
患者さんから時々ありがたい言葉を頂戴する。
「この薬局の雰囲気はとってもいいね」
こういう一言はものすごく嬉しい。
先日は70歳後半のご婦人から言われた。
「Pepさんから薬をもらうとなんか嬉しくなるわ。それにこの薬局の人はみんな優しいわね。大好き。なんだかあったかい気持ちになるわ〜。」
実はこの方は最初薬局にかかられ始めたとき、ことあるごとに我々スタッフに嫌味を言われる方だった。心を閉ざしているのが表情にも見て取れるほどだった。
でもスタッフ一同この方に対して優しくし続けた。笑顔で挨拶して出迎えた。投薬のときも同じ目線までしゃがみ、目を見て優しく微笑むことをやり続けた。通算3年以上になるかもしれない。
そのかいあってか去年くらいから徐々に笑顔が多くなってきた。そしてついに先日の言葉に至った。
種明かしと言うわけでもないが、このことには法則がある。
拍手の原理と私は呼んでいる。
「拍手は片手では音がしない。両手が歩み寄ってパン!と音がする。片方が逃げても片方が追いつけば鳴る。要するにどちらかが歩み寄れば音は鳴る。人間も同じ。相手の心が立ち止まっていても、逃げていても、追いつけばいい。こちらから歩み寄る気持ちが大切。言い換えれば相手に好きになってもらいたければ、先に自分が好きになればいい、自分を受け入れてもらいたければ先に相手を受け入れればいい、ということ。そうすればいつか心は共鳴しあう。」(恋愛感情のことではなく、人間愛に対してのコメントです)
社内研修、短大の授業などいろんな場面でこのことを語る。
私のポリシーなのかもしれない。
医学薬学の知識がものすごくても、この原理をふまえて人に接していない医療人は悲しい。患者さんのこころをなごませることと、病気を治すお手伝いは常に並行して進んでいくべきだと思っている。
さ、明日も拍手の原理でがんばろう!

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