2006/9/30

水俣病関連記事(9/21〜9/29)  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
水俣病対策推進、地元の要望反映・環境省が専門組織
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060921STXKE042021092006.html

 水俣病対策の一環として環境省は21日、発生地域の福祉や医療の向上を地元自治体と連携して進める「水俣病発生地域環境福祉推進室」を発足させた。

 室員は計9人で、熊本県と水俣市から1人ずつ職員の派遣を受けた。

 発足に際し、小池百合子環境相が「被害によって混乱した地域の再生は救済策と車の両輪。現場に根差した対策の発信地点になってほしい」と室員に要望。水俣市から出向の森枝聖子室員は「生まれ育った水俣の実情を伝えながら政策を進めたい」と話した。

 今後は、これまで国としてすくい上げられなかった地元の要望を出向職員を通じて集め具体策を検討する。〔共同〕 (日経 2006年9月21日)

[解説]水俣病懇談会 認定基準見直し盛らず
議論妨げた環境省 補償・救済に公平性必要
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060922ik03.htm

 水俣病問題の解決策を検討してきた小池環境相の私的懇談会「水俣病問題に係る懇談会」の報告書がまとまったが、焦点だった認定基準の見直しは盛り込まれなかった。公式確認から50年を経てなお解決できない異常事態を打破するには政治的決断が必要だ。(科学部・佐藤淳)

 懇談会が設置されたのは昨年4月。きっかけは前年の10月に出された水俣病関西訴訟の最高裁判決だった。判決は水俣病の被害防止策を講じなかった行政の責任を認定。行政が水俣病ではないとした人たちの一部を「メチル水銀中毒」と認めた。

 現行の認定基準では、手足の感覚障害だけでなく、視野が狭くなったり、運動に障害が出るなど、複数の症状がなければ、水俣病とは認められない。この点について、最高裁は、感覚障害しかない人でも、工場排水に含まれていた有機水銀に汚染された魚を多食し、家族に認定患者がいる場合には水俣病と認めた。

 関西訴訟以外の一連の水俣病裁判は10年前、原告側が政府の「政治的解決策」を受け入れて終結。感覚障害しかない人たちには、現行の認定制度とは別枠で、一時金や療養手当が支払われた。

 認定基準の是非について、最高裁は国の基準より幅広い解釈を採用した。その内容は被害を訴える人たちが水俣病かどうかをあいまいにしたまま導入された「解決策」の土台を揺るがす内容だった。

 認定基準の見直しに踏み込むべきかどうか。判決を踏まえて設置された懇談会でも議論は白熱し、委員からは「現在の基準は断固守るんだというやり方は一般の常識に反している」(元最高裁判事の亀山継夫氏)といった厳しい意見が相次いだが、環境省は終始、認定基準は見直さないという姿勢を崩さず、論点を水俣病の歴史の検証と、再発防止策に絞ろうと圧力をかけ続けた。今年3月の懇談会では小池環境相自身が「認定基準の問題は提言してもらっても、行政として対応できない」とクギを刺した。懇談会は結果的に、最大の焦点に真正面から向き合うことなく、環境省の思惑通りに決着した。

 過去の検証なら、すでに何度か行われている。91年には環境庁(当時)の有志が公害による経済的な損失を軸にした「日本の公害経験」と題した報告書をまとめているし、政治解決の際の総理大臣談話に基づいて設置された「水俣病に関する社会科学的研究会」も99年、「水俣病の悲劇を繰り返さないために――水俣病の経験から学ぶもの」と題した報告書を出している。今回まとまった報告書の歴史検証の部分は、その要約に過ぎず、見るべき内容はない。

 行政認定で水俣病と認められた患者は8月現在、約3000人、政治解決による救済対象者は約1万1000人いる。最高裁判決で補償を認められた原告もおり、さらに判決後、新たに1万人以上が行政認定や政治解決による救済を申請している。補償・救済制度は、問題がこじれるたびに複雑化するばかりだ。

 足踏みしたままの水俣病問題の根本的な解決には、入り組んだ補償・救済制度を解きほぐし、不公平感のない着地点を見つける必要がある。懇談会に介入して、本質的な議論を妨げた環境省に、その力量がないことは明らかだ。政府全体の取り組みが必要であり、政治的な決断が今ほど求められている時はない。26日に発足する見通しの安倍新内閣に託された課題は重い。
(2006年9月22日 読売新聞)

<訃報>江頭豊さん98歳=チッソの元社長
 皇太子妃雅子さまの母方の祖父で、水俣病の対応にあたったチッソの元社長の江頭豊(えがしら・ゆたか)さんが24日午前0時45分、静岡県富士市の病院で亡くなった。98歳だった。葬儀の日取りや喪主は未定。
 雅子さまは今年3月、お忍びでお見舞いされた。24日から30日間、喪に服す予定。
 1908(明治41)年、東京生まれ。33年に東京帝大法学部を卒業し日本興業銀行に入行。興銀常務だった62年、水俣病問題解決のため、チッソの前身の新日本窒素肥料に迎えられ、64年12月に社長に就任。在任中の68年9月に水俣病が公害病と認定され、謝罪のため被害者宅を訪れ補償交渉などにあたった。71年5月の株主総会では「一株株主運動」で株式を購入した被害者らの謝罪要求に応じず、混乱を招き、同7月、会長に退いた。
 長女優美子さんと、国際司法裁判所判事の小和田恒さんの間に生まれた長女が雅子さま。皇太子さまとの結婚を巡っては、江頭氏がチッソ元社長だったことが一時、宮内庁内部で問題視された。しかし水俣病の発生にはかかわっておらず、支障にはならなかった。
(毎日新聞) - 9月24日22時16分更新

安倍内閣:発足 松岡農水相に期待の声 県選出議員の入閣、7年ぶり /熊本
 安倍晋三内閣が26日、誕生し、県選出の松岡利勝衆院議員(熊本3区・6期)が農林水産相に決まった。県選出国会議員の入閣は99年の野田毅自治相(当時自由党)以来7年ぶり、自民党では91年の故東家嘉幸・国土庁長官就任以来、15年ぶり。
 就任会見で「農産物の輸出による攻めの農業で日本農業を世界に冠たるものにしたい」と語る松岡氏をテレビで見ながら、古閑三博・自民党県連会長は「松岡さんは農政が本職。農業県の熊本に一層、貢献してほしい」と拍手した。熊本選出の農水相就任は故松野頼三氏以来、40年ぶりという。
 松岡氏は水俣病問題ではチッソ県債による県の負担を軽減する00年のチッソ金融支援の閣議了解に尽力。その後も党の水俣問題小委員長としてかかわり続けた。
 潮谷義子知事は「農林業の現場を熟知されており、新しい日本農業の確立に向け期待する」とコメントした。JA熊本中央会の園田俊宏会長は「農業政策の対象をすべての農家から担い手へと絞る大転換ともいうべき重要な時期。力を注がれるよう期待する」とエールを送った。【山田宏太郎】
9月27日朝刊
(毎日新聞) - 9月27日18時0分更新

水俣病:新救済策の早期実現を 出水の会、水俣市長に申し入れ /熊本
 水俣病認定申請者団体「出水の会」(尾上利夫会長、2062人)のメンバー10人が28日、水俣市役所を訪れ、県などが提案し与党プロジェクトチームが検討している新たな水俣病救済策(政治解決策)の実現を、国や県に働きかけるよう宮本勝彬市長に申し入れた。同会はすでに熊本、鹿児島両県と鹿児島県出水市にも同様の申し入れをしている。
 尾上会長は「我々が求めているのは、治らない体を抱えながら暮らしていくための必要不可欠な補償」と話し、一時金(260万円)や医療費、団体加算金の支給など、95年の政治解決策並みの補償を求めた。また、全ての被害者団体の合意が難しい場合には、合意する団体から早期に救済するよう求めた。
 これに対し、宮本市長は「1日も早い救済を願う気持ちは同じ。水俣病問題の早期解決に努力したい」と答えた。【平野美紀】
9月29日朝刊
(毎日新聞) - 9月29日17時2分更新

水俣病:認定審査会、再開厳しく 委員、なお再任に難色−−県議会対策特別委 /熊本
 県議会水俣病対策特別委員会が28日あり、県は委員が任期切れのままストップしている認定審査会について「委員就任に明確な返事が得られず、依然として再開は厳しい」と説明した。
 認定審査会は現行認定基準を事実上否定した04年10月の関西訴訟最高裁判決後、同月に任期切れとなり委員は再任に応じていない。間もなく2年がたつが、委員の一部が行政と司法で認定が二重基準状態となっている状態に戸惑って、なお再任に難色を示している。
 特別委の委員からは国が検討していた独自審査会の設置の進ちょく状況について質問が出たが、県側は「議員立法で検討されていたが、審議が止まった状態と聞いている」と説明した。
 また、95年の政府解決策並みの救済を念頭に、与党プロジェクトチームが年内に結論を出す考えを示している全面救済策についても議論。農水相に就任した松岡利勝衆院議員がチーム座長を交代する見通しで、環境相も変わったことを踏まえ「議論を停滞させないよう、改めて中央への働きかけに努める必要がある」との意見が出た。【山田宏太郎】
9月29日朝刊
(毎日新聞) - 9月29日17時2分更新
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2006/9/30

水俣病50年 「救済」への道標(4)(5)  公害・薬害・環境・医療問題

西日本新聞連載
「水俣病50年」 
■第8部 「救済」への道標 (4)(5)

