2015/1/6

『バンクーバーの朝日』  映画

世評の通り、なんとも地味で、盛り上がらない野球映画ではある。でも、そこがいいと思う。
なんといっても、主人公の妻夫木聡が、ヒーローらしくないヒーローなのがいい。勇ましいところがまったくなく、キャプテンなのにキャプテンらしくないし、演説は口下手でまるで気合いが出ない。まったくヒーローらしいところがない、等身大の主人公。
野球の仕方もバント攻撃とかせこいし、野球ものとしては、ちばあきおの漫画(『キャプテン』『プレイボール』)の世界に近いのかもしれない。
考えてみると、石井裕也監督の作品は、『舟を編む』の松田龍平も、『ぼくたちの家族』の妻夫木も、やっぱりヒーローらしくない、勇ましいところがまったくない等身大の主人公という感じで、そうした主人公がコツコツと地道にやってたら何かを成し遂げてしまったという感じだった。こうした路線、味わいを築いているのはいいなと思う。
特に、今回の『バンクーバーの朝日』は第二次世界大戦時の話で、妻夫木の父親役を演じる佐藤皓市をはじめ、戦争をしている勇ましい日本人というキャラクターの人物が出てくる。妻夫木演じる主人公の描き方はそれと対照的になっていて、ここにつくりての戦争に対するスタンスがうかがえるようにも思える。
山田洋次の『小さいおうち』にしろ、この『バンクーバーの朝日』にしろ、戦争に対するスタンスという点ではいいところをつかまえているように思う。
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