昨日、ワンちゃんのことを書いてて思い出したのですが、
もうだいぶ前、札幌でのこと、近所の歩道の隅にネコが倒れてました。
口から血を流してたので、「あーあ、車にはねられて死んだんだ」と思って通りすごそうとしたら、体からかすかな息が聞こえました。
放っておく訳にもいかず、近づくと、ノラさんのようで、私の気配に逃げようとしましたが、体はもう言うことを聞きません。
タオルにくるみ、段ボール箱に入れ、うちのネコのかかりつけ病院に連れて行きました。
診断の結果、交通事故ではなく、ネコエイズと白血病と伝染性腸炎と判明。
まあ見事に、ネコの命に関わる病気の全てにかかってました。
それでもさすがノラ、治療と言えば点滴だけなのですが、2〜3日もすると、起きあがれるようになり、つぶれていた目が開き、「あら、あんた結構カワイイ顔してるじゃない」と近づくと、ふーっ!と威嚇することもできるようになりました。
そして、一週間ほどで退院。
再び、うちの近くに連れて行き、引っ掻かかれるのでこれに入れてと、先生が用意してくださったタマネギの網袋の入り口を開けてやると、サッと出ていきました。
しかし、何を思ったか、数メートルいったところでそのネコは立ち止まり、こちらを振り向いて座り、しばしじっと私の顔をみつめました。
その目はまるで「世話になったな、恩にきるぜ。」とでも言っているようでした。
「だがこれでもう、貸し借り無しだ、あばよ。」
それからまた、向こうに走って姿を消しました。
まるで股旅ものの別れのようでした。
(まあ、これは、かなり人間本意の考えですから、ほんとは、
「狭いとこに閉じこめやがって、俺が逆らえないのをいいことに、よくも勝手に体を触わりやがったな。このうらみ忘れねえからな」
と言ってたような気もしますが・・・。)
それ以来、そのネコの姿は見ませんでした。
縁の下に作ってやってた寝床もキャットフードも、利用した気配はありませんでした。
なにせ病気が病気ですから、あるいは、あれから間もなく、この世からいなくなったかも知れません。
でも今度は、ネコのプライドが許せる死に場所くらいは選べたはずでした。

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