2006/2/6

薬害エイズ、9割以上がC型肝炎ウイルスにも重複感染  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
<薬害エイズ>治療発達でも200人死亡 目立つ肝疾患
 薬害エイズ事件で、国や製薬企業を相手取って訴訟を起こした原告のうち、医療技術の発達でエイズが「死の病」ではなくなった最近10年間で200人を超える人が死亡したことが、薬害エイズ被害者の支援組織「はばたき福祉事業団」(東京都)の調査で分かった。事業団は、非加熱の血液製剤でエイズウイルス(HIV)に感染した9割以上がC型肝炎ウイルス(HCV)にも重複感染し、エイズではなく肝がんなどの肝疾患で死亡するケースが急増しているとみている。【玉木達也】
 ◇和解10年…支援組織が検証へ
 事業団は今月中にも死亡者について調査検討会を設置し、死因や治療実績などの検証作業に乗り出す。
 事件の風化が危惧(きぐ)される中、今年3月には国などが責任を認めて事件の和解が成立し10年を迎える。事業団は、検証作業を通じ、被害者救済を約束した国の対策に問題がないかどうかを追及する。
 事業団によると、1月19日現在、全原告1371人のうち、43%の586人が死亡。特に抗HIV薬を複数投与する「カクテル療法」などの治療が発達し、エイズが「死の病」でなくなった96年以降、05年までの10年間に全死亡者の35%を占める207人が死亡していた。
 最近の死因で目立つのはエイズではなく、HCV感染による肝疾患。事業団が東京HIV訴訟の原告に限って調査したところ、03年は死亡者9人中7人、04年9人中5人、05年10人中9人がHCVによる肝疾患が原因で死亡。96〜05年の10年間でみても死亡した119人の4割近い44人が同じ原因で死亡していた。
 HIVとHCVの重複感染は肝炎の進行を早めるため、早期のHCVに対する抗ウイルス治療が必要とされる。しかし、すべての医療現場で適切な対応がされているかは疑問で、事業団などは厚生労働省に指導を要請。同省は1月16日付で、都道府県の担当課を通じ、エイズ治療拠点病院に対して重複感染者に適切な治療をするよう通知を出したばかり。
 事業団では和解10年を節目と位置づけ、近く調査検討会を正式に発足させる。具体的には、遺族の同意を得て死亡者のカルテ開示などを行い、死因や適切な治療が行われたのかを医療の専門家とともに分析する。
 事業団理事長で被害者でもある大平勝美さん(56)は「亡くなった薬害被害者がこのままでは科学的な検証もなく闇に葬られてしまう。悲劇を繰り返さないためにも検証し、問題点が分かれば、国に改善を求めていきたい」と話している。
(毎日新聞) - 2月6日3時4分更新
0

2006/2/5

突如、マキノ映画が花盛り!  映画

映画館で突如、マキノ雅弘監督の映画が花盛りになっている。なんなんだ、これは。参りました。こんなの、通えないので。

和製ミュージカルの傑作『鴛鴦歌合戦』がロードショー。

2/4〜2/17
銀幕の名巧 マキノ雅弘監督傑作選(新文芸坐)
http://www.shin-bungeiza.com/schedule.html#0204

2/11〜3/10
勢揃い『次郎長三国志』全13部作参上!(シネマヴェーラ渋谷)
http://www.cinemavera.com/schedule.html

『次郎長三国志』シリーズ、僕が見たことがあるのは第1部から第5部までと第8部。特に「第8部 海道一の暴れん坊」は傑作だと思います。
しかし、今回はなんと第6部、第7部、第9部、さらには東映版まで上映されるらしいのです。参りましたね。
0

