11日・12日、高山ダムに行って来ました。
この時期、どのポイントに入ったらいいのやら、何度も読んだガイド本を、もう一度読み返す。春・夏・秋の記述は多いが、ハタキが終わって夏水位に向かうこの時期に関する記述は少ない。それでも、ダムサイトや広瀬周辺は希望が持てそうだ。
“南風の上井さん”や“ささやん”にも相談しながら、まだ行った事のない場所のイメージを膨らます。旅行に行く前の子供の様に、期待に胸躍らす。
釣行当日、いつもの様に夜勤を終わって自宅を出発。高山ダムに着いたのは、2時半。まずは、月ヶ瀬の国体跡に車を停め、仮眠を取る。4時半に目を覚まし、とりあえず国体跡の様子を見る。やはり、数か所いつもの場所で、もじりが出ている。減水が進んで、かかり場も増えている。ダムサイトと広瀬が望み薄なら、またここへ戻ってこよう。
最初に、国体跡を訪れたのには、訳があった。3月に治田を攻めていた時、竹が調達出来ないポイントに行った時の為に、3m半程の竹を5本切り出しておいたのだが、それをここの目立たない場所に置いていたのを回収する目的があった。実は、7年近く使っていた、携帯ゴミ除けを去年破損してしまったのだ。また、2万近くかけて磯玉を4本揃えるのももったいないし、水道パイプだと安上がりだが、強度的に不満がある。
ミニバンの車内一杯々に収まった5本の竹を積んで、ダムサイトへと向かった。『遠いなぁー!』高山ダムはデカイ!ダムサイトへ到着すると、期待していたゴミは無かった。ここは、天候・水位・ゴミ等ある一定の条件が揃わないと釣れないらしい。その中のもっとも重要なファクターであるゴミが無いという事は、問題外なのか?しかし岸からそう遠くない所で、巨ベラのモジリがある。「それがなかなか食わせられないんですよ」という“ささやん”の言葉を思い起こし『もうここでいい、他は見なくてもいい!』という思いをぐっと押さえて、広瀬へと向かった。
来た道を戻り進路を上流に取る。ダムサイトから1km程の高山大橋を渡ると、道路標識があった。左への案内はあったが、右への案内は無い。ガイド本には道がある。道は確かにあった。だがそれは、ミニバンが1台ギリギリ通れる位の道幅だ。入ったら最後、戻れそうにない、対向車でも来ようものなら、終わりだ。
いったん車を置いて、歩いて様子を見に行く事にした。15番16番17番…ここは、各ポイントに漁協が立てた案内板が立っている。18番19番まで来た。ここから先、奥広瀬20番があるが、途中まで行ってあきらめた。本命の18番が分かったし、車を回転させられるスペースがある事も確認出来た。これで、安心して、この細い道に車で進入する事が出来る。
車を取りに、また入り口に戻る。いい運動だが、まったく苦にはならない。釣り座は18番に決めた。問題は竿出しの方向だ。いくらいいポイントに入っても、竿出しの方向、竿の長さを誤れば意味が無い。実際観察してみるのが一番だ。ガイド本では、2つある出っ張りの間に石垣があり、その両サイドがいいポイントらしいが、今はその石垣が見える所までは、減水してない様だ。17番寄りの出っ張りから、ワンド側を向くと、もじりも何度かあったし、ウキも山影に入る。
高山経験豊富な“ささやん”にポイントの写メを送ると、どうやら、間違ってはいないらしい。だが、水位としては釣れる時のそれではなさそうだ。どうりで、釣り人が私一人しかいないはずだ。まあ、いいさ。今回釣れなくても、いつか役立つ時があるだろう。
初めての釣り場に入った時は、過去に経験のあるよく似た場所と、その特徴を思い浮かべてみる。本湖・出っ張り・ドン深・ワンド入り口・ハタキ後・減水中…。その特徴は…私の思っていた事を裏付ける様に、釣友達から応援の電話があった。まず、“南風上井さん”からは、「やっさんなあー、そこは朝夕にヘラが、ワンドと本湖の間を出入りするから、それをいかに足止めさせられるかどうかやな。今日、釣りを始めたのが、9時回っとったんやったら、チャンスは夕方と明日の朝やね…」。次に“ささやん”からは「たとえ1回でも、ヘチを通るヘラを見たら短竿に変えた方がいいですよ…」と。
