2006/4/30

訃報 沼田曜一  映画

*中川信夫監督特集を何本か見たばかりでこの訃報を目にするとは・・。合掌。

(ニュース)
東映任侠映画で活躍の沼田曜一さん死去
 東映任侠(にんきょう)映画や民話の語り部として活動した俳優沼田曜一さん(ぬまた・よういち、本名・美甘正晴=みかも・まさはる)が29日、心不全のため自宅で死去した。81歳。岡山県出身。通夜は5月4日午後6時から、葬儀・告別式は5日午前11時から埼玉県所沢市北原町1282の所沢市斎場で。喪主は妻雅子(まさこ)さん。自宅は非公表。NHK大阪放送劇団を経て、映画界入り。50年に東映の前身東横映画が製作した「きけ、わだつみの声」に主演。第2次大戦下のビルマ戦線を舞台に学徒兵の悲惨な最期を演じて注目をあつめた。「真空地帯」「深い河」のほか、ホラー映画「リング」(98年)「リング2」(99年)などにも出演した。70年からは民話の語り部をライフワークとし、各地を渡り歩き、広島の原爆を基にした「おこり地蔵」などを制作した。(日刊スポーツ
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2006/4/30

『トム・ヤム・クン!』  映画

象を追いかける単純な話のアクションものかと思ったら、けっこう意表をつく展開。変な話を考えるなあ。
トニー・ジャーは笑わない寡黙なヒーローのためか、傍役の刑事がコメディ演技をしていてコメディ的要素をうまく盛り込んでいる。
ただ話が広がり過ぎてまとまっていないところは無きにしもあらず。特に今回の映画はちゃんとヒロインが出てくるのにあまり出番がなかったようなのがちょっともったいない気がする。恋愛とかをやる映画ではないのかもしれないけど、寡黙な男、トニー・ジャーがどんな風に恋愛をするのかもちょっと見てみたい気がするんだけどなあ。
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2006/4/29

カネミ油症 五島市で被害者支援組織が発足  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
来月にも五島にカネミ油症の被害者支援組織発足
 カネミ油症事件の被害者が多く住む五島市で、被害者支援組織が発足する。二十八日、同市議会の有志十人が超党派で会合を開き、協力して準備を進めることを確認。他の市議や市民団体を巻き込んだ広範な組織を、五月上旬に立ち上げる。
 カネミ油症被害者支援センター(東京)によると、地域の支援組織は現在全国になく、救済運動の大きな原動力になるとみられる。
 同市では、これまで支援組織を模索する動きが続いていたが、救済法案が今国会に提出される動きが進む中、真の救済を求める被害者たちをバックアップする態勢が早急に必要と判断した。
 被害が集中する同市玉之浦、奈留両町出身の四人を含む市議十人が同日、市役所で呼び掛け人会議を開き、思想信条、主義主張を超えて市民と一丸となって支援することなどを確認。被害者が救済を求めて取り組んでいる運動へのカンパ、署名活動、学習会を主な活動とし、支援に徹するという。
 呼び掛け人の江川精一郎議員は「この問題に党派は関係ない。さらに広く協力を呼び掛け、みんなで救いたい」、草野久幸議員も「被害者の要望こそ最も大切。五島市から全国に支援の輪を広げたい」と話した。
 被害者組織「カネミ油症五島市の会」の宿輪敏子事務局長は「本当にうれしく頼もしい。地元で油症への理解が広がることは大きな精神的支えになる」と喜んだ。カネミ油症被害者支援センターの藤原寿和事務局長は「画期的な取り組みであり連携したい。五島市の取り組みが弾みになり、福岡や北九州に波及することを期待する」と話した。(長崎新聞、2006年4月29日)
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2006/4/28

川島雄三と中川信夫(2)  映画

ラピュタ阿佐ヶ谷で美しい語り口の作品、中川信夫監督『番場の忠太郎』(中川監督版『瞼の母』)を見てから、シネマアトーン下北沢で川島雄三監督『東京マダムと大阪夫人』。
『適齢三人娘』や『とんかつ大将』でも描かれていた、登場人物が自分が恋する相手が別の人間が好きであることが分かった時に恋敵のライバルに対してダンディズムあふれる行動をとるシーンがまた出て来た。それまで他愛がない恋愛合戦かと思って見ていたのだが、こうしたシーンの意表をつく展開にやっぱりしびれてジーンとなる。
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2006/4/27

『東海道四谷怪談』  映画

ラピュタ阿佐ヶ谷で中川信夫監督の『東海道四谷怪談』。
言うまでもなく、日本映画史上に燦然と輝く傑作中の傑作。
自分は完璧さ、完成度の高さをめざした映画はあまり好きではない・・みたいなことをよく僕は言ったりしているのだけれども、この映画に関しては本当に完璧な傑作だと唸るしかない。
低予算を逆手にとったようなカメラワーク。直助という民谷伊右衛門をそそのかす主人公、伊右衛門よりもさらに悪いやつを出したことで深みを出すことに成功したキャラクター設定。そうした様々な要素が完璧なまでに映画的だ。もちろんあまりにも有名な歌舞伎を土台にした作品なのだけれども、完璧なまでにというのか、骨の髄まで映画的な作品なのだ。
特にラストシーンのお岩さんのカットを含め、こうした怪談ものでもきちんとキャラクターを昇天させるように描く中川信夫監督の心優しさみたいなものにしびれてしまうのだ。
恐いというより、うっとりとしてしまうような作品だと言えるのかもしれない。