2006/2/5

株暴落、子供投資家にも影響  ニュース

*わ、いかにも世相を反映した記事だな。

(ニュース)
ライブドア株暴落 子供投資家も想定外 授業の合間、一喜一憂
 ライブドア株暴落のショックが証券市場を揺るがすなか、中学、高校生の未成年投資家たちも打撃を被っている。ライブドア前社長、堀江貴文容疑者(33)の影響で株投資を始めたという中学一年生は、同社グループ企業の株売買で資金の半分を失った。「子供投資家」たちが売買を始めた時期は、一昨年から昨年にかけてが多く、脚光を浴びたライブドアの躍進がマネーゲームの低年齢化をもたらしたようだ。あこがれだった堀江容疑者の逮捕で「幻滅した」と語る高校生もいる。(伊藤真呂武) 
 子供投資家に窓口を設けているマネックス証券によると、未成年の投資家は昨年秋ごろから増加傾向で、小中学生の口座開設数は約二千三百件。開設には保護者の同意確認だけで、取引額の制限などはない。
 ▼株のがっこう
 同社は一月六日、小学五年生から中学三年生までを対象にしたセミナー「株のがっこう」を開講。約六百六十通の応募の中から、二十八組の親子が参加した。
 松本大社長は「自分にお金があったら、どのように使うか、想像力を養ってもらいたい」とあいさつ。ライブドアのニッポン放送買収劇を例に、株取引の仕組みを解説し、オンライントレードの方法まで指導した。
 参加した子供は同社のモニター用の口座に入金された十万円を元手に、三カ月間、株取引を行ってリポートを提出する。
 インターネット上ではブログ(日記風サイト)などで、子供投資家が日々の収支を報告し、オススメの銘柄などの情報交換が行われている。
 ある女子高校生のブログでは一月十六日に「やっと、四十万円になりました」。十七日にライブドアの強制捜査が待っているとは夢にも思わず、上機嫌の様子だ。
 十七日は「前日比マイナス三万円」、十八日は「ヤバイです。ストップ安です」と悲痛な叫びに変わっていく。二十一日には「昨日はショックすぎてパソコンやれませんでした。株って本当に怖いですね」。
 別の女子高校生は十七日に「暴落のときに何回もデイトレーディングして結構もうかりました」との書き込み。ライブドア騒動を逆手にとって約四万円の利益を手にした。
 二十六日にはライブドア株にもチャレンジ。この日は約二十九万円のマイナスだったが、翌日はマイナス約二万円まで回復し、「ライブドアがようやく反発。かなりうれしいです」と一喜一憂している。
 ▼学生起業家へ
 堀江容疑者の著書を読んで学生起業家になるのが夢になったという長野県岡谷市の男子中学一年生(13)は、そのための勉強として昨年十二月に株投資を開始。ライブドア、ライブドアマーケティングなど四銘柄を約五万円分買ったが、暴落で二万七千円の損失が出た。堀江容疑者について「合法と違法のすれすれをいく手法は賛成でしたが、法を犯してはだめです」とメールでの取材に回答した。
 青森市の高校三年の女子生徒(18)は「三十代で配当生活のトレーダーになるのが夢」。
 昨年、親から誕生日プレゼントとして売買口座と資金をもらい、売買をスタート。よく行くカラオケ店や洋服店など身近な企業の業績を調べて投資し、資金を増やしたが、一月の全面安で売り時を逸し、マイナスになったという。
 「株投資に母は賛成、父は反対でしたが、自己責任の範囲という条件で許された。相場のチェックなど株に一日五時間は費やし、授業の合間にネットで値動きを見て売買することも。授業中は気が気じゃありませんでした」という。
 ▼正直がっかり
 神奈川県の男子高校三年生(17)は、二年前から小遣いなどをつぎこんで売買してきた。投機的銘柄が中心だったので、赤字が続いていたが、ライブドアショックで損失が膨らんだという。「堀江さんは時価総額七千億円の会社をつくり、本当にすごいと思ったが、粉飾決算で投資家をだましていたと知り、正直がっかりでした」
 大阪府の中学二年生(14)は、ライブドア事件の影響で値を下げたM&A関連の銘柄をすかさず買った。「一年生のときから親を説得し続け、昨年十一月に初めてダイエー株を買った。現在は二銘柄を保有し、四十五万円の資金が十万円増えた」という。
 昨年開設されたサイト「小学生でも株投資できるもん!」の運営者は小学生の女児。父親は「今のところ娘が株を購入したことはありません。株は余裕資金でやるものだと教えています」としている。
     ◇
 ■子供の株、勧めない
 経済ジャーナリスト、森永卓郎氏の話「子供が株をやることはあまり勧めない。お金の役割を勉強することは必要だが、お金がお金を生むことを子供たちに見せてしまうのは好ましくない。株式市場の役割は本来、リスクのある事業に投資者が出資し、うまくいったら配当を受けるもので、株の売買でもうけるのは本来の姿ではない。堀江容疑者のやり方はマルチ商法に極めて近かったと思う。一昔前はメンコやビー玉など遊びの中にお金の要素が組み込まれていたが、今はそういう遊びがなくなり、教育しなくてはならなくなった。子供たちは一度味をしめてしまうと、真面目に働くことができなくなってしまう。そういう意味で今回の事件はいい教訓を残した。もう二度と堀江容疑者を作り出してはいけない」
(産経新聞) - 2月5日2時38分更新
0

