2013/10/31

『天国の門』  映画

ネイトが手紙を書くシーンが感動的なのは、その手紙の内容だけでなく、たどたどしい書き方、筆跡だからなのだろうか。ネイトは貧しくて、おそらく学校もろくに行けなかったようなので、独学で文字を学んだのだろうか。

この映画は、主人公の保安官(金持ちのエリート)と、貧しいネイトという対比的な境遇のふたりの男が出てくる。ヒロインのエラはこの2人の男の間で迷うのだが、こう書くと、ひとりの女を男2人が争う三角関係もののように思えるが、実は、エラは2人の男の愛の間をさまよい、迷っているわけではないようだ。エラは親を亡くし、貧しい境遇から成り上がってきた娼婦たちの元締めであり、それだけに自分が蓄えてきた財産には執着があるし、それをほうりなげて男たちの愛を選ぶことは出来ずに、迷っているようなのだ。男たちの愛を選んだら、また貧しい時代に戻ってしまうのだから。だとすると、エラは男2人の間を迷っているというより、自分が苦労してためた財産を守ることと、男たちの愛との間を迷っているということなのか。
こう書くと、シビアすぎる話のように思えるが、このシビアなリアリズムがこの『天国の門』の凄みなのかもしれない。

マイケル・チミノ監督が後年に撮った『心の指紋』は、貧しいインディアン青年がエリート医師を誘拐するバディムービーの傑作だが、金持ちエリートと貧しい者との対比、葛藤を描くという点で『天国の門』とつながっているのである。
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2013/10/30

『爆心 長崎の空』  映画

『爆心 長崎の空』は、長崎の被爆、三世代のそれぞれのエピソードを、アルトマンの群像ドラマのようにまとめようとした意欲作。
「アルトマンの群像ドラマのようにまとめようとした」と書いたのは、僕の印象で書いたのではなく、日向寺太郎監督自身がインタビューでアルトマンの映画のようにしたかったと語っている。
その意欲と、個々に興味深いシーンがあり、面白い作品なのだけど、作品総体としてはもうひとつ、うまくいっていないようだ。
前半ではバラバラだった各人物のエピソードが後半にたしかにまとまっては行くのだが、それでも無理やり、バラバラなものをまとめた印象はまぬがれることはできない。
アルトマンのようにやろうとしても、なかなかアルトマンのようにはいかないということなのかもしれないが、逆に考えると、ではアルトマンの映画はどうしてバラバラなエピソードが、ひとつの映画として成立し得ているように思えるのだろうか。脚本だけの問題ではないのだろうか。アルトマンの映画のような脚本で、他の監督が撮ったら、アルトマンのようにはいかずにバラバラなエピソードを集めた散漫な印象の作品になってしまうということなのなら‥。では、脚本だけではなく、アルトマンの演出があるからそうではない作品になっているということなのだろうか。だとすると、そのアルトマンの演出の魔法とはいったい、どういうものなのだろうか?
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2013/10/25

『ブッダ・マウンテン』  映画

素晴らしい。ルビッチやトリュフォーのような、男2、女1の三角関係のドラマを、こんな風に現代的なやり方で成り立たせることが出来たとは。
全編、手持ちカメラ撮影なのも、この映画の場合、グッド。それがそのまま物語の揺らぎになっているからだ。
つい、ルビッチやトリュフォーと書いたけど、これだけの映画を撮るつくりては相当のシネフィルで過去の映画を参照しているに違いないのだが、その物語を、全編、手持ちカメラというような、デジタル時代的な撮り方できちんと画面として達成しているというのは、過去の映画を参照しつつ、新しい映画をうみだしているということだ。
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2013/10/4

『食卓の肖像』、広島・横川シネマ上映のお知らせ(終了)  映画

(下記の広島・横川シネマでの上映は終了しました。ご来場された皆様、有難うございました。)

私が制作した、「カネミ油症事件」のドキュメンタリー『食卓の肖像』、広島・横川シネマにて、10月12日より25日までの2週間、ロードショー上映されます。
1日3回の上映です!
皆様、よろしくお願いいたします。

上映時間
《第1週》2013/10/12(土)〜10/18(金)10:30/15:00/17:00
《第2週》2013/10/19(土)〜10/25(金)10:00/12:00/14:00

http://shokutaku.ne.jp/archives/360


下記の横川シネマのホームページもご参照ください。

http://yokogawa-cine.jugem.jp/?eid=1475

横川シネマ!!へのアクセスはこちら。

■住所:733-0011 広島市西区横川町3-1-12 横川商店街ビルA棟1階
■電話&ファックス:082-231-1001

http://yokogawa-cine.jugem.jp/?cid=7
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