■「救済」への道標<4> 体質 「科学的知見」の限界
水俣病同様、認定基準との闘いが続く原爆症。司法は再三、「国の誤り」を指摘するが…=8月4日、広島地裁 
 「やっぱり基準の見直しはできなかった。これじゃ認定されない人の苦しみは終わらないですよ」
 長崎原爆の被爆者、下平作江さん(71)=長崎市=は一気にまくしたてた。「水俣病問題に係る懇談会」で、官僚が認定基準の見直しを頑(かたく)なに拒んだことを知った。語り部活動を通じて交流のある水俣病患者の顔が思い浮かぶ。一層腹が立った。
 誰に、どう批判されようと「認定基準」は見直さない。水俣病のそうした構図は、今、原爆症の認定を求めて裁判を起こしている下平さんにもそっくり当てはまる。
 10歳で被爆。子宮筋腫や卵巣の腫瘍(しゅよう)など次々と病に侵された。胆のうも除去。現在は肝炎を患う。
 「原爆による放射線障害が起因」という医師の意見書を添えて20年ほど前、原爆症の認定を申請した。だが、卵巣の腫瘍などは「放射線以外に起因することもあり得る」などの理由で認定基準を満たさないとして、国に却下された。
 被爆者約26万人のうち、原爆症と認定されたのは0.9%にすぎない。
   ■   ■
 今年8月4日。広島原爆の日を2日後に控えたこの日、広島地裁で大きな判決が出た。
 原爆症の認定を却下された被爆者が、処分の取り消しなどを求めた裁判。国の認定基準を「限界や弱点があり、一応の単なる判断の目安として扱うべきだ」とし、「あくまで参考資料として評価するのにとどめ」るべきだと、基準を絶対視する国の対応を批判した。
 既に2000年に最高裁が「国の認定基準の機械的適用では不十分」との判断を示しながら、あらたまらない姿勢。そればかりか、厚生労働省は「一般的な医学・放射線学の理解と異なっている」と判決を不服として控訴した。「裁判官は医学の素人。専門の医学者が定めた『科学的知見』が絶対に正しい」。ここでも、そんな水俣病と同じ行政の論理が透けて見える。
 「どうして役人たちは根本からやり直そうとしないのか。時間稼ぎをして、私たちの死を待っているようにすら思える」。下平さんの怒りもまた、水俣病被害者のそれと共通する。
   ■   ■
 認定基準を見直して、わずかだが救済範囲が広がった例もある。1968年に発生した食品公害事件、カネミ油症だ。
 厚労省の研究班は04年、ダイオキシン類「ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)」の血中濃度を追加するなど23年ぶりに基準を見直した。当時の厚労相によるトップダウンの指示だった。
 油症患者で、患者救済活動に取り組む矢野忠義さん(73)=福岡県小郡市=は「30年ほど前には米ぬか油からPCDFが検出されており、遅すぎる」とする一方、見直しの実現自体は評価する。
 結果は厳しい。1万4000人が被害を訴え、認定申請者が今も約300人いるとされる中、新基準での認定患者は8月末までに30人に満たない。水俣病も同様で、仮に認定基準を見直しても新基準でも棄却される被害者は必ず出
る。しかし「見直さない」というのとは別の問題だ。
 認定基準が金科玉条ではないことは、多くの判決が指摘している。「国民の生命と健康の確保に対する行政の不徹底は、行政全般に体質として染み渡っている」。懇談会の提言も、そんな強い言葉が盛り込まれた。
 だが−。
 「認定基準の問題は水俣病だけの問題じゃない。認定基準への信頼性がなくなったら原爆症や薬害、職業病など、この国の認定制度が崩壊してしまう」。ある役人は漏らした。
[06/09/05]

■「救済」への道標<5完> 転機 政治の原点いまこそ
水俣病犠牲者慰霊式に参列した小池環境相。ただ、歴代首相の出席は、まだ一度もない=5月1日、熊本県水俣市
 熱気は、潮が引くように冷めていった。
 8月30日朝、東京・永田町。国会議事堂から道一つ隔てた衆院議員会館で開かれた、与党水俣病問題プロジェクトチーム(PT)の会合。自民党衆院議員の松岡利勝座長は、被害者救済をめぐる混乱の全面解決は「困難」と結論づけた。
 「理想としては全面解決を目指す。が、現実も踏まえなければ」
 1995年の政治決着を参考に、未認定患者に当時と同水準の一時金を支給して解決を図ろうという「第2の政治決着」。熊本県の提案に、松岡座長らが前向き姿勢を示したのは6月初めだった。
 PTは被害者団体に受け入れ意思の有無を確認するよう県に要請。だが、被害者側の意向が割れていると分かると、一気にトーンダウンした。
 政治主導の機運は、一夏の幻だったのか−。
 PT関係者は「抜本解決が難しいのは分かっていた」と漏らす。この3カ月は「政治も努力している」というポーズをとっただけにも映る。
   ■   ■
 水俣病公式確認から50年の節目、5月1日をを控えた今春、衆参両院は「公害被害根絶」を誓う国会決議を全会一致で採択。小泉純一郎首相も首相談話を発表した。
 だが、政府・与党の中枢に、被害者の思いが届くことはなかった。
 自民党の政策面をつかさどる中川秀直政調会長は5月末、被害者救済を話題にした党関係者に問うた。「まさか、財政措置が必要なんてことにならないだろうな」
 水俣病対策を所管する小池百合子環境相。自ら「水俣病問題に係る懇談会」を設置したが、患者認定基準見直しをめぐり委員側と環境省側が対立した際、仲裁に乗り出すことはなかった。
 その混乱の裏側で、ある自民党国会議員は「基準見直しなど論外だ。大丈夫だろうな」と同省幹部をけん制。そうした「党の意思」は小池環境相にも伝えられていた。
 地元を落胆させたのは小泉首相も同じ。水俣市などから強い要望のあった5月1日の犠牲者慰霊式出席を、外遊を理由に見送った。歴代首相の出席は、過去一度もない。
   ■   ■
 「永田町全体では、水俣病はローカル問題」「どんな対策を打っても全被害者が納得することはない」。PTの与党議員からは、あきらめにも似た声がこぼれてくる。
 それでも政治にしかできないことがある。薬害エイズ、ハンセン病、ドミニカ移民損害賠償…。行政の「不作為」が厳しく問われた積年の難題を曲がりなりにも解決に導いたのは、最終的には政治の決断だった。
 懇談会が1日にまとめた提言で、水俣病の教訓として行政に求めた「2.5人称の視点」。言い換えれば、他者の痛みに思いをはせる想像力だ。それは政治の原点ではないのか。提言が「高い次元の政治決断」「内閣全体の決断」を訴えたのも、政治の可能性にかけたとみるべきではないか。
 5年余の小泉政権は間もなく役目を終え、新政権が発足する。党首選挙で自民、公明、民主3党の役員も交代する。幕引きではなく、「全面解決」模索への転機としないわけにはいかない。
 公害の原点、水俣病−。私たちもまた、過去の過ちと被害者の苦難に向き合い続けなければならない。政治を動かすのは、ほかでもない国民の意思なのだから。 =おわり
(水俣支局・中山憲康、社会部・斉田康隆、田中伸幸、東京報道部・横尾誠、久永健志、植田祐一が担当しました)
[06/09/06]
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2006/9/30

水俣病50年 「救済」への道標(1)(2)(3)  公害・薬害・環境・医療問題

(*西日本新聞の記事を転載)
西日本新聞連載
「水俣病50年」 
■第8部 「救済」への道標 (1)〜(3)