2006/2/5

『ホテル・ルワンダ』と『イノセント・ボイス』再考  映画

僕は『ホテル・ルワンダ』について否定的な感想を書いているのだけれども、ただ栗本東樹さんのブログではこの映画の監督について以下のように書かれていました。

>『父の祈りを』 や 『ボクサー』 といったアイルランドのジム・シェリダン監督の映画で脚本を執筆し、自身も、カソリックとプロテスタントの醜い諍いを間近に体験してきた監督

僕は実は『父の祈りを』も『ボクサー』も見ていなくて、この映画のつくりての監督がどういう人かはまったく意識しないで見ていました。
栗本さんが書かれているようにこの監督が自らの体験してきた「カソリックとプロテスタントの醜い諍い」をなぞらえてこの映画を撮ったのなら、つくりての作品へのモチーフは分かります。そのあたりを意識して見るとちょっと違って見えてくるのかもしれません。

対して『イノセント・ボイス』のほうはつくりて自身の体験をもとにした話であることをあらかじめ知っていて、この点を意識し過ぎるぐらいに意識して見ていました。
もしかしたらつくりての思いみたいなものに圧倒されて、映画作品としての出来以上に過大評価しているところがあるのかもしれないと思うぐらいです。

僕はつくりて、書きて自身の体験をもとにした「私映画」「私小説」の類いのものがわりと好きなほうだと思うのですが、一方でそうしたものはつくりての「気持ち」「思い」に感情移入してつい過大に評価してしまっているのではないか、芸術作品としての出来というのは別に考えるべき問題なのかもしれないという気持ちもないではありません。
実際、「私映画」「私小説」のようなタイプの作家は、それで1本、がーんという傑作を撮る(書く)のだけれども、どうも先細りしてあとは同じような作品を模倣して量産することで終わってしまうことも多いようには思います。
むしろ、自分のことを語ることは回避していてひたすら面白い物語を語ろうとしている作家が純粋に物語を語る技術でベストセラー作家になったり職人作家として売れっ子になったりするということはあるような気はします。
そういった意味では『イノセント・ボイス』の脚本家も、果たして今後、脚本家、監督として大成する人なのかどうかは分からないとは思うのですが、それでも『イノセント・ボイス』の場合は語られている個人の体験があまりにもすごいものですので、「私映画」であったとしても並の「私映画」とは異なるものであり際だっている作品だと言えるのではないでしょうか。
0

2006/2/4

ハマース大勝についての記事(ベイルート通信)  イスラエルとパレスチナ、中東

下記の「ベイルート通信」に「ハマース大勝」についての記事があったので転載します。

http://www.geocities.jp/beirutreport/

ベイルート通信
連載「レバノン〜揺れるモザイク社会」

第9回「ハマース大勝」
裁かれたファタハ
 1月25日に行われたパレスチナ立法評議会(PLC)選挙で、初参加のハマースは全132議席中、単独過半数を優に超える76議席を獲得。今後の組閣交渉を主導することになった。一方、1960年代末から40年近くにわたり、パレスチナの意思決定をほぼ独占してきたファタハは43議席しかとれず、権力の座から追われた。
 ファタハが危ないのは事前にわかっていた。
 10年来の和平交渉で、イスラエルから譲歩らしい譲歩を引き出せず、独立パレスチナ国家樹立は夢のまた夢。汚職が蔓延しているのに誰一人追及されない。オスロ合意以来、日本も含め国際社会が湯水のごとく支援金を注ぎ込んだが、自治区の生活環境は一向に改善されず、職にあぶれた若者たちが街にあふれている。その一部は武装集団となって誘拐や銃撃など絶えずトラブルを引き起こす。
 外にこれだけ問題を抱えているというのに、ファタハ指導部は内部で権力闘争に明け暮れてきた。12月も半ばになってから若手幹部らがファタハを飛び出し、独立リストで出馬する有様。
 当時の地方議会選でハマースが躍進し、危機感を高めたファタハは若手を懐柔し、何とかリストを一本化した。しかし公認リストから洩れた候補者が立候補を取り下げない。例えば西岸地区のある選挙区では、定数1に対しハマースとファタハがそれぞれ1名ずつ公認候補を擁立。そこに実に9名のファタハ非公認候補が加わる乱戦となった。
 これではファタハ候補同士の共食いとなり、共倒れするのも当然だ。
 だから今回の選挙結果には、「有権者を裏切り続けたファタハが鉄槌をくらった」、「ファタハは自滅した」という側面が大きい。