もじりの位置を見て、19尺2本の宙でスタート。さわりも何もない中、ひたすら餌打ち。すると昼過ぎに、ヘチを単独で回遊するヘラを発見。13時半から15時半の食事と昼寝を挟んで、夕刻の時合いに向けて、竿を13尺に変更。
変更後、アタリが一度あった。なんの前ぶれもない物であったが、腕は間髪入れず反応してくれた。しかし、乗らなかった。ジャミアタリだったのか、鈎先が魚体をひっかく感覚があったが、ウロコはついて来なかった。
夕方のサイレンを聞いた頃(いつもは、11時・17時だが、今日は11時半・16時半だった)今度はちゃんと、前ぶれがあった後の2節沈むツンアタリがあったが、釣れたのはブルーギルだった。ひっかいたあのアタリも正体はこいつかな…。しかし何もがっかりする事はない。ブルーギルのいるタナには、ヘラもいる。
時計を見ると、もう21時。勝負を明朝の地合いに託して、いったん竿を置く事にした。13尺を仕舞い、竿掛けを2本に戻し、端に置いていた19尺を再度セット。いつもは、いたずらされない為に、釣り台以外完全に片付けるのだが、今日はその心配は全くいらない。人間の心配はいらないが、動物と風の不安は残る。万力を調整して、竿掛けの角度を上げ、穂先を湖面から完全に離す。そして固く絞った濡れタオルで、竿と竿掛けを縛る。2本の鈎は、段差ザブトンに引っ掛け、重し代わりに、エサボウルを洗い中を整理したバックを乗せた。
車に戻ろうとすると、隣の出っ張りで、ライトを照らして下りて来る人影が見えた。車が進入してくる気配等、ついぞなかったのだが、いったいどこからやって来たのだろうか?期待した水位でなかった為だろうか、その御仁は出っ張りの先端までやって来たかと思うや否や、直ぐに引き返して行った。
多分このタイミングなら、車まで登って行けば、その人と出くわし、きっと「こんばんわ!どないでしたか?」と声を掛けられるんやろなと思い、その答えを用意しながら、上がって行くが、そんな事はなかった。かえって興味が湧き、挨拶だけしとくかと、隣の出っ張りの上の駐車スペースまで行ってみるが、車は停まっていなかった。車が出て行くエンジン音などしなかったが…歩いて来たんか?どっから来た?何か見間違えたのかな…
ライトがなければ、月明かり以外何もない真っ暗な中、それ以上の詮索をするのはやめた。鈍感な私は、自分の車に戻り、普通に食事の準備をした。振り返ったら誰か後に立ってたりして、なーんちゃって…
食事を済ませ、後片付け。いつもの様に、車内で『しゃーないコロンボでも見よう』とDVD鑑賞。そしてその後爆睡!
そして不思議と、4時半に目覚ましなしで起きた。ただの年寄りってかぁー…。エサ打ち第1投は5時前。1時間もしない内に、昨日見たのと同じあのアタリ、しかし、今日は腕が反応しなかった。見送ったのか見逃したのか微妙なとこだ。
エサボウル1杯打ち終わって、隣の出っ張りの様子を見に行った。こっちの出っ張りとの間の小さなワンコでモジリが数回見られた。ポイント選択間違ったか?今さら何を…今日は、台風の影響で昼から天候が荒れるとの予想。長くやるのはよそう。雨が降り出す前に片付けるつもりだったが、9時位までは大丈夫だろう。釣り再開の為に釣り座に戻るが、その途中、竿横でゴボッと大きなもじり、大きな泡付けが沖に向かって走る。あわてて、エサを作るが、時すでに遅し、その軌跡が消えると、再び静寂に包まれた。あっーあのまま続けてれば…多分コイと思うが、正体見たかった。
今年9回目の高山釣行だったが、こんなに通う事になるとは思ってもみなかった。巨ベラ狙いを始めた間無しの頃、約1年間、ほぼ毎週山田に通い続けた頃を思い出した。まったく要領の悪い生き方だと、自分でも思うが、今さら性格は変えられない。
帰り道、最下流から高速入り口のある上流に向かって出発。時々チラチラと奥深い渓谷の景色を見てみる。このどこかに巨ベラが潜んでいるに違いない。
また来たらえーやん!

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