もちろん、この映画を代表作として知られる名カメラマン、西本正氏が香港娯楽映画の基礎を築いた人物である(『ドラゴンへの道』などブルース・リー映画のカメラマンでもあるのだ)ということもきわめて映画的な事態であると言えるのかもしれない。

西本正 作品リスト
http://www.jmdb.ne.jp/person/p0221150.htm
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2006/4/27

水俣病 自民党がチッソ分社化検討  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
チッソ分社化検討 自民小委が方針 収益力強化促す
 自民党水俣問題小委員会(松岡利勝委員長)は二十六日午前、水俣病の原因企業チッソについて、患者補償や公的債務返済を担う会社と、現在の事業活動を継続する会社に分離する「分社化」を検討する方針を確認した。党の正式機関がチッソ分社化を打ち出すのは初めて。水俣病認定基準の見直しには応じないとしている。
 同党によると、分社化はチッソの収益力強化を促し、経済活動を展開しやすくするのが目的。患者補償や公害防止事業などで約千三百億円に膨らんだ公的債務を滞りなく返済させる狙いもあるという。
 分社化の具体的手法は今後、政府・与党間で協議する。現在のチッソ本体を患者補償と公的債務返済の会社とし、事業活動は新会社に譲渡する手法が有力とみられる。分社化時期は未定。同党は当面の支援策として、法人税などを免除した上でチッソの収益を優先的に公的債務返済に充てられないか検討する。
 一方、認定申請者らが求めている認定基準の見直しについては、(1)水俣病関西訴訟最高裁判決は原告と公害健康被害補償法の認定患者を明確に区別し、認定患者より低い補償金額を容認している(2)見直しの議論は医学的に不合理で、一九九五年の政治解決にも合致しないと主張。「見直しで新たな補償金が発生してチッソが破たんすれば、現在の認定患者への支払いがストップする。認定基準の緩和は認められない」との見解を示した。
 チッソの公的債務返済の枠組みは、二〇〇〇年の閣議了解に基づく。同社は毎年、経常利益から患者補償金や内部留保を差し引いた額を返済。残りは国、県が肩代わりしている。
 小委は党本部で非公開であり、県関係国会議員や政府、熊本、鹿児島両県の担当者ら約五十人が出席した。終了後、松岡委員長は「(JR各社と清算事業団に分割した)国鉄の例もあり、政治が手を貸す必要があると思った」と語った。(鎌倉尊信)

<解説>チッソ分社化 見えぬ被害者救済策
 自民党水俣問題小委員会が検討を確認したチッソ「分社化」は、チッソを患者補償・公的債務返済を担う会社と、事業運営会社に分離することを目指す。しかし、新たな事業運営会社は事実上、水俣病の発生・拡大について免罪される可能性があるだけに、関係者の理解が得られるかは不透明だ。
 今回の同小委の方針からは、新事業会社を巨額の公的債務から解放し、液晶など好業績を続ける事業活動に専念させようという政治判断がうかがえる。
 水俣病認定基準の見直しでも、同小委は「基準の緩和は医学的にボーダーラインにある層をすべて認定することになる」と主張。その上で「(補償金の増大で)チッソが経営破たんすれば、現在の認定患者への補償だけでなく、水俣地域の再生に向けた取り組みが頓挫する」との見解を示し、患者補償や地域再生のためにもチッソ存続を最重要課題と位置付ける。
 ただ、約三千八百人に上る新たな認定申請者や原告千人を超える訴訟の提起など、水俣病関西訴訟最高裁判決後に生じた混乱に対する具体的な対応策は示していない。
 環境相の私的懇談会「水俣病問題に係る懇談会」では、委員から認定基準の見直しとチッソの補償金負担増の関係を示すよう求める意見が出たばかり。分社化は、公害補償の基本である汚染者負担の原則(PPP)をあいまいにし、チッソの“脱水俣”をも懸念する声が上がるのは必至。自民党小委の姿勢は、被害者救済より加害企業支援に力点を置いているようにも映る。(鎌倉尊信)
(熊本日日新聞、2006年4月26日夕刊)
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2006/4/27

