2006/9/30

水俣病関連記事(9/21〜9/29)  公害・薬害・環境・医療問題

(ニュース)
水俣病対策推進、地元の要望反映・環境省が専門組織
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20060921STXKE042021092006.html

 水俣病対策の一環として環境省は21日、発生地域の福祉や医療の向上を地元自治体と連携して進める「水俣病発生地域環境福祉推進室」を発足させた。

 室員は計9人で、熊本県と水俣市から1人ずつ職員の派遣を受けた。

 発足に際し、小池百合子環境相が「被害によって混乱した地域の再生は救済策と車の両輪。現場に根差した対策の発信地点になってほしい」と室員に要望。水俣市から出向の森枝聖子室員は「生まれ育った水俣の実情を伝えながら政策を進めたい」と話した。

 今後は、これまで国としてすくい上げられなかった地元の要望を出向職員を通じて集め具体策を検討する。〔共同〕 (日経 2006年9月21日)

[解説]水俣病懇談会 認定基準見直し盛らず
議論妨げた環境省 補償・救済に公平性必要
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20060922ik03.htm

 水俣病問題の解決策を検討してきた小池環境相の私的懇談会「水俣病問題に係る懇談会」の報告書がまとまったが、焦点だった認定基準の見直しは盛り込まれなかった。公式確認から50年を経てなお解決できない異常事態を打破するには政治的決断が必要だ。(科学部・佐藤淳)

 懇談会が設置されたのは昨年4月。きっかけは前年の10月に出された水俣病関西訴訟の最高裁判決だった。判決は水俣病の被害防止策を講じなかった行政の責任を認定。行政が水俣病ではないとした人たちの一部を「メチル水銀中毒」と認めた。

 現行の認定基準では、手足の感覚障害だけでなく、視野が狭くなったり、運動に障害が出るなど、複数の症状がなければ、水俣病とは認められない。この点について、最高裁は、感覚障害しかない人でも、工場排水に含まれていた有機水銀に汚染された魚を多食し、家族に認定患者がいる場合には水俣病と認めた。

 関西訴訟以外の一連の水俣病裁判は10年前、原告側が政府の「政治的解決策」を受け入れて終結。感覚障害しかない人たちには、現行の認定制度とは別枠で、一時金や療養手当が支払われた。

 認定基準の是非について、最高裁は国の基準より幅広い解釈を採用した。その内容は被害を訴える人たちが水俣病かどうかをあいまいにしたまま導入された「解決策」の土台を揺るがす内容だった。

 認定基準の見直しに踏み込むべきかどうか。判決を踏まえて設置された懇談会でも議論は白熱し、委員からは「現在の基準は断固守るんだというやり方は一般の常識に反している」(元最高裁判事の亀山継夫氏)といった厳しい意見が相次いだが、環境省は終始、認定基準は見直さないという姿勢を崩さず、論点を水俣病の歴史の検証と、再発防止策に絞ろうと圧力をかけ続けた。今年3月の懇談会では小池環境相自身が「認定基準の問題は提言してもらっても、行政として対応できない」とクギを刺した。懇談会は結果的に、最大の焦点に真正面から向き合うことなく、環境省の思惑通りに決着した。

 過去の検証なら、すでに何度か行われている。91年には環境庁(当時)の有志が公害による経済的な損失を軸にした「日本の公害経験」と題した報告書をまとめているし、政治解決の際の総理大臣談話に基づいて設置された「水俣病に関する社会科学的研究会」も99年、「水俣病の悲劇を繰り返さないために――水俣病の経験から学ぶもの」と題した報告書を出している。今回まとまった報告書の歴史検証の部分は、その要約に過ぎず、見るべき内容はない。

 行政認定で水俣病と認められた患者は8月現在、約3000人、政治解決による救済対象者は約1万1000人いる。最高裁判決で補償を認められた原告もおり、さらに判決後、新たに1万人以上が行政認定や政治解決による救済を申請している。補償・救済制度は、問題がこじれるたびに複雑化するばかりだ。

 足踏みしたままの水俣病問題の根本的な解決には、入り組んだ補償・救済制度を解きほぐし、不公平感のない着地点を見つける必要がある。懇談会に介入して、本質的な議論を妨げた環境省に、その力量がないことは明らかだ。政府全体の取り組みが必要であり、政治的な決断が今ほど求められている時はない。26日に発足する見通しの安倍新内閣に託された課題は重い。
(2006年9月22日 読売新聞)

