工業地帯に生まれ育ったせいか、水のおいしさってのがよく分かりません。
まだ北九州にいたうら若き(!)頃、長崎の五島列島から越して来た人が、水がまずいしお腹を壊すので、かならず沸騰させて飲んでいると話すのを聞いて、「へえ、そんなものか」と、感心したことがありました。
その時はじめて、自分が飲んでいる水はまずいと、知りました。
それでも、私にはその“水“が、生まれてこの方“水“だったので、「まずい」というのがどういう味なのか、一向に分からないままでした。
以降、どこへ行っても、水がおいしいとも、まずいとも、感じたことはありませんでした。
そのうち流行ってきたミネラルウォーターでさえ、おいしいのかなあ?です。
「おいしい」といって水を飲んでいる人を見ると、うらやましくなりますし、それができない自分がなんだか欠陥品のような気分です。
“おいしい水“というのは、“食べ物がおいしい“のと違って、まったく無味無臭なんだそうですが、いまいちそれを実感するに至っていません。
が、水のまずさについては、福島で分かりました。
水道の蛇口を開けると、ぷーんと塩素の臭い、鼻を水に近付けなくても臭ってきます。
引っ越したばかりの時は、衝撃的でしたが、その後も、臭いはあり、浄水器から濾過された水でないと、なんだか塩素を飲んでるみたいで、飲みづらいです。
こういうのを“まずい”といっているのか!と、ついにしてやった気分です(でいいのか?)。
でも、これだけ山や湖、きれいな海がある福島で、なんと意外なことでしょ!
「とても飲めない」と、五島列島の男性が言ってた気持ちは、はじめて理解できましたが、自然豊かな福島なら、もっとおいしい水を供給できそうな気がするんですが。
また、そうでないと行けないような。
もっとも、“おいしい水”を供給されてあんたに分かるのか?と訊かれても、答えに困ります。

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