ハマースの強み
 しかしもちろんそれだけではない。ハマースの主張や活動が有権者の共感を得たという面も無視できない。
 例えば和平交渉に対する態度がそうだ。
 和平交渉を続けても、イスラエルは占領地からまったく出て行こうとはせず、逆に入植地や分離壁をつくって占領の恒久化を図った。しかし、ハマースが粘り強く武装闘争を続けたガザでは、イスラエルは一方的に撤退した。
 前回書いたように、この撤退実現にはシャロンの様々な計算が働いており、単純に「武装闘争の成果」と結論出来るものではない。だが40年来の占領に苦しんできた人たちが、「和平交渉では返ってこなかった領土が武装闘争によって返ってきた」と受け止めるのも無理はない。
 それから、ハマースが行ってきた地道な社会活動もある。
 筆者は1990年代に日本のNGOの現地代表として、西岸・ガザ地区で様々なパレスチナ系組織と関わってきたが、その中で印象に残っているのはやはりハマース系の組織である。
 ファタハやPFLPなど、PLO系組織とハマース系の組織との大きな違いは、地域社会への密着度だ。
 PLO系組織は、大体欧米の大学で博士号をとってきたような開発経済分野のエリートが運営している。英語に堪能で、しかも国連や西側世界がどんな開発分野(例えばジェンダーや平和構築など)に興味を持つかを熟知しているから、プレゼンテーションが上手い。
 ドナーの側にはアラビア語が出来る人材は滅多に居ないから、流暢な英語を操るパレスチナ人エリートから、ジェンダーや平和構築など、開発分野のトレンドを押えたプレゼンを受けると、ころりと参ってしまう。
 そうやってドナーを説得して資金を確保するところまではよいのだが、何しろ自己資金が無いものだから、活動に継続性が無い。担当者がプロジェクトを投げ出して古巣を飛び出し、別団体を立ち上げるということも度々起きる。
 こういう団体の場合、ドナーとのつきあいは生命線だから、やたらと会議や出張に金がかかる。新たな団体が出来るたびに事務所の家賃や家具代、オフィス機器の経費もかかってくる。
 資金源も発想も、ついでに言えば服装や食生活に至るまですべて外国仕込みだから、本当に援助が必要な農村や難民キャンプに入っていくとどうしても浮いてしまう。その村の複雑な人間関係も理解していないから、プロジェクトをめぐってトラブルが起きると、収拾する能力もない。
 ハマース系組織は違う。財源は地域の喜捨(ザカー)基金や、湾岸諸国の信徒からの寄金が中心だ。喜捨はイスラーム教徒の義務だから、こういった金は安定して供給される。それに加えて、診療所や養鶏場、薬局、保育園など、収益のあがる事業も行っているので自前の資金もある。だからドナー諸国の意向や事情に左右されることはない。医師や弁護士、技師など専門技術を持った人材も豊富で、しかも現地でリクルートしている。地域社会を熟知し、完全に溶け込んで活動しているから効率的だ。「殉教者」の遺族の面倒もよくみる(もっとも、これは自爆攻撃というかたちで「殉教」させた側の責任というべきか)。
 褒めすぎのように思われるかもしれないが、実際開発事業の現場に居るとハマースには適わない、と思うことが多かった。
 昨年12月の地方選挙のあと、ハマースのハムダーン駐レバノン代表にインタビューして「勝利は予想どおりでしたか?」とたずねると、「いや、予想以上だった」と答えてから、各地方議会における予測得票率と獲得議席数をすらすらと並べるので驚いた。しかも各選挙区の候補者名をすべて諳んじている。現場から離れたベイルートの広報担当官なのに、現場の事情を緻密に把握しているのだ。
 PLC選挙の投票前日に会ったPLO大物幹部はその点対照的だった。豪放磊落で筆者も好きなキャラクターではあるのだが、獲得議席数の予想を問うたら
「ファタハ60議席、ハマース30議席というところかな」
と言う。いくらなんでも呑気過ぎないか、と思ったが、果たしてそうだった。

