2006/1/25

少女マンガ縦断(その1) もりたじゅんと耕野裕子 前編・もりたじゅん  マンガ

 予告していた連載「少女マンガ縦断」、第1回は「もりたじゅんと耕野裕子」です。もりたじゅん(森田じゅん)と耕野裕子、年齢も描いている雑誌も全然、違って接点がないようですが(笑)。とにかく少女マンガに関しては僕は1970年代のものから2000年代のものまで読みあさっているという珍しい男子(←いつまでも男「子」だと思っているモラトリアム人間・笑)ですので、どこから話をしようかと迷いまして。
 で、もりたじゅん(森田じゅん)と耕野裕子の接点を見つけました。もりたじゅんは本宮ひろ志、耕野裕子は榎本俊二という、それぞれ漫画家と結婚したということです。そのような共通点で結び付けてもりたじゅんと耕野裕子について並んで書くことにしました。(かなり強引だな・・)

 で、もりたじゅん(森田じゅん)ですが、この人は経歴が長いですね。1970年代に『りぼんコミック』で描いていた人ですから。本宮ひろ志と結婚してからはすっかり本宮ひろ志の奥さんというイメージが定着してしまい(ちなみに本宮ひろ志のマンガに出てくる女性はもりたじゅんが描いているという話もある。絵がみんな、もりたじゅんのマンガに出てくる顔なのだ・笑)、最近はレディースコミックなどを描いているようですが、『りぼんコミック』の時代にはかなり個性的、実験的な作品を描いていました。
 解説がいるかもしれませんが、『りぼんコミック』は低学年向きの『りぼん』とは別に短編読み切りで冒険的な題材の作品を当時の新人作家が発表する場としてつくられたもので、一条ゆかり、もりたじゅん、樹村みのり、弓月光、土田よしこ、山岸凉子、ささやななえ、のがみけい、汐見朝子、田渕由美子らが描いていました。もっともすぐに廃刊になりこれらの描き手は本誌『りぼん』に吸収されることになりましたが、多くの新人作家を育てた実験的な雑誌として歴史的な意義をもつものだと言えるでしょう。
 少女マンガというと、萩尾望都、竹宮恵子、大島弓子、山岸凉子らのいわゆる「24年組」が意欲的な題材のものを発表した改革者として知られていますが、「24年組」が出てくる以前にあった「りぼんコミックグループ」のような動きも無視できないものとしてあるのではないでしょうか。ほかにも、矢代まさ子の「ようこシリーズ」や、西谷祥子の学園ものなど、「24年組」以前にすでにいろいろと実験的な表現のものが出てきていたことは改めて見直されていいことではないかと思います。
 と、どうしても前置きの解説が長くなっているが・・。俺は評論家か(笑)。
 で、もりたじゅんですが、今、手元に『うみどり ーもりたじゅん珠玉作品集1』(集英社漫画文庫、昭和51年12月31日初版)というのがあります。収録作品は『うみどり』『しあわせという名の女』『おっちょこちょいの季節』の3編。これらがもりたじゅんが当時、描いていた作品です。特に『うみどり』は兄と妹の近親相姦のテーマを扱ったもので、かなり衝撃的な作品だったと言われています。読み返してみましたが、このテーマをリアリティがある話にするためにちょっとしたトリック的なアイデアを持ち込んでいて、肉体的なもの、精神的なものの両面をとらえて描いているように思いました。(トリック的なアイデアというのは本当の兄妹なのかどうか分からないスレスレ感を話に盛り込むものですが、これはくらもちふさこの『東京のカサノバ』や、岩館真理子のマンガでもそういう本当の兄妹なのかどうかが分からない兄妹ものがあったと思うし、近親相姦ものをリアリティを持たせて見せるための手法なのかもしれない。)
 また『しあわせという名の女』は少女マンガにおける大きなテーマのひとつと言える、「しあわせ」をテーマにしているものですが、これも手が込んだ設定で、女性歌手とそのマネージャーという、「商品なので手を出してはいけない」という枷(かせ)がある関係の男女の話で二転三転するストーリー展開をつむぎだしています。
 改めて、もりたじゅんの実験精神が当時の少女マンガが取り上げる題材の裾野を広げていたことを思わせます。
 こちこちのメロドラマの韓国ドラマがブームになっているような今の時代にこそ、『うみどり』や『しあわせという名の女』のような作品を見直してみてもいいのではないでしょうか。
 話が長くなったので、今回はここまで。耕野裕子については次回に書く予定です。
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