在宅領域にとっては仕切りなおしのきっかけとなりそうな調剤報酬の改定になりました。(もちろん、まだ介護保険の改定が来年なので、この1年はちょっとやりにくいのですが)
しかし実は報酬云々ではない、つまり政策とは関係ないところで、在宅医療への流れをひしひしと感じることが増えてきました。
支援診療所の医師、訪問看護のナースの真剣で熱い語りを聴くと、在宅での看取りという選択肢ができる社会基盤を作ることの重要性を痛感します。それには当然、街の薬局の協力が必要です。
しかし・・・今の薬剤師の業務内容から考えると、この流れに皆が乗るのは無理かもしれません。今からはじめるひとにとっては、あまりにもややこしすぎるかもしれません。でも、やらねばならぬこと、取り組まねばならぬことではないでしょうか。
実は、私の母は今、肺Kです。徐々にしんどくなっています。でも母にはっきり伝えました。「在宅で看取るから」と。そのときの母の安堵の言葉を私はこの先一生忘れないと思います。
「好きな本と、家族に囲まれて生きて死んでいく。それが一番幸せだと思う。病院というコンクリートの中で管につながれて死ぬのは本当は嫌。家で看取る、と言ってくれてありがとう・・・」
これが母の本音だったんです。かつて高知市民病院の総婦長まで勤めた母の本音が病院より在宅なんです。
結局、家族が在宅での看取りを選択しないと病人は自ら選択できないものです。迷惑かけたくないと思って入院する患者も多いと思うんです。
社会基盤として、在宅医療の受け皿を多く作っていくためには街の薬局もその一端を担う必要があることはもはや、あらためて言うまでもありません。
なぜ、「私にはできない」と簡単に在宅を否定する薬剤師が多いのか。残念でなりません。私は自分の人生をかけて「できない」という薬剤師に「こうすればできる」「街のみんなの人生のためにやって欲しい」と語り続けようと思います。

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