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2009/9/29

スカイ・クロラ:設定拗れ  趣味

『ウォーリー』は完璧すぎてビビった。特にスタッフロールから最後までが秀逸。とにかくお勧めってことで、とりたてて私が語ることもないかと。

で、3本を返して次のDVDを4本借りてきました。わざわざダメそうな映画を借りてきて観るのは前回で終わりにしたかったのだけど、もしかしたらいけるかと思って『スカイ・クロラ』を観てみた話。

以下ネタバレ注意。

スカイ・クロラ

タイトルが出て初めて気づいたんですが、「スカイ・クロラ」って"The Sky Clawlers(空を這いずる者たち)"なんですね。整備場に落ちてる戸板をめくったら8回殴られるみたいな想像をしたのは内緒。

結論から言うと、情景描写とか空戦シーンはそれなりに良かったと思うが、キャラクターの描写はもっさりだし、何より特殊設定とテーマの扱いやプロットの展開がわけわからなくて「なんなの?だからどうしたの?」という気分しか残らなかった。私の頭が悪いだけかもしれませんが。

歳を取らない「キルドレ」と呼ばれる少年少女が戦闘機のパイロットとなり、企業が行う代理戦争の駒としてゲーム的に戦っているという設定を聞いたとき、コロシアムで殺し合う剣闘士的立場で見世物にされている図を想像し、操り人形の悲哀と抵抗が描かれてるんだろうと予想したのだが、どうも戦争は戦争として大規模かつリアルに行われていて、その運用を企業が代行しているという設定らしい。じゃあ別にいわゆる「ゲーム」じゃないよね。キルドレは特殊な兵士ってことですよね。その戦争が続けられている理由として後半で語られる理屈が「世界のどこかで戦争が行われていることで、ほかの人たちは平和を実感できる」ってことなんですが、そんな中学生が考えそうな薄っぺらい戦争観でいいんですか?押井先生、ホントに押井先生が作ったんですよね?

歳を取らないけど戦争では死ぬキルドレは、実は何度死んでも再生されて戦闘技術を保存されているという真相が終盤に明かされるのだが、話全体がその事実を思わせぶりに匂わせている、ていうかその事実のみに収斂するように作られているため、途中で薄々気づくっちゅうの(そもそも軍関係者には公然の秘密状態だし)。なので話の展開が非常に退屈。草薙水素の声くらいしか楽しい要素がありません。

戦争代行企業がキルドレみたいな人造人間を作れるんなら、いっそ戦争に携わる現場スタッフを軒並みキルドレにすればいいんじゃない?それがコスト等の問題で無理ってことなら、逆に貴重なキルドレの運用がいい加減すぎると思うんですが。絶対不安定になるはずのメンタル管理は放置状態だし、キルドレの存在に絶望してキルドレ殺しまでやった草薙さんが尉官として基地指令のままでいられるってどういうこと?なんかテーマっぽいものを語るために無理やり組み上げた設定としか感じられない。

挙句、「明日死ぬかもしれない人間が大人になる意味あるんですか?」だと?甘ったれんなガキが!『ブレードランナー』のレプリカントに100回焼き土下座してこいや!結局誰一人として戦争の枷そのものから逃れようとする奴なんかいねーじゃねえか!冷静に考えれば、「どんなに足掻いたって社会の歯車からは逃れられない」「昔は元気にゲバ棒振ってた人も結局は体制の一部に収まる」みたいな諦観こそ真のテーマなのかもしれないが、そんなの別に観たくないっす。

プロットと演出もどうかと思う。終盤に至るまで「主人公が核心的な質問をする」→「思わせぶりに押し黙る」という展開の繰り返しで、そのまま終わるならまだしも、最後は一気に長台詞で設定を回収するのだ。本当にどうしちゃったんですか、押井先生?原作に惑わされちゃったんですか?次回作は期待しております。

というわけで、空戦物アニメならば『ラスト・エグザイル』がお勧めです。
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