■「救済」への道標<1> 山、登り切れず 次善の策 苦悩の末の着地点
小池環境相あての提言書をとりまとめた「水俣病問題に係る懇談会」座長の有馬朗人元文相(中央)とノンフィクション作家の柳田邦男氏(右端)ら=9月1日、東京・都道府県会館 
 「問題の根底には認定制度があると今でも思っている。提言は次善の策、現実的選択だった」
 1日、小池百合子環境相あての提言書をとりまとめた「水俣病問題に係る懇談会」。起草を担当した委員のノンフィクション作家、柳田邦男氏は会合後、この日最後まで推敲(すいこう)を重ねた提言の草案に目をやった。
 提言は公害・健康被害者全般への国や政治の積極的関与、救済システムの構築を求める大胆な内容。水俣病では全被害者の救済・補償の恒久的枠組みづくりを求めた。一方で、焦点の認定基準見直しに踏み込みきれなかった。
 認定制度を壊すべきだという意見は無論、委員の側にあった。行政側は「絶対に受け入れられない」との立場を貫いた。
 「無理に盛り込めば、ほかの福祉対策の提言までご破算にされる恐れがあった。それでは懇談会は玉砕に等しい。ぎりぎりの選択だった」。柳田氏は振り返った。
 ■ ■
 6月26日未明。環境省の1室で、ファクス受信を知らせる電子音が響いた。給紙を始める乾いた音とともに、吐き出された原稿を読み進めた環境省幹部は顔をしかめた。「これはのめない」
 送り手は柳田氏。この日開かれる起草委員会のため事前に送信した提言の「たたき台」だった。昨年4月に始まった懇談会は今年5月の第12回会合を最後に、非公開で起草作業に入っていた。
 ファクスの内容は環境省にとってあまりに刺激的だった。「現行診断基準は見直すべきだ」「水俣病についての新たな診断指針を作成する」…。
 認定基準を廃し、新たな基準で広範な補償制度を創設しようとする抜本的な提案だった。
 数時間後。都内で開かれた会合で環境省側は実に40カ所に及ぶ修正・削除要求を突きつける。協議は物別れに終わり、この日から2カ月間、提言完成まで水面下の折衝が続くことになる。
 ■ ■
 現行の認定基準は長い経緯の中で無数の人々の利害が複雑にからみあいながら形作られた。いわば設計図なしで幾度も増築を重ね老朽化した建造物のごとく、危ういバランスで存立している。
 官僚たちは、その基準の見直しが、新たな不公平を生み、際限ない財政支出を招く恐れを生じさせる行為ととらえる。
 「認定基準には触れないでいただきたい」「仮に見直しの提言を受け入れれば、原爆症など、他の問題にも極めて大きな影響が及びます」
 行政の論理は委員の想像を超え強固だった。
 「環境大臣の諮問を受けた以上、委員はこちらの言うことに従う公的義務があるはずです」
 「政治決着にかかわった与党の政治家がだまっちゃいませんよ」
 強気の背後には、時に行政の論理を力ずくで押さえ込む「政治」が、今は行政と同じ「制度維持」の側にいる、という確信が見えていた。
 ■ ■
 この国の「失敗の本質」を総括したい−。
 小池環境相が意欲的に立ち上げた懇談会は、公式確認から半世紀の今なお続く混乱の元凶「認定制度」の見直しという課題に行き着きながら、現実的な着地点を探さざるを得なかった。
 「認定基準を将来に向かって維持する選択肢もそれなりに合理性を有しないわけではない」
 懇談会の苦悩が凝縮された提言の一文。水俣市の胎児性患者の共同作業所代表の加藤たけ子委員は言った。「山を登り切ることはできなかった」
   □   □
 約1年4カ月に及ぶ13回の会合をへて1日まとめられた水俣病問題に係る懇談会の提言は、「認定基準見直し」こそ明言しなかったが、水俣病の解決と水俣地域の再生のために多くのメッセージを盛り込んだ。懇談会での議論を踏まえ、この貴重な提言を道しるべとし被害者の救済にどう取り組むべきかを考える。
[06/09/02]
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/minamata/20060907/20060907_008.shtml

■「救済」への道標<2> 再構築 患者交えた議論必要―連載
熊本市の繁華街を行進する水俣病不知火患者会の訴訟原告団。だが、裁判への見方は患者団体間でも異なる=4月28日 
 「そこまで環境省は言わないだろうと、最初から思っていた。委員には一生懸命やってもらったと思う」
 1日、東京都内で開かれた水俣病に係る懇談会の最終会合を傍聴した「水俣病不知火患者会」の大石利生会長(66)は、「認定基準見直し」の文言が盛り込まれなかったことにも意外なほどあっさりした言葉を発した。
 国への損害賠償を求め、原告1000人を超える集団訴訟を起こしている同会。「加害者である行政に本当の被害者救済はできない」とも語る大石会長の言葉には、国への不信感が色濃くうかがえた。
 認定基準見直し−。それは、水俣病問題最大の命題だと言っていい。あまりに狭い「認定」の門戸に、これまで1万人以上が棄却された。裁判所ばかりでなく、医学界や医師の間からも、その科学的妥当性に批判の声が相次いでいる。
 それでも頑(かたく)なな国の姿勢を突き崩せない中、乱れてきたのは被害者の方だった。患者被害者間には今、深刻な対立がある。時に、怒声が飛び交うような。
   ■   ■
 「みんながまとまろうとしとるのを、邪魔しとるだけじゃなかですか」
 7月20日。熊本県芦北町で開かれた水俣病被害者の意見交換会で、大石会長に向けてある被害者団体代表から敵意のこもった言葉が放たれた。
 会場参加者からのアンケート用紙の内容を県職員が紹介し始めた時だった。「裁判なんかする人がおるから、みんなが迷惑しとる」「不知火患者会には(新保健などの)手帳はやらんでほしい」
 会場後方に座っていた大石会長は、たまらず手を挙げて発言を求めた。「そんな批判を受ける筋合いはない。私たちが裁判を起こしたから、前向きな救済案だって出てきたんでしょう」
 懸命の訴えも「邪魔」発言にかき消された。場の雰囲気は重く、とげとげしいまま変わることはなかった。
 出席していた別の被害者団体「水俣病被害者芦北の会」の村上喜治会長(57)は頭を抱えた。
 「足並みそろえて交渉したいが…。これじゃ、まとまらん」
   ■   ■
 その村上会長にしても、裁判とは一線を画す。
 「私らには目の前の生活がある。10年も20年も裁判はできん」。無論、国の責任で救済を進めるべきだ、との思いは共通する。ただ、会員の7割は70歳以上。「死んでからでは遅い。現実を直視すべきだ」と早期の救済を望むからだ。
 「認定基準が見直され救済の門戸が広がりそうだ」。最高裁判決(2004年)後、地元には期待感が膨らみ新たな患者団体が生まれた。しかし、国の「見直し拒否」の姿勢は強硬で、「新保健手帳制度」「第2の政治決着」などの救済案が小出しにされるたびに、患者側の受け止めは分かれ溝が広がった。「全患者団体が認定基準見直しを求めているわけではない」。環境省は、それを巧みに免罪符にさえ使う。
 「もれなく適切に救済・補償することのできる恒久的な枠組みを早急に構築する」と求めた懇談会の提言に、地元では「今度こそ本当に何かが変わるかもしれない」の期待と、「50年間変わらなかった国が本気で取り組むだろうか」の不信が交錯する。
 国によって分断された各患者団体も議論の場に加え、幅広く意見をくみ上げられるか。それが再構築成否への鍵を握る。
[06/09/02]

■「救済」への道標<3> 診断 生活の症状目配りを
「医学の敗北感」を味わいながらも未認定患者の診察を続ける松本央医師=熊本県津奈木町 
 「水俣病の前で、医学は無力です。目の前で苦しむ患者を救ってあげられないんですから…」
 熊本県津奈木町の開業医、松本央(なかば)医師(79)は午前中の診察を終え、腕まくりの白衣姿でスイカにかぶりついた。
 午前中だけで、7人の水俣病申請患者を診断した。傍らには、手足の感覚を調べる針がついた器具など水俣病診断の検査器具が並ぶ。7人ほぼ全員に、視野狭窄(きょうさく)や感覚障害が認められた。
 2004年10月の関西訴訟最高裁判決で、現行の認定基準が事実上否定されると、松本医師の元にはさらに大勢の認定申請者が訪れるようになった。連日10人前後。2年足らずで累計は2000人を超え、中には北海道や関東に移り住んだ元住民の姿もあった。「水俣病患者を診たことのない医者には、水俣病の診断は困難だ」。多くの臨床をこなした自負が、松本医師に言わしめる。
 水俣病との出会いは47年前。勤務していた熊本大医学部での当直の夜、やせ細った入院患者が、けいれんで震えながら立っていた。「薬を投与しても効果なし。何もできず、一晩中ただ患者の手を押さえていた」
 父も水俣病で亡くなった。医師としてむなしさを感じた。47年たった今も。
   ■   ■
 田園風景の中で、都会的なデザインが目を引く校舎。熊本市郊外の県立熊本保健科学大の学長室に響いた岡嶋透学長の声は、自信に満ちていた。
 「判断条件を変える必要はありません」
 1977年、岡嶋学長ら専門医グループが環境庁(当時)の要請で作り上げた水俣病の認定基準。感覚障害、運動失調など複数の症状がなければ水俣病とは認めない。
 だが、最高裁判決のほか、日本精神神経学会も今年5月に「現行の判断条件は、医学的判断条件には値しない」との声明を発表。同学会の岡山大大学院、津田敏秀教授は「水俣病は食中毒事件なんです。血便、嘔吐(おうと)、発熱の複数症状がないと食中毒患者として認めないといっているのと同じで、医学の常識に反する」と批判する。
 風当たりが強まる中にあっても、岡嶋学長は強い口調で反論した。「司法と医学の判断は違う。学術的には、認定基準を変更するに足りる新しい医学的根拠は十分でない」
   ■   ■ 
 「被害者の救済の先送りに手を貸した学者の倫理のあり方という点でも、水俣病事件は大きな教訓を残した」「既成の医学書の概念や定義の中に患者をあてはめるのではなく、患者の生活環境の中で病態を見つめるという調査・研究の取り組みの重要性が、医学者たちや行政官によって意識されていたなら、水俣病問題の展開は全く違ったものになっていたに違いない」
 1日にまとまった「水俣病問題に係る懇談会」の提言では、水俣病事件での医学者の対応を厳しい言葉で批判した。
 認定基準を維持したまま、その基準に合わない被害者を包括的に救済する−。この提言を生かすには、被害者の日々の生活にまで踏み込み症状を細かく診ること、そのために、まず不知火海沿岸での健康調査を行い、被害の全容をつかむ取り組みも必要だろう。
 今でも毎日、水俣病患者が訪れる松本医師の診察室には、額が飾られている。そこには、こんな医学者の言葉があった。
 「医学と医療は、医師や研究者のものではなく、患者さまのためにある」
[06/09/04]
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2006/9/30

