2014/11/29

『シンプル・シモン』  映画

ようやく『シンプル・シモン』を鑑賞。
評判がいいのを納得。自閉症スペクトラム(アスペルガー症候群)という難しいテーマを、よくこれだけポップな映画として成立させたと思う。アスペルガー症候群ものでは、決定版とも言える傑作では。

アスペルガー症候群の極端なキャラクターというのをネタにコメディを作るというのはわりと分りやすいけど、人の感情が読めないアスペルガー症候群の人の恋愛をどう描くのか?(描けるのか?)と思っていたのだけど、奇抜な、兄貴の恋人を探すという設定ですんなり納得させているのもよく練られていると思う。これはイェニファーという女性のキャラクター造型が凄く面白くて、イェニファーがなぜシモンに興味を持っていったのかという部分がかなり練られてきちんと描かれているので、納得できるのかもしれない。いろいろな意味で、感心するし、参考になる作品だと思う。

しかし、この話がもし日本が舞台だったら、もっといろいろとトラブルがありそうだな…。
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2014/11/27

『ジェイソン・ベッカー 不死身の天才ギタリスト』  映画

新宿の映画館で上映が終っていたので、横浜の映画館まで見に行く。
見に行って良かった。
人生の奇跡と、ロックの奇跡と、ドキュメンタリーの奇跡がひとつになったかのような、素晴らしい映画。
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2014/11/3

二階堂和美『ジブリと私とかぐや姫』  音楽・演劇

二階堂和美『ジブリと私とかぐや姫』は、アニメーション映画(『かぐや姫の物語』)のサントラとしては破格の傑作CDであるが、中に高畑勲監督と二階堂和美の往復書簡が同封されていて、これがまた凄い。特に凄いのが二階堂和美の高畑監督に対する返信で、妻子ある捨丸が一瞬でも駆け落ちしようとしたところをはじめ、二階堂和美が映画の脚本を読み、女性の立場から動揺した点、どう受け止めればいいのか、逡巡した点を細かく書き連ねていて、映画の女性像に対する痛烈な批判にもなっているように思える。さすがの高畑監督もこれに深く返信すると泥沼にはまるとでも思われたのか、それ以降の返信は、二階堂和美の作曲した歌をほめつつ、さりげなく自分の意見を盛り込むぐらいのことになっている。高畑監督すらもそのような態度にさせた二階堂はさすがであるが、二階堂のさらなる凄さは、こうした批判というか、逡巡した気持ちを抱えながら、その逡巡している気持ち自体を歌にしていることである。ここには、まさに、血みどろになりながら歌をつくり、歌っているかのような生々しさがある。
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2014/11/1

『黒海の波』  映画

内輪の試写会で思わぬものを見た。
『黒海の波』。ソビエト(ロシア)のウラジミール・レゴーシン監督作品。
これはちょっとした発見。こんなロシア映画があったとは…。もとは1937年にサイレントで作られたもので、戦後、トーキー版として作り直されたフィルムを見たようだ。
なんと、『戦艦ポチョムキン』の外伝というか、後日譚なのだ。ポチョムキンから脱走した水兵を、2人の少年が匿うという話なのだが、この2人の少年が、ひとりは漁師の息子で、もう一人は学校の先生の息子で、家庭環境に違いがあるところがミソ。良家というか、学校の先生の息子は友達は選べ、悪ガキとは付き合うなと親から言われたりもするのだが(実際、漁師の息子の少年は次々と悪いこともする悪ガキなのだ)、それでも2人の少年が友情を貫きつつ、水兵を助けるのに協力していくという話で、ポチョムキンの後日譚と少年たちの友情と成長物語が繋がっていて、革命期のオデッサが描かれているのが実に面白い。
後で、インターネットで検索したが、この映画について情報がほとんど全く出てこない。『戦艦ポチョムキン』はあんなに有名なのに、『黒海の波』は日本では忘れられた名画のよう。ところが、『黒海の波』は、別名「孤帆は白む」とあったので、これで検索してみると、唯一、以下の情報が…。

「彼を感激させた作品として伝わっているのが、エーリヒッヒ・フォン・シュトロハイム《結婚行進曲》、スタンバーグ《嘆きの天使》、レゴーシン《孤帆は白む》の三作である。」

http://borges.blog118.fc2.com/blog-entry-1333.html

な、なんと、かのルキノ・ヴィスコンティ監督が影響を受けた映画、3本の中に入っている映画だとのこと!
全く知らずに見た映画が、ヴィスコンティのベスト3の一本だったとは…。思わぬことに、驚きました。
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2014/11/1

『小林多喜二』  映画

『小林多喜二』(今井正)を見た。
佐藤忠男がこの映画について共産党の宣伝映画みたいとか書いていて、まあ、それはその通りなのだが、しかし、どこか、そういう印象だけには収まらないところがある映画なのもたしかだ。なんていうか、題材は小林多喜二という、まさに重い題材なのに、今井正はさらっと撮る。多喜二の死の場面など、なんと歌になっていて、ミュージカルになっているのだ。小林多喜二でミュージカル?真面目な今井正監督が一体、どうしたのだ!?と思われるかもしれないが、実は、この重い題材を軽くさらっと撮るというのが今井正監督の演出の特色なのだ。実は、今井正という監督は、真面目な社会派監督というだけでは収まらないところがあるのではないか。
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2014/11/1

『やさしい人』  映画

ギヨーム・ブラックは小津やイーストウッドのように残酷。
しかし、小津とイーストウッドの違いは、小津はオブラートにくるんで、残酷であることを一見、分からないようにしているが、イーストウッドはオブラートを被せずにそのまま本質を見せるところがある。
ギヨーム・ブラックの映画は、愛らしい登場人物と、ユーモアで、残酷さをオブラートにくるんでいて、小津に感触が違い。しかし、後半部の展開、それまでオブラートにくるまれていた残酷な箇所がそのまま出てきたようで、はっとし、この映画はどこに行くのか?と見る人は思わないではいられない。ところが、何事もなかったかのように映画は終わってしまう。
結局、どういう映画だったのかというと、要約が出来ない、変な映画なのだが、であるからこそ面白い。
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