うちの近くの道路を毎朝走る、一台の結構派手な車があります。
紫色のワンボックスカーで、後ろに羽根を伸ばしたような格好の飾りが付いてます。リアガラスでなく、後ろも車体と同じように紫に覆われていて、中はよく見えません。
一見して、自分の世界にこだわりそうな、つっぱりあんちゃんの車だと思われるんですが、それが毎朝8時過ぎの同じ時間にそこを通ります。
車のみかけを別にすれば、毎朝出勤のサラリーマンと同じです。
毎朝毎朝、同じ時間にちゃんとそこを通るので、きっとお仕事なんでしょう。
車は通りすぎるだけで、運転者の顔ははっきりしません。男性か女性かも分かりませんが、私の中では、「見かけはワルでも、実は、遅刻するのが大嫌いだったりして」とか、「きっと職場では“付き合うといいやつなんだよ”と言われてる」とか、「いつも9時前には出社して、机の上なんかを仕事前にきれいに掃除してるかも」と、勝手に相手を想像しはじめ、その像は、好感のもてるものにできあがりました。
この仕様の車は市販されてるのか、時々、別の場所でも見かける(こちらはショッキングピンク)ことがあります。でも、こんな風に思うようになってからは、別の車の持ち主さえ、「見かけは突っ張ってるけど、案外真面目なひとなのよ」と、想像してしまいます。
まったく、車だけからの判断ですから、ここまで来たら、根拠もなにもあったもんじゃないんですが。

0