このサイトをはじめる前ですから5〜6年ほどまえですか、大切な本を貸して、ついに戻って来なかったことがあります。
ほんとはいまだ、返してくれるかな、という期待もなきにしもあらずで、過去形にはしたくないんですけど。
その本は、ボストンにいた頃、初めて買った魚の本でした。
子供用の薄い本でしたが、水族館の図書館にあった日本の水族館が寄付した魚の図鑑と照らし合わせて、その本に魚の和名を書き込んだりしてました。
小さい頃から水族館は好きでしたが、ちゃんと水族館に入って魚のことを知るようになったのは、ここが初めてだったので、和名も知っときたかったんです。
安くて薄っぺらな本でしたが、思い入れはありました。
その本をお貸ししたのは、ネットで知り合った同年代の女性で、九州の水族館でボランティアをされてました。
当時は、水族館とか魚のこととか、頻繁にメールでやりとりしてましたし、私が出張でその水族館に行ったとき、ボラの中心をなって活躍しておられて、私もいろいろとお世話になりました。
だから、「外国人のお客さんに説明するのに英名が知りたい」とメールいただいたとき、「向こうで買った辞典をお貸ししましょうか?」と申し出ました。
私としては、中身のわからない洋本を買うより、まずは私の持ってる本を使ってみて、よければ買えば?という気持ちでした。
送るときに迷いましたが、辞典と一緒に、その本も送りました。
うちで眠らせておくより、きっと役立ててもらえるだろうと思ったから。
貸した本は、何ヶ月たっても返ってきませんでしたが、それまで同様メールのやりとりをしてたので、使ってくれてるからだろう、忙しいのだろうと、気にはしながらも、考えてました。
1年以上たって、「そろそろ戻してもらえますか?」とメール。
辞典の方は、いつも手元に置いていたのでと、すぐに戻ってきました。
でも、薄っぺらの本の方は、「ちょっと待ってください」とのこと。
「はい、大丈夫ですよ」
「引っ越すので、荷物整理でばたばたしてます」
「それは大変、そのあとでいいです」
「引っ越しの荷物に埋まって、まだ出てきてません」
そんな調子でした。
引っ越しから半年ほどたって「いつ頃になるか、教えていただけますか?」ときいてみました。
その後、メールがぱったり来なくなりました。
どうしたものか?
あまり催促しても、もしかして何かあってそれどころじゃないのかも、もしそんなときに催促なんてしたら悪いし・・返してもらえない理由が分からないので、だんだんと苦しくなってきました。
それまで、仲良くおつきあいしていたんですから。
ここままじゃ苦しかったし、それから1年ほどたって、私の方から、今回のことで音信不通になって傷ついていること、人の心を踏みにじって平気でいられるなら、ボラのコーディネータまでまかせられている資格はありませんね、と最後通告の手紙を出しました。
結局音信不通のまま、本は戻ってきませんでした。
もしなくしたのなら、そう言ってくれてもいいのに。言いにくいようなおつきあいはしてなかったと
思ってってました。こちらもそのほうが、黙っていられるよりよほど楽になります。
今でさえ、「いや実はあのときはこれこれで・・」と言ってくれるなら、「やっぱりね!」と喜んで受け入れることができます。
返ってこない本にも愛着がありましたが、気づかないうちに投げられていた刃物が、いつまでも心に突き刺さっている痛みの方が大きいです。
いまだにどうして返してもらえないのか、こちらがそんなに気に障るようなこと、何かしたのかしら?と、思い出すと理解に苦しむので、思い出さないようにしてます。
それをどうして今頃持ち出したかというと、今また同じことが起きそうな予感がしています。
ネットで知り合ってもう長くおつきあいいただいている方ですが、「これも喜んで見ていただけるかも、これも」とたくさん送ったものを、半年以上お貸ししてます。
ただいま、過去と同じような状態になっているのが、当時を思い出させてとても苦しいです。
我ながら、いい加減、学習しろよ、って思います。
うちの旦那は、きっと、「貸した方が悪い!」と言うだろうな。
ネットは危険だというけれど、それを理解するための高い(というよりお金に換えられない!)授業料ですね。
踏ん切れればいいけど、それもできないでいる自分が、情けない。
阿呆のようにまだ信じています。
近い将来のブログで、「へへへ〜!返ってきましたあ!お騒がせしやした!」と、バカな自分を反省する書き込みをしたいので、早めに書いとこうと思いました。
一種の縁起担ぎです。
あれ?私、どなたさまにもお借りして返してないものないですよね!?
