2006/4/27

水俣病 自民党がチッソ分社化検討  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
チッソ分社化検討 自民小委が方針 収益力強化促す
 自民党水俣問題小委員会(松岡利勝委員長)は二十六日午前、水俣病の原因企業チッソについて、患者補償や公的債務返済を担う会社と、現在の事業活動を継続する会社に分離する「分社化」を検討する方針を確認した。党の正式機関がチッソ分社化を打ち出すのは初めて。水俣病認定基準の見直しには応じないとしている。
 同党によると、分社化はチッソの収益力強化を促し、経済活動を展開しやすくするのが目的。患者補償や公害防止事業などで約千三百億円に膨らんだ公的債務を滞りなく返済させる狙いもあるという。
 分社化の具体的手法は今後、政府・与党間で協議する。現在のチッソ本体を患者補償と公的債務返済の会社とし、事業活動は新会社に譲渡する手法が有力とみられる。分社化時期は未定。同党は当面の支援策として、法人税などを免除した上でチッソの収益を優先的に公的債務返済に充てられないか検討する。
 一方、認定申請者らが求めている認定基準の見直しについては、(1)水俣病関西訴訟最高裁判決は原告と公害健康被害補償法の認定患者を明確に区別し、認定患者より低い補償金額を容認している(2)見直しの議論は医学的に不合理で、一九九五年の政治解決にも合致しないと主張。「見直しで新たな補償金が発生してチッソが破たんすれば、現在の認定患者への支払いがストップする。認定基準の緩和は認められない」との見解を示した。
 チッソの公的債務返済の枠組みは、二〇〇〇年の閣議了解に基づく。同社は毎年、経常利益から患者補償金や内部留保を差し引いた額を返済。残りは国、県が肩代わりしている。
 小委は党本部で非公開であり、県関係国会議員や政府、熊本、鹿児島両県の担当者ら約五十人が出席した。終了後、松岡委員長は「(JR各社と清算事業団に分割した)国鉄の例もあり、政治が手を貸す必要があると思った」と語った。(鎌倉尊信)

<解説>チッソ分社化 見えぬ被害者救済策
 自民党水俣問題小委員会が検討を確認したチッソ「分社化」は、チッソを患者補償・公的債務返済を担う会社と、事業運営会社に分離することを目指す。しかし、新たな事業運営会社は事実上、水俣病の発生・拡大について免罪される可能性があるだけに、関係者の理解が得られるかは不透明だ。
 今回の同小委の方針からは、新事業会社を巨額の公的債務から解放し、液晶など好業績を続ける事業活動に専念させようという政治判断がうかがえる。
 水俣病認定基準の見直しでも、同小委は「基準の緩和は医学的にボーダーラインにある層をすべて認定することになる」と主張。その上で「(補償金の増大で)チッソが経営破たんすれば、現在の認定患者への補償だけでなく、水俣地域の再生に向けた取り組みが頓挫する」との見解を示し、患者補償や地域再生のためにもチッソ存続を最重要課題と位置付ける。
 ただ、約三千八百人に上る新たな認定申請者や原告千人を超える訴訟の提起など、水俣病関西訴訟最高裁判決後に生じた混乱に対する具体的な対応策は示していない。
 環境相の私的懇談会「水俣病問題に係る懇談会」では、委員から認定基準の見直しとチッソの補償金負担増の関係を示すよう求める意見が出たばかり。分社化は、公害補償の基本である汚染者負担の原則(PPP)をあいまいにし、チッソの“脱水俣”をも懸念する声が上がるのは必至。自民党小委の姿勢は、被害者救済より加害企業支援に力点を置いているようにも映る。(鎌倉尊信)
(熊本日日新聞、2006年4月26日夕刊)
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