ずーと前の話だが、新聞の日曜版にボンボンの作り方が掲載された。それまではチョコレートでコーティングした空洞のある砂糖塊に穴をあけ、ウイスキーを流し込むと思っていたのだが、間違いと知らされた。正解は温めた飽和状態の蜜液を冷やし、外側に砂糖を結晶させるというものだった。
とはいえ甘い酒なんぞ作る気はさらさら無く『ふーん』で終わっていたのだが、一週間後にお詫びが掲載された。読んで笑ったのはレシピ通り作ったが固まらなかったという苦情が殺到したことだった。新たに料理研究家のレシピが添えられていたが、先週のレシピは有名店のパティシエのものだった。
これが逆なら実際に作ったことが無い人が、参考書頼りにいい加減なことを書いたとなるのだが、プロの作り手が間違うわけが無いし、わざと間違ったことを教えるとも思えない。考えられるのは目分量で合わせている材料の量をきっちり数値化し損ねたか、ちょっとしたコツを伝授しなかったということだろう。
プロ、ことに料理の世界は盗んで覚えろと言うだけあって、実際に詳しくは教えないこともあると聞く。味を盗まれないため、洗い場に出すナベには塩を振るなんてのはホントにやるのかと聞いたことがあるが・・『そんなことしません』・・だそうだ(笑)。先輩もそこまでは意地悪く無いようだ。
ぼーずが有難く思うのは、ほとんどの行きつけの店は聞いたことに対し、隠さずコツを教えてくれることだ。市販ソースの銘柄を尋ねても教えてくれなかったケチなお好み焼き屋もあったが、あっという間に潰れたので許してやろう。第一、おばはんのおらん隙に戸棚の中は盗み見済みだ(笑)。今では珍しくもないオリバーの業務用お好み焼ソースだった。これこそ盗んで覚えた味(爆)
だいたいね〜、一流のプロは少々のことを素人に教えても自分の腕に自信があるから平気なんだな。料理人ではないが妹尾師匠なんかホントにコツのコツまで教えてくれたもんだ。(なのに何でヘタなママなんじゃ・・・師匠談)。新聞の間違った、もしくは不親切なレシピは中途半端なパティシエに聞いたためだろう。
そうそう、一つだけ本当にコツを盗んだことがある。ぼーずが好きな餃子店は神戸の赤萬というとこなのだが、生餃子を買って焼いても店の味にならない。焼き方が違うのだ。水の量、火加減となんど焼き方を変えてもダメだったのだが、ついに判った。
そのコツとは、使い込んだ分厚い鉄鍋に油を薄く引き、火を付ける前に餃子を並べる。お湯でなく、水を差してから点火し、蓋をする。チリチリと音がするまで強火を保つ。これでパリッとした皮に焦げ目が付く。是非、一度お試しくだされ。

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