モントリオールにいたとき、1階に住んでいたアパートの管理人さんに修理のお願いに行くと、いつも、返ってくる言葉は「No Problem!(大丈夫!)」でした。
はじめは、なんと、物わかりのいい管理人さん!と、喜んでいましたが、いいのは返事だけ、なかなか修理に来てくれない、来てくれても「なおってないじゃん!」と、口先だけだったことに気づいてからは、うちでは、「ノープロブレムのおじさん」と呼んでいました。
気のいいおじさんではあったんですが。
このおじさんが何度も自ら示してくれたように、「問題なし」と言い切るところにこそ、むしろ問題ありなんですよね、ほんとは。
たとえば、BSEに敏感になっている日本に、背骨入りの牛肉を送っての「問題なし」解答をするアメリカ政府、欠陥住宅に住まわせて置いて、いざ偽装が発覚すると「大丈夫、いつでもお金返します」といってた会社は破産してしまいました。
「問題なし」は、そんな大舞台だけでなく、あちこちに転がっているんじゃないかしらと思ったのは、一昨日起きた、小さな子供が2人も刺殺された事件、地域や人間関係に問題はなかったと言うコメントが、悲しく響きました。
現に事件は起こっているのに「問題なかった」というのは、問題に気づいてない、あるいは、問題があることを認めたくない、あるいは、問題があったのは事件を起こした当事者一人のせい、ということで、「問題あり」と認めているよりずっと、解決への道は遠い気がします。
せめて、「問題はなかったと思っていました」といって欲しかった。
いくら外国からきて地域になじめなかったとはいえ、信任を受けて子供の面倒を見ていた人間が、罪もない子供たちを手にかけてしまうことは許されることではありませんが、事件は起きたのと同時に、起こさざるを得ないほど追い込まれた面もあるように思えてなりません。
事件が起きるのを「やめることはできなかったのか」と同時に、「やめさせることができなかったのか」という可能性も、受け入れて欲しいです。
問題の芽が見えたとき、それを「大丈夫」とふたをしてしまわず、「問題あり」と認めることができるのが第一歩、これは、この事件のことだけに限らない、ここまで大きくならなくても、どこにでもあることじゃないかと思いました。
いつも自分たちの問題として受け入れ考えていくことをしないと、意識的であれ無意識的であれ、私たちは余所から来た人に対して、閉鎖的な社会を作り、作らなくてもいい不和を、これからも作っていく気がします。
*****コメントいただいております
Commented by KAY at 2006-02-19 22:50 x
こんばんは、じゅうよっつさん
本当に悲惨な事件が起きてしまいましたね。この事件の第一報を読んだ時の心にひっかかったことを書きますね。
この母親は自分の子供だけを送り迎えしていてグループに入りたくなかったそうですが、幼稚園が説得してグループ送迎の仲間に入れたのだそうです。私は「みんなで一緒に」というのが苦手なので、この点にひっかかりました。
一義的には子供が被害に遭う時代になったための対策だったのでしょうが、それが安易に流れていないか考えるべきだと思いました。
人の子を預かって送迎するなんて、たとえば保険をかけて事件や事故があったらどうするかということまで考えて決めるべきシステムだと思いますが、幼稚園はメンバーを簡単に組み分けして分担を決めるという無神経さから出ていなかったのではないでしょうか。嫌がっている人を説得して仲間に入れるなんて以ての外だと思います。子供達を守るということの難しさ、安全だった日々の記憶から危機意識、本当の危機って何かを認識することの難しさを知りました。
Commented by juyotsu at 2006-02-20 21:02 x
KAYさまのおっしゃるとおりだと思います。
誰もがやってるのだからやってという考え方は、愚の骨頂です。人には個性もあれば、得意不得意もありますもの。
法律違反じゃない限り、反対意見が出れば、そこには、当然、変更なり修正なりする余裕があるべきです。
連行されていく容疑者が顔を隠すのを拒んで見せた、訴えるような睨み付けるような目を見たとき、悲して胸が詰まりました。
はじめはなんとかうまくとけ込もうとしても、人それぞれ、すぐにとけ込める人もあれば、出たり入ったり繰り返しながらゆっくりとなじんでいく人もいる。
それを見守るだけのケアーが誰にもできなかったら、いろいろな小さな不満がたまり、誰それでなく、地域全体、あるいは日本全体への憎しみに増幅してしまうんですね。
もちろん、亡くなった子供たちやご家族は、どうしようもなく理不尽な思いをされていらっしゃるでしょうし、殺人を犯していい理由なんて、どこにもありません。
でも、問題はあったんです、きっと。求めている助けに気づいてほしかったはず。
話は別ですが、結婚して日本姓になっているはずなのに、どうして、マスコミは、中国姓なんでしょう。
Commented by KAY at 2006-02-21 18:40 x
最初は日本名と中国名が列記されていましたが、最近は中国名だけですね。中国人は結婚で姓を変えないといいます。日本国籍をとってしまうと日本人の姓に変えて日本名を名乗る場合もあるようですね。
彼女の場合がどうだったのか分りませんが、私は加害者の娘や夫のことを考えると、今回結婚前の名前で報道されることの意味もあるかなと思います。
Commented by juyotsu at 2006-02-21 20:38 x
加害者でないのに責められる加害者の家族を見て、疑問に思うことはありますが、でも、この事件の場合だけ、中国姓に戻るというのはちと違和感を覚えました。
加害者自身はきっと日本人の仲間にはいりたくて、通常、日本姓をなのっていたと思いますし。
それに、一番助けを求めていた相手は旦那さんだったんじゃないかしら。
Commented by Mick at 2006-02-21 21:01 x
「お前はこの論議に混ざるんじゃないッ!」と言われそうですが・・
ともあれ、為した行為が行為ですが;姓の事まで何か「村八」調の印象も感じますよね・・
「トン・トン・トンカラリンと隣組」とかが何かヤな感じの調べに・・
スミマセン、どうもこの辺くらいでよします。
Commented by juyotsu at 2006-02-22 20:48 x
どなたさまも、いつでもウェルカムどす!MICKさま。
今日のニュースでは、被害者の親御さんからも、個人送迎にしたいと幼稚園に要望を出していたのに断られたとか。
個人で送迎できるのなら、それが一番安全だと思うんですけど、どうして、グループ送迎にこだわったんでしょうね。

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