水俣病 国県合意の密約が明らかになる  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
病院調査棚上げ 国県合意「認定患者増える」
 水俣病の認定申請後、県が定める検診を終えないまま死亡した人たちへの対応について、旧環境庁と県が一九八八(昭和六十三)年、「民間病院のカルテを審査資料に使うと認定患者が増える」として、生前診療を受けていた病院を積極的に調査しない方針を決めていたことが分かった。
 検診を終えずに死亡した認定申請者で、カルテが残っていないなど資料不足を理由に棄却された人は多いとみられ、遺族らは「被害者を切り捨てようとする行政の姿勢が裏付けられた」と批判している。
 生前の病院調査を死後十七年間放置され、九五年に棄却された女性の二男溝口秋生さん(74)=水俣市=が県に処分取り消しなどを求め、熊本地裁で係争中の訴訟で、県が提出した資料から明らかになった。
 資料によると、旧環境庁と県は八八年十一月、検診を終えずに死亡した人の扱いなどについて協議。県は、認定申請時に添付されている民間診断書を参考に推察すると、認定される人が八割近くになるという試算に基づき、認定患者の増加を懸念。さらに(1)県の検診結果で処分した人と民間資料を参考にした人との間に不公平が生じる(2)検診に応じない人が増えることが予想されるなどとして、病院調査を当面棚上げすることで旧環境庁と合意した。
 カルテの保存が義務付けられているのは五年間。溝口さんの母親のケースでは、政治決着の動きが活発化してきた九四年になって、県はようやく病院調査を実施。しかし、廃院や保存期限切れでカルテは残っておらず、県は資料不足を理由に棄却した。
 同訴訟を支援する水俣病患者連合の高倉史朗事務局長は「生存者の審査が忙しかったため死亡者の病院調査に手が回らなかったのではなく、認定患者を増やさないために故意に棚上げにしていたことが分かった」とした上で、「行政は申請者を厄介者と考えているとしか思えず、許せない」と話している。(久間孝志)
(熊本日日新聞、2006年4月23日朝刊)

*参考
この件に関しては以下のホームページに詳細が載っています。

溝口さん(水俣病認定)棄却取消行政訴訟のホームページ
http://homepage3.nifty.com/mizogutisaiban/
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2006/4/26

まだまだ続くよ、邦画の特集上映ラッシュ〜  映画

邦画の特集上映ラッシュ、すでに中川信夫、川島雄三、新藤兼人、三島由紀夫映画祭、加藤泰、野村芳太郎、田坂具隆、神代辰巳などの特集上映があることは書いたけど、こんなものまであります。いったい、どうなっているんでしょう。
どうせ見れないだろうけど・・。ほんとに誰が通うんでしょうか・・。

松竹110年 名匠たちの輝ける軌跡(新文芸坐)
http://www.shin-bungeiza.com/schedule.html#0424

清水宏や渋谷実が見れる。渋谷実監督の『気違い部落』、これも有名な作品だけど未見だなー。

田中登の官能美学(ラピュタ阿佐ヶ谷)
http://www.laputa-jp.com/laputa/program/tanakanoboru/

いどあきお脚本の田中登の映画はすごかったなー。実は『発禁本「美人乱舞」より 責める!』が一番すきなのだが今回はない模様。

笑うポルノ、ヌケるコメディ(シネマヴェーラ渋谷)
http://www.cinemavera.com/schedule.html

『エロ将軍と二十一人の愛妾』(鈴木則文)に『喜劇 特出しヒモ天国』(森崎東)に『徳川女刑罰絵巻 牛裂きの刑』(牧口雄二)など・・。
いずれもそれぞれの監督で最高作クラスのものと言われている・・。
実は『喜劇 特出しヒモ天国』未見なのだ! 大好きな森崎監督で唯一、見逃している作品。これは見ないと・・。

しかし、『車夫遊侠伝 喧嘩辰』(加藤泰、シネマヴェーラ渋谷)、『清作の妻』(増村保造、フィルムセンター)、『女地獄 森は濡れた』(神代辰巳、シネマアートン下北沢)など、それぞれの監督で最高作クラスのものが見れるんですねー。

つーか、見れないよ、こんなに・・。いったい、誰が見るのだ・・。
個人的には川島雄三、渋谷実、田坂具隆など、あまり見て来なかった監督の作品に多少なりとも触れるだけでも手いっぱいかも・・。
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2006/4/22

『ニュー・ワールド』  映画

全編、夢みているみたいな映画だった。こんな映画を撮るテレンス・マリック監督は本当に浮き世離れしていると思う。
映像美は圧巻で(しかし、撮りたい画ばかりを撮ってつなげているためなのか、カットつなぎはあまりに飛び飛びなので驚いたけれども)、夢のようなピュアな恋愛話も最初はひとめ惚れの設定だったので良かったのだけれども、後半までそういう調子が続くとちょっと疑問が沸いてきた。というか、それでは、この映画の主題の「原罪」ということがもうひとつ、深まって浮かび上がってこないのではないだろうか? 原住民の娘に恋しても自分はイギリス人であることに悩むという内面的葛藤が主題だと思うのだが・・。単にピュアな恋が種族違いの恋であるために引き裂かれるということなら『ロミオとジュリエット』とかと大差ないと思うのだけど・・。内面的葛藤ゆえに恋が行き違うのか、外部からの力によるものなのか、そのあたりが曖昧だったためにもうひとつ、つかみどころがない作品になってしまったのではないだろうか?
それにしても、このヒロインはたしかに魅力的な美人だとは思ったけれども、種族の中で飛び切りの美人というほどなのだろうかとふと疑問が沸いたりもしたのだが、これは好みの問題か?
またナレーションの主体がころころ変わるのはやっぱり分かりにくいとは思うのだけれども、それぞれの人物の視点が錯綜することを意図的にやろうとしたのかな? ナレーションも含めてトリュフォーの影響はある映画のような気はした。
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2006/4/22