<訃報>江頭豊さん98歳=チッソの元社長
 皇太子妃雅子さまの母方の祖父で、水俣病の対応にあたったチッソの元社長の江頭豊(えがしら・ゆたか)さんが24日午前0時45分、静岡県富士市の病院で亡くなった。98歳だった。葬儀の日取りや喪主は未定。
 雅子さまは今年3月、お忍びでお見舞いされた。24日から30日間、喪に服す予定。
 1908(明治41)年、東京生まれ。33年に東京帝大法学部を卒業し日本興業銀行に入行。興銀常務だった62年、水俣病問題解決のため、チッソの前身の新日本窒素肥料に迎えられ、64年12月に社長に就任。在任中の68年9月に水俣病が公害病と認定され、謝罪のため被害者宅を訪れ補償交渉などにあたった。71年5月の株主総会では「一株株主運動」で株式を購入した被害者らの謝罪要求に応じず、混乱を招き、同7月、会長に退いた。
 長女優美子さんと、国際司法裁判所判事の小和田恒さんの間に生まれた長女が雅子さま。皇太子さまとの結婚を巡っては、江頭氏がチッソ元社長だったことが一時、宮内庁内部で問題視された。しかし水俣病の発生にはかかわっておらず、支障にはならなかった。
(毎日新聞) - 9月24日22時16分更新

安倍内閣:発足 松岡農水相に期待の声 県選出議員の入閣、7年ぶり /熊本
 安倍晋三内閣が26日、誕生し、県選出の松岡利勝衆院議員(熊本3区・6期)が農林水産相に決まった。県選出国会議員の入閣は99年の野田毅自治相(当時自由党)以来7年ぶり、自民党では91年の故東家嘉幸・国土庁長官就任以来、15年ぶり。
 就任会見で「農産物の輸出による攻めの農業で日本農業を世界に冠たるものにしたい」と語る松岡氏をテレビで見ながら、古閑三博・自民党県連会長は「松岡さんは農政が本職。農業県の熊本に一層、貢献してほしい」と拍手した。熊本選出の農水相就任は故松野頼三氏以来、40年ぶりという。
 松岡氏は水俣病問題ではチッソ県債による県の負担を軽減する00年のチッソ金融支援の閣議了解に尽力。その後も党の水俣問題小委員長としてかかわり続けた。
 潮谷義子知事は「農林業の現場を熟知されており、新しい日本農業の確立に向け期待する」とコメントした。JA熊本中央会の園田俊宏会長は「農業政策の対象をすべての農家から担い手へと絞る大転換ともいうべき重要な時期。力を注がれるよう期待する」とエールを送った。【山田宏太郎】
9月27日朝刊
(毎日新聞) - 9月27日18時0分更新

水俣病:新救済策の早期実現を 出水の会、水俣市長に申し入れ /熊本
 水俣病認定申請者団体「出水の会」(尾上利夫会長、2062人)のメンバー10人が28日、水俣市役所を訪れ、県などが提案し与党プロジェクトチームが検討している新たな水俣病救済策(政治解決策)の実現を、国や県に働きかけるよう宮本勝彬市長に申し入れた。同会はすでに熊本、鹿児島両県と鹿児島県出水市にも同様の申し入れをしている。
 尾上会長は「我々が求めているのは、治らない体を抱えながら暮らしていくための必要不可欠な補償」と話し、一時金(260万円)や医療費、団体加算金の支給など、95年の政治解決策並みの補償を求めた。また、全ての被害者団体の合意が難しい場合には、合意する団体から早期に救済するよう求めた。
 これに対し、宮本市長は「1日も早い救済を願う気持ちは同じ。水俣病問題の早期解決に努力したい」と答えた。【平野美紀】
9月29日朝刊
(毎日新聞) - 9月29日17時2分更新

水俣病:認定審査会、再開厳しく 委員、なお再任に難色−−県議会対策特別委 /熊本
 県議会水俣病対策特別委員会が28日あり、県は委員が任期切れのままストップしている認定審査会について「委員就任に明確な返事が得られず、依然として再開は厳しい」と説明した。
 認定審査会は現行認定基準を事実上否定した04年10月の関西訴訟最高裁判決後、同月に任期切れとなり委員は再任に応じていない。間もなく2年がたつが、委員の一部が行政と司法で認定が二重基準状態となっている状態に戸惑って、なお再任に難色を示している。
 特別委の委員からは国が検討していた独自審査会の設置の進ちょく状況について質問が出たが、県側は「議員立法で検討されていたが、審議が止まった状態と聞いている」と説明した。
 また、95年の政府解決策並みの救済を念頭に、与党プロジェクトチームが年内に結論を出す考えを示している全面救済策についても議論。農水相に就任した松岡利勝衆院議員がチーム座長を交代する見通しで、環境相も変わったことを踏まえ「議論を停滞させないよう、改めて中央への働きかけに努める必要がある」との意見が出た。【山田宏太郎】
9月29日朝刊
(毎日新聞) - 9月29日17時2分更新
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