東京大気汚染訴訟 和解協議へ  公害・薬害・環境・医療問題

*裁判で負けたわけでもないのに、果たして自動車メーカーと国が和解に乗って来るか?(都は独自に救済案を考えているようですが。)

(ニュース)
<東京大気汚染訴訟>和解協議へ 10月11日に意見聴取
 自動車の排ガスで健康被害を受けたとして都内のぜんそく患者ら96人(うち26人死亡)が自動車メーカー7社と国などに約20億円の賠償を求めた「東京大気汚染訴訟」の控訴審が28日、東京高裁で結審し、和解協議に入る見通しとなった。裁判長は判決期日を指定せずに、10月11日に原告側の意見を聞くことを決めた。
(毎日新聞) - 9月28日20時50分更新

東京大気汚染訴訟、結審後も和解促す意向…東京高裁
 東京都内のぜんそく患者ら96人が自動車の排ガスで健康被害を受けたとして、国と都、自動車メーカー7社などに約20億円の損害賠償などを求めた「東京大気汚染訴訟」の控訴審は28日、東京高裁で原告と被告双方が意見陳述し、結審した。

 審理の終結に当たり、原田敏章裁判長は、「これから判決文を書き始めるが、それと並行して和解の可能性や、条件などを当事者に聞きたい」と述べ、結審後も和解に向けた話し合いを続ける意向を示した。
(読売新聞) - 9月29日1時35分更新

*関連する前記事
東京大気汚染裁判結審 都はメーカー側に患者救済提案
http://blue.ap.teacup.com/documentary/887.html
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2006/9/29

北方領土、「3島返還」で決着?  ニュース

*2島と4島の間をとって「3島」ですか?

(ニュース)
「3島返還」大々的報道 北方領土で露有力視
 【モスクワ=内藤泰朗】ロシアの親プーチン政権派有力日刊紙イズベスチヤは28日、1面トップで安倍晋三首相率いる新しい日本政府が北方領土問題でロシアに対し譲歩し、「4島返還」ではなく、「3島返還」で決着を図る用意があると大々的に報じた。

 「島を分けるときがきたのか?」との見出しを掲げた同紙は、麻生太郎外相が27日、初の閣議後記者団に、北方領土問題について「これ以上、2島か4島かで勝ち負けを議論してもらちがあかない。双方が譲歩しなければ解決されない問題だ。最終的には双方の政治決断が必要だろう」と発言したと紹介。

 これまで「4島一括返還」を唱え続けてきた日本が「かつてないほどの勇気を持って論争となっている島々をロシアと分け合うというセンセーショナルな動きを見せ始めた」と伝えた。

 ロシアでは、安倍新首相は「タカ派」で、「反ロシア的だ」との見方を強め、警戒する声が高まっていただけに、麻生外相の発言に驚きがあったものとみられる。

 一方、ロシア極東サハリン州からの報道によると、ロシア外相として28日初めて北方領土を視察する予定だったラブロフ外相は、天候悪化で視察を急遽(きゅうきょ)中止した。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 9月29日8時33分更新

*関連する前記事
田中宇氏の北方領土問題論
http://blue.ap.teacup.com/documentary/878.html
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2006/9/29

釈放された平良夏芽さんからのメッセージ  ニュース

*釈放された平良夏芽さんからのメッセージです。

【転送歓迎】
不当逮捕に怒り、心配して下さった皆様へ

 9月25日午前9時55分の名護署による不当逮捕によって身柄を拘束されていた平良夏芽です。長い拘留を覚悟していたのですが、全国・全世界の皆様からの激しい抗議が功を奏したのでしょう。昨日(27日)午後1時に釈放されました。二日半の拘留でした。
車に衝突した時に多少の傷は負いましたが、擦り傷・打ち身の程度ですでに回復しつつあります。疲労と断食で体重は3キロほど減りましたが良いダイエットになったと思っています。私は非常に元気です。
検察は、処分保留という判断をしました。私に足かせをつけたつもりなのだと思います。しかし、私を含めた仲間たちは、このことで弱っていません。今後は、さらに激しい弾圧が待っていると思います。それでも負けるわけにはいかないのです。私たちが負けるということは、基地が建設され、そこから発進する軍隊によって多くの人々が殺されるということなのです。
 私たちは、人殺しに繋がる基地建設は絶対に止めなければならないと決意しております。
今回問題になっているキャンプ・シュワブ内の文化財遺跡調査は、防衛庁主導のもので最終的には文化財を破壊し埋め立てることを前提とした調査です。私たちは、このような調査を認めず、文化庁主導の文化財を保護するための調査を求めているのです。
基地建設に繋がるすべてのことは、止めなければなりません。海の上で止めてきたように、陸の上でも止めなければならないのです。名護署の警察官には、「あなた達が県民を守る覚悟をしない限り、今後、名護署は良心囚でいっぱいになるでしょう」と伝えてきました。
今回の逮捕によって、私を非難する人もいます。しかし、その数をはるかに上回る人々が支持と連帯の挨拶を届けて下さいました。辺野古の闘いが、本当に多くの方々に支えられていることを改めて体感することができました。
皆様の敏速な動きに、深く感謝申し上げます。檻の中での生活をわずかでも経験すると、ともすると卑屈になって、皆様に謝罪しなければならないという気持ちも湧いてきてしまうのですが謝罪はいたしません。謝罪すべきは名護署であり、基地建設を強行しようとする勢力だと信じるからです。
しかし、動いて下さった皆様には、深く頭を垂れて感謝をしたいと思います。ありがとうございました。今後とも、連帯をよろしくお願いいたします。

2006年9月28日
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   平良 夏芽(タイラナツメ) 日本キリスト教団うふざと教会牧師
   URL http://www.asahi-net.or.jp/~qg2n-tir/

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*関連する前記事
辺野古基地闘争で逮捕者
http://blue.ap.teacup.com/documentary/886.html
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2006/9/28

東京大気汚染裁判結審 都はメーカー側に患者救済提案  公害・薬害・環境・医療問題

*東京大気汚染裁判、今日、結審。この裁判も粘り強く続けていますね。
 石原都知事側は「裁判所の結論を待たずに」「患者救済に向けてメーカー側と協議の場を設ける」ことを提案。裁判をこえて解決をはかるのが石原都知事の方針のようです。

(ニュース)
東京大気汚染訴訟 控訴審が28日結審 車メーカー責任は
 排ガスによる汚染で健康被害を受けたとして、東京都内のぜんそく患者らが自動車メーカー7社と国、東京都などを訴えた「東京大気汚染訴訟」の控訴審が28日、東京高裁で結審する。02年の東京地裁判決では、原告102人のうち7人に国と都などの損害賠償が認められたが、メーカーの責任は否定。残りの原告については、排ガスと健康被害の因果関係を認めなかった。原告は「被告は謝罪し、早く原告全員を救済してほしい」と訴えている。
 原告の小柳聡美さん(27)=東京都北区=は小学校へ入学する直前、ぜんそくを発病。それ以来、病気だけではなく偏見とも闘ってきた。
 体育の授業では全力疾走できず、同級生から「サボっている」といじめを受けた。「人と話すのが怖くなり、昼間の外出を避けるようになった」
 しかし、96年の提訴後は「被害を訴えなければ、周囲の無理解も変わらない」と体験を語ろうと決意。控訴後も多い時には月2〜3回、地元の集会場や街頭などで、震える手足を抑えながらマイクを握った。
 地裁判決は、排ガス中の二酸化窒素(NO2)などの物質と健康被害との因果関係が認められる地域を「昼間12時間の交通量が4万台を超える道路の沿道50メートル以内」とした。小柳さんの自宅は、都道からわずか約20メートルの距離だったが、交通量が約1万台だったため因果関係は認められなかった。しかし、原告団が独自調査したところ、NO2の濃度は都心の幹線道路並みだった。
 小柳さんは「ぜんそく患者は周囲の偏見で、体と心の二重の被害に苦しんでいる。23区全体に汚染が広がっており、被害者を増やさないためにも早く解決してほしい」と話した。【奥山智己】
 【東京大気汚染訴訟】 96年5月に初提訴後、今年2月の第6次まで患者や遺族計633人が提訴した。被告メーカーは▽トヨタ自動車▽日産自動車▽三菱自動車工業▽日野自動車▽いすゞ自動車▽日産ディーゼル工業▽マツダの7社で、損害賠償の請求総額は1〜6次で計148億円。第2次提訴以降の裁判は現在、東京地裁で係争中。
(毎日新聞) - 9月27日17時14分更新

東京大気汚染訴訟、都がメーカー側に「患者救済」提案
 東京都内のぜんそく患者らが排ガスで健康被害を受けたとして、国と都、旧首都高速道路公団(現首都高速道路会社)、自動車メーカー7社に損害賠償を求めた東京大気汚染訴訟で、都が患者救済に向けてメーカー側と協議の場を設けることが27日、わかった。

 メーカー側に協力金の支出を求めて、患者への医療費助成制度の創設などを検討する。同訴訟の控訴審は28日に東京高裁で結審する見通しだが、裁判所の結論を待たずに、新たな患者救済制度ができる可能性が出てきた。

 開会中の都議会で石原慎太郎知事が、来代勝彦都議(自民)の一般質問に対する答弁で明らかにした。

 2002年10月の1審判決では、国と都、公団が損害賠償の支払いを命じられた。ディーゼル車規制などに取り組んでいる都は「被害者救済は行政の使命」として控訴を見送り、国にも控訴取り下げを要請した。
(読売新聞) - 9月28日3時9分更新