カネミ油症 民主党の救済法案原案もまとまる  公害・薬害・環境・医療問題

*以下のニュースですが、約千九百人の認定患者のみならず、旧厚生省資料で「カネミ製品使用者」とされる一万三千人超が対象者になる点が与党の法案との大きな違いであるようです。

(ニュース)
カネミ油症 未認定患者も救済 民主対案 医療費、手当を支給
 一九六八年、福岡、長崎両県を中心に西日本一帯で発生した国内最大の食品公害・カネミ油症事件で、民主党がまとめた被害者救済法案の原案が十八日、明らかになった。
発生当時に中毒被害を訴え出た人々を新たに国の責任で被害者として幅広く認定し、医療費の自己負担分や健康管理手当を支給する内容。二十日の同党「次の内閣」副大臣会議で正式決定し、同じく救済法案づくりを進めている与党側に対案として提示する方針。
 自民、公明両党が検討している救済法案では、対象を約千九百人の認定患者に限定する方向。これに対し、民主党案は「未認定患者を含め最大で一万三千人が対象となる抜本救済案」と位置付けており、今後の救済論議に影響を与えそうだ。
 民主党案は「ダイオキシン類に起因する健康被害を受けた者の福祉の増進に関する法律」とし、厚労相が存命の被害者からの申請に基づき救済対象者を認定する仕組み。認定者には「ダイオキシン類健康被害手帳」を交付し、医療費の自己負担分と健康管理手当を支給。専門の治療・研究機関も設置し、研究に協力した被害者には「調査研究協力費」を支給する、としている。
 発生当時、被害を届け出た一万四千人以上のうち旧厚生省資料で「カネミ製品使用者」とされる一万三千人超が対象者になる見込み。当時被害届を受理した各自治体作成の疫学調査資料を基に、対象者のカネミ油摂取などが確認できれば認定する形を想定している。
 支給額など詳細は政令で定め、手当支給には所得制限も設ける方針。焦点となっている仮払金返還問題は法案に含めず、政府に実質的な債務免除を働き掛ける構え。
 与党案に比べ救済枠を大きく広げ、恒久的対策を講じる点から、被害者側の要望に沿った法案として注目されそうだ。
(西日本新聞、2006年4月19日朝刊)
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2006/4/21

日本記録映画作家協会50周年記念映画祭のお知らせ  映画

このたび、以下の映画祭のスタッフを僕はしています。少しでも宣伝しないといけないため、映画祭のブログを紹介させて頂きます。

日本記録映画作家協会50周年記念映画祭ブログ
http://wave.ap.teacup.com/documentary/

4月18日(火)・20日(木)・21日(金)の3日間に20本のドキュメンタリー作品を上映します。

(作品)
『1952年メーデー』『月の輪古墳』『ひとりの母の記録』『煤煙の街の子供たち』『1960年6月 安保への怒り』『挑戦』『沖縄戦 -未来への証言』『盲ろう児』『日本の憲法』『今こそ自由を!金大中氏らを救おう』『われわれは監視する』『絵図に偲ぶ江戸のくらし』『漆器づくりの要具』『子どもたちの昭和史』『24000年の方舟』『細胞性粘菌の行動と分化』『あの日この校舎で』『東京のカワウ』『対馬藩にみる鎖国時代の国際交流』『掘るまいか』の20本。

(会場)中野ゼロ小ホール
*スケジュール、問い合わせ先、作品内容紹介などの詳細はリンク先のブログをご参照ください。よろしくお願いします。


*上記の映画祭は昨日で終了しました。3日間の有料入場者数は延べで約650人。来場された皆様、有難うございました。
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2006/4/19

