前回は、自分の腕の未熟さ故の、ストレス釣行でしたが、今回はそれを吹き飛ばす、納得の行く釣りが出来ました。
今年の8月の山田ダムは、例年以上のジャミの厳しさで、誰もがその対応に頭を悩ませているところです。前回のリベンジをと、願って出掛けた今回の釣行でありましたが、この難題を解決しなければ、釣りになりません。
ジャミとの攻防に覚悟を決め、やって来たダムサイト。最近の釣況を反映してか、各ポイントはがら空き状態。あの超1級ポイントのトウフでさえ空いていましたが、何か今一つ気が進みません。私は、ステージ下岩場に何か魅かれるものを感じ、釣り座を構えました。
ジャミの層を突破させる為に、エサを極端に練り込む。しかし、そのエサでは、フナが寄って来てジャミが散ると、ウキは沈没する。多少ボソっ気の残る開くエサに修正すると、今度はカラツンに泣かされる。カラツンを消す為に、エサを柔らかく小さくして行くが、またジャミが集まりだすと、エサがタナまで届かない。
この難解なパズルを解く様な釣況に、このところずっと手を焼いて来た。今日はどうするか?とりあえず、ノーマルに練り込んだエサで様子を見る。19尺2本のタナでスタート。適度に傾斜のついたこのポイントでは、振り込みが楽だ。エサ切れしない程度に、めーいっぱいの振り切りで、仕掛けが1直線になる様に振り込む。
第1投は6時過ぎ。あれっ?
あれっ?なじむやん!何で?いや、これでえーねんけどな…
完全なエサ溶けまで待って、こわごわ第2投。
やっぱりなじむ。次も、その次も。
ここだけか?
後で分かった事だが、今日はダムサイト全体で、ジャミに邪魔されずウキが入って行く状態にあった様だ。何が変わったのか分からないが、ありがたい状況だ。しかし、これが明日も続くとは限らない。ダムは気まぐれだ。
この状況がいつまでも続く様、ジャミの気を引かない様に、エサ落ち目盛が出るまで待って、最少の着水音でエサを振り込む。開始1時間程で、サワリが出始めた。
が、なかなか落とさない。
ウキが立って直後のひったくり
ウキがなじんで行く途中の、落ち込みのアタリ
なじみきった直後のアタリ
ウキが戻し始める直前のアタリ
エサ落ち近くになってからのアタリ
すべての可能性を考えながら見て行くと、気を抜く間が無い。しかし、一瞬の集中力を欠いたが為に、アタリに手を出せなかった事が過去何度あった事か。
そして開始2時間後の8時過ぎ、ウキが完全になじみ切って、しばらく待って、そろそろウキが戻し始めるなというタイミングで、力強い節アタリで乗った。こんなアタリなら、ほっといても、腕が勝ってに合わせる。今日は、6枚の釣果があったが、すべてこのアタリ。
1枚目のヘラは、残念ながら39cmのチャンベラ。今日は釣れる感じがある。ボウズ逃れたぐらいで喜んでいたんでは、もっと大きな喜びは味わえない。集中!集中!自分に言い聞かせる。
それから、約15分後両目が開いた。約42cm、お前は写真に撮ってやろう。
その後もヘラの気配は消えないが、なかなかアタリへと昇華しない。たまに思わず手を出したくなるのもなくはなかったが、そこはぐっと我慢。スレをかいたら全てが終わる。
今日は特に、エサのスイートスポットの幅が狭い様だ。夏はエサの経時変化が早い。少量作成で何回も作ればいいのだろうが、ここぞという時にエサが無くなるのが、一番嫌だ。
基エサを、ボウルの中で3分割。その内の一つを別のボウルに取り分け、基エサのボウルには中ブタをし、その上に小分けしたエサが入っているエサボウルを置く。
その日で違うが、今日は1回目が50回練りで手水なし、2回目が30回練りで手水4回、3回目が20回練りで手水6回。その1回の中でも、大きさを変え、付け方を変え、ここでは書ききれない工夫を、自分ではしているつもりだ。
今日は、語るねぇー!
