皆さんはどうだろう?私の場合は、アタリボウズの釣行よりも、カラツン地獄の釣行の方がストレスを感じる。ここ最近その様な釣行が続き、消化不良もMAX-胃に悪い(あー消化胃)。
この状況、山田ダム全体に共通して言える事では無く、釣友達からの情報によれば、中上流域では、比較的素直な釣りが出来ているらしい。どうやら、ダムサイトに特化した釣況の様だ。
何が原因なのか?釣友達から、様々な意見を聞く事が出来る。
@ 魚がスレた:山田ダムの水質は、科学的根拠を示す事は出来ないが、ヘラブナの成長に適しており、その個体は大型化した。近隣の養魚池が閉鎖される際、移殖された魚が地ベラの活性を上げ、大型のへらぶなが釣れるダムとしてブームが起きる。数年続いたブームも、今では随分下火になったとはいえ、現在までの間にかなり学習したとみられる(何度言われても、お風呂の電気を消し忘れたり、ポケットに物を入れたまま、洗濯物を出す“やっさん”とは違う様だ。
A ブルーギル・コイの絶対数の増加とタナの上昇:先の移殖以外、特に放流もされていないヘラブナには、最大の天敵へら師以外にも、卵を食べてしまうコイ、稚魚を襲うバス、成魚を襲う川鵜と敵が多い。それに比べて、ブルーギルは、自分の腕の悪さを棚に上げ、腹立ち紛れに地面に叩きつけるヘラ師様以外、仕事をしない山田のバスのおかげで、順調に数を伸ばし、ご成長なされている様です。一方、ここ数年長竿の浅ダナ狙いが流行った所為か、ヘラブナのタナも上がった一方、コイのそれも押し上げた様です。中には、はなっからヘラ師がこぼすエサを狙って岸辺をウロウロする輩も、名前の付けられたヤツもいるほど(笑)。
B 今年の特徴、透明度の高さ:例年ハタキの頃は、ダムサイト周辺は透明度が高いのが普通なのですが、それでも5月のGWを過ぎるとましになって来るものです。ところが、今年は6月に入ってもなお驚く程の透明度の高さです。これがヘラブナの警戒心を煽っている様です。例年と違う事と言えば、減水したダムサイトを見ると、一面に生えていた藻が姿を現し干からびています。何か透明度と関係があるのでしょうか?
てな訳で、例年釣り辛くなる一方のダムサイト。『なら、釣りやすい所で釣れば?』言われてしまえばそれまでなのですが…それでも挑戦したくなる、魅力あるダムサイトなのです。
釣行前日、いつもの情報収集。やはり、ダムサイトに比べ中・上流域は釣りやすい様だが、サイズは今一。それに比べ、ダムサイトは1枚だけではあるが、“いささか先生”がヨンパチを上げられたとの事。それを聞いて、中・上流域に傾いていた気持ちも、一気に揺れ戻った。
その実績ポイントに入るべく、夜勤を終えて速攻で出撃。そのポイントは前に大きな岩があり、その先がえぐれた様になっていて、いきなりのどん深。タナを少し位深くしても、コイがあまり来ない、ブルーギルも少ない絶好のポイントである。早朝時合いに照準を合わせ、3時半頃から釣りスタート。
橋下からボート小屋右までの間に5人、対岸に2人が入釣していたが、1人を除いては釣果がなかった。その1人とは“午後に40弱のチャンベラを出した“ご隠居”、これはいけると踏んだか“ご隠居”は、次の時合いは15時と宣言。そして有言実行の名人は15時40分に472をGET! うーん、やるなぁー!
翌朝、前日から降り出した雨が続いていたが、それ以上に放水量の方が多そうで、減水している。1日しとしとと降り続く雨は、梅雨らしい。梅雨時の花と言えば、紫陽花。その葉にカタツムリとイメージが膨らむが、実際には、毒があるその葉を嫌うらしい。