衝撃の余波
 予測を上回るハマースの大勝で、関係諸国も一様に衝撃を受けている。米国やEU諸国、日本などこれまでせっせとパレスチナ自治政府≒ファタハを支援してきたドナー諸国政府は、困惑を隠しきれない。小泉総理は「ハマースも責任を自覚して共存共栄の道を歩んでくれると良い」と珍妙なコメントを発したが、イスラエルの存在を認めず、自爆攻撃を繰り返すハマースと、ハマースの存在を認めず幹部をしらみつぶしに殺してきたイスラエルが果たして「共存共栄」出来るものかどうか。
 とりあえず、米欧諸国は
「ハマースがイスラエル殲滅と言う目標を捨て、武装部門を解体しない限り交渉は出来ない」
という立場を打ち出した。ハマースとしても実際に政権与党となるなら、傘下の「カッサーム旅団」を野放しにするわけにもいかず、自治政府の治安部隊にでも組み込んでいくしかないだろう。とりあえずはそこから始め、ファタハとの関係を修復し、自治区の治安回復に取り組むのが先決だ。
 イスラエルは選挙直前まで、自治政府に対してハマースを選挙に参加させるなと圧力をかけてきた。投票の前々日には、テロ容疑で無期懲役5回分の判決を受けて獄中にあるファタハ候補マルワーン・バルグーティに異例のテレビ・インタビューを受けさせるなど、ハマースの勝利を食いとめるために様々な手を打ったが、目的は果たせなかった。
 しかしハマースの圧勝はイスラエルにとって必ずしもマイナスではない。「和平交渉を再開しようにも相手が居ない」という理由で、西岸地区の入植地拡大や分離壁建設など、ますます一方的な措置をとりやすくなるからだ。
 ただし、ハマース大勝が3月のイスラエル総選挙にも大きく影響することは必至だ。
0

2006/2/3

『運命のつくりかた』  映画

昨日に続き、アテネフランセ文化センターで『フランス現代映画への視線−「横浜シネマテーク」所蔵作品から』という特集上映で、今日は『運命のつくりかた』(2002年、121分、監督/アルノー&ジャン=マリー・ラリユー、出演/マチュー・アマルリック、エレーヌ・フィリエール、ピエール・ペレ)を鑑賞。
冒頭からどんどんあっけにとられる方向に物語が逸脱していき展開するほとんどトンデモ恋愛映画の怪作だった。
ラリユー兄弟監督の作品は先日、日仏学院で見た『描くべきか愛を交わすべきか』もエリック・ロメールのようなタッチでスワッピング(夫婦交換)を描いたというトンデモ映画だったが、この『運命のつくりかた』はそれ以上の暴走ぶりだった。
もちろん、これはありきたりなパターン通りの恋愛ものにうんざりしたシネフィル(映画狂)の作り手が、どんどん物語があらぬ方向に逸脱して展開していったらどうなるかと確信犯的につくっているものなのだろう。そうした感覚は分かるけれども、注目するべきなのはシネフィル的な、ある種の自家撞着を起こしているような作品だとは思うんだけれども、かといって、いかにも過去の映画へオマージュを捧げたようなシーンにポイントが置かれているわけではないように思えるところではないだろうか。いかにもシネフィルっぽいミュージカルシーンも出てくるのだけれども、それよりも山のクライミングとか、オス鳥とメス鳥の愛の交歓(まるで自然科学映画みたいな)とか、そういうシーンが魅力的なのだ。つまり、シネフィルっぽい過去の映画へのオマージュのシーンよりも自然そのものをとらえたシーンに逸脱した瞬間が面白みになるようにつくっているのではないだろうか。ここに、この物語をどんどん逸脱させる映画のユニークさがあるのだろう。
ラストの雪が舞うクレジットタイトルのシーンも、ダグラス・サーク監督の『悲しみは空の彼方に』の冒頭のクレジットタイトルのシーンを思い起こさせるものなのだけれども、いかにも人工的な作り物の雪という感じでどことなくいかがわしさを感じさせるのだ。
それにしても、マチュー・アマルリックはこのトンデモ恋愛映画がなんとも適役で魅力的に思える。煮え切らないダメ男をやらせると輝く役者なのだろうか。
0