ノーモア水俣病:50年の証言(10)  公害・薬害・環境・医療問題

ノーモア水俣病:50年の証言/10 汚悪水論 /熊本
 ◇原告勝利への突破口−−企業の公害防止に機能
 69年に提訴した水俣病第1次訴訟で当初、原告側は重大な危機感に包まれていた。大きな壁として立ちはだかったのが「過失論」だった。
 弁護団は当初、毒劇物取締法で「毒物」としている水銀を流したとしてチッソの過失責任を主張した。だが、水俣病は、排水の水銀を直接摂取した患者が発症した訳ではなく、魚介類の体内に濃縮され続けた水銀を間接的に取ったのが原因。こうした“生物濃縮”による公害は、当時、世界でも例をみないものだったことを理由にチッソは「被害は予測できなかった」と反論。結果が予見できる場合に過失を認めるという法律論を盾にとった。
 弁護団は反撃を想定していたものの、対抗できる理論は模索中だった。訴訟を支援した水俣病市民会議や「水俣病を告発する会」は法律家や医師のもとに走り、協力を呼びかけた。
 当時、熊本大学の教官だった富樫貞夫・熊本学園大教授も「告発する会」の故本田啓吉代表から依頼を受けた。「聞けば聞くほど大変な裁判。30代半ばだった私は不安でしかたなかった。1人だけではおぼつかないので『医学や化学技術分野の人も一緒ならと引き受けてもいい』と」
 こうして69年9月、有志による「水俣病研究会」がスタートした。裁判は進行中で、待った無し。1年間は土日はつぶれ、連休や夏休みは合宿だった。そうして「汚悪水論」が生み出された。
 「汚悪水論」は、(1)水銀に限らずチッソの廃水にさまざまな有毒物質が含まれていることは明らか(2)水俣病以前にも漁業補償がされていることから同社も認識していた(3)にもかかわらず十分な予防措置を取らなかった――という論理建て。これが原告勝訴への突破口となり、今でも企業への公害防止の戒めとして機能している。
   ◇  ◇
 富樫教授は昨年11月、中国・上海の大学で開かれた「環境紛争処理日中国際ワークショップ」に参加。あわせて河南省の淮河(わいが)流域の水質汚染の実態を視察した。急激な高度成長が進む地方で、環境汚染が野放しで進む実態を目の当たりにした。
 河南省の農村では浅井戸が濁り、異臭を発していた。農薬や中小の製紙工場、食品化学コンビナートが汚染源とみられ、付近住民に消化器系のがんが多発していた。環境法制や民法すら整備されておらず、水質調査は皆無。損害賠償請求訴訟も起こっているものの日本よりはるかに勝訴は困難で、中央や地方政府に補償を求めるデモが広がりつつあるという。
 隣国の混乱を目にし、じくじたる思いにかられた。「国内で認定基準などに取り組むうちに、精神的鎖国におちいっていた。水俣病の教訓を海外で生かしてもらう取り組みが不十分だった」。河南省の汚染地区の上流には日本の食品会社と現地企業の合弁による工場があり廃水をたれ流しにしていたことが、よりショックを大きくした。
 「中国に限らずさらに問題なのは火力発電所。石炭に含まれる水銀が大気中に放出され、雨で海や川に流れて、魚の体内で濃縮される。水俣病問題に関わった我々は水の汚染ばかりに目を向けがちだったが、大気汚染を通して、水俣病はむしろグローバル化している」。水俣病50年の今こそ関係者が海外に目を向ける重要性が高まっている、と思う。【水俣病取材班】(次回は25日に掲載します)
(毎日新聞、4月18日朝刊)

*なお、このブログの「ノーモア水俣病:50年の証言(7)(8)(9)」の記事にトラックバックしていただいた「KPの小間使い」さんのブログの記事の中でこちらのブログをリンクしていただきました。有難うございました。

KPの小間使い  4月18日の「環境」関連記事
http://kprotocol.cocolog-nifty.com/blog/2006/04/18_f23c.html
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2006/4/19

4月17日、18日のカネミ油症関連記事(2)  公害・薬害・環境・医療問題

カネミ油症 日弁連が国に仮払金返済免除など勧告
 日本弁護士連合会(平山正剛会長)は17日、国内最大の食品公害とされる「カネミ油症事件」について、「国の不作為による人権侵害が認められる」として、被害者に返還を求めている17億円余りの損害賠償の仮払金について返済を全額免除するとともに、油症の認定手続きの見直しや医療支援などの救済策を確立するよう国に勧告した。
 事件は68年、カネミ倉庫(北九州市)製の米ぬか油を食べた人たちが皮膚炎や内臓疾患などを訴えた。約1万4000人が被害を届けたが、認定患者は3月末現在で1892人にとどまっている。国の責任を認めた下級審判決を受けて被害者にはいったん仮払金が支払われたが、国の責任を否定する判決も出たため患者側が最終的に国への訴えを取り下げ、国がその返還を求めている。
 子や孫の代まで症状が出て苦しんでいるのに認定が不十分で必要な治療が受けられず、仮払金の返済要求で自殺者も出ているとして、519人が人権救済を申し立てた。
 勧告書は、米ぬか油と同じ工程で出来た油を配合した飼料を与えたニワトリが大量死する事件を農林省(当時)が把握していながら、厚生省(当時)に伝えなかったことが被害を拡大させたと指摘。「被害者は自助努力で症状と闘ってきたというほかない」と国の不作為を厳しく批判し、救済には「国の主体的活動が不可欠」とした。
 勧告に法的な強制力はないが、日弁連は「国などに勧告の実施を強く求めていきたい」としている。厚生労働省食品安全部は「食品衛生法上の国の責任は裁判で否定された」と話している。
(朝日新聞、2006年 4月17日21:15)