実際とイメージの間に、ギャップがある事はしばしばである。へらぶな釣りにおいても、その様な事があるのだろう。
唯一、水中の情報を伝えてくれるウキ。今日は、昨日に比べるとブルーギルがかなり煩そうだ。オーソドックスな釣りを心掛けていたが、今日はそれでは立ち行きそうにない。
戦国武将は、その土壌の性質によって花の色を変える紫陽花が嫌いだったらしい。一度決めた主君に生涯忠誠を誓う戦国武将らしい話だが、『えっ、もう釣りに関係ない話はカンベイって…』。でも、私は紫陽花に見習って、釣りの色を変えてみる事にした。
まず、ウキをシズの乗るウキに変更。3点に分けていたシズを、クッション付サルカンの真上に1点付け。上バリをサクラの22号ハリス2号の20cm、下バリをゴスケの13号ハリス1.2号の80cmに変更。エサは上がマッシュ3・藻ベラ2・水2.5。下がフレークマッシュ1・粉末マッシュ0.75・水2。
500円玉くらいの大きな重たいエサは、しっかりウキをなじませ、少し時間をおいてサワリが出始める。それは、上バリをブルーギルが突いてる所為だが、そのこぼれエサが下バリに同調し、ヘラブナが興味を示す事をねらっている。自分のイメージと実際の間にギャップがない事を信じたい。
システムを変更したからといって、直ぐに結果が出る分けではない。カラツンこそなくなったが、乗って来るのはブルーギルばかりだ。間もなく15時だ、ご隠居の言う時合いだ。何か打開策はないのか?自分の引き出しに残っているのは、もうタナの変更位しかない。ずっと、なじみの2本弱のタナを攻めていたが、ご隠居が472をGETしたタナは、それより少し浅かった。透明度の高いこの状況に、少し逆行する様だが、なじみの1本半にタナを修正してみた。
ちょうどそこへ、“ビックホーンさん”が仕事帰りに、様子を見に立ち寄ってくれた。私達は、正面を向いたまま釣り談義に話を咲かせた。それまで、確実に1節残してなじみ切っていたウキが、やや沈没気味となって来た。直ぐに、エサ切りをするなり、エサを少し小さくするなり、対処してもよかったのだが、しばらく様子を見る事にした。
時刻は、15時15分頃だったと思う。沈没しかけたトップがギリギリもって、ゆっくり3節戻した後(トップは全10節、1節が約3cmエサ落ちは下から2節目)、これはヘラだと確信する、2節ドンと落とすアタリ。
ヘラらしいやり取りを楽しみながら、過去の2本のタナで1号のハリスをぶちぎっていったのは、やっぱりコイだったんだと、そのイヤな思いを打ち消した。お行儀良く玉網に収まったのは、41〜43のレギュラーサイズ。これに時間を費やしていたのでは、時合いがもったいない。玉網の中に入ったままの状態で、カメラに収めた。

玉網の直径は45cmです
たまたま、やる気のあるヘラがエサの近くにやって来ただけの事かもしれない。だが自分としては、作戦が功を奏したと思いたい。3週前に尺半をGETした時より満足度は高い。“ビックホーンさん”、今回は『えーもん見せてもろうた』と言って帰宅された。
それからしばらく、さらなるビックを求めてエサ打ちを続けた。気配は、まだ感じられる。終了予定時刻まで後30分もない。思い切って、さらにタナを浅くしてみた。ピット1本、ナジミは1本半を切る。それから数投目、同じ様なアタリでドン!合わせた!乗った!グーン、グーン、止まってくれっー! ブチッ
コイか?こんな浅いタナで?ハリスは1.2号クッション付きなのに?潜られたって感じで、沖に走られたって感じではなかったが…
『あっー!』ハイエナ釣師の嗚咽が、空を切る。
切れたハリスを見ていると、5時のチャイムが鳴った。本日の営業、これにて終了!
釣りより、仕事。仕事より家庭。さぁ、帰るぞぉっ!
あーおもろかった!

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