2006/2/3

斉藤久志の『三年身籠る』評  映画

『映画芸術』誌最新号に斉藤久志監督が『三年身籠る』について書いているのだけど、『三年身籠る』は映画だけでなく小説版もあるのだが、小説版のほうに大島弓子の『バナナブレッドのプディング』で主人公が見る夢のエピソード(生まれるのが恐いと言っている胎児に、生まれてみてご覧なさい、素晴らしいことが待っているからといったことを言うというエピソード)を思わせるエピソードがあるそうなのだけれども、たしかに『三年身籠る』はちょっと大島弓子的な作品だと思う。作品の雰囲気が大島弓子的ということではなく、やろうとしていることが大島弓子的。雰囲気が大島弓子風というものはこれまでもあった気がするけれども、雰囲気ではなくやろうとしていること自体が大島弓子的というのはけっこうありそうでなかったものかもしれない。
ただ映画では小説版とは変更してあるようで、どのように変わっているかも斉藤久志が書いているのだけれども、小説と映画との違いを考えさせるもので興味深い。(僕は小説のほうは読んでいなくて映画しか見ていないのだけれども。)
0

2006/2/3

『ラクダと針の穴』(その2)  映画

昨日、見たフランス映画『ラクダと針の穴』で興味をひくのは、ヒロインの兄のような、家(親)が金持ちなので働かなくてよく、人生を無為に過している人間が出てきたりしたところだろう。
そういうブルジョアだからといって人間的に悪いことをしているわけでもない。ブルジョアなので逆にいつまでも結婚もしなくて、ただ無為に過している。
貧しくてハングリーという人間や、退廃したブルジョアの人間とか、あるいは貧しい人間とブルジョアの人間の葛藤のドラマとか、そういう人間ドラマは多くの映画が描いてきたけれども、ブルジョアで、かといって特別、悪人というわけでもなくてただ無為に生きている人間というのは意外と描かれてこなかったのかもしれない。日本で言うと働かないニートでただぶらぶらしているみたいな。そういう人間の話はあまり誰も見たくないからだろう。金持ちの人間が働かなくてぶらぶらしている姿よりも貧しい人間が働いていつか世間を見返してやると頑張っている姿のほうが見る人は共感するのではないだろうか。
でも実はぶらぶらと無為に生きている人間にもドラマがあるはずなのだ。

『ラクダと針の穴』はそういうのを変に自虐的になったりもせずに客観性を保って描いていると思う。
これはたしかにアルノー・デプレシャン以降のフランス映画として注目できるものだろう。
0

2006/2/2

『ラクダと針の穴』  映画

アテネフランセ文化センターでフランスの女優、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(『ふたりの5つの分かれ路』の女優ですね)の初監督作品『ラクダと針の穴』(2003年)を鑑賞。
テデスキ自身が主演で現代女性の日常を追ったものであり、いわば「私映画」とでも言うべきものでしょうか。もちろん、実際のテデスキ自身の体験が語られているのかどうかは不明ですが。
エンターテインメントの映画ではなく、漠然とした現代の未婚女性が抱く不安な気持ち、揺れ動く気持ちをつかまえようとしたもので、すごく面白いというものではないんだけれども、かなり練っているもののように思いました。
たとえばヒロインの夢想を描いたものらしいアニメのシーンがいきなり入ったりして、ちょっと中国のジャ・ジャンクー監督の『世界』を思わせたのだけれども、日常的なシーンにふとそうした幻想シーンを入れる感じがさりげなくて、ジャ・ジャンクー以上に何か、きわめてさりげなく淡々とした日常と幻想(夢想)とを混合させることに成功しているのではないかと思いました。そうした幻想(夢想)シーン、また少女時代の回想シーンなどが次第に混合していくんだけど、少女の自分が誘拐されるとか、公園で会った男と結婚して子供が出来るとか、だんだん夢想がけっこうとんでもないものになっていくんだけれども、それでも平然と現実の日常にまた戻って淡々とうんざりしている毎日が続いているという感じですごくさりげないんですね。そこが練られているように思いました。
またたとえばヒロインが車を運転しながら画面の下の方に手をのばして何かをしているんだけど、そこは写っていなくて何をしているんだろうと思って見ていたらカバンから口紅を出そうとしていたようで、口紅を出してきて運転しながら口紅を塗るとか。次は教会のシーンなんだけど、これでこのヒロインが教会の神父に心の中でこっそり変な気を起こしている(笑)ことが分かるとか。うまい演出だと思いました。

*参考
ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ インタビュー
http://sakurako0720.at.infoseek.co.jp/interviews/vbt.html
0

2006/2/2

アカデミー賞ノミネート、決まる  映画

アカデミー賞ノミネート
 
作品賞[Best Picture]
『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
『Capote/カポーティ』
『Crash/クラッシュ』
『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』
『Munich/ミュンヘン』