「カネミ」の教訓 世界で生かせ 福岡県研究員 台湾へ ダイオキシン汚染を調査
 福岡県は十七日、台湾当局の要請を受けて、ダイオキシン類の研究実績を持つ県保健環境研究所(太宰府市)の職員三人を台湾南部の台南市に派遣し、汚染問題の調査に当たらせると発表した。
 同研究所は食品公害「カネミ油症事件」の被害者診断に取り組む中で、血液中に含まれるダイオキシン類の分析技術を確立したことで知られる。台南市では、除草剤や農薬の原料ペンタクロロフェノール(PCP)を製造した旧工場の土壌や周辺住民の血液からダイオキシン類が検出され、台湾当局は汚染拡大を懸念して住民約四千人の健康調査などに着手。同研究所に技術協力を依頼してきた。
 派遣されるのは、吉村健清所長ら職員三人で、日程は二十日から四日間。住民六十人分の血液採取するほか、今後の具体的な協力方法など話し合い、技術協力に関する協定を結ぶ予定。同研究所は「技術を外国の健康被害に役立てられるのは意義深い。アジアとの新たな交流になる」としている。
(西日本新聞、2006年4月18日朝刊)

日弁連 カネミ油症で救済勧告
カネミ油症は、カネミ倉庫が製造・販売した食用油を摂取した人たちがPCBやダイオキシンが原因で皮膚の異常などを訴えたもので、被害者519人が日弁連に対し人権救済の申し立てをしていたものです。17日に日弁連が行った勧告では、被害者の医療面の救済が、いまだに不十分だと指摘するとともに、一部の被害者は、裁判で国への訴えを取り下げたため、賠償金を返還しなければならず、被害者は身体的・経済的被害にとどまらず、社会生活にも及ぶ重篤な被害を被り、重大な人権侵害を受けていると指摘しています。そのうえで国には、専門的医療機関の整備や医療費、生活補償費の支給、それに賠償金の返還を全額免除する措置とることなどを求めているほか、カネミ倉庫には、さらに医療費を負担するよう求めています。今度の勧告に法的な拘束力はありませんが、厚生労働省では「厚生労働省の責任は裁判で否定されており、対応に問題があったとは考えていないが、勧告の内容を把握して対応を検討したい」と話しています。
(NHKウェブニュース、4月18日)
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2006/4/19

4月17日、18日のカネミ油症関連記事(1)  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
油症患者33年ぶり団結 カネミ被害者が「全員集会」 抜本救済を要望 北九州 
 福岡、長崎両県を中心に西日本一帯で発生した食品公害「カネミ油症」の被害者が国への要望などをアピールする「全被害者集会」が16日、北九州市小倉北区で開かれた。全国の被害者や支援者など約250人が集まり、恒久対策として医療費を公的負担とする「油症手帳」(仮称)の交付など、国への要望7項目を盛り込んだ決議文を採択した。今国会中、与党や国などへ要望書を提出する予定。
 政治的主張の違いなどから、1969年から87年までの損害賠償訴訟時、複数に分かれていた被害者団体が一堂に会するのは73年以来33年ぶり。
 呼び掛け人代表の原田正純熊本学園大教授は「被害者救済に限らず関連法が何もないカネミ油症事件は巨大な人権侵害。許してはおけない」とあいさつ、被害者の結束を求めた。長崎県五島市や北九州市の被害者6人は「全身病」といわれる油症の症状、仮払金返還や未認定の窮状などについて報告した。
 決議文は与党のプロジェクトチームで検討が始まった仮払金返還を免除する特別立法などのほか、(1)「油症手帳」の交付(2)「健康管理手当」の支給(3)「未認定被害者」の救済措置―などについても実現を要望している。
 呼び掛け人の1人の「油症医療恒久救済対策協議会」の矢野忠義会長(73)=福岡県小郡市=は「抜本的救済へ向け、大きな転機を迎えた。『被害者は運命共同体』と思い、一致団結するときだ」と強調した。
■カネミ油症事件
 1968年、カネミ倉庫(北九州市)製造の食用米ぬか油を摂取した1万4000人以上が健康被害を届け出た国内最大規模の食品公害事件。当初はポリ塩化ビフェニールが原因物質とされたが、その後、ダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフランが主原因と判明した。現在の認定患者数は福岡、長崎両県を中心に約1900人。損害賠償請求訴訟は87年に和解成立、患者側は国への訴えを取り下げた。過去の勝訴判決で国から受けた仮払金約27億円の返還が問題となっている。与党の救済法案は、国による実態調査や治療研究に協力した人に「協力金」を支払うという内容。仮払金返還も免除する立法措置の検討に入った。
(西日本新聞、2006年04月17日朝刊)

