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2005/6/4

日韓歴史共同研究  学術

韓国朝鮮文化研究会の6月例会に出て、研究室の安さんの報告を聴いた。7時に終わって打ち上げに流れるようだったが、さすがに連日の飲みは体にも財布にも辛いので、タバタ君とふたりで帰路についた。


さて、このあいだ予告した記事のうち、まだ「美味しんぼ」しか書き終えていないわけだが、現在空いた時間を使って竹島問題関係の論文等に目を通しているところなので、もうしばらくお待ちいただきたい。

代わりといってはなんだが、日韓の歴史問題に関する話題を。

扶桑社の歴史教科書が日中韓で問題となった2001年に、日韓の歴史学者による日韓歴史共同研究委員会が発足し、その研究報告がこの6月1日にネット公開された(完全版は6月10日に公開予定)。

・日韓歴史共同研究報告書

この委員会にはウチの研究室の先生も名を連ねており、ちょこっとだけこの件に関する話を聞いたこともある。内容に対する評価はちゃんと読んでからでないとできないが、日本側の報告書をざっと見たところ、歴史研究として史料に即した堅実な議論を展開しているように思える。

この報告に関する報道や反応は……

・「韓日共同歴史」研究も苦しい出発(朝鮮日報)

・韓日歴史共同研究、「共同の理解」見出せないまま研究修了(東亜日報)

・日韓歴史共同研究、最終報告書をネットで公開(朝日新聞)

・日韓歴史共同研究、認識の違い浮き彫り(読売新聞)

・「日韓歴史共同研究委員会」最終報告書発表。日韓の隔たり大(2ch東アジアnews+)

読売・朝日は(ネット上では)事実報道だけでまだ論評を加えていない。朝鮮日報・東亜日報はまあ当然の反応だろう。このあたり、この件に対する日韓の温度差が垣間見える。東亜日報韓国語版にはもっと詳しい記事があり、その翻訳は一番下の2chスレッドの1-2にある。2chの当該スレッドでは嫌韓・反左翼的傾向が強いようで、概ね「日本の歴史学者は韓国に迎合しなかった」と好評価の模様(そういう問題でもないと思うが)。この問題に関心のある方は、報告書および関連する情報をご自分で読んで判断していただきたい。

中近世分科を担当した先生曰く、「大変なのは近現代ですよ」。たとえば、共同研究では日本による韓国併合が合法か違法かという問題に焦点を当てているが、はっきり言って非常に不毛な議論だろう。歴史上の問題は当時の状況に照らして考察すべきで、20世紀初頭の国際法からすれば、「当時としては韓国併合は合法」という結論しかないと思うが。これだけでは卒論のテーマにすらならないだろう。だいたい、違法だったとしたらどうなのか。実質的な日帝支配は現に存在したし、戦後韓国は日本から独立したし、日韓基本条約で日本側の賠償も終了しているというのに。

歴史事実の解明は現在に生きる人間が積み重ねていくものだが、それはまさに「事実の解明」のために行う科学的活動であって、「現在に生きる人間の都合」に左右されてはならない。「解明された事実」を現在に生きる人間のためにどう利用するかはその後の話で、この順序をごっちゃにするからややこしくなる。主義や思想や政治的思惑はお呼びでない。「事実を!もっと事実を!」

この共同研究は、そもそも日韓両政府の政治的要請で歴史学者を動員して行われたという点で問題を抱えていると思うが、日韓間の歴史問題を具体的にまとめ、一般に公開しているという点では意義深い。今後の日韓歴史論議の叩き台になればよいが。

日韓の歴史問題に関しては、今後も折に触れて考えていきたい。
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