釣れた時に言わな、言う時ないやろ!
朝一で作ったエサがなくなりかけた10時半頃、あのアタリで乗った。デカイ!
イヒヒ、尺半あるねー、よしこれで、エサも無くなる事やし、ごはん食べて昼寝して、午後からの時合いに備えましょうかねー
とか考えながら、魚を掬おうとすると、上バリが網に引っ掛かって…
あー、あー、あっー…シャク、シャク、尺半が消えてしまった。
おっ!やっとおもろなって来たやないですか!やっさんらしくなって来たネ!
じゃかっしい!ほっとけ!
ほっとかれしませんな、何でそうなるの?今まで何回も尺半掬ってるのに、何でそんな失敗するの?
網が小さくて、掬うの難しいねん!
網が小さい?
一か月以上前、気に入って使っていた尺半の網枠に、一部ヒビが入って来たので修理に出した。修理に出している間、以前使っていたもうボロボロの網を引っ張り出して来た。ところが、その網も、前々回尺半を掬った時に、魚の重みで折れてしまった。
修理に出している網が戻って来るまで待っていては、間に合わないので、網を購入したのだが、近くの釣り具屋には一番大きいので尺三しか無く、妥協した。
うーんくやしい!しかし、いくら悔やんでも逃げた魚が戻って来る訳ではない。せっかく休憩に行けるタイミングだったが、新たにエサを作り、再チャレンジ。
約30分後の11時過ぎ、また、あのアタリで乗った。今度もデカイ!今度は、慎重に慎重に…よっしゃ!逃がした魚よりデカイ!あー良かった、これで自分が許せる。検寸すると、ジャスト470。
あー良かった。これで休憩に行きたいところだが、エサがまだ残っている。
もうちょっと粘ってみるか。いつもなら昼寝している時間帯だが、お昼にも時合いがあり、13時に1枚、約44cmを追加。これでやっと休憩出来る。
お昼を済ますと、もう14時。夕方時合いに成功しようと思えば、今からエサ打ちしないと間に合わない。昼寝はパス。
昼寝もパスするという大きな代償?を払った以上、結果を出さない訳には行かないが、なかなかアタリが出ない。やっとエサのスイートスポットが合って、16時頃、約41cmを追加。
今日釣れて来る魚は、ぜいたくを言う訳ではないが、ウロコが取れていたり、傷があったりするものが多い。みなわざとやっている訳ではないが、私達釣り人を楽しましてくれる魚に申し訳ない気持ちになる。
この魚もそんな傷があり、ちょうど釣り上げる時偶然見学に来ていた“社長さん”が向きを逆にして、撮ってやったら?と言ってくれた。
今日は、たまたま良い釣りをさせてもらっているが、たとえ釣果に恵まれない日でも、美しい風景の中で、釣り竿を振れるのはこの上ない幸せだ。その幸せを感じるのは、木々や草花、セミやトンボ、あらゆる山田の生きとし生けるものと、同じ時間と空間を共有するからだろう。
ストレスを感じるのは、せっかく与えられたチャンスを活かせなかった自分自身にであって、自然に対してではない。腹を立てるべきものは、自分の未熟なスキルに対してであって、生き物に対してであってはならない。
ゲームとしてのへらぶな釣り。ゲームの対象外の魚が釣れる事もよくある。へらぶなを愛おしく慈しむ様に、同じ愛情を注いで欲しいとまでは言わないが、生き物の種類、その大きさの違いで、命の尊さが変わる訳ではない。
もう充分満足したので、今日は早めに竿を置こうかと思ったが、後で見られていると、止めるに止めれなくなって来た。
エサがある間は、やってみようか。30分程して、また1枚来た。
『こんなに釣れる事はあんまりないで、せっかくのチャンスやから、ナイターもやってみたら?』との皆のおだてに乗って、21時過ぎまでやってみたが…そんなにあまくないよね。夜は、ジャミの猛攻だった。日中のあの釣りやすさは、ダムのほんの一時の気まぐれだったみたいだ。
しかし、久し振り
あー、おもろかった!
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