昨日の話。
患者

Tさん【72歳】と薬剤師

(自分)の会話

「お薬手帳?いらないわよ〜〜。自分の飲んでいる薬くらい覚えてるから大丈夫。もし旅先で病気になっても、すらすら言えるわ。朝がアム○ジン、夕食後がメバ○チンと・・・」

「でもね、もしTさんが意識失ったらどうするの?頭の中切り裂いたらその情報が出てくる?」

「・・・・」
「大事なのは記憶じゃなくて記録なんですよ。」

「なるほどねえ。でも・・・ならば手帳じゃなくてもお薬の写真が入った情報書だけでもいいんじゃない?」

「情報書はその日にもらった薬が何か、を書いてあるものでしょ。お薬手帳はず〜〜〜っと時系列で薬の記録になる。ある薬をいつから飲み始めたのか、また別の薬はいつ中止したのか・・・なんてことが一目瞭然。実はこの『時系列』で見られるということがとても重要。医師の診断材料になるんですよ。あるいは薬剤師の副作用判断材料になることだってある。」

「副作用判断材料?」

「例えば、ずーっと食欲があった人がいるとするでしょ。それが1週間前から急に食欲が落ちたと聞いたとき、薬剤師は様々な原因を考えるんですよ。例えば、胃の病気かな?いやもしかしたら薬の副作用ではないだろうか・・・とね。
で、もしおくすり手帳に2週間前から鎮痛薬処方が始まっていることが記載されていたとしたら、かなりその薬の副作用の可能性が高いと判断できるわけ。」

「ヘェ〜〜」

「他にも便利な点がありますよ。いろんな病院へかかっている人が全ての病院の全ての薬を時系列で記入してもらっていたら、まず間違いなく飲み合わせの悪い薬は出ませんよね。(飲みあわせを判断できない知識の浅い医師や薬剤師にかかってしまったら不幸ですが・・・)」

「薬が変わったときだけ記録すればいいと思っていたわ」
「薬が変わらずに出ているということも立派な情報の一つなんです。」

「う〜ん了解。納得したわ。お薬手帳作ってください。」
〜〜はい、じゃあ作りました、どうぞ〜〜

「毎回忘れずに持参してください。もし別の診療所や薬局に行っても、この手帳に記録してもらってくださいね。医療機関ごと(薬局ごと)にお薬手帳を作ってもらって、最高5冊を使い分けている人を見たことがあるけど、それはちょっとよくない使い方です。1冊にすべてを記録!これが大事。」

「前に他の薬局へ行ったら手帳のことなんか言ってなかったわよ。」

「一般薬を買うときも、処方薬をもらうときも、自ら手帳を出して『記録してください。飲み合わせは大丈夫ですか?』と聞くことが大事ですね。手帳のことを聞かれるのを待ってちゃいけない。要するに自分の体を守るためなんですから自分から積極的に手帳を活用する気持ちが大切なんですよ。」
・・・・・・・以上・・・・・・・・・
いや〜長い会話だったけど納得してもらってよかった。
皆さんも自ら進んでお薬手帳を作りましょう。薬の記録の横に、その日の体調とかを自分で記録しておくとか、もし副作用が出たら赤文字で「これで副作用!発疹出た」とか記録しておくとさらにいいですよ。自分のミニカルテを持ち歩いているとほぼ同じでしょ。
病気は地震と一緒。いつ起こるかわかりません。
だからこそ
備えあれば憂いなしなんですね。


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