ぜんそく患者に救済措置=自動車業界と協議へ−大気汚染控訴審に対応・東京都
 東京都の石原慎太郎知事は27日の都議会本会議で、自動車排ガスによる大気汚染で健康被害を受けたとして都内のぜんそく患者らが国や都、自動車メーカー7社を訴えている東京大気汚染訴訟控訴審について、「被害者救済は裁判に任せていては抜本的解決にならない。裁判で対応可能な範囲を超えており、解決すべき段階に来ている」と述べ、都独自の救済措置を講じる考えを示した。
 同知事は「自動車メーカーや自動車工業会と協議を始めようと思う」としており、都は今年度中にも自動車業界と協調した救済制度の大枠を固める意向。具体的には原告側が求めている医療費助成制度が有力視されている。全国の大気汚染公害訴訟で患者への救済制度を検討するのは初めて。 
(時事通信) - 9月27日22時1分更新

都がぜんそく患者対象に医療費助成 大気汚染訴訟
 自動車の排ガスによる大気汚染で健康被害を受けたとして、東京都内のぜんそく患者が国や都、自動車会社7社を相手に起こした東京大気汚染訴訟控訴審が28日に結審するのを踏まえ、東京都は27日、ぜんそく患者に対し、独自に医療費を助成する方針を固めた。大気汚染公害訴訟で患者への救済制度に着手するのは全国初。

 石原慎太郎知事が同日の都議会本会議で、控訴審について「被害者救済は裁判に任せていては抜本的解決にならない。裁判で対応可能な範囲を超えており、解決すべき段階にきている」と述べ、今後、自動車業界と協調する形で都独自の救済策に乗り出す考えを明らかにした。

 都は現在、ぜんそく患者について、18歳未満の気管支ぜんそくなどの患者を対象に条例で入院時の食事費を除く医療費を全額助成している。

 独自の救済策は条例とは別の枠組みで、18歳以上を助成対象とする。控訴審の原告も含まれる見通しだが、都内16万人以上のぜんそく患者すべてを助成対象にするのは「難しい」(知事本局)といい、対象基準などを早期に詰める。

 大気汚染訴訟では、平成14年10月に東京地裁が原告約90人のうち7人について、国と都、当時の首都高速道路公団の賠償責任を認定。都は「被害者の救済を早急に実施することが行政の使命」として控訴を見送り、一部原告に賠償金を支払ったが、国と同公団、原告は控訴していた。
(産経新聞) - 9月28日8時0分更新

都議会:災害対策で個人情報共有、高齢者などの支援で指針策定へ /東京
 都議会第3回定例会は27日、一般質問を行った。災害時の高齢者などの避難支援を巡り、福祉部局が持つ個人情報を防災部局が共有することについて、山内隆夫・福祉保健局長は今年度中に都の指針を定める方針を明らかにした。【北村和巳】
 ◆災害と個人情報
 災害時の個人情報の共有について、山内局長は「国のガイドラインを踏まえて都の指針を定める。区市町村に指針を示し、個人情報の共有を働きかけていく」と述べた。個人情報保護法の施行で、部局間の情報共有に関しては「目的外使用」を懸念し、自治体間で対応にばらつきが出ている。
 ◆自動車排ガス対策
 自動車排ガスによる大気汚染について石原慎太郎知事は、28日に東京高裁で結審予定の東京大気汚染訴訟に触れ、「裁判で対応できる範囲を超えた問題で、社会全体が責任を果たす必要がある。国の無為無策を転換させたい」と述べ、自動車工業会など業界団体と対策や被害救済を協議していくことを表明した。
 ◆五輪招致活動
 2016年夏季五輪の招致活動について、熊野順祥・五輪招致本部長は各国の駐日大使に対し、招致への支援を働きかけていく意向を示した。熊野本部長は「在京大使館との連絡会などの機会を活用、日本の魅力を認識してもらう」と述べた。
9月28日朝刊
(毎日新聞) - 9月28日11時1分更新
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2006/9/28

大阪で野宿者支援運動関係者5名逮捕  ニュース

*大阪で野宿者支援運動関係者5名が逮捕される。ニュースでは「暴言を浴びせ、胸を小突くなどした疑い」とあるが、関連団体の抗議声明では「報道されたような手首をつかんだとか胸を小突いたという事実はありません。」とあり、食い違っている。

(ニュース)
市職員妨害で労組委員長ら逮捕=ホームレス対策でトラブル−大阪
 大阪市内のホームレスのテント周辺の清掃をめぐるトラブルで、同市職員に暴行するなどしたとして、大阪府警警備部は27日、威力業務妨害と暴力行為法違反の疑いで、大阪市東淀川区淡路、釜ケ崎地域合同労働組合委員長稲垣浩容疑者(62)ら4人を逮捕した。
 調べによると、稲垣容疑者らは4月27日、大阪市浪速区の府道沿い歩道で、市職員がホームレスのテント周辺を清掃する際、トラブル防止のためにビデオカメラで撮影していた男性市職員(49)に対し、「わしら映したらあかんがな。何やっとるんや」と暴言を浴びせ、胸を小突くなどした疑い。 
(時事通信) - 9月27日17時0分更新

*以下、「抗議声明」を転載。

抗 議 声 明

 昨日午前6時ごろ、私たちの仲間が4名、大阪府警により令状逮捕され、さらに午後9時ごろ、1名が逮捕されました。
 釜ヶ崎地域合同労組の稲垣さん、西成公園に住む二人、西成公園よろず相談所の仲間、釜ヶ崎パトロールの会の仲間一人です。4名についての被疑事実は2件の「威力業務妨害」と「暴力行為等処罰に関する法律違反」。釜パトの1名についてはまだ詳細はわかっていません。

 私たちは即日、野宿者運動団体、支援団体、共闘してきた労働組合などで集まって話し合い、「9・27弾圧救援会」を立ち上げました。救援会では今回の弾圧を「西成公園などでの強制排除を織り込んだ、計画的な運動つぶし」とみています。
 私たちは、人間としての尊厳を守り「生き抜く」ための闘いとして貧困と排除と抗し闘ってきた野宿の仲間たちと、これからも一緒に闘い続けるという決意を強くしています。そして、あからさまな運動つぶしによってその非人間性をさらけだした大阪市・大阪府警をけっして許さず、5名の仲間の奪還と運動の前進を勝ち取りたいと思います。

**********

 稲垣さんは、定期的に大阪市が清掃・消毒に入る汐見橋(大阪市浪速区)周辺に住む仲間の小屋で、清掃作業の際に不当な嫌がらせがないように監視する行動に継続的に取り組んでいます。4月27日(木)の同作業の際、市職員(大阪市建設局)が当人の許可無くビデオ撮影しているのを稲垣さんが抗議したことをもって、「威力業務妨害」と「暴行」としているものです。報道されたような手首をつかんだとか胸を小突いたという事実はありません。
 稲垣さんは数年来、西成暑の警察官による釜ヶ崎労働者への暴行を糾弾する取り組みを続けていました。また、最近では「あいりん職安」を糾弾する取り組みに活発に取り組み、さらに汐見橋の現場では、市職員が仲間の小屋に「撤去告知ビラ」をべたべた貼り付ける行為を大阪弁護士会に人権救済の申し立てをして、弁護士会から市に対する「勧告」を引き出しました。今回はそうした一連の闘争への報復的弾圧という見方もあります。

 もう1件の被疑事実は、6月12日、西成公園の排除を巡る攻防のなかでのことです。西成公園では、近所の公園で強制的に排除され仲間を受け入れて新規に小屋を建てています。排除の際、大阪市は代替居住地も示さず、将来展望の見えない自立支援センターへの入所を勧めるだけでした。住処を失った仲間に、西成公園の労働者が「じゃあうちにおいでよ」と声をかけたのでした。このように西成公園では、排除に抵抗して生き抜くため、仲間の暮らしを仲間で支えようと、新たな仲間を迎え入れてきました。ですが大阪市はここでも「新規建設は許さない」と圧力をかけてきました。この日も「撤去勧告」に来ていた公園事務所職員(大阪市ゆとりとみどり振興局)に対する抗議行動を行っていました。
 西成公園の3人は、稲垣さんや釜パトメンバーとともに数年来の反排除の取り組みに参加してきた仲間です。昨年夏、西成公園に強制排除の危機が迫ったときも、うつぼ・大阪城公園の行政代執行の時も、私たちは一緒に闘いました。

**********

 救援会では、大阪市はこの冬にも強制排除を再び強行してくる可能性があると見ています。そのための事前弾圧として5名を逮捕したのだと考えています。
 西成公園だけのことではなく、来年IAAF世界陸上が開催されるうえ、08年には「指定管理者制度」が導入される長居公園、08年に日本で開催されるG8サミットの開催候補地になっている大阪城公園、総合的な観光化をすすめようとしている中之島一帯でも、強制排除の可能性があると考えています。
 大阪市はいま、「行政改革」の名のもとに「経済再生」を推し進めています。野宿者とブルーシートのテント、それを支える運動を「経済再生」のための「阻害要因」とみなして徹底的に排除しようとする、大阪市の強い決意を感じます。富める者のための「改革」や「経済」のために、野宿労働者をはじめ貧しい者たちが排除される社会状況に、強く抗議します。

