「(per-spek-tiv)n. by Louis Clark」
レビュー(ELO関連)
至極当たり前なのですが、Louisのストリングスを愛する人に

いや、別に再発されたわけでもなく、単に最近聴きなおしたから書いているだけのことです。色めき立った方には申し訳ありません。
Louis Clarkとは誰かということは、ここをお読みの方なら釈迦に説法かと思いますが、一応簡単に。ひとことで言えばELO全盛期におけるストリングスアレンジャーです。
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(CD)
生まれたのはJeffと同じく1947年で、音楽活動としてはRaymond Frogattのバンドでベースを弾いていましたが、同時にオーケストレーションも手がけ、その後音楽学校で作曲とフルートについて学んだそうです。その後いくつかの小プロジェクトにも参加していましたが、De Lane Lee StudioでELOがEldoradoを録音していた時にアレンジャーとして誘われ、以後Xanaduまでの6作とSecret Messagesでストリングスアレンジを担当しました。さらに、Timeツアーではキーボード奏者としてステージに立ち、ELO解散後もRoy OrbisonのMystery Girlでオーケストレーションをやったりしていましたが、この頃にJeffと仲違いをしたとも伝えられています。ELO Part 2結成にあたり、デビューアルバムでストリングスアレンジを引き受け、その後のツアー、特にMoscow Symphonic Orchestraを従えた公演などでオーケストラ指揮とストリングスシンセサイザーを演奏、セカンドアルバムMoment Of Truthでは正式メンバーとしてクレジットされました。もちろんその後のThe Orchestra結成にも参加し、No Rewindでは彼特有の流麗なオーケストラサウンドを聴かせてくれます。
ELO以外の仕事として、Ozzy OsbourneとかAmerica、Asiaなどとの仕事もありますが、彼自身の作品としてはまず1979年にこのソロ第一作(その後ソロアルバムは出ていないのですが)、(per-spek-tiv)n.(邦題「透視図法」)を発表、そして最も彼の名前を有名にしたのは1981年にRoyal Philharmonic Orchestraと組んで発表したHooked On Classicsの大ヒットです。数年前にStars On 45がビートルズメドレーをヒットさせていましたが、クラシックの名曲をおいしいとこばかり連ねてメドレーにしようというアイデアに、見事に答えたわけです。まだ若くて頭も柔軟だったでしょうし、クラシックについての素養もあったし、ポピュラーミュージックに関してもよく知っていたし、というのが成功の理由でしょうか。このヒットに気をよくしてアルバムHooked On Classicsを発表、こちらも大ヒット。続けてCan't Stop The Classics、Journey Through The Classics(ともにHooked On Classics 2、3とも呼ばれています)もまずまずのヒット。ビートルズ結成25周年を記念して行われたコンサートでは、Paulも客席で見守る中、指揮者に指名されてRoyal Philをリードしました。その後、ポピュラーミュージックのクラシカルアレンジとしてはビートルズ、アバ、クイーンの3部作のほか数作、クラシックのポピュラーアレンジとしてはAnnie Haslamと組んだStill Life、それからClassics In Rhythm(Beethoven's Fifthのハウスミックス入り)があります。さらに、1995年には来日公演もはたしました。
ずいぶん前置きが長くなりましたが、ようやく本題です。これは前述の通り1979年に発表されたソロアルバムで、AB面通して1曲ということになっているようです。現在では2000年に再発されたCDがありますが、既に製造中止になっています。ただ、このEdselからのCD化は不本意なものだったらしく(さすがに楽章ごとにマーカーを付けようと思っていたのにそれもできなかった)、近日再発が予定されていたはずです。
ジャンルが何かと尋ねられたら、ポップかイージーリスニングかとでも答えないとならないでしょうか。基本的にオーケストラは全編通して大活躍ですが、ギター、ベース、ドラム、シンセサイザーも多用されており、特にギターではRoy Woodが参加しています。曲調はかなり明るく、聴いていて気分が滅入ってくることはありませんが、むちゃくちゃアップリフティングというわけでもないでしょう。基本的にLouisのストリングスが好きな人には、それをアルバム1枚通して聴くことができるという点で、素晴らしい作品ということになります。だからまあ、聴き手を選ぶということになってしまうのではありますが・・・ 私ですか? 大好きですよ。なにせELOで音楽を刷り込まれた人間ですから。
最後にちょっとだけ思い出を書いておきます。このアルバムは前述の通り1979年発売です。つまり、Discovery、On The Road Again、No Cause For Alarmなんかと同じ年に出たわけです。当時はお金もなかったし、レコードはある時に買わないとなくなるということもわかっていなかったし、大体周辺アルバムに手を出す余裕もなかったし、出ていても買いませんでした。その後1981年か82年に、旧ELOファンクラブの会長さんが突然会員のうち希望者にはカセットにダビングしてくれるとおっしゃったわけです。さっそく申し込んだ私が手にしたのは、極上の(あくまで私にとって)サウンドスケープであり、本当にしばらくの間聴き狂っていたものです。その後実物がほしくなったものの、なかなか手に入らず、数年してからようやく輸入盤で入手。その後国内盤を一度だけ中古盤市で見かけるも、輸入盤を持っているのが理由で買わず。以後国内盤を見たことはありません。CD化されたときは、米amazonから購入した以外に、FTMがサイン盤を売るというので送金したのに、未だ届いていません。再発されたらそちらを回してもらえるはずですが、Rob Caigerが覚えてくれているかどうかが最大の問題です。

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