2006/8/28

「イスラエル=パレスチナ」 世俗的、民主的国家がいいとは限らないということ   イスラエルとパレスチナ、中東

*関連する前記事
帰還権と「イスラエル=パレスチナ」問題
http://blue.ap.teacup.com/documentary/821.html

チョムスキーは「イスラエル=パレスチナ」一国家案には否定的
http://blue.ap.teacup.com/documentary/828.html

上の前記事でチョムスキー氏にして2004年のインタビューでは「イスラエル=パレスチナ」一国家案に反対していましたが、現在は2国家案がより暗礁に乗り上げているので、また状況が変わっているようには思います。ハマスが選挙で政権についた点も違いがあります。
そのチョムスキーのインタビューでも訳者(中野真紀子氏)が次のように補足しています。

>チョムスキーは中東について大著を著していますが、その主眼はあくまでもアメリカの影響力におかれていて、アメリカやイスラエルの政策についての分析は非常に詳しいけれども、パレスチナ側の自律的な運動についての認識が乏しく、とくにPLOの理想には冷淡です。このインタヴューでも、どうやらPLOは「民主的な世俗国家」をめざすものとは理解されていないようです。

このあたりの評価でも状況判断が違ってくるのかもしれません。
ハマスやヒズボラが大衆に根付いてきていることもたしかなようには思います。

そもそも一国の「アラブ・ユダヤ共生国家」をめざす場合にそれが「世俗的、民主的国家」であることを前提として考えること自体が疑問に思います。
かつてのPLOは「民主的な世俗国家」をめざしていたのかもしれないけれども、今、パレスチナの民意の支持を得て政権についたのはハマスであるわけで、ハマスがめざすビジョンが「民主的な世俗国家」とは違うものであったとしてもそれは不思議ではないわけです。
問題なのは、ひとつの国家にするにしろ、2国にするにしろ、ユダヤ人とアラブ人という異なる価値観の民族同士がいかにして共生していけるかということそのものであるわけです。「民主主義国家」というもの自体が西欧的な価値観のものであり、だからユダヤ人とアラブ人が共生する一国の「アラブ・ユダヤ共生国家」というのが「民主的な世俗国家」という形のものがいいとは限らないわけです。「民主的な世俗国家」であることがいいという価値観自体がある意味でイスラムの価値観を否定するものかもしれないわけで、西欧的な見方なのかもしれないと思います。
ブッシュ大統領が「イスラムを民主化する」というのと同じで、そこでは民主化することがいいことだということが前提として考えられているようなんだけれども、そもそも「イスラムを民主化する」というのが本当にいいことなのだろうかというところから疑っていかないといけないのではないでしょうか? イスラムという異なる価値観の社会と共生するということは西欧的な価値観の「民主化」を押し付けるということとは違うのではないかと。

それではどういう社会の国家がいいのかと言われると困るんですが、そのことを具体的にユダヤとアラブという異なる価値観の社会同士が模索していくことがまさに共生するということそのものなのではないのでしょうか・・。
どういう社会にしていくかということは、外から押し付けるのではなく、自発的にその社会の人達が築いていくものだとも思います。
そういう意味では、ハマスは自発的にパレスチナで行なわれた選挙で勝って政権についたのであり、別に武装闘争で政権についたわけではないのです。民主的と言えばこれこそが民主的なことなのだと思います。
なのに、ハマスは民主的に政権についたのにそれを認めないと言っているのはイスラエルやアメリカの方であり、そもそもアメリカが「イスラムを民主化する」というのならばハマスを認めないというのはやっていることが矛盾しています。民主主義を大事にするというのならば、とにかくハマス政権はパレスチナ人自身が民意で選んだものなのだということを尊重することから始めるべきだと思います。
チョムスキー氏も言うように、今の現状で一国家案を言うことはあまりに現実と乖離しているところがあるのかもしれませんが、かといって2国家案も現実的に破綻している状況のように思います。
パレスチナの民意がハマスを選んだのは必ずしもハマスの政策を支持するというわけではなくて、パレスチナ自治政府が既得権益を握りあまりに腐敗したので見捨てられたという面も実態としてはあるのかもしれませんが、2国家案が完全に行き詰まってしまったからということもやっぱりあるように思います。
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