、そこらへんが、マイケル・ホフマン監督の持ち味である、喜劇と悲劇の共存(『ダルク家の三姉妹』の軽妙さを思い起こそう)というタッチとも結び付いて、なんとも豊穣な世界を紡ぎ出しているのではないかと思う。
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