カネミ油症被害者、医療費負担など求めて集結
 本県など西日本を中心に一九六八年に発覚した国内最大の食品公害、カネミ油症事件で、被害者が真の救済を求めるため約二十年ぶりに集結した「カネミ油症全被害者集会」が十六日、北九州市内であり、医療費の公的負担などを盛り込んだ国への要望事項を決議した。
 要望事項は▽被害者への「油症手帳」(仮称)交付による医療費の公的負担▽被害者への「健康管理手当」支給▽カネミ油症の治療・研究事業の強化▽仮払金返還の免除を認める特別立法の制定▽未認定被害者の救済▽カネミ倉庫の損害賠償金支払いと新認定被害者へのカネカの和解金額支払い▽カネミ油症への差別・偏見をなくすための措置―の七項目。今後、賛同署名を集め、今国会に提出される救済法案に反映されるよう求めていく。
 集会には被害者ら約二百五十人が参加。本県の被害者ら六人が被害の実情や仮払金返還の苦しみ、カネミ油症の認定基準のあいまいさなどを訴えた。中尾五島市長は「五島市には病気に苦しんでいる人が大勢いる。皆さんの熱い思いを受け、五島市が先頭に立って(真の救済の)道を開きたい」と強調した。
 宿輪敏子カネミ油症五島市の会事務局長=同市奈留町=が要望事項を提案。被害者七人による討議に参加した広島市の男性(69)は「要望事項一つ一つが被害者にとって大切。命のある限り救済を求めて闘っていく」と涙ながら語った。
 集会後の記者会見で被害者らは「患者自身が目覚め、積極的に被害の重大さを訴えなければ大きな運動にはならない」「真の救済を勝ち取るまで最後まで力を合わせていきたい」などと連帯の必要性を強調した。
(長崎新聞、2006年4月17日)

仮払金返還の免除を勧告 カネミ油症で日弁連
 日弁連は17日、1968年に西日本一帯で発生した食品公害カネミ油症事件の患者や家族が現在も身体的、経済的に重大な人権侵害を受けていると認定し、国が患者に請求している損害賠償の仮払金返還を全額免除するよう国に勧告した。
 患者と家族ら計519人が2004年4月以降、相次いで人権救済を申し立てていた。国への勧告では専門的医療機関の整備のほか、医療費や生活補償費などの支給も求めている。併せて原因企業のカネミ倉庫(北九州市)に対しても、患者に支払う医療費の拡充などを勧告した。勧告に法的拘束力はない。
(西日本新聞、2006年04月17日19時16分)

抜本救済の道筋つけたい カネミ油症  「もう、これ以上私たちを苦しめないでほしい」
 福岡、長崎両県を中心に西日本一帯で発生した国内最大の食品公害「カネミ油症」の「全被害者集会」が16日、北九州市小倉北区で開かれた。
 油症被害者は政治的主張の違いなどから、十数団体に分かれて活動していたが、恒久的な対策を実現するには結束が必要として大同団結した。被害者団体が一堂に会するのは、1973年以来33年ぶりだ。
 カネミ油症は、68年に北九州市のカネミ倉庫が製造した食用米ぬか油を摂取した人たちが、吹き出物などの皮膚症状や内臓疾患の健康被害を訴えた食品公害事件である。
 当初は、米ぬか油の製造過程で混入したポリ塩化ビフェニール(PCB)が原因物質とされたが、その後、PCBよりはるかに毒性が強いダイオキシン類のポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)が中心的な役割を果たしていることが明らかになった。
 被害者が企業や国を訴えた損害賠償請求訴訟は89年までに企業と和解し、国への訴えを取り下げて終結した。だが、油症被害に対する有効な治療法は確立されておらず、多くの被害者が皮膚障害や頭痛、内臓疾患などの症状に苦しんでいるのが実態だ。
 被害を訴えた人は全国で1万4000人以上に上るが、厚生労働省の診断基準に基づき自治体などが認定した患者は今年3月末現在で1892人にすぎない。
 このため、全被害者集会では「油症手帳(仮称)を交付して、医療費を公的に負担してほしい」「生活を支援するため、健康管理手当を支給してもらいたい」「未認定被害者の救済措置を考えてほしい」といった声が相次いだ。
 こうした被害者の訴えに、自民、公明両党を中心に議員立法による被害者救済を探る動きが広がっている。
 いま検討されている救済法案は、国に被害の治療法の研究を義務づけて、研究に協力した被害者に「調査研究協力金」を支払い、健康管理や治療費などとして役立ててもらおうという内容だ。
 もう1つ被害者を苦しめているのが、損害賠償請求訴訟の上告審で訴えを取り下げたため、国から約27億円の仮払金返済を迫られている問題である。すでに治療費や生活費として使ってしまい、返済する資力のない人が少なくない。
 与党側は、こうした経済的負担に苦しむ被害者を対象に仮払金の返還を免除する方針で、返還免除のための立法措置を検討中という。
 カネミ油症事件の発生から、すでに38年になる。被害者の高齢化も進んでいる。被害者救済をこれ以上遅らせることは許されない。
 与党や国は、今国会中に何としても抜本救済の道筋をつけてもらいたい。
(西日本新聞、2006年4月18日朝刊 社説)