 私たちは逮捕された仲間を支え続け、貧困と排除とどこまでも闘い続けます。
 今後ともご注目、ご支援をよろしくお願いします。

 2006年9月28日
9・27弾圧救援会
  連絡先:NPO法人釜ヶ崎医療連絡会議
(TEL/FAX 06-6647-8278
E-Mail:iryouren@air.ocn.ne.jp)

**********

【お願い】
●5名の仲間の同時逮捕、しかも3件別個の被疑事実ということで、救援会では弁護士費用や訴訟費用が不足しています。たいへん恐縮ですが、みなさまのご支援におすがりするほかない状況です。どうかよろしくお願いします。
 カンパ振込先
郵便振替口座 00940−5−79726(加入者名:釜ヶ崎医療連絡会議)
通信欄に9・27弾圧救援と書いてください。

●以下の連絡先に抗議の電話・FAXをお願いします。
大阪市経営企画室   06-6208-9720 
大阪市ゆとりとみどり振興局 総務部 庶務課 
 TEL06-6615-0614   FAX06-6615-0659
大阪市建設局 管理部 路政課   06-6615-6675
大阪市市民局 市民部
広聴相談課 TEL:06-6208-7333 FAX:06-6206-9999
大阪府警察本部   TEL 06(6943)1234(代表)
西成警察署     06-6648-1234

*トラックバックして頂いたあずーるさんの記事にあったネットのアドレスを下記に加えます。

大阪市経営企画室 
http://www.city.osaka.jp/keieikikakushitsu/iken/index.html

ゆとりとみどり振興局
http://www.city.osaka.jp/yutoritomidori/request/index.html

大阪市建設局
http://www.city.osaka.jp/kensetsu/mailform.htm

大阪市市民局 (市民以外もメールできます)
http://www.city.osaka.jp/shimin/opinion/index.html

大阪府警
http://www.police.pref.osaka.jp/09form/index.html
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2006/9/28

辺野古基地闘争で逮捕者  ニュース

(ニュース)
シュワブ兵舎移転/反対派1人を逮捕
 【名護】米軍普天間飛行場代替施設建設に伴う名護市キャンプ・シュワブ内の兵舎移転に伴い、名護市教育委員会は二十五日午前、移転候補地の埋蔵文化財の分布状況などを確認する現地踏査に着手した。名護署は同日午前、基地内に入ろうとした市教委の車両を実力で阻止したとして、移設反対派の一人を公務執行妨害の現行犯で逮捕した。

 市教委は、ヘリ基地反対協の調査容認表明などを受け、「文化財の有無の科学的な調査が目的だと大筋で理解を得られた」と判断。表面の土壌を採取する必要があるかなど、今後の手順や調査期間は「現場の状況を詳しく調査しないと分からない」と話している。

 兵舎の移転候補地二カ所は遺跡として確認されている「思原(ウムイバル)遺跡」「思原石器出土地」と重なり、市教委では、「基地の外の文化財と同様にきちんと調査したい」としている。

 市教委の職員九人は同日午前十時ごろ、同基地のメーンゲートに到着。移設反対派約二十人が話し合おうと、市教委の車両を止め話し合いを求めた後、名護署員が反対派ともみ合いになった。

 施設局職員も早朝、同基地内に入り調査に立ち会っている。

 普天間飛行場移設問題で十五日、初めて県警機動隊が投入される事態となり現場は混乱。市教委は、機動隊投入に反対し踏査を断念していた。施設局の説得を受け同日午後、職員三人が移転候補地の場所を確認しただけで、実質的な踏査は行われていなかった。
      ◇     ◇     ◇     

流血に悲鳴と怒声/なすすべない反対派
調査団員表情かたく
 【名護】「頼む。この現状をみんなに知らせて!」。米軍普天間飛行場移設問題で初の逮捕者が出た。二十五日午前、警察車両で連行される平和市民連絡会の平良夏芽牧師(44)は、顔や手から血を流しながら叫んだ。名護市キャンプ・シュワブ内の文化財調査で、同市教育委員会調査団の車両を止めようとした牧師は公務執行妨害で逮捕された。この日集まった反対派メンバー約二十人のうち数人が調査団の車の前に身を投げ出すなど必死に止めようとしたが、倍近い人数がいる警察に次々と排除された。現場は怒号と悲鳴が入り交じり、騒然となった。

 午前十時、名護市教育委員会文化課のワゴン車がキャンプ・シュワブ第一ゲートに到着すると、反対派市民らが話し合いを持つため、車を止めようとした。だが、これまでとは違い、職員が乗った車の窓は閉じられたまま。警察が反対派を制する中、職員らは緊張した面持ちで基地内に入ろうとした。

 反対派住民らは車の前に身を投げ出したり、ゲート入り口の路上に座り込んだりして抵抗。警察官らが住民らの手足を抱え、力ずくで排除すると、「痛い」「止めて」などの怒声や悲鳴が響いた。

 車の下にもぐりこんだ平良牧師は顔などを負傷。公務執行妨害の現行犯で警察に連行された。

 平和市民連絡会の当山栄事務局長は、抗議のため名護署に向かった。「理不尽な基地建設のための不当な弾圧だ。運動を委縮させる狙いだろうが、われわれは抗議を通じて反対の機運を二倍、三倍に高めていく」と語気を強めた。

 名護警察署前では、反対派住民約三十人が押しかけ、「不当逮捕は許さないぞ」などとシュプレヒコールをあげて抗議した。同署の警察官ら十数人が出入り口で一列に並び、にらみあいが続いている。

 ヘリ基地反対協事務局長の仲村善幸さんは「名護署側と話し合ったが、公務執行妨害容疑の具体的内容を明らかにしていない」と名護署の対応を批判した。

 午後零時半すぎから弁護士や市民団体代表が名護署から逮捕時の状況について説明を受け、併せて接見を求めた。同署の説明によると、容疑者はけがについて「病院に行く必要はない」と話しているという。

県、大変残念
 逮捕者が出たことについて、県の牧野浩隆副知事は「詳細は分からないが逮捕者が出たことは大変残念」と述べた。

 同財調査については、稲嶺恵一知事は十五日の記者懇談会で「政府は全体のスケジュールを示し、その中での位置付けなど地元に対して十分な説明を行う必要がある」との認識を示している。

 沖縄人権協会の永吉盛元事務局長の話 基地ある故に沖縄の人々の生活が脅かされていることの表れであり、個人ではなく基本的な人権の問題だ。これまで強権行使を控えてきた防衛庁が、基地建設に必死になっている。反対運動も激しくならざるを得ず、憂慮すべき事態だ。

反基地で韓国と連帯/市民団体が那覇で集会
 沖韓民衆連帯は二十四日、那覇市の県民広場で、「9・24平澤米軍基地拡張反対集会」を開いた。米軍再編によるソウルからの基地移転に抗議活動が続く平澤市の状況報告があった=写真。

 会場では、平澤市の基地反対派の活動を撮影した写真を展示。韓国で米軍基地の反対集会で用いられるろうそくを手に集まった約五十人の参加者は、今後も韓国と連帯して活動を継続することを確認した。

 九月上旬に平澤市を訪れた平和市民連絡会の平良夏芽さんらが「平澤は韓国の辺野古だ。米軍基地は県内だけの問題ではない」と訴えた。

 集会は、ソウルで同日開かれた平和大行進に合わせて行われ、東京や大阪などでも同時開催された。
(2006年9月25日(月)夕刊 1・6・7面 沖縄タイムス)
http://www.okinawatimes.co.jp/day/200609251700_01.html

阻止行動1人逮捕 シュワブ調査
 【名護】普天間飛行場代替施設建設に伴う埋蔵文化財調査で、名護市教育委員会は25日午前、キャンプ・シュワブ内の兵舎移転先となる地点の埋蔵文化財調査に着手した。キャンプ・シュワブ第1ゲート前では基地建設に反対する市民らが阻止行動を展開。公務執行妨害容疑による逮捕者も出るなど現場は一時騒然とした。普天間代替施設の問題で逮捕者が出るのは初めて。
 市教委の調査を容認する立場のヘリ基地反対協議会、ティダの会はこの日の阻止行動には加わっていない。
 市教委は同日午前10時ごろ、車両2台に分乗してキャンプ・シュワブ第1ゲートに到着。調査のためゲート内に進入しようとしたところに反対派住民らが立ちふさがった。名護署は住民らを道路から排除しようと署員を投入。車を止めようと車の下にもぐりこんだ平和市民連絡会議の平良夏芽共同代表を公務執行妨害容疑で逮捕。反対派住民らは逮捕に強く反発し、名護署前で抗議行動を展開した。
 市教委が今回実施するのは、代替施設建設に伴う兵舎移転を前にした移転候補地の埋蔵文化財分布状況調査。文化財保護法に基づき、防衛施設庁が名護市に依頼した。市教委は今月14、15の両日に調査を実施する予定だったが、反対派の阻止行動で中止していた。今回の調査で、職員らが現場を目視で確認し、試掘などが必要かを判断する。
(9/25 16:06 琉球新報)
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-17497-storytopic-3.html


*各ブログの関連記事
辺野古より
http://blog.drecom.jp/henokoyori/archive/112

P-navi info
http://0000000000.net/p-navi/info/column/200609262128.htm

Arisanのノート
http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20060925/p1
http://d.hatena.ne.jp/Arisan/20060926/p1