主演男優賞[Actor in a leading role]
フィリップ シーモア・ホフマン『Capote/カポーティ』
テレンス・ハワード『Hustle & Flow』
ヒース・レジャー『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
ホアキン・フェニックス『Walk the Line/ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』
デヴィッド・ストラザーン『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』

主演女優賞[Actress in a leading role]
ジュディ・デンチ『Mrs. Henderson Presents/ミセス・ヘンダーソン・プレゼンツ』
フェリシティ・ハフマン『Transamerica/トランスアメリカ』
キーラ・ナイトレイ『Pride and Prejudice/プライドと偏見』
シャーリーズ・セロン『North Country/スタンドアップ』
リース・ウィザースプーン『Walk the Line/ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』

助演男優賞[Actor in a supporting role]
ジョージ・クルーニー『Syriana/シリアナ』
マット・ディロン『Crash/クラッシュ』
ポール・ジアマッティ『Cinderella Man/シンデレラマン』
ジェイク・ギレンホール『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
ウィリアム・ハート『History of Violence/ヒストリー・オブ・バイオレンス』

助演女優賞[Actress in a supporting role]
エイミー・アダムス『Junebug』
キャサリン・キーナー『Capote/カポーティ』
フランシス・マクドーマンド『North Country/スタンドアップ』
レイチェル・ワイズ『The Constant Gardener/ナイロビの蜂』
ミシェル・ウィリアムス『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』

監督賞[Directing]
アン・リー『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
ベネット・ミラー『Capote/カポーティ』
ポール・ハギス『Crash/クラッシュ』
ジョージ・クルーニー『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』
スティーヴン・スピルバーグ『Munich/ミュンヘン』

長編アニメ賞[Animated Feature Film]
『Howl's Moving Castle/ハウルの動く城』
『Tim Burton's The Corpse Bride/ティム・バートンのコープスブライド』
『Wallace & Gromit: The Curse of the Were-Rabbit/ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』

外国語映画賞[Foreign Language Film]
『Don't Tell』(イタリア)
『Joyeux Noel/戦場のアリア』(フランス)
『Paradise Now』(パレスチナ)
『Sophie Scholl The Final Days/白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々』(ドイツ)
『Tsotsi』(南アフリカ)

*『Paradise Now』は以下の記事を参照
http://www.imdb.com/title/tt0445620/

*『Tsotsi』は以下の記事を参照
http://hamchu.exblog.jp/2272350

http://epha.exblog.jp/2635918

脚本賞[Original Screenplay]
『Crash/クラッシュ』
『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』
『Match Point/マッチ・ポイント』
『The Squid and the Whale/イカとクジラ』
『Syriana/シリアナ』

脚色賞[Adapted Screenplay]
『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
『Capote/カポーティ』
『The Constant Gardener/ナイロビの蜂』
『A History of Violence/ヒストリー・オブ・バイオレンス』
『Munich/ミュンヘン』

美術賞[Art Direction]
『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』
『Harry Potter and the Goblet of Fire/ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
『King Kong/キング・コング』
『Memoirs of a Geisha/SAYURI』
『Pride & Prejudice/プライドと偏見』

撮影賞[Cinematography]
『Batman Begins/バットマン ビギンズ』
『Brokeback Mountain/ブロークバック・マウンテン』
『Good Night, and Good Luck/グッドナイト&グッドラック』
『Memoirs of a Geisha/SAYURI』
『The New World/ニュー・ワールド』

衣装デザイン賞[Costume Design]
『Charlie and the Chocolate Factory/チャーリーとチョコレート工場』
『Memoirs of a Geisha/SAYURI』
『Mrs. Henderson Presents/ミセス・ヘンダーソン・プレゼンツ』
『Pride and Prejudice/プライドと偏見』
『Walk the Line/ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』

編集賞[Film Editing]
『Cinderella Man/シンデレラマン』
『The Constant Gardener/ナイロビの蜂』
『Crash/クラッシュ』
『Munich/ミュンヘン』
『Walk the Line/ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』

メイクアップ賞[Makeup]
『The Chronicles of Narnia: The Lion, The Witch and The Wardrobe
 ナルニア国物語 第1章ライオンと魔女』
『Cinderella Man/シンデレラマン』
『Star Wars: Episode III - Revenge of the Sith
 スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐』

作曲賞[Music (original score)]
『Brokeback Mountain』
『The Constant Gardener/ナイロビの蜂』
『Memoirs of a Geisha/SAYURI』
『Munich/ミュンヘン』
『Pride & Prejudice/プライドと偏見』