日弁連が国、企業に救済勧告 カネミ油症事件
 本県など西日本を中心に発生した食品公害のカネミ油症事件で、患者側から人権救済の申し立てを受けていた日本弁護士連合会(日弁連)は十七日、「(患者は)身体的・経済的被害にとどまらず、家庭生活や社会生活上、重大な被害を受けている」とする調査報告書を発表。国と加害企業のカネミ倉庫に対し、患者の救済制度を確立・拡充することなどを勧告した。
 勧告には法的な拘束力はないが、患者側は「被害者の救済に向け、何が必要かを法的な観点を含めて明らかにしてもらった」と高く評価。「全面的な実現に向け、政府、国会に努力を求めたい」としている。
 国への勧告は▽油症認定手続きの確立と全被害者の救済▽治療方法の研究・開発と専門的医療機関の整備▽医療費、生活補償費などの支給▽仮払金返還の全額免除―の四項目。カネミ倉庫には▽医療費支給範囲の拡充▽国の研究・開発への金銭的支出による協力―など四項目を勧告した。
 伊藤誠一・日弁連副会長らは、東京の弁護士会館で会見し「国は油症事件に先立って表面化したニワトリの大量中毒事件(ダーク油事件)の調査段階で、有害食品の回収や販売停止措置を取り得る立場にあった」などと国の責任を厳しく指摘。油症被害について「(和解や訴えの取り下げで)法的に決着しているが、人権侵害の状態は解消されずに続いている」との認識を示した。
 東京地裁内で会見した患者側の保田行雄弁護士は「勧告が、未認定の患者や世代を超えた被害を含めて救済の必要性を指摘していることは大きい」と強調。「カネミ油症五島市の会」の宿輪敏子事務局長は「素晴らしい結論。患者としてお礼を言いたい。この通りのことが実現されるまで頑張りたい」と語った。
 同事件では、一昨年四月から今年一月までの間に、未認定患者を含む計五百十九人が人権救済を申し立て、日弁連が五島市などでの調査などを続けていた。
(長崎新聞、2006年4月18日)
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2006/4/17

カネミ油症 日弁連が勧告  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
カネミ油症 日弁連が国に仮払金返済免除など勧告
 日本弁護士連合会(平山正剛会長)は17日、国内最大の食品公害とされる「カネミ油症事件」について、「国の不作為による人権侵害が認められる」として、被害者に返還を求めている17億円余りの損害賠償の仮払金について返済を全額免除するとともに、油症の認定手続きの見直しや医療支援などの救済策を確立するよう国に勧告した。
 事件は68年、カネミ倉庫(北九州市)製の米ぬか油を食べた人たちが皮膚炎や内臓疾患などを訴えた。約1万4000人が被害を届けたが、認定患者は3月末現在で1892人にとどまっている。国の責任を認めた下級審判決を受けて被害者にはいったん仮払金が支払われたが、国の責任を否定する判決も出たため患者側が最終的に国への訴えを取り下げ、国がその返還を求めている。
 子や孫の代まで症状が出て苦しんでいるのに認定が不十分で必要な治療が受けられず、仮払金の返済要求で自殺者も出ているとして、519人が人権救済を申し立てた。
 勧告書は、米ぬか油と同じ工程で出来た油を配合した飼料を与えたニワトリが大量死する事件を農林省(当時)が把握していながら、厚生省(当時)に伝えなかったことが被害を拡大させたと指摘。「被害者は自助努力で症状と闘ってきたというほかない」と国の不作為を厳しく批判し、救済には「国の主体的活動が不可欠」とした。
 勧告に法的な強制力はないが、日弁連は「国などに勧告の実施を強く求めていきたい」としている。厚生労働省食品安全部は「食品衛生法上の国の責任は裁判で否定された」と話している。(朝日新聞、2006年04月17日21時17分)

カネミ油症事件、日弁連が被害者救済を勧告
 過去最悪の食品公害「カネミ油症事件」で、日本弁護士連合会は17日、国や企業に対し、被害者を救済するよう勧告した。
 2004年4月以降、被害者519人が順次、日弁連に人権救済を申し立てていた。
 国については、カネミ油症事件の前触れとなった鶏の大量中毒事件の際、適切な対応をとらなかったことが被害拡大につながったなどと指摘。国と衆参両院に対し、<1>カネミ油症の治療方法の研究・開発<2>医療費や生活補償費の支給<3>被害者に、国への返還義務が生じている仮払金の一律全額免除――などを勧告した。
 また、原因となった食用米ぬか油を製造、販売した「カネミ倉庫」(北九州市)には、被害者救済が不十分として、<1>損害賠償債務の履行<2>新たに認定された被害者への賠償――などを勧告した。
 東京都内で会見した被害者の宿輪(しゅくわ)敏子さん(44)(長崎県五島市)は、「被害者の実態を調査していただいた結果の勧告。国がこの勧告通りに実施すれば、亡くなった人もいくらかは浮かばれ、年老いた被害者も少しは救われた気持ちになると思う」と涙ぐみながら話した。
 申し立て代理人の保田行雄弁護士は、「勧告は、政治的解決に向け、はずみをつけると思う」と述べた。
(2006年4月17日20時38分
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