2008/6/12

『P2』  映画

『ヒルズ・ハブ・アイズ』のアレクサンドル・アジャ監督がプロデューサーにまわった作品。
『ヒルズ・ハブ・アイズ』はなんていうか、いかにもホラーマニアの人が撮りたいものを撮った作品という感じで、根っからホラーが好きな人には当たりなんだろうけど(実際、ホラーファンにこの映画は評価が高いようです)個人的にはあまりにホラーマニア向けの「画」ばかりを追求しているようなところがちょっと・・と思ったのだけれども、今度も同じような感じかと予想していたのだが、なかなかどうして、こっちは面白かった。(いや、「面白かった」と言うより「参った」と言うべきかもしれないが・・。)個人的には『ヒルズ・ハブ・アイズ』よりずっと興味を覚える。
どこに興味を覚えたのかというと、端的に言うと、変質者の男のキャラクター造型。まあ、変質者なわけだが、型通りの変質者としてではなく、複雑な感情を持った(変質者なりに・・)人間として描いている。その点が『ヒルズ・ハブ・アイズ』よりも進化しているのかも・・と思ったのだ。
このウェス・ベントリーが演じる男は、まったく支離滅裂な行動をしているようで、何がやりたいのか、よく分からないんだけど、実際、おそらく本人も分かっていないのだ(笑)。レイチェル・ニコルズが演じるヒロインに「望みは何?」と聞かれて、男は漠然としか答えないんだけど、それはごまかそうとしたのではなくて、実際に男自身、自分が何を望んでいるのか? なんのために女を監禁しているのか?がよく分からないでいるのではないだろうか? では、やはりただの変質者が欲望のおもむくままに行動しているのではないか?と言われるかもしれないが、それがそうではないのだ。「欲望」というより「感情」によって行動しているのだと思う。男は「君に感情があるように僕にも感情があるんだ」と言うが、実際、そうなのだ。女を監禁するような変質者の男にもやっぱり「感情」がきちんとあって、男が女を監禁したのも実際、「友達になりたかったから」といった「感情」によるものなのかもしれないのである。変質者だって決して欲望のおもむくままに行動しているわけではないのである。(監禁されて喜ぶ女なんているわけがないし、「友達になりたかったから」女を監禁するなんてまったく馬鹿げた話のように思えるかもしれないけど、それは理性ではすぐ分かることであっても、「理性」ではなくそういうことを求めてしまうのが「感情」というものなのだ・・。)
そして、この映画は、男とヒロインの双方の「感情」の動きがよく分かる。ので、参った。だって、それは、「男」と「女」の絶望的な距離を示すものなのであるから・・。

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