クラシック版「スティル・クレイジー」
現在公開中の作品です。2009年のフランス映画で、主演はアレクセイ・グシュコフとメラニー・ロラン。元天才指揮者であった劇場清掃員が、オーケストラのメンバーをかき集めてパリ公演をするお話。
余計なことですが、タイトルは「ブラス!」(ViolinskiのClog Danceがカバーされている映画で、こっちも面白いので一度見てください)を意識しているんでしょうね。
ストーリーです。フィリポフ(グシュコフ)はかつてボリショイ・オーケストラの指揮者でしたが、30年前にユダヤ人演奏者をかばったという理由で公演中に演奏中止を命じられたという過去があり、現在は劇場の清掃員をやっています。彼は支配人室を清掃中、パリの劇場から公演を依頼するファックスが届くのを発見し、それを持ち帰ります。現在の低レベルなオーケストラに公演させるくらいなら、昔のメンバーを集めて一花咲かせてやろう、と。現在は救急車の運転をやっているチェリストを誘い、劇場には内緒でフランスとの交渉を始めます。メンバーを集めていく一方、ソリストを誰にするかが問題になり、フィリポフはフランス人バイオリニスト、アンヌ=マリー(ロラン)を推薦します。演目も演奏中止の因縁があるチャイコフスキーの協奏曲。一行はなんとかパリに向かうのですが、ロシア人の楽団員はみんな自分勝手で・・・
実はそれほど期待して見に行ったわけではなかったのですが、見終わった後の感想は「得した!」というものでした。最初、フィリポフが楽団を作り上げるきっかけは、彼自身の意思ではなく、ほんものの楽団が食中毒になるとかいう外的因子かと思っていたのですが、すっかりリベンジものとなっていました。展開はコメディタッチで、楽器もないしまともに練習もしてなくて、これで終盤になだれ込むのはどうなんだろうと危ぶんだ面もあります。
ただ、最終盤の公演シーンはそれ以前がコミカルであっただけにタイトで感動的なものになっていたと思います。実は涙腺がゆるみかけていたというのも事実です。さらに、ロランが美人ですね。いや、本当にそう思います。
また、フィリポフとアンヌ=マリーには当然因縁があるわけなんですが、「そういうこと」だったんですね。すっかり騙されてしまいました(ばればれやん、と思ってたのです)。
公演シーンが始まるまでは☆☆☆*かと思っていましたが、最後も良かったので☆☆☆☆*をつけます。なお、使われている言語はロシア語とフランス語でした。さらにどっちでもいいことですが、親友のチェリストはPhil BatesとLouis Clarkを足した(足して2で割るではなくて)ような人でした。
(結局、コントラバスとパーカッションはどうやって見つけたんだったかな? 空港で堂々とパスポートを偽造するのはとんでもないなあ)

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