NO BASE HENOKO TOKYO
http://henokotokyo.blog15.fc2.com/


*追記
平良夏芽さんは昨日、釈放されたようです。良かったですね。
以下は釈放前の平良夏芽さんのメッセージ。(「NO BASE HENOKO TOKYO」より。)

「9月26日22:00 金高弁護士と接見した夏芽さんから皆へのメッセージをもらいました。

檻の中にいると、自分が犯罪者のように思えてきます。

外の情報がほとんどはいらず、自分が孤立してしまっているのではないかという不安が、心に広がってきます。「外の仲間を信じろ」と自分に言い聞かせていましたが、不安は払拭できていませんでした。弁護士を通じて多くの皆さんのメッセージを読ませていただきました。

お腹はすいていますが、心は満たされています。

取調べの中でほとんど黙秘していますが、「資産は?」と聞かれた時に、「仲間達です」と答えたことは間違いではありませんでした。

最後の最後まで共に闘っていきましょう。

平良は元気です。

そして幸せです。
                   平良夏芽」
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2006/9/27

時効女性教師殺人事件の判決  ニュース

*これまたややっこしい裁判だな。時効後に犯人が自首した殺人事件の民事訴訟。
 殺人事件の時効が15年でいいのだろうか?という問題はありますね。

(ニュース)
時効殺人訴訟 元警備員に330万円支払い命令 東京地裁
 東京都足立区の区立小学校で78年、同校教諭の石川千佳子さん(当時29歳)が警備員だった男(70)に殺害され、04年の自首まで遺体を隠された事件を巡り、時効(15年)の成立で不起訴となった元警備員と雇い主の同区に対し、遺族が約1億8,600万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は26日、元警備員に330万円の支払いを命じた。永野厚郎(あつお)裁判長は、殺害に対する賠償は民法の除斥期間(権利の存続期間20年)を過ぎ請求権が消滅したと判断。一方、2年前までの遺体隠匿については請求権を認めた。B型肝炎訴訟など健康被害を巡る裁判では、除斥期間の適用を制限して被害者を救済した最高裁判例もある。遺族側は「判例の流れを無視した不当な判決」として控訴する方針。判決によると、元警備員は78年8月14日、校内で石川さんを殺害。同区の当時の自宅床下に埋め、04年8月の自首まで隠した。裁判では除斥期間の起算点が争点になった。殺害行為について、遺族側は「元警備員による殺害とは知り得ず、自首以前に賠償請求できない」として、起算点を自首の時点と主張。しかし、判決は「除斥期間の規定に被害者の認識は関係ない」として、殺害が行われた78年を起算点と判断した。一方、遺体隠匿については、遺体が見つかった04年まで被害が継続していたと認定。「死者を弔う機会を奪い、遺族感情を侵害した。犯行発覚を恐れて隠すという一体的な不法行為で(隠匿が)終了した2年前が起算点」と結論づけた。また、区への賠償請求は「石川さんらの生命に具体的な危険があるとまで区は認識できなかった」として棄却した。(毎日新聞9月26日)

*以下はWikipediaの「時効女性教師殺人事件」の解説

時効女性教師殺人事件 (じこうじょせいきょうしさつじんじけん) は1978年(昭和53年)8月、東京都で発生した女性教師が失踪した事件で、当時この女性教師が通っていた小学校の元警備員が時効成立した2004年(平成16年)8月21日に殺人を認め自首してきた事件である。

事件の概要
1978年8月14日、東京都足立区の区立小学校で当時26歳の女性教師が失踪した。この事件で最後の目撃者が小学校の元警備員の男であり、最後に目撃されたのが同日であった。

警察も事件として捜査していたものの発見できず、女性教師の家族は10年後の1987年に大韓航空機爆破事件で北朝鮮工作員の金賢姫の日本語教師の「李恩恵」が彼女に似ていると言われ、彼女は北朝鮮による日本人拉致問題の被害者であると北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会に参加した。

だが、2004年8月21日になり女性教師の最後の目撃者である元警備員の男が時効成立後に警察に自首しに訪れ事件の全容が発覚した。

元警備員の男は事件発覚を恐れ、女性教師失踪日に女性教師を殺害。女性教師はコンクリート詰めにされ元警備員の男により、時効まで遺体を隠されることとなった。

遺族はこの事件に対し、民事訴訟を起こすものの、民事上でも時効が成立しており、元警備員の男が時効になっていなかった女性教師の遺体を頻繁に移動させていたこと以外は認められず、330万円の賠償命令が東京地裁から2006年9月26日に下った。
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2006/9/27

死刑について再度、論点を整理すると  時事問題

小林薫被告の死刑判決が出たので、論点を整理。死刑の問題はかなり微妙な難しい問題なのだが。

基本的には僕は結論としては死刑廃止論者であるが、現状では死刑制度があるわけで、現状で死刑の判決が出ることを不当だとまでは思っていない。

ただ小林薫被告の死刑判決の場合は、問題はひとり殺しただけで死刑というのが通例から外れる点でどうかということだろう。相手が幼児だからといって特別に重くすることはどうなのか?ということ。もちろん相手が幼児だからとりわけひどい犯行であるというのは分かるが、通例から外れた判決を出すのが妥当だったのか?ということ。

今回の判決で死刑判決を出すのであれば、逆にほかの被害者がひとりだけなので死刑判決を出さなかったものも見直さないといけないということにもなるのではないか?
いっそのこと、ひとり殺しただけでも殺人を犯した者は全員、死刑とした方が法のもとでの平等が保てるかもしれない。

しかし、小林薫という人物は絶対に更生しないと言われているけれども、たしかにまた再度、犯行を繰り返す可能性は高いような気はするけれども、投げやりな態度で自分のような人間は殺してくれと言っているのはある意味では罪の意識を自覚しているとは言えるのではないか? こうした人物に対する厳密な判断はほとんど医学の領域に入って来ると思う。

「死刑廃止論」の主張の難しさは、被害者の遺族の感情というものを配慮した場合、簡単に「死刑廃止」を主張できるのか?ということはたしかに一理ある意見だとも思うからである。
結局、どのような論点に立つかで判断が違って来るのだろうか?
大きく分けると「更生」の観点と「因果応報」の観点とどちらに立つかということではないかと思う。

犯罪人を「更生」させることが刑罰をくだす目的の重要なものであるという観点に立つならば、その可能性が難しいと思われるものこそ、簡単に断念しないで更生させようとすることにトライする努力をしてみるべきなのではないかという風にも考えられ、「更生」を断念してしまう死刑はどうかというところに行き着くように思う。

それに対して「因果応報」の観点というのは、殺人をしたならば、相手にしたことと同様の罰を負うべきではないかという考えで、そうでなければ、被害者の遺族も納得しないのではないかと考える。
これはある意味で仇討ちを遺族の代わりに国家が執行するということなのではないだろうか?
仇討ちを法律で認めて、仇討ちならば殺人でもしてもいいと容認することはできないので、仇討ちであってもそうした行為は禁止する、その代わりに国家が仇討ちをしてくれるということではないかと思う。
しかし、「因果応報」の理屈もあることは分かるけれども、これを論理化して具体的に法として体系化することは難しいと思う。
なぜなら、被害者の遺族でもいろいろな考えの人がいるわけで、死刑にしてほしいと思う人も、犯人が更生することこそが被害者も浮かばれることなのだと考える人もいる。そうすると「被害者の遺族は犯人が死刑になることを望んでいる」ということを絶対的な前提として考え論理を組み立てることは難しいのではないか?と思うのである。
また国家が代わりに仇討ちをするのだということを法として条文化することも現代では難しくなってきていると思う。
江戸時代にはそうした論理がそのまま法として成立し得ていて、理屈としてはある意味では江戸時代の方が筋が通っていて分かりやすかったのかもしれない。

しかし、いくら仇討ちという思想を否定しようとも、現実に生きている人間社会にはそのようなものは存在し、感情としてもある。ここに法と現実との乖離、混乱があるのかもしれない。法の観念と現実とが乖離して、混乱しているのが現状であると言えるのだろうか?