オリジナル歌曲賞[Music (original song)]
『Crash/クラッシュ』“In the Deep”
『Hustle & Flow』“It's Hard Out Here for a Pimp”
『Transamerica/トランスアメリカ』“Travelin Thru”

音響賞[Sound Mixing]
『The Chronicles of Narnia: The Lion, The Witch and The Wardrobe
 ナルニア国物語 第1章ライオンと魔女』
『King Kong/キング・コング』
『Memoirs of a Geisha/SAYURI』
『Walk the Line/ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』
『War of the Worlds/宇宙戦争』

音響編集賞[Sound Editing]
『King Kong/キング・コング』
『Memoirs of a Geisha/SAYURI』
『War of the Worlds/宇宙戦争』

視覚効果賞[Visual Effects]
『The Chronicles of Narnia: The Lion, The Witch and The Wardrobe
 ナルニア国物語 第1章ライオンと魔女』
『King Kong/キング・コング』
『War of the Worlds/宇宙戦争』

ドキュメンタリー賞[Documentary Feature]
『Darwin's Nightmare』
『Enron: The Smartest Guys in the Room』
『March of the Penguins』
『Murderball』
『Street Fight』

ドキュメンタリー短編賞[Documentary Short Subject]
『The Death of Kevin Carter』
『God Sleeps in Rwanda』
『The Mushroom Club』
『A Note of Triumph』

実写短編賞[Live Action Short Film]
『Ausreisser (The Runaway)』
『Cashback』
『The Last Farm』
『Our Time Is Up』
『Six Shooter』

アニメーション短編賞[Animated Short Film]
『Badgered』
『The Moon and the Son: An Imagined Conversation』
『The Mysterious Geographic Explorations of Jasper Morello』
『9』
『One Man Band』
0

2006/2/1

『ホテル・ルワンダ』  映画

これは微妙でした。
おそらく見る人が感情移入しやすいようにそうしたのでしょうが、主人公がふらふらしている性格で、お金で事態を解決しようとしたかと思ったら、突然、正義感を発揮したりします。戦時下でのそうした人間の姿を描こうというねらいは分かりますが、ところどころ、どうして心変わりをするのか、主人公の気持ちの変化がよくつかめず、あまりにいきあたりばたりに行動しているように思えてきてしまいました。
またネタバレになるといけませんので具体的には書きませんが、この主人公がもしもの場合はということで妻に言った発言はあまりにも不用意な発言のように思え、どうしてそんなことを言うのかと唖然としてしまいました。
もしかしたら人間というものの煮え切らなさを描き出しているとも言えるのかもしれませんが、見ている時は僕は気持ちがついていけずに困ってしまいました。
0

2006/2/1

『イノセント・ボイス 12歳の戦場』  映画

『スタンドアップ』も『ホテル・ルワンダ』も『男たちの大和』も個人的にはいまいち乗れないところがあるのですが、これは好きですね。
演出などは雑なところがあるような気はしました。
また戦闘シーンかと思ったら、無邪気に子供たちがユーモアをかわすシーンになったり、大体、いつ弾が飛んでくるのか分からないのにけっこう平気で子供たちが町を出歩き遊んでいたり、さらには『小さな恋のメロディ』みたいな女の子との甘酸っぱいシーンまであって・・おいおい、南米ならではの大らかさなのかもしれないが、呑気過ぎないか?とは最初、見ていて思いました。これは非難して言うわけではなく、率直にびっくりしてあきれてそう思ったのです。
しかし、そういうシーンがこの映画がやろうとしていることなのだろうと途中から思い直しました。
つまり、この映画は子供が子供であり続けるための戦いを描いた作品なのではないでしょうか?
少年が12歳で戦場に行くという、過酷というよりほとんどむちゃくちゃな状況の中で、子供が子供でいられなくなる状況の中で、主人公の少年はなおかつユーモアや想像力で無邪気に笑ったり遊んだり、つまりは子供であり続けようとしているかのように思いました。子供であり続けようとするところにこの主人公の少年の戦いがあるのだと思い、そこに感情移入していきました。
ある意味でこの作品は『戦場のピアニスト』の逆を行くものなのかもしれません。『戦場のピアニスト』は戦場で人間が人間的な感情を喪失していくのを描いていました。それに対して、この『イノセント・ボイス』は感情を喪失しようとしている少年が感情を持ち続け、子供でいつづけようとする闘争を描いたのではないかと思いました。
0



teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