ほら自分のことだって危ういしね。
*****コメントいただいてます
Commented by KAY at 2006-03-22 22:37 x
こんにちは、じゅうよっつさん
本にはそれなりに愛着があるでしょうから、戻ってこないなんてとっても辛いことでしょうね。最初の人はもしかすると無くしちゃって、素直に言い出せないのかもしれませんね。言ってくれればいいのにね。
私はどんなに親しい友達でも本は貸しません。率直に言います。驚く相手もいるけど、こちらの態度が揺れなければ人それぞれとして納得してくれます。
問題は貸すと言ってくれる人の場合です。一応は「本の貸し借りはしないから」と断るんですけど、「気にしなくて良いから」と強く貸してくれる場合があるんです。で、私も貸すことを断るほどには強く固辞出来なくて(読みたいという下心を抑えられなくて(^^;))借りてくることがあります。
<つづく>
Commented by KAY at 2006-03-22 22:39 x
<つづき>
ほどんどはさっさと読んでお返しするのですが、長く借りっぱなしの本があります。一冊は文章が旧くて仲々読み進められない為、もう一冊は膨大な厚さ故読み進められない為今も手元にあるのです。で、こちらから確認の為まだ借りっぱなしだということを相手に伝えたら、前者の持ち主は「あ、そうだった?あげるわ」と言ってくれました(^^;)で、後者の持ち主は、貸したこと自体を忘れていたようですが、「急がないけど読んだら返してね」と言いました。
先日、突然激しい腹痛に襲われて、もしかしたら死ぬかなと思った時、手近の紙に走り書きで「○○の本を誰それに返却して下さい」と遺言を認めてしまいましたよ。それなのにまだ読み切っていない私です。トホホ(^^;)
Commented by Mick at 2006-03-23 19:44 x
辛い話ネ:何か貸してあげたばっかりに相手のオカシイとこが見えてくるっていうのは − 失った「物」以上にヤな気分しますもんね。
悪いけど、じゅうよっつ様が『した人』では無しに、『された人』でまだよかったですが・・
「もう、誰も信じられんワイ」とかならんで下さい、ネ、タノンマス
当方など今、急に月から長い刀持って来られるとグルジーっで、師匠にもワザルス(ワザと留守)・・ 何を言ってるんでしょう自分でも?
Commented by juyotsu at 2006-03-23 21:02 x
KAYさまはえらいなあ。
>こちらの態度が揺れなければ
私にはこれができないから、喜ぶ顔を見た方が楽だから、うまく収まるから、お貸しする方を選んでしまいますが、でも返ってこなかったら、結局、貸した方も借りた方も、そんな出来事を聞いたかたさえも、イヤな思いをするだけで終わってしまいますもんね。いいとこなし!
貸すなら返ってこない覚悟で、借りて遅くなるなら連絡を取って、というのでなければ、成立しないんですよね。甘いっす、私は。
>突然激しい腹痛に襲われて、もしかしたら死ぬかなと思った時
え〜〜〜〜っ!!知らなかったです!KAYさま、病院行かれたんですか?大丈夫?死んじゃだめよ!!
”返すどころじゃない”というのは、こうゆう状況です。もしそれでも催促したら、鬼だわ。もしかして、いまそう事態に直面してるのかもと、そんなことつい考えて。
Commented by juyotsu at 2006-03-23 21:02 x
そうなんです、MICKさま、返ってこないモノ以上にそちらの方がつらいです。そんなことするはずがない、する理由がない、何かあったのかもしれない、でもどこまで待てば「ハイ期限切れ」となるのか、そんなことに思い煩うのは、人間ができてない証拠です。
なんとか、これを機に、少しは成長したいと思います。
>「もう、誰も信じられんワイ」
それは絶対ないです。少し、注意深くはならなければとは思いますが。

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