だからといって、観念と現実を一致させる状態にするべきだということも言えるのだろうか?
そもそも観念と現実を完全に一致させるということが可能なのか? 結局、観念と現実というのは必ずギャップがあるものなのではないのだろうか?
よく左翼は理想論的な観念に傾き過ぎていると批判されるが、かといって徹底的に現実主義的で、観念と現実を完全に一致させるということもほとんど不可能であるのが人間性というものなのではないかと思う。つまり、人間という存在のあり方自体がそもそも矛盾をはらみ混乱しているものだとも言えるので、観念と現実が乖離、混乱している状態こそが人間的なのであり、理想論的な観念を追い求めることは非現実的なので観念と現実を一致させるべきだということも言えないのではないか?と思うのである。

*関連する前記事
自分なりの「死刑廃止論」の考えを整理してみました
http://blue.ap.teacup.com/applet/documentary/702.html

杉浦法相 死刑命令書に署名拒否
http://blue.ap.teacup.com/documentary/883.html
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2006/9/26

杉浦法相 死刑命令書に署名拒否  ニュース

*これは難しい問題だが、「心の問題」だから小泉首相が杉浦法相を非難できないことはたしか。

法相とはいえ、思想、信仰の自由は優先されるものなのではないかと考えるならば、死刑制度に反対している真宗大谷派の門徒なので拒否するというのは認められるべきかと思うし、死刑制度に反対ならば法相を引き受けるべきではなかったのではないかという批判は一理あるが、しかし死刑制度に反対の人間は法相を引き受けてはいけないという法律があるわけではない。

ただ国民に対する説明責任を果たしていないという気はする。発言内容を撤回したり、今回はコメントは差し控えたり、むしろ、左藤恵氏のように宗教上の理由で私はサインしないと一貫した主張を言い続けたほうが主張としては明快なものであり、杉浦氏は左藤氏ほどきっぱりしていなくて発言が二転三転したので、結局、どういう考えだったのか、国民にきちんと説明する必要があるのではないかということは言えるかもしれない。

(ニュース)
死刑執行ない公算 杉浦法相が消極姿勢
 昨年10月の就任時に死刑執行の命令書に署名しないと発言、撤回した杉浦正健法相が26日の内閣総辞職を前にした現在も、在任中の執行に消極的な姿勢を示していることが22日、関係者の話で分かった。
 法務省事務当局はさらに法相と協議を進めるとみられるが、死刑執行がない公算が大きくなった。1993年に当時の後藤田正晴法相が執行を再開して以降、法相の判断で執行しなかった例はなく、死刑廃止論も含めた議論が活発化することも予想される。
 関係者によると、法務省事務当局は最近、具体的な死刑確定事件の執行を念頭に、杉浦法相と複数回にわたって協議。法相は執行命令書への署名に消極的な姿勢を維持しているという。
[ 09月23日 02時00分 共同通信]

<杉浦法相>死刑執行せず 在任11カ月、命令書の署名拒む
 26日の内閣総辞職に伴って退任する杉浦正健法相は、任期中に死刑を執行しない見通しだ。関係者によると、法務省事務当局は今月、執行対象となる死刑囚の記録を杉浦法相に渡したが、法相は死刑執行命令書に署名しなかった。法相が命令書への署名を拒むのは極めて異例だ。

 昨年10月の就任会見で杉浦法相は「(死刑執行命令書に)サインしません」と述べ、「私の心の問題。宗教観というか哲学の問題だ」と説明していた。しかし、直後に「個人の心情を吐露したもので、法相の職務執行について述べたものではない」と発言を撤回。その後は会見などで「適切に判断する」としてきた。

 過去には、89年11月〜93年3月の3年4カ月間、死刑執行がなかった時期があり、この間の法相の一人、左藤恵氏は命令書への署名を拒んだ。住職でもある左藤氏は宗教的信念から署名しなかったが、杉浦法相も同じ真宗大谷派を信仰する。

 93年に当時の後藤田正晴法相が死刑執行を復活させてからは毎年数人の死刑が執行され、在任期間が短かった4人を除く14人の法相が執行を命じた。最近では昨年9月に南野知恵子・前法相の下で1人の死刑が執行された。【森本英彦】

 ◇慎重な姿勢、評価 
 ▽石塚伸一・龍谷大教授(刑事法)の話 刑事訴訟法が死刑の執行命令を法相に委ねたのは、特に慎重な配慮を求めたからで、時代状況に応じた法相のリーダーシップを期待したとも考えられる。死刑を減らしていくことは世界の潮流で、杉浦氏が執行に慎重姿勢を示したことは評価したい。

 ◇職責果たしてない 
 ▽渥美東洋・中央大名誉教授(刑事法)の話 死刑の執行は法相が命令すると刑事訴訟法で定められている以上、従うのが当然。命令しないのであれば法相の職責を果たしていないことになり、首相が罷免すべきだ。杉浦氏は弁護士、法律家でもあるのだから、死刑を命じないのなら法相を引き受けるべきでなかった。
(毎日新聞
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2006/9/26

「世界の新たな現勢」と「イスラエルに翻弄される多元国家レバノン」  イスラエルとパレスチナ、中東

『ル・モンド・ディプロマティーク』(日本語・電子版)2006年9月号に以下の2つの論文が掲載。

「世界の新たな現勢」
イグナシオ・ラモネ(Ignacio Ramonet)
ル・モンド・ディプロマティーク編集総長
訳・岡林祐子
http://www.diplo.jp/articles06/0609.html

「イスラエルに翻弄される多元国家レバノン」
ジョルジュ・コルム(Georges Corm)
元レバノン財務大臣
訳・近藤功一
http://www.diplo.jp/articles06/0609-2.html
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2006/9/23

再度、国旗掲揚時の起立強制は違憲の判決について  時事問題

国旗掲揚時の起立強制は違憲とする東京地裁の判決は、都の暴走に歯止めをかけるものであり、右派から見ても有益な判決なのではないかと僕は思うのですが、なぜか、右派でそうした意見をあまり見ないようです。どうもそうした点で右派の人達と意見がすれ違っているようなので、ちょっと自分の考えを整理してみます。

問題は、東京都が勝手に「10・23通達」を出してしまったことだと思います。この通達には法的な根拠はありません。国旗国歌法にはこのような通達のようなことをすることまでは書かれていないからです。法的な根拠に基づかないで東京都だけが独自の判断でこのような通達を出したことがおかしいのではないかと思います。実際、東京都以外ではそのような通達はしていませんし、法的な根拠に基づかない通達が違憲であると判断されたのは妥当な判決だと僕は思います。

ただし、今回の判決はあくまで東京都の通達が行き過ぎていて違憲だという話であり、国で決めた国旗国歌法が違憲だとされたわけではありません。その点は拡大解釈はしないほうがいいと思います。
だから、今回の判決が教育基本法改正の歯止めになるとは言えません。むしろ、このような判決が出ないために教育基本法を改正するべきだという議論になっていく可能性があります。その点は今回の判決で左派はあまり浮かれない方がいいのではないかと思います。

たとえば、昔、自衛隊に違憲判決を出した裁判官がいました。この判決は随分、叩かれましたが、何年かして退職後、なぜ自分が違憲判決を出したのかを語りました。それは、実はこの裁判官は改憲して自衛隊を軍隊として持つべきだと考えていると。しかし、憲法9条があるのに自衛隊を持つことは違憲だと考え、そうした判決を出すことで、憲法を変えなければいけないということを示したかったと。それが自分が出した判決の真意だったと語りました。
今度の裁判官だって、もしかしたら、そうした考えかもしれないわけです。 今度の裁判官が左派寄りの思想の持ち主かどうかは分かりません。

現在、東京都が行っていることは国の方針ではありません。都は国旗国歌法と文部科学省の学習指導要領に基づき通達を出したと言っていますが、国旗国歌法にも学習指導要領にも都が通達に出したような内容までは明記されていませんので、国の方針から逸脱して都が暴走してしまっているという印象を持ちざるを得ません。
もしかしたら、将来的には教育基本法を改正して、都がやっているような国旗国歌への徹底を公務員に求めることを国は行いたいと考えているかもしれませんが、それはあくまで教育基本法を変えてからの話であり、まだ教育基本法を変えていないのに他の県はそうしたことをしていないのに都だけが行っている点に問題があると思います。
このような石原氏の『東京から国を変える』というやり方が問題だと思うのは、石原氏が国にさきがけていろいろな政策を掲げそれが話題になると他の県にまで広がっていくというようなことになってしまうと、石原氏は都知事でしかないのに、国政の国会を通さないで国政に影響を持つようになってしまうという危険性があると思うからです。こうした暴走を許すことは、小泉政権、安倍新政権にとっても危険だと思います。(安倍氏がやろうとしていることをさきがけて石原都知事にどんどんやられてしまっては困るでしょう。)だから今回の判決でそうした都の暴走に歯止めをかけることは右派にとっても有益なことではないかと僕は思うのですが。(と左派の僕は思うんだけど、右派であまりこういう主張を見ないのですが。。)

*関連する前記事
国旗掲揚時の起立強制は違憲の判決
http://blue.ap.teacup.com/documentary/879.html
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2006/9/22

青山繁晴氏の金正日中国亡命説について  時事問題

青山繁晴氏が『ビートたけしのTVタックル』で、金正日を中国に亡命させるという案について語っていたけれども、実際、中国はそういうことを考えているかもしれないという気はする。
日本に改憲を進めようとする安倍政権が生まれて、東アジアでの緊張が高まり、今後、北朝鮮と周辺国とが戦争になる可能性が現実味を帯びてきているように思う。
現在のところ、アメリカは中東での戦争が泥沼化している状況なので東アジアで戦争を起こすことは当面は考えていないかもしれないが、アメリカが方針転換すれば日本は当然、ついていくと思う。
そうした戦争への事態をさけるために、中国が金正日を亡命させるということは考えられる展開だと思う。ただし、金正日がそれを受け入れるだろうか?という問題はもちろんあるが。
もし仮に金正日が受け入れて、中国に亡命した場合、中国の傀儡政権が出来ることになるのだろうが、北朝鮮の人達が革命を起こして金正日政権を倒したわけではないので、むしろ、無理やり、金正日が亡命させられたことに北朝鮮の人達が反発して金正日に忠誠を誓う方向でまとまり、傀儡政権に対して抵抗するという方向に行くかもしれない。果たして、金正日を中国に亡命させるという形で北朝鮮を民主化した国に変えていくことがすんなり進むだろうか?
また拉致の責任問題をどうすればいいのかという問題も生じるだろう。(拉致事件を追求すれば金正日自身が指示していたことが明らかになる可能性が高いと思うので。)
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