車中泊する時は、2列目シートと3列目シートをフラットにして、エアーベットを膨らますのだが、今日は仮眠だったので、運転席をめーいっぱい後に倒して休んでいた。
私の特技は、いつでもどこでも、すぐに寝れる事だ。うちの嫁さんの話では、床に就いて30秒もしない間に寝息が聞こえて来るという。ただ、かなり寝相が悪いらしい。なので、夫婦二人同じ部屋で寝てはいるが、私がダブルの敷布団を一人で占領して、嫁さんはその横で別の布団で小さくなっている。
夢は、たまに見る。この仮眠中にも見た。高校時代に、タイムスリップしてた様だ。最後は、駅のホームに立っていたかな?ドリンクホルダーに置いていた、飲みかけのコーヒーを倒して目が覚めた。
うっー!いいね、いいね、やっぱりいいね山田ダムは!夜中に到着して、広田橋のふもとの駐車スペースで待機した。時刻は6時を回り、もうすっかり夜が明けている。
今年の初釣、いつにするか、釣友から情報収集しながら週間天気予報とにらめっこして、一番穏やかで暖かそうな、3月30日の金曜日にした。それでも車外にでると、朝の空気は吐く息を白くした。
『春は場所を釣れ、秋はタナを釣れ。』とは、あまりにも有名なへらぶな釣りの格言だ。冬の間、巣ごもりしていたヘラブナは、次第に強くなる陽の光と水温の上昇で春を感じ、巣離れする。そしてやがてやって来る産卵の大イベントに備えて、待機回遊する。そして、なんらかの理由でスイッチが入るとハタキに入る。ヘラのグループにより、ハタキに入るタイミングが違ったりするが、ハタキを終えたヘラは、体力回復の為にいわゆる一服状態となる。
春は、釣り場に訪れたその時が、その一連の活動の中でどのタイミングになるか考えて、場所を選ばなければ、釣りにならないのだ。
めっきり温かくなって来た今日この頃、釣友やマイミクがその日記に釣果をアップし始めた。早い所では、小バタキが見られた所もあった様だ。
山田周辺も、例年並みの降水量があったはずだが、4月10日位にならないとダムゲートは完全には閉まらない。今はオーバーフローさせている状態で、一定の水位が保たれていて、まだ水は乗って来ない。つまり、ハタキ場はまだ水に浸かっていない。
そんな訳で、ハタキ前の待機ベラ狙いになるのだけれど、後方にハタキ場を抱え、深場から上がって来る通り道にある様な浅場のカケアガリがいいのではと考えた。
釣行前、ささやん”から電話があって、最近の情報を聞くと共に、私が候補にあげているいくつかのポイントをどう思うか聞いてみると、いい狙い目だという返事だった。
結局、広田橋下のポイントに入った。ここは、本流の深場から、ハタキ場のある奥広田と野田原への分かれ道だ。前方に水中島が顔を出しており、長竿でその逆カケアガリを狙う事にした。
午前7時、第1投。今日のタックルは、竿:剛作21尺⇒19尺。道糸2.5号、ハリス1.2号。ハリ:上ダイスケ16号40cm、下同50cm。エサ:新ベラグルテン底200cc、わたグル120cc、水360cc。
エサがなじむ間に、床計り。まず、シズ無しでざっくり計る。次にいったん宙に戻し、シズ調整してエサ落ちを決める。宙の状態で両バリにエサを付けウキのなじみを見る。全長60cmパイプトップの千曲が、1節残す。
再度、床計り。今度はエサを付け、トップが1節水面に出る状態から、エサ落ちより1節上まで出す状態までの幅を確認しておく。この幅の間で、ウキの反応を見ながらタナを調整する。
エサ打ち1時間経過し、エサ溶けが少し早くなる。『おるな』。さらにエサ打ち『さわった』。そして小さなビビッとしたアタリ。迷ったが手を出さなかったというか出なかった。
「アンタの恋愛みたいネ」
「うるさい、ここで持ち出すな!」
「アプローチ下手やな!」
「わぁっーとるわい、ほっとけ!」
ここで、竿を19尺に変更。逆カケアガリなので、タナは1本半強から2本に深くなった。竿が短くなり、タナが深くなって、振り込みがかなり楽になり、投餌ポイントがかなり正確になった。竿を変更してから、今度はそう時間がかからず、エサ溶けが早くなった。
「おる、やっぱりおる、まだおる。」
“ささやん”から電話
「どないですか?」
「さわりもあったし、あたりもあったんですけど、手を出すほどのじゃなかったですね。」
「手が出んかったんやろ!正直に報告しろよ!」
「だから、ほっとけって!」
それは、電話を切ってから15分も経たないうちに起きた。ウキのトップ2節がドン。こんなアタリなら、5ヶ月も冬眠していた私の腕でも瞬時に反応する。
「乗った!来たぁー!」かけてすぐに、かなりデカイヤツだと分かった。やりとりの後、魚体が水面に現れる。
「あれっ?あらっ!なーんだ…鯉か…がっくし。でも、ブログのネタは出来たな…」
「オイオイオイ!ブログのネタは出来たって、こんな事で、3回も引っ張ったんかい!」
「皆さんすんません。」
てっきり、巨ベラだと思いましたが…そんなに甘くはなかったですね。60上の鯉か…。
午前中も少し風があったが、午後からはかなり強くなり、釣りを止めざるを得なかった。いつもよりかなり早いが、14時で納竿。
自宅へ帰るコール。事前に写メを送っていたが、その返信は

イタズラ顔付きの拍手だった。私が31歳の時に6歳年下の彼女とお見合いし、18歳から始まった私の失恋人生にピリオドを打ってくれた。以来、今年でまる25年になる。助けられて来たのは、私の方だ。あらためて感謝の気持ちを伝えたい。
「ありがとう」
私には、愛すべきもの、守るべきものがある。
釣りは?
